ここから本文です
投稿一覧に戻る

ZMPとZMP関連銘柄を語るの掲示板

自動運転、自由に公道実験 特区活用 まず羽田空港周辺
2017/1/23 21:16日本経済新聞 電子版

 政府は国家戦略特区の仕組みを活用し、人が運転に全く関与しない完全自動運転の公道での実験を原則自由にできるようにする。まず今年度内に東京都大田区の羽田空港周辺で始める。申請手続きを簡素にし、人工知能(AI)による遠隔操作を認めるといった規制緩和も検討する。2025年の市場投入をめざす完全自動運転技術の研究開発を後押しする。

 羽田での実験は2月に開く特区の区域会議で、小池百合子東京都知事が提案する。秋田県仙北市や神奈川県藤沢市、愛知県でも実施する方向だ。内閣府と特区自治体が共同で主催する検討委員会に、自動車大手など民間企業も加える。今月上旬に共同研究を発表している日産自動車とDeNAが特区での実験に意欲を示している。

 仙北市などでは自動運転の実証実験に取り組んでいるが、問題が起きた際には担当者が遠隔で操作できるなどの対策を講じている。特区では現在認められていないAIによる遠隔操作も認める方向で検討する。

 羽田の実験は普通車と大型車を対象にする。当面の実験エリアは、京浜急行電鉄の天空橋駅(東京・大田)近くを通る1~2キロメートルの公道。技術が向上すれば空港の第1、第2、国際線ターミナル間も周回できるようにし、実験エリアを広げる。

 当初は公道の封鎖や人による遠隔操作で安全に配慮するが、実験を繰り返しながら過剰な規制を取り払う。

 自動運転車の実現に向けては、道路交通条約の改正などを協議する国連欧州経済委員会(ECE)の作業部会が「遠隔で制御する人がいれば、ドライバーが乗車しなくても自動運転の実験ができる」との見解を示した。政府は特区限定で人が関与しない遠隔操作の実験も認めて、先端技術の研究開発の加速を促す。

 自動運転やドローン(小型無人機)など先端技術の実験は公道や空間を利用するため、法律に定めた許可の取得が必要になる。実験開始までに数カ月かかる例もあり、研究開発の障害になっているとの指摘もある。安倍晋三首相は昨年12月「近未来技術の実証実験がいっそうスムーズに行えるよう、手続きを抜本的に簡素化する」と規制の見直しを指示した。

 政府は20年をめどに、緊急時などにのみドライバーが取って代わる「レベル3」の自動運転車を実用化し、東京五輪で世界にアピールしたい考えだ。人が運転に全くタッチしない「レベル4」の完全自動運転車が国内に登場するのは、25年ごろの見通しだ。公道での迅速な実験を特区内に整備し、無人走行の自動運転技術の開発を促す。