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私と経済の掲示板

 中小企業経営者の頭を悩ませそうなのが、2016年卒業の大学生から適用される新しい採用スケジュールだ。現在は3年生の12月から企業説明会やエントリーの受け付けなどが始まるが、16年卒からは3カ月遅れの3月以降になる。実質的な採用期間が短くなるため、中小の採用競争が今以上に厳しくなる可能性がある。

 中小は一般に、大手の採用が一段落した後に採用活動を本格化させる。3月に採用活動スタートがずれ込むと、大手が新卒を採り終えるのは9~10月になるとみられる。中小に残された期間は10月から学生が卒業式を迎える3月までの半年程度に短縮される。

 採用スケジュールの変更を主導する経団連からも、一部で「中小企業に悪影響が出る可能性はある」と懸念の声が上がっている。

 事業拡大や新分野進出、技術継承などの観点から、中小の人材獲得意欲は高い。製品開発や販売促進など様々な場面でクラウドやスマートフォン(スマホ)、SNS(交流サイト)などが活用されるようになり、IT(情報技術)対応も経営課題になっている。中小企業庁のIT人材の充足度に関するアンケート調査では、中堅・ベテランが中心の中小企業では7割以上が不足感を訴えた。

 新卒を積極採用したい中小は自らも採用開始時期を前倒ししたり、大学内で開く就職説明会に参加して学生との接点を増やしたりするなどの対策が必要になりそうだ。