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ジャスダックインデックス【23337】の掲示板 2015/04/01〜2020/11/29

【こんな話もある  桜 】
 1912年の春、ワシントンのポトマク公園では、東京市から贈られた桜の植樹式が盛大に行われた。第一樹はタフト大統領夫人によって植えられ、第二樹は珍田駐米大使夫人というようにして、染井吉野千本を含む日本の代表的な桜の品種をとりまぜた三千百本の桜の苗木が、ポトマク河にそった公園のプロムナードへ植えられていった。
 風土に合ったものか苗木はすくすくと育ち、やがて見事な桜の名所となり日米親善の象徴ともなった。このワシントンと同時にニューヨークにも同じ本数の桜苗木が贈られたが、風土の関係かこれはよい成育をしなかった。
 これらの桜は当時東京市長だった尾崎行雄の発案で贈られたもので、1907年に訪日したタフト陸軍長官が大統領に就任したそのお祝いと、その答礼を兼ねて贈られたという。訪日のとき、桜の美しさをことのほかたたえた、タフト夫妻の心情に応えたものである。
 初め1909年の冬、二千本の桜苗木が千葉県下の苗木商から選んで贈られたが、これはアメリカへ着いて病害虫のいることがわかって、全部焼却処分を受けた。この不名誉を回復するために、東京市では農商務省の農事試験場に苗木の育成を依頼した。
 その育成には、病害虫の発生の少ない、興津の興津園芸部が選ばれ、育成指導には熊谷八十三技師が当たり、接木仕立で育成されたのである。
(古谷綱武編)