ここから本文です
投稿一覧に戻る

私と経済の掲示板


 高精細な映像が特徴の「4Kテレビ」が意外に健闘している。大手メーカーの新製品がそろった今夏商戦。高額なこともあり販売の現場では出足に慎重な見方が多かったが、4Kのシェアは50型以上のテレビ販売額の2割近くに達している。画質にこだわる消費者が先行して購入している。

 千葉県松戸市に住む男性会社員(30)は6月、ソニー製の55型の4Kテレビを発売早々に購入した。価格はソニーの販売サイトで割引クーポンを使って46万円程度。2年前に30万円ほどで購入したソニー製の55型の液晶テレビを買い替えた。AV(音響・映像)機器への関心が強く、「量販店の店頭で画像の良さを確認できた。価格は気にせず迷わず購入した」。

 国内では6月、ソニーや東芝、シャープがそろって4Kテレビの新製品を発売した。ビックカメラ有楽町店(東京・千代田)では8月、ソニー製の55型以上の販売台数のうち約半分を4Kが占めた。ケーズホールディングスでは「想定以上の売れ行き」(遠藤裕之社長)という。

 全国約4千の家電量販店の販売動向を調べているGfKジャパン(東京・中野)によると、7月29日~8月25日の50型以上のテレビに占める4Kの比率は台数で6.7%、金額で18.5%だった。50型以上の販売台数は7月に前年同月比で5割増えており、4Kの販売台数も一定水準に達しているといえる。

 調査会社のBCN(東京・千代田)の調べでは、7月の50型以上のテレビの販売台数のうち4Kが7.5%を占めた。

 ビック有楽町店ではソニーの55型の4Kテレビの店頭価格が45万9800円と、同型の液晶テレビの約2倍。だが「今、20万円以上のテレビの購入を考える顧客は品質を優先する」(売り場担当者)。ビックやケーズでは、画質にこだわって5~7年前にプラズマやリアプロジェクション(背面投射型)のテレビを購入した客の買い替えが多いという。

 2010年春から夏に画像が立体的に見える3D(3次元)テレビが相次いで発売され、次のテレビの主役に期待されながら普及しなかった。夏商戦を控えた販売の現場では「4Kは3Dの二の舞いになるのでは」との冷ややかな目が大半だっただけに、大型テレビで一定のシェアを占めていることは意外感を持って受け止められている。

 BCNの道越一郎エグゼクティブアナリストは「手が届かない価格ではないので、こだわり派の人が買っている。ただ放送など4Kに対応したコンテンツが不足しており、現状は購買層は限られる」とみる。「来年のサッカー・ブラジルW杯で4Kの試験放送が始まる可能性がある。価格も20万円台に下がれば普及が始まる」と指摘する。