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住石ホールディングス(株)【1514】の掲示板 2015/09/17〜2017/07/28

読売新聞が、石炭価格急上昇していると報じています。

 「石炭価格、50%上げへ…1~3月鉄鋼生産用」
 「鉄鋼生産に使う石炭(原料炭)について、新日鉄住金と海外の資源大手が、2017年1~3月期の「長期契約」で輸入する価格を、16年10~12月期に比べて約50%引き上げる方向で最終調整していることが分かった。1トン当たり300ドル前後となる。国内の鉄鋼各社も追随する見通しだ。」
 50%の引き上げで300ドルになったということは…

 300÷1.5=200

 前回の価格は200ドルということになります。
 でも、「取引ごとに決まる「スポット価格」は年初に75ドル前後だったのが、直近は300ドル超となっている。」 
 ということですので… 

 300÷75=4

 つまり、1年も経たないうちに4倍にまで価格が上がっているのです。

 これは、大変なことですね。

 グラフをご覧ください。

原料炭価格の推移


 まさに石炭(原料炭)の価格が急上昇している様子が分かると思うのです。

 では、何故石炭の価格が高騰しているかと言えば…

 (1)中国政府が過剰な生産能力を抱える石炭産業の生産調整を進めており、生産量を削減しているから。

 (2)中国では今夏、エルニーニョ現象の影響で、原料炭の4割強を生産する山西省で豪雨が発生し、炭鉱操業や鉄道輸送に影響が出たから。さらに、世界最大の原料炭輸出国である豪州のクイーンズランド州でも複数の有力炭鉱が操業トラブルに見舞われるという事態が発生したから。

 では、鉄鋼メーカーは、この石炭価格の上昇分を鉄鋼価格に反映することができるかと言えば…

 石炭と同じく過剰設備を抱える鉄鋼の減産は思うように進まず、中国がダンピングを続けているため、石炭高騰分を転嫁することは困難な状況にある、と。

 ということで、ただでさえ鉄鋼の価格が低下して採算が取れない状況になっているのに、そこに原料炭価格の上昇というさらなる悪材料が重なり、鉄鋼メーカーとしては泣きっ面に蜂の状態になっていると言っていいでしょう。

 但し、その一方で、石炭の主要な輸出国であるオーストラリアなどはまさに恵みの雨ということで大歓迎しているようなのですが…ただ、振り返ってみると、その石炭産業はつい最近まで衰退産業とみなされてきた訳で、なんとも複雑な状況が展開されているのです。

 今年に入るまで石炭の価格は低下しっぱなしの状態が続いていた訳ですが、その理由について東洋経済(2014年9月7日号)は次のように報じていたのです。
 石炭は発電に使われる一般炭と、鉄を作るのに使う原料炭に分かれる。日系鉄鋼メーカーが使用する原料の指標である豪州産強粘炭の契約価格は、ピークだった2011年に1トン当たり330ドルをつけたが、2014年7~9月は同120ドルまで低下した。

 (中略)

 価格下落の要因は2つ。中国の鉄鋼需要の伸びが減速していることと、豪州で原料炭の増産が続いていることだ。

 2013年の中国の鉄鋼生産量は7億トンと、世界のほぼ半分に達している。ただ中国経済の減速を受け、足元の生産量は2014年1~7月実績で前年同期比5%の伸びにとどまっている。かつての年間2ケタ増という水準からすれば、大幅な鈍化だ。

 要するに、中国の動向次第で世界経済が大きく影響を受けるということなのですね。