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(株)ニューフレアテクノロジー【6256】の掲示板 2017/01/22〜2017/03/09

マルチビーム半導体レーザー とは、機械的光走査系 や半導体レーザ などの分野において活用されるキーワードであり、キヤノン株式会社 や株式会社リコー などが関連する技術を60件開発しています。

マスク露光の限界を超えるための電子ビーム描画装置開発集積回路の大量生産を可能にする「フォトマスク」ですが、半導体の集積化が急速に進んでいた1980年代ごろには、光転写による微細加工はやがて不可能になるのではないかとも危惧されていました。LSIパターン露光の際に、LSIに刻まれる回路パターンの線幅の最小寸法を下げるためには、回路パターンの線幅 より短い波長の光が望まれるためであるためでした。

その解決方法として期待されたのが電子ビームによる直接描画です。この電子ビームの波長は、加速電圧10kVで0.012nmと光に比べて4桁以上小さく、線幅が1μm以下になっても問題がありません。

ただしそのためには、電子を加速して固体に衝突させたときに起こる電子の散乱現象である「近接効果」を克服しなければなりませんでした。株式会社東芝と東芝機械株式会社(分社化により、現・株式会社ニューフレアテクノロジー)では、1970年代から電子ビームによる「直接描画」及び「マスク描画」技術の開発を開始、1984年から「マスク描画」と「直接描画」に向けた近接効果補正に関する研究開発に着手し、1995年には一定の成果を上げるまでになっていました。(「近接効果」については、「ブレークスルー」を参照)

直接描画から電子ビームでのマスク製作へ
しかし一方で、直接描画で従来のような生産速度でLSIを大量生産することは難しいことでもありました。より微細な回路パターンの高精細なマスクを製作することができれば、露光・転写に光を使っても高細密なLSIを製造できます。ただし、加速度の低い電子ビームや光(レーザー等)を利用していた当時のマスク描画装置では、その当時の次の世代のLSIで要求される精度と描画速度を実現することが困難になりつつありました。

そうした中、世界に先駆けて、電子ビームによる細密なマスク描画装置を開発・実用化した企業(イーテック・システムズ社)が米国に出現しました。同社は一時90%以上のシェアを占めるまでになり、高価格戦略を維持することもできました。このプロジェクト開始当時は、イーテック社のマスク描画装置が最先端でしたが、次の世代の微細なマスク描画はまだ開発途上でした。

状況打破のために、日本でも早急にコストパフォーマンスに優れ、高精度で短時間に高精細なマスクパターンを描画する、その次の世代の電子ビームマスク描画装置を開発する必要がありました。そこで、NEDOでは1995年より「超先端電子技術開発促進事業」プロジェクトを実施したのです。

東芝と東芝機械は、過去のマスク描画と直接描画で培った近接効果補正技術を活かして同プロジェクトに参加し、電子ビームマスク描画装置の研究開発に取り組みました。近接効果補正の研究開発は、社内向けに基礎研究から始められたものでしたが、NEDOプロジェクトを通して実用化に向けた研究段階に進み、その成果を基に商用化を目指すことにしました。

両社は3年間の研究開発の結果、電子ビームマスク描画装置「EBM-3000(LSI設計寸法180nm)」の開発に成功。1998年に東芝機械から同社製の次世代の高精度高速マスク描画装置が商用機として販売開始されました。2002年には東芝機械から半導体装置事業部が分社・独立して、株式会社ニューフレアテクノロジーが創設されました。同社では現在もNEDOプロジェクトで開発された技術を基に装置のバージョンアップを続けています。最新機種の「EBM-8000(LSI設計寸法22nm)」は「EBM-3000」から数えて7代目の描画装置に当たります。

東芝の半導体技術とキャノンの光学技術の融合により次世代半導体技術に弾みがつきそうです。

シャープみたいな海外資本による建て直しではなく、オールジャパン提携で次世代のイノベーションを起こして欲しいものです。