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FX 記録の掲示板

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  • 2021/04/09 21:08
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掲示板のコメントはすべて投稿者の個人的な判断を表すものであり、
当社が投資の勧誘を目的としているものではありません。

  • 日本経済新聞によると、米大統領選は5日、残る激戦5州の開票が佳境を迎えた。民主党候補のジョー・バイデン前副大統領(77)は激戦州で勢いを加速し、当選に必要な「選挙人」の過半数の獲得に迫る。窮地に立つドナルド・トランプ大統領(74)は根拠を示さず選挙に「不正」があると主張し、訴訟で抵抗する。

    全米538人の選挙人の過半数270人以上を争う大統領選で、バイデン氏は253人を確保した。トランプ氏は214人にとどまる。
    米CNNによると米東部時間6日午前4時半(日本時間同日午後6時半)ごろ、トランプ氏が先行していた南部ジョージア州でバイデン氏が票数で逆転した。東部ペンシルベニア州もバイデン氏が追い、西部ネバダ州でもリードを拡大した。

    未開票なのは新型コロナ対策で急増した郵便投票が中心だ。多くの州で郵便投票はバイデン氏に有利となる。「全ての票を数えなければいけない」とバイデン氏は開票を続けるよう訴える。

  • 日本経済新聞によると、米大統領選で勝利が確実になったバイデン前副大統領(民主)は、トランプ流の孤立主義からの転換が求められる。世界経済はなお危機下にあり、国際協調が欠かせないためだ。ただ対中政策は、知的財産権の保護や産業補助金の見直しを巡って、強硬路線を引き下げることはなさそうだ。
    「中国を国際ルールに従わせる必要がある。トランプ氏とは異なる手法をとる」。バイデン氏は10月の討論会で、対中政策の見直しを示唆してみせた。「トランプ氏は対中貿易赤字を減らすことはできなかった」

    ただ、7日の勝利演説では対中政策に一切言及しなかった。米議会では共和、民主を問わず、対中強硬姿勢が強まっており、香港問題などでむしろホワイトハウスを突き上げてきた。バイデン氏も議会勢力や国内世論を考慮すれば、トランプ政権が敷いた強硬路線を大きく転換するのは難しい。対中制裁関税も、補助金政策など構造改革につながる「果実」を得ずに無条件に引き下げるのは簡単ではない。

  • 「為替の水準や方向性について言及しないが、安定は極めて重要。各国当局と連絡とり、適切に対応する」(菅首相:2020年11月6日)

     財務省が発表している外国為替平衡操作の実施状況によると、財務省・日本銀行によるドル買い・円売り介入は、2011年11月4日の3062億円が最後の記録となっている。当時のドル円相場は、10月31日に変動相場制移行後の最安値75.32円を付け、11月4日には78円程度で推移していた。その後、ドル円は、2012年2月に360円を起点とする長期下落トレンドの抵抗線を上抜けて、目標値124円処が点灯した。そして、アベノミクスの下で2013年の黒田日銀総裁による異次元量的・質的金融緩和という追い風を受けて、2015年6月5日の125.86円まで上昇した。
     菅首相は、官房長官時代から、為替市場で円高が進行することへの強い警戒心を示しており、2016年4月にドル円が107円台で推移していた頃、官邸主導で「ドル買い・円売り介入」の準備をした、との噂も流れていた。
     2020年11月6日、ドル円は、米大統領選を巡る不透明感から103円台で推移していたが、菅首相は、「為替の水準や方向性について言及しないが、安定は極めて重要。各国当局と連絡とり、適切に対応する」と述べ、円高進行に対する警戒感を示した。

    1.米民主党政権下でのドル円相場
     ドル円相場は、米民主党政権下で安値をつけて反発する傾向があることで、バイデン第46代米大統領の下での安値・反発に要警戒か。
    ・1978年10月:カーター第39代米大統領 175.50円まで下落後、ドル防衛策で反発
    ・1995年4月:クリントン第42代米大統領 79.75円まで下落後、ドル高政策で反発
    ・2011年10月:オバマ第44代米大統領   75.32円まで下落後に反発

    2.中期的なドル円相場見通し
     ドル円は、中期的には、米国の金融政策と財政政策により、上値が重い展開が予想される。すなわち、金融政策面からは、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長率いる米連邦準備理事会(FRB)が、2023年までのゼロ金利政策の継続を示唆している。
     財政政策面からは、トランプ米政権による新型コロナウイルス感染拡大に対する「コロナウイルス支援・救済・経済保障法」(CARES法)などから、2020会計年度(19年10月-20年9月)の連邦赤字が、過去最大規模の3兆1319億ドルまで拡大している。
     一般的に、米国の「双子の赤字(経常赤字+財政赤字)」が、国内総生産(GDP)比で6%を超えると、ドルは下落する傾向にあるが、現時点では、財政赤字だけで、対GDP(2020年9月時点の名目GDP:21兆ドル)比が15%程度になっている。
     ドル売り要因としては、格付け機関が、拡大する米国の財政赤字や債務残高への警鐘として、米国債を格下げする可能性も挙げられる。

    3.短期的なドル円相場見通し
     ドル円は、年末に向けてドル資金需要の高まりや米多国籍企業による米国への利益送金などで、堅調に推移する傾向にある。しかしながら、今年は、米連邦準備理事会(FRB)による潤沢なドル資金の供給や新型コロナウイルスによる収益の減少により、ドル買い需要は見込めない。
     逆に、新型コロナウイルス感染拡大「第2波」や米大統領選挙を巡る不透明感が、リスク回避の円高要因となりえる。
     米大統領選挙を巡り、2000年の「ゴア対ブッシュ」のような最高裁判所での法廷闘争の可能性、両陣営の支持者による衝突が全米各地で激化する可能性などから、ドル売り・円買いとなり、ドル円が100円を割り込む事態になった場合、緊急避難的な本邦通貨当局によるドル買い・円売りの可能性もあるのかもしれない。
     そして、ドル円の100円割れ、2桁相場が短命であったこれまでの相場展開からは、ドル買いの絶好の機会となると思われる。

  • 「失うものがない」「最後の悪あがき」「ただでは転ばない」など、様々な表現が出ていますが、トランプ現大統領は自身の敗北を認めないだけでなく、やりたいことをやりまくり始めました。
     そもそも大統領選でこれだけ差があって負けた場合(ブッシュVSゴアのような1州の微妙な状況ではない)は、敗戦を認めるのがグッド・ルーザーというものです。と、いうのも大統領選で国が二分とされていたものを、放置することは愛国者であるべき大統領ではありえません。しかし、そんな一般論はトランプ氏に通じるわけがありません。

     さっそく、昨日エスパー国防長官を解任しました。元々はトランプ氏のイエスマンと言われて「イエス」パーと揶揄されていたほどです。この2人の隔たりができたのは、ミネアポリスでのデモの暴徒化鎮静に、エスパー長官が連邦軍の適用を拒否したことです。軍歴もあるエスバー氏ですので、軍の適用が軍内部の人種間問題にも発展することを理解し、反対をしたとの説があります。

     そして、この後にもトランプ氏が解任を狙っている要人が続きます。
     まずは、ハスペル中央情報局長官(CIA)長官。この方も2018年に大統領が指名した長官です。初めての女性のCIA長官ということで、話題にもなりました。ハスペル長官の解任理由は、ロシア疑惑のダーラム文書の取り扱いに対して大統領の意向に従わなかったことで、政権内と溝ができたとされています。
     また、CIA長官だけでなくレイ連邦捜査局(FBI)長官も解雇リストの上位に入っています。この方も2017年に大統領が自ら指名しています。解雇の理由としては、バイデン氏の息子ハンター氏の海外でのビジネス疑惑に対して正式な調査をしなかったことや、郵便投票がFBIの調査で不正ではないと証言したことなどが挙げられます。
     上記3人とも大統領が指名したものの、国の重要機関のトップが嘘や偏りに加担することを拒否しただけで、解雇の道が待っているようです。
     しかも、この解雇はトランプ氏が再任した場合に行われるとの観測でしたが、(本人は認めていないが)敗戦したのにも関わらず解任(または解任しようとしている)には、驚きの声が出ています。
     
     これからレームダック期間の間に、国防・CIA・FBIという国家の安全の根幹にかかわる長官の解雇は正気ではないとの声が出ています。(なお、この3人以外にもデヴォス教育長官など、複数の名前も出ています。)
     このまま、ただでは引き下がることのないトランプ現大統領が何をしでかすか分からず、米国のリスクとして来年の次期大統領就任の1月20日まで残ることで、金融市場も油断はできないことになりそうです。

  •  2024年の米大統領選挙は、バイデン第46代米大統領が82歳の高齢となることで、民主党候補は母親がインド人のハリス米副大統領、共和党候補も両親がインド人のヘイリー元国連大使の可能性が予想されている。

    1.米大統領選のアノマリー
     米大統領選挙の年に、米国経済がリセッション(景気後退)に陥り、失業率が上昇し、S&P500が上昇傾向にない場合、当然のことではあるが、現職大統領・政権与党の候補は敗北している。
     米国の大統領選挙でリセッションに陥った例は3回あり、現職が敗北している。
    ・1980年カーター第39代大統領:イラン革命による原油価格の高騰
    ・1992年ブッシュ第41代大統領(父):湾岸戦争による景気減速
    ・2020年トランプ第45代米大統領:新型コロナウイルス感染拡大

    2.2020年:トランプ第45代大統領 対 バイデン前副大統領(民主党)
    1)リセッション(景気後退)・・2020年2月からリセッション入り
    2)失業率:2020年2月に3.5%まで低下していたものの、新型コロナウイルスにより、4月には14.7%まで上昇した。失業率が上昇して敗北した米大統領は以下の通り。
    ・1980年:カーター第39代大統領(民主党)
    ・1992年:ブッシュ第41代大統領(共和党)
    ・2008年:ブッシュ第43代大統領(共和党)
    ・2020年:トランプ第45代大統領(共和党)
    3)S&P500
     10月末のS&P500の終値が、7月末31日の終値を上回れば、現職大統領・与党候補が勝利、下回れば敗北している。
     2020年のS&P500は、10月末の終値が3269.96となり、7月末の終値3271.12を1.16ポイント下回ったことで、トランプ第45代米大統領が敗北した。

    3.2024年:ハリス米副大統領(民) 対 ヘイリー元国連大使(共)
    1)リセッション(景気後退)
     米国のリセッション(景気後退)は共和党政権下で起こる傾向にあるが、カーター第39代大統領(民主党)の時もリセッションに陥り、敗北した。
    2)S&P500
     大統領選挙年のS&P500が、10月末終値が7月末終値よりも高ければ、現職・与党候補は勝利する。民主党がホワイトハウスを支配していた場合、大統領選挙年のS&P500種株価指数は上昇する傾向にあり、議会がネジレていた場合、平均56%上昇している。
    ・1948年 トルーマン第33代大統領:+10.5%
    ・1960年 ケネディ第35代大統領:+23.1%
    ・1964年 ジョンソン第36代大統領:+9.1%
    ・1976年 カーター第39代大統領:▲11.5%
    ・1992年 クリントン第42代大統領:+7.1%
    ・1996年 クリントン第42代大統領:+31.0%
    ・2008年 オバマ第44代大統領:+23.5%
    ・2012年 オバマ第44代大統領:+29.6%
    ・2024年 バイデン第46代大統領:

    3)失業率
     2024年の大統領選挙年の10月の失業率が、年初に比べて+0.5%以上上昇していた場合、バイデン第46代米大統領に代わる民主党大統領有力候補のハリス米副大統領は敗北する可能性が高まる。

  • 海外市場でドル円は、米製薬大手ファイザーが独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックと共同開発中だったワクチンについて、「臨床試験で90%以上に感染予防の効果があった」と発表すると、市場では「新型コロナ感染を制御できる可能性が高まった」との受け止めが広がり、世界の株価指数が急騰。ドル円にも買いが集まった。米10年物国債利回りが0.9730%前後と3月20日以来の高水準を付けたことも相場の支援材料となり、一時105.65円と10月20日以来の高値まで上値を伸ばした。
     ユーロドルは、新型コロナワクチン開発の進展や米大統領選でのバイデン氏勝利を好感し、欧州株や時間外のダウ先物が急伸するとリスク・オンのドル売りが優勢になり、一時1.1920ドルと日通し高値を付けた。ただ、米長期金利が急騰すると一転ドルを買い戻す動きが優勢となり、1時過ぎに1.1795ドルと日通し安値を更新した。

     本日のドル円は神経質な値動きになりそうだ。昨日のドル円の踏み上げ方は多くの市場関係者の予想の範疇を超えて非常に大きくなった。今回の値動きを見ていると、ここ数カ月続いた株高がリスクオンのドル売り(反対に株安がリスクオフのドル買い)から変わる可能性もありそうだ。元々、新型コロナウィルスの蔓延で米資金のリパトリエーション(本国への資金送還)が起きるまでは、リスクオンがドル売りになっていたわけではないことで、今後は再び市場がどちらを選考するかを見極める必要がありそうだ。
     昨日の株上げの一因でもあった米大統領選の確定は、トランプ現大統領がいまだに敗北を認めていないことで、今しばらくは混乱が続く可能性はある。マコーネル上院院内総務(共和党)は大統領が選挙を調べる権利はあるとは認めているが、他の複数有力共和党議員は迅速な政権移行を望んでいる。バイデン氏にとっては、トランプ氏の動向を気に留めることもなく粛々と新政権の閣僚の選考を行うことになるが、これからの数週間の間で新政権のメンバーが決定される可能性があることで、市場は目を離せないだろう。特に新財務長官の指名が最大の注目となる。
     そして、もう一つの株高の要因となった、ファイザーのワクチン開発の進展だが、現時点で欧米だけでなく日本などでも感染第2波が進行していることで、ワクチンの開発のスピードも注目されそうだ。なお、ワクチン開発に対して米国の新型コロナウィルス対策チームの長を務めていたペンス米副大統領が、大統領と自らのチームの貢献を称えるツイートを記載したが、即座にファイザーは一切政府等からの援助金を受け取っていないと否定されるという皮肉な結果になっている。
     ドル円以外の通貨では本日もポンドの値動きには要警戒となりそうだ。この数週間以内に英欧州連合(EU)間の通商交渉の結果が出ると思われるが、昨日はバイデン政権発足が現実味を帯びたことで、英国がEUとの通商交渉を妥協するという見通しが増してきている。ユーロポンドは欧州入り後からユーロ買い・ポンド売りになっていることもあり、今後の交渉の進展とポンドの値動きも注目される。
     なお、本日アジア時間での経済指標は、本邦から9月国際収支速報や10月景気ウオッチャー調査が発表される。また中国から10月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)などが発表される。本邦の経済指標では市場が動意づくことはないだろうが、中国の指標には要警戒となりそうだ。

  • バイデン政権による米中関係、新興国を巡る状況を考察する
    米国の国際協調路線への回帰は望ましい一方、米中対立は様々な面で長期化・激化が不可避

     米国大統領選では、民主党のバイデン前副大統領が当選を確実にして政権交代に向けた動きが進んでいる。バイデン氏は新型コロナウイルス、経済再生、人権問題、気候変動問題を課題に挙げ、トランプ政権が進めた政策の「巻き戻し」が予想される。国際協調路線への回帰が見込まれる一方、米国の世界的存在感の源となってきた米軍の在り様が変化し、世界的な軍事的バランスが大きく変わる可能性には要注意である。

     トランプ政権下で大きく変化した問題に米中関係がある。バイデン氏は気候変動問題で協調する可能性はある一方、貿易問題や人権問題などで中国に厳しい姿勢を示しており、米国内では議会や政府内で対中強硬論が広がるなかで大変化は乏しいとみられる。他方、米軍の在り様は東シナ海及び南シナ海の問題に加え、北朝鮮情勢にも影響を与え得るため、当事国である日本としては立場を明確にする必要に迫られよう。

     トランプ政権下の米国は一国中心主義を採る一方、中国は内実を問わず国際協調路線を標ぼうする対照的な状況が続いた。バイデン氏は国際協調路線への回帰を主張しており、同盟国との連帯をてこに対中包囲網の強化を図るとみられる。対中包囲網には新興国の取り込みが不可欠だが、一方で中国は「カネとチカラ」を背景に圧力を強めることも予想され、世界秩序を巡る状況は不透明な展開が続くことも考えられる。

  • 日本経済新聞によると、米大統領選と同時に実施した連邦議会上院選をめぐり、アラスカ州で共和党現職が勝利する見通しとなった。複数の米メディアが11日報じた。共和党は非改選を含めて50議席、民主党は48議席を固めた。残る2議席は2021年1月に行う南部ジョージア州の決選投票で決着し、上院運営の主導権争いも決まる。

    共和党は政府高官人事や政策に影響力を維持するため過半数の議席確保を目指しており、ジョージア州で少なくても1議席を得る必要がある。11日には共和党の有力者、マルコ・ルビオ上院議員がジョージア州に入って、共和党候補の応援演説をした。

    民主党はジョージア州で2議席を確保すれば、獲得議席を50に伸ばせる。上院での人事承認などでは賛否が50対50になった場合、上院議長を務める副大統領の一票で最終決定する。民主党のハリス上院議員が次期副大統領に就く見通しで、民主党が50議席を確保すれば過半数を得たのとほぼ同等の影響力を行使できる。

  • ■バイデン第46代米大統領
    「『赤い(共和党)州』(Red state)も『青い(民主党)州』(Blue state)もなく、一つ(United)の米国のために尽くす」
    ■オバマ第44代米大統領
    「リベラルな(民主党支持の)『青い州(Blue state)』と保守な(共和党支持の)『赤い州(Red state)』があるのではない。あるのは各州が一致団結したアメリカ合衆国(United States of America)だ)

    1.アメリカ「合衆國」という概念
     1854年、江戸幕府とアメリカ合衆国が「日本國米利堅合衆國和親條約」を締結した頃、「United States of America」の日本語訳として、『州=state』の集合体ではなく、『民衆=people』の集合体であるとの認識から、「合衆国」と訳された。
     勝海舟は、遣米使節から帰国して将軍徳川家茂に拝謁した際、老中からアメリカと日本の違いは何か?と問われた時、「我が国と違い、アメリカで高い地位にある者は、皆その地位相応に賢うございます」と言ってのけた。また、弟子の坂本竜馬が、米国の初代大統領ジョージ・ワシントン=徳川幕府初代将軍徳川家康と思い込み、ワシントンの子孫は何万石なのか?と聞いた時、「そんなものねえよ」と答えて竜馬を驚かせている。
     日本語では、抽象的な概念は常に漢字で(例:精神)表記され、具体的なことがらはカナによって(例:こころ)表現されてきたらしい。(大澤真之『自由という牢獄』)
     日本は、江戸時代末期から明治維新の頃、西洋から輸入された抽象的な外来の「概念」を、中国から輸入されていた漢字によって表現した。
    「philosophy」は、ギリシャ語の「philosophia=sophia(智)をphilein(愛する)」に由来するが、西周が賢哲を愛し希求する意味で「希哲学」の訳語を造語した。
    「baseball」は、夢中になっていた正岡子規が自身の幼名である「升(のぼる)」にちなんで、「野球(のぼーる)」と命名した。
    「democracy」は、ギリシャ語の「dēmokratía:デーモクラティアー)に由来し、「人民・民衆・大衆」などを意味する「dêmos:デーモス」と「権力・支配」などを意味する「kratos:クラトス)を組み合わせたものである。しかし、日本語訳として、民主(民ノ主=君主)を充てて「民主主義・民主制」と間違って訳してしまった。
    三角法での「sin(サイン:正弦)」は、正角に対する弦の長さ、「cos(コサイン:余弦sine of complement)」は、余角に対する弦の長さである。エジプト文明やメソポタミア文明に発祥した「三角法」の概念を、中国人が的確に理解したことが窺える。

    2.米国の戦死者数
     2020年11月15日付けのジョンズ・ホプキンスのデータによると、米国の新型コロナウイルス感染による死亡者数が、24.6万人となり、最近起こった「5大戦争」と第1次世界大戦の戦死者の合計を上回った。米議会調査局(CRS)によると、「5大戦争」による米国人戦死者数は、ベトナム戦争(47434人)、朝鮮戦争(33739人)、イラク戦争(3519人)、アフガニスタン戦争(1909人)、湾岸戦争(148人)となっている。

    1位:南北戦争(1861-65年):約66万人
    2位:第2次世界大戦(1941-45年):約42万人
    3位:第1次世界大戦(1917-18年):約12万人
    4位:ベトナム戦争(1964-73年):約4.7万人
    5位:朝鮮戦争(1950-53年):約3.4万人

  • 共同通信によると、米大統領選と同時実施の連邦上院選(定数100)は、結果が判明していなかった南部ジョージア州の2議席がいずれも来年1月5日に決選投票となることが決まった。米主要メディアが16日までに伝えた。来年1月20日に発足する次期政権の任期4年間の行方を左右する共和、民主両党の多数派争いは、政権発足直前の年明けまで持ち越されることが確定した。
     大統領選は民主党バイデン前副大統領の勝利が確実。政権高官らの人事承認権などを持つ上院の多数派を民主党が奪還するか共和党が維持するかで、次期政権の運営は全く異なったものになる。

  • 弊社のワシントン情報筋によれば、「議会上院が51対49で共和党の多数派維持が確定的となり、民主党が共和党に妥協しないと週600ドル臨時失業保険プログラムの復活や州・地方政府向け財政支援等が来年1月6日からの新議会で否決されかねない情勢」という。

    もちろん、バイデン次期大統領は、猛威振るう新型コロナウイルス感染対策及び悪化した米経済立て直しの追加経済対策を全てに最優先する意向でいる。

    ただ、大統領選の結果が僅差でなく、コロナ禍から企業や家計を守り、市場の起爆剤になるはずだった追加経済対策への期待が薄まり、マコネル上院院内総務とペロシ下院議長は景気刺激策の協議を再開する構えを見せるも、政権交代の動揺が議会の法案可決を遅らせつつある。

    何より、バイデンラリーは大統領選の結果が想定以上に早く明確となって選挙後の不透明感が払拭され、例年の大統領選Yearのアノマリー通り11-12月の株高パターンが踏襲されている側面がある。

    米バロンズ誌(8月8日号)『2020 Election: How to Prepare Your Portfolio(大統領選に備えるポートフォリオ)』が「バイデン氏が勝利する一方、上院では共和党が多数派を維持するケースが市場にとって最高のシナリオ。大統領は暴走せず、増税も回避される」と指摘したのも理に叶う。

    様に、企業や富裕層への増税案や大手IT企業や金融機関の規制強化など民主党左派が主張する政策が、上院共和党の反対で阻止される「ねじれ議会」もまたバイデンラリーを支援している。

    だが、ある在NY金融筋は、「12月末期限の臨時失業保険プログラムの復活など財政支援が欠如したまま年末に向けレイオフ(一時解雇)が増えれば消費の腰折れや中小企業の倒産増加が懸念される」と警戒する。

    もちろん、民主党ナンシー・ペロシ下院議長を始め民主党執行部とバイデン政権移行チームは、来年1月6日からの新政権誕生前のトランプ政権のレイムダック期間中にコロナ対策として2兆ドルの追加財政刺激法案の成立を目指すが、共和党ナンバーワンのミッチ・マコネル上院院内総務は1兆ドル以上の巨額な財政刺激策に強く反対している。

    しかも、議会上院が51対49で共和党の多数派維持が確定的となり、民主党が共和党に妥協しなければ、臨時失業保険プログラムの復活や州・地方政府向け財政支援などが来年1月6日からの新議会で否決されかねない。

    そうなると、バイデン政権は発足当初から機能不全を起こしているとの印象を与えかねず、大統領選Yearのアノマリーとしての11-12月の米国株ラリーにはコロナ禍の深化と追加経済を巡る陥穽が潜み、高値掴みには注意が要されよう。

  •  米国の歴代民主党政権は、ルーズベルト第32代米大統領による太平洋戦争開戦、トルーマン第33代米大統領による原爆投下決断など、日本を敵視してきた。
     クリントン第42代米大統領やオバマ第44代米大統領も同様のスタンスであり、リベラルな民主党と日本の保守は相容れないのかもしれない。
     バイデン第46代米大統領の対日観も、過去の言動から否定的な見解が窺える。

    1. 日本国憲法
     2016年、バイデン米副大統領(当時)は、ペンシルベニア州で民主党大統領候補だったヒラリー・クリントン前国務長官の応援演説をした際、「私達が、日本を核武装させないための日本国憲法を書いたことを、彼(トランプ共和党大統領候補)は知らないのか。学校で習わなかったのか。彼に大統領として核兵器発射のコードを知る資格はない」と述べた。
     日本国憲法は、1946年に連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が作成したマッカーサー草案がベースになっている。すなわち、「国権の発動たる戦争は廃止する。日本は、紛争解決のための手段としての戦争、さらに自己の安全を保持するための手段としての戦争をも、放棄する。日本はその防衛と保護を、今や世界を動かしつつある崇高な理想に委ねる。日本が陸海空軍を持つ権能は、将来も与えられることはなく、交戦権が日本軍に与えられることもない。」とされ「第9条」となった。
    「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」
     バイデン第46代米大統領にとっては、日本を核武装させないために、日本国憲法を起草したことになっており、今後の日米安全保障を巡る対峙に際して要警戒か。

    2.核開発
     2020年6月、バイデン第46代米大統領は、習中国国家主席に対し、北朝鮮の核開発を阻止しなければ、「日本は一夜のうちに核を開発できる」と語った、と述べている。
     1971年、キッシンジャー元米国務長官は、中国の周恩来首相と会談した際、日米安全保障条約は日本を封じ込めるための「ビンの蓋」であると述べ、「日本に米軍基地を置いているのは、日本が核武装しないように監視するため」と述べている。
     バイデン第46代米大統領も同様の見解らしいので、要警戒か。

    3.靖国神社
     2013年12月3、バイデン米副大統領(当時)は、安倍前首相に「靖国参拝をやめるよう」要求していたが、これを無視して参拝を強行したので、激怒した、と報じられている。

  • 日本株は日銀ETF買い、企業の自社株買いに海外投資家の買い戻しと「売り方不在」の歪な好需給に支えられ、29年ぶりに日経平均2万6000円台乗せとなった。

    そもそも、日本株は11月3日の米大統領選の投票日を通過後、日本株売り持ちを積み上げていた海外投資家が一気呵成に持ち高解消の買い戻しに大挙した「踏み上げ相場」の様相を呈す。

    日経平均株価は17日、1991年6月以来約29年振りに2万6000円の大台を回復して引けた。11月に入り17日までに上げ幅約3000円、上昇率13.0%と急ピッチな上昇の牽引役は11月第1週に現物・先物合わせ1兆円超の日本株買い越しに転じた海外投資家である。

    東証・大証の投資部門別売買によれば、海外投資家は11月第1週(2-6日)に現物株を3572億円、先物を7420億円それぞれ買い越し、祝日挟みの僅か4日間に現物・先物合わせ約1.1兆円もの日本株買い越しに転じた。

    この間、個人投資家は急激な株高で2万4000円超え辺りから戻り待ちや利益確定売りに傾斜、11月第1週に個人投資家は現物・先物合算で7681億円と大幅な売り越しに転じた。

    さらに、11月入り大量の日本株買い越しに転じた海外投資家に対し、個人投資家の売りが少なく、薄商いの中で値が飛ぶように日本株の上昇が続き、17日には29年振りに2万6000円台に乗せた。

    むろん、「ワクチン相場」に好材料の追随がなければ暫し調整局面があっても不思議ではない。だが、今回の「踏み上げ」相場は、海外投資家の世界景気敏感株である日本株への本格的な買い出動の号砲といえそうだ。

  • 時事通信によると、米国の医師会、看護師協会、病院協会は17日、トランプ大統領宛てに連名の公開書簡を出し、大統領選で勝利を確実にしたバイデン前副大統領のチームと、新型コロナウイルスに関する情報共有を進めるよう要望した。米国内の感染者が急増する中、トランプ氏が大統領選の敗北を認めず政権移行手続き着手を拒否しているため、対策に切れ目が生じることに強い危機感を示した。

    3団体は共有が必要な情報として、治療薬や人工呼吸器の供給状況、収容可能な病床数などに関する最新データを列挙。さらに、医療関連物資の備蓄状況や治療薬・ワクチンの配布計画に関する情報についても「戦略的な計画策定の継続性を確保するためにも、できるだけ早期に共有する必要がある」と強調した。

  •  ロイターは、米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領が来週、経済チームの陣容や他の要職の候補を発表する計画と、同氏の政権移行チームが明らかにしたと報じている。さらに、バイデン氏は週明け30日から、新型コロナウイルス対応や喫緊の国家安全保障問題などを中心に機密情報の報告を毎日受ける見通しだという。

  •  ロイターは、米国務省が、大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が勝利を確実にしたことを受け、政権移行プロセスを開始したと職員に通知し、次期政権への移行を支援するチームを設置したと報じている。ロイターが省内電子メールを確認したという。

  • 弊社の在NY金融筋によれば、追加経済対策の遅延や新型コロナ猛威による一部州の経済制限に米景気回復鈍化が懸念されるが、1)米FRB無制限QE「限界論」、2)ワクチン開発・普及による経済「正常化」期待、3)米ダウ平均初の3万ドル突破など資産バブル、4)力強い中国経済など世界経済底入れ—等に米FRBは12月FOMC(15-16日)でQE(量的緩和)拡充の追加緩和を見送りフォワードガイダンス強化のみの対応に留まるとされる。

    事実、米FRBは遅延する追加経済対策の繋ぎ策として資産購入額の増額をもって緩和姿勢をアピールしているが、「足元の資産購入ペースは既に量的緩和第1-3弾(08-14年)を凌駕する前人未踏の域に達し、すでにフル稼働状態であり臨界点に差し掛かっている」(在NY金融筋)とされる。

    さらに、ここに来て、英米で新型コロナウイルスのワクチンの実用化が迫り、英FT紙(11月28日)電子版は「英政府は米製薬大手ファイザーが開発する新型コロナ用ワクチンを英医薬品・医療製品規制庁が数日中に緊急承認、早ければ12月7日にも介護施設の入居者や職員、医療従事者、高齢者等に優先的に接種、米国では12月11日にも同ワクチンの接種が始まる見通し」と報じた。

    一方、大統領選前の株価急伸をセーブし、トランプ当選への協力を間接的に拒否していたパウエルFRB議長が11月5日FOMC後の会見で、6月以降休止していた量的緩和(QE)再開を示唆し、「ハイテク株買いVSバリュー株売り」、「米長期債・貴金属買いVS原油・新興国通貨売り」ポジションの反対売買に牽引されダウ平均は初の3万ドルを突破した。

    BoAによれば、11月25日までの3週間で世界の株式ファンドに過去最大890億ドル(約9.2兆円)の資金が流入、すでに資産バブル化が憂慮されている。

    米国株に連れて日経平均も10月末から11月30日の前引けまでに3689円(16.1%)上昇、月間上げ幅としてはドイツ再統一の90年10月(4210円、上昇率20.0%)に次ぐ歴史的な大相場となった。
    米大統領選を終え不確実性を嫌うリスク資産市場の株式市場だけに大統領選の濃霧が晴れワクチン普及期待と相まって世界経済の底入れと世界的な株高をもたらしたのだ。

    さらに、30日に発表された中国11月製造業PMI(購買担当者景気指数)が景況感境目「50」を9ヶ月連続で上回りかつ市場予想を上回る上昇を示し、改めて中国回復が世界経済底入れを促し米景気回復力の持続性を担保すると景気「楽観論」が浮上しつつある。

    力強い中国景気回復は、李克強首相が11月24日に今回で5回目の世界銀行や国際通貨基金(IMF)等6つの国際機関トップとの世界経済や中国経済を巡る座談会でも明言された。

    会議後の会見で李首相は「中国は2020年にプラス成長を実現できる」と言明、「21年は合理的な経済状況に戻れる」と景気回復による経済「正常化」見通しを示した。
    なお、同会議は李首相が主催し世銀のマルパス総裁やIMFゲオルギエバ専務理事の他、国際労働機関(ILO)、世界貿易機関(WTO)、経済協力開発機構(OECD)、金融安定理事会(FSB)から夫々トップが参加した。

    だが、米ダウ平均の史上初の3万ドル突破や21年1-3月期の米GDP成長率マイナス回避と相まって米FRBは「QE限界論」に12月FOMC(15-16日)でQE拡充等の追加緩和を見送り、フォワードガイダンス強化のみの対応に留まりそうだ。

  • かつて、追加財政政策について問われたパウエル議長は、「財政支援(追加失業給付)の失効がラグを伴って失業者の住宅立ち退きや差し押さえなど経済に悪影響を及ぼすリスク」に言及し、追加財政発動までの中継ぎ策として追加緩和を示唆していた。

    事実、米経済は7-9月期に年率前期比+33%の大幅プラス成長と「V字回復」が実現したものの、FRBがQE拡充を視野に入れるのは、1)新型コロナ感染再拡大による米景気回復鈍化、2)トランプ政権のレームダック化に伴う追加経済対策の年明け1月末への遅延、3)民主党政権による財政大判振る舞いによる米10年債利回り上昇リスク—等主に「3つのリスク」への備えとされた。

    米国では1日あたり新規感染者数が20万人を突破、飲食店の夜間営業などが再び制限され、接客業中心に再雇用が大幅に遅れ、長期失業の懸念が増大し、FRBは議事要旨で「景気見通しは不確実性がある」と警戒を強めた。

    さらに、米追加経済対策が大統領選の「政争の具」とされ与野党協議が進まないまま民主党バイデン前副大統領の勝利を受け次期大統領の政権移行チームが動きつつあり、もはやトランプ政権での追加対策の成立は困難視され、バイデン新政権による年明け1月末へ遅延する可能性が高い。

    また、11月の大統領選・連邦議会選で「ねじれ議会」継続によりバイデン増税に共和党が反対、財政悪化に歯止めが掛からず、1月ジョージア選挙次第で可能性は低いが「トリプルブルー」となれば民主党の「大きな政府」回帰による財政大判振る舞いに長期金利の上昇が懸念される。

    実際、米FRBが11月25日に公表した米FOMC議事要旨(11月4-5日開催)によれば、正副議長ら会合参加者が量的緩和の見直しを集中議論、「多くの会合参加者が、早期に資産購入の指針を強化した方がいいと判断した」と表明、FRBはコロナ危機の発生以降、資産購入の目的を「円滑な市場機能の維持」としている。

    さらに、議事要旨による「指針の強化」として、資産購入を明確に金融緩和の手段と位置づけて、購入量を増やすと示唆、実際、議事要旨で量的緩和の拡充の手法は、「資産の購入ペースの増額か、購入国債の年限長期化」の2つを挙げた。

    しかし、すでにFRBが備えた3つのリスクが後退し、3月に量的緩和を復活、現在米国債を月800億ドル(約8.4兆円)、住宅ローン担保証券(MBS)同400億ドルのペースで購入するFRB「QE限界論」のもと追加緩和「不要論」が台頭している。

    つまり、世界不況回避と米7-9月「V字回復」実現でFRBの30余年振り金融政策「大転換」の目的は達成され、これ以上の追加緩和はむしろ副作用を併発させるリスクがあるというのだ。

    事実、米FRBは無制限QE(量的緩和)により30余年振り「予防的利上げ」原則を破棄する金融政策「大転換」に踏み切り、米7-9月期実質GDP成長率33%「V字回復」実現の濫觴となったことは言うまでもない。

    いずれにせよ、すでに米FRBの未曽有の大緩和は「臨界点」に差し掛かり、ゼロ金利の長期化とフォワードガイダンス強化しか残されていないようだ。

  • 午後3時のドル109円前半、英ポンド安が続く

    [東京 9日 ロイター] -

    ドル/円  ユーロ/ドル  ユーロ/円

    午後3時現在 109.37/39 1.1891/95 130.07/11

    午前9時現在 109.32/34 1.1913/17 130.26/30

    NY午後5時 109.24/27 1.1912/15 130.18/22

    午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ややドル高/円安の109円前半。前日からの米長期金利の低下が午後に入って一服したことで、ドルは小幅に持ち直した。今週の外為市場では、円とユーロが共に買い戻され、ドルと英ポンドが売られるという異例の展開となった。

    ドルは前日のニューヨーク市場で109円ちょうどと2週間ぶり安値まで下落し、きょうも109.21円まで下落した。ただ、前日のドル安の背景となった米長期金利の低下が一服し、109.44円付近まで反発した。

    今週1週間をみると「3月期末にかけては円が全面安で、ドルが幅広い通貨に対して買われていたが、2日の米雇用統計から流れが変わり、ユーロと円が買い戻されて勝ち組となり、ドルと英ポンドが負け組に甘んじるという、あまり見られない光景となった」(アナリスト)という。

    米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントの損失問題に関連して、欧米の大手プライムブローカーがポジション縮小を迫られていることも、各主要通貨に複雑なフローをもたらしている可能性があるとみられる。

    ドルに対するユーロ高や円高の主因は、急ピッチで上昇してきた米長期金利が4月に入って低下傾向を示していることがある。

    リフィニティブによると米10年国債利回りは1.6496%付近。前日は1.617%付近まで低下し3月25日以来の低水準となった。

    ドルは3月31日に付けた110.97円を高値に、その後は調整ムードの強い状況が続いている。2月の米バイデン政権発足後に勢いづいたドル高の反動がどこまで続くかに注目が集まる一方、米国経済のファンダメンタルズは底堅いとして「ドル安がどんどん進む動きにはなりにくいのではないか」(外銀)との見方が出ていた。

    英ポンド安の背景には英製薬大手アストラゼネカ製の新型コロナウイルスワクチンの副反応に対する懸念や、英投資ファンドのCVCによる東芝の買収提案とそれが実現した場合のポンド売り/円買いの思惑があるという。

    また、英ポンドは昨年後半から上昇しており、「材料出尽くし感から利益確定が進み、調整ムードに入っているのではないか」(外国銀)との意見も聞かれた。

    午後3時時点の英ポンドは149.89/93円。英ポンドは6日に高値153.41円を付けたが、その後急落中だ。

    (為替マーケットチーム)

  • コラム:超V字回復の豪ドル円、米株が握る快進撃の行方=植野大作氏

    [東京 17日] - 早春の外為市場で豪ドル/円の快進撃が目立っている。昨年3月19日、新型コロナウイルスの感染拡大を不安視した市場パニックの荒波にのまれて一時59円90銭付近まで急落した豪ドル/円は、その後一気に切り返し、今年2月25日には一時84円95銭付近まで買い進まれた。約11カ月で25円以上、4割を超える値上がりだ。

     3月17日、早春の外為市場で豪ドル/円の快進撃が目立っている。

    その後は日本の年度末接近を見据えた投資家の持ち高調整も意識され、上昇の勢いは鈍ったが、82円前後では底堅く推移、現在も84円台で取引されている。

    この間の豪ドル/円の動きを俯瞰(ふかん)すると、週足チャートの比較的細かい部分に至るまで、概ね円建て換算のMSCI世界総合株価指数と相関していたのが印象的だ。世界中の国々が、コロナとの戦いに明け暮れたこの約1年、グローバルな景況感の寒暖の差に敏感に反応して動く豪ドル/円の特徴が極めて鮮明に表れていた。

    市場心理が好転する時期に買われやすい豪ドルと、暗転する局面で買われがちな日本円の組み合わせである「豪ドル/円」という通貨ペアは、豪州国内から配信されるローカルなニュースより、地球的規模での景況感の伸縮に強く反応して激しく動く場面がしばしば観測される。戦後最悪のコロナ不況において豪ドル/円が示した超V字回復は、まさにその典型例だったと言えるだろう。

    <メインシナリオは高値安定か>

    円やその他の主要通貨に対する豪ドルの一方的な値上がりが目立っていた間、豪州準備銀行(RBA)は、翌日物政策金利と3年国債利回りの誘導目標を0.25%から0.1%に引き下げたほか、資産購入プログラムによる量的緩和を強化しながら豪ドル高をけん制する口先介入や公文書介入も連発したが、グローバルな株高の追い風を受けて勢いづく豪ドル高を止められなかった。

    そのような認識を踏まえた上で、来月から始まる新年度の豪ドル/円相場を展望すると、端的に言って「株価次第」という分かりやすい構図になる。コロナ不況下における豪ドル/円の先行指標の役割を務めてきた世界総合株価指数の中味をみると、約3分2近くの圧倒的シェアが米国株で占められている。新年度の豪ドル/円の売買戦略を練る上で、鍵を握るのはやはり米国株の動向だ。

    今後に予想される3つのシナリオを考えてみよう。まず米国株が今後も一段と上昇し続け、史上最高値圏にある今のレベルからさらに15%を超えて高値更新の旅を続ける場合、これまでの株価の動きと豪ドル/円の関係から類推すると、豪ドル/円の巡航高度も現在の80円台から90円台にアップしそうだ。

    ただ、近年の豪ドルは昔のように金利が主要7カ国(G7)通貨の金利水準を何倍も上回る「超」のつく高金利通貨ではなくなっている。かつての豪ドルは投資家の高値警戒感を麻痺(まひ)させるほど強烈な高金利の魅力を備えていたが、今はそこまでの高金利通貨ではなくなったので、高値を追いかけてまで買い続ける熱狂的な豪ドルファンはいなくなっている。よほど株価が上がらないと100円台は難しそうだ。ちなみに、筆者はこのシナリオの実現確率は25%程度だと思っている。

    次に米国株が現在の歴史的高値圏での安定飛行で落ち着く場合、豪ドル/円の巡航高度は、現在とあまり変わらぬ80円台での水平飛行になりそうだ。

    良くも悪くも前向きな参加者が多い株式市場では、将来のことを先読みして動く傾向が強いが、昨年3月にダウ平均株価が記録した安値1万8000ドル台から今月つけたこれまでの高値3万2000ドル台に至るまで、同株価は約1年間で既に8割以上も値上がりしている。これからも同じ勢いで上昇すると、来年の今頃には5万9000ドル台を試す計算になる。さすがにスピード違反の疑いが濃厚であり、そろそろブレーキがかかるとみるのが妥当なのではないか。

    今後、新型コロナワクチンの普及とバイデン政権の経済対策の追い風を受け、米国の国内総生産(GDP)や企業業績が順調に伸びてくれば、歴史的な高値圏で足踏みしながら待ってくれている株価に追い付き、株価にらみで値上がりしてきた豪ドル/円も高値で安定するだろう。筆者が想定しているメインシナリオはこのパターンであり、実現確率は65%くらいだと踏んでいる。

    最後に、あまり気乗りはしないが、株安加速のリスクシナリオについても触れておく。今後、米長期金利の上昇に歯止めが掛からなくなったり、せっかく開発したワクチンの効かない新々型コロナの変異株が猛威を振るったりして米国の株価が3割以上の深い調整を余儀なくされた場合、来年度の豪ドル/円は70円台でも下げ止まらず、60円台に逆戻りする可能性もある。

    ただ、その場合でも、米国経済の二番底が一番底より深くならなければ、さすがに50円台まで差し込む可能性は低そうだ。実際、昨年3月に起きたコロナパニックの最悪期でも豪ドル/円は59円台までしか下がらず、60円割れの滞空時間もわずか30秒しかなかった。

    <大幅な経常黒字が「縁の下の力持ち」に>

    過去、豪ドル/円は「ITバブル崩壊」、「対米同時多発テロ」、「リーマン危機」など世界中で株価が値崩れする事件が起きると、60円の節目もあっさり割り込んで55円台まで急落した。しかし、昨年は「戦後最悪」のコロナ不況に撃墜されても、昔ほど派手には下がらず切り返している。当時の豪ドル/円を59円台で踏み留まらせ、その後の超V字回復に誘った「縁の下の力持ち」がいたはずだ。

    そこでオーストラリアの国際収支をみると、近年の経常収支は対外利払いの縮小と貿易黒字の膨張で過去最高の黒字を計上している。巨額の対外利払いと鳴かず飛ばずの貿易収支の組み合わせで恒常的な経常収支赤字国の通貨だった豪ドルのイメージは、今や昔の物語になりつつある。

    そのような国際収支構造の変化を受け、近年の外国為替市場では経常収支黒字を背景に発生している豪ドル買い切りのフローが、株価の急落局面における豪ドル/円の下値を固めるバックストップの役割を果たすようになったと推測される。

    今後、米国株が多少調整しても、よほどひどく暴落しない限り、50円台まで差し込むリスクは小さいだろう。筆者はこのシナリオの確率は最も低いとみており、せいぜい10%程度だと考えている。

    以上が現時点で想定される来年度の豪ドル/円相場の「3択シナリオ」だ。「ウィズ・ワクチン」、「アフター・コロナ」の世界経済正常化を見越して歴史的な高値圏まで一気に駆け上がってきた米国株価の行方が、今後の豪ドル/円の命運を左右することになるだろう。

    もちろん、米国株の予想は簡単ではない。ただ、「株価続伸」なら「押し目買い」、「株価安定」なら「逆張り」、「株価反落」なら「戻り売り」と、シンプルに考えられるのが豪ドル/円の長所である。実際のトレードに臨む際のエントリー(買い)とエグジット(売り)の水準については、各種のテクニカル指標を参考にしつつ、趨勢(すうせい)判断の軸足は「株価の目利き」に据えて動かさない姿勢が大切になるだろう。

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