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(株)コシダカホールディングス【2157】の掲示板 2018/07/13〜2019/01/11

フクダ電子・オムロン系、病院と自宅データ連携

患者が計測、医師に送信 地域包括ケアを効率化

2018年9月12日 1:30 [有料会員限定]

フクダ電子とオムロンヘルスケアは10月、患者情報のデータ管理で連携する。フクダ電子が病院向けに提供する検査データの管理システムとオムロンヘルスケアの個人向け健康管理サービスをつなぐ。病院は治療の継続に、患者は健康維持に役立てられる。地域全体で医療や介護を担う「地域包括ケア」の普及に向けて高まる患者データ管理の需要にも対応する。


フクダ電子は主に小規模病院向けに血圧計や心電図検査装置などで測定した検査データと、所見などの付加情報を一元的に管理できるシステム「エフノ」を提供。クラウド管理サービスを通じてデータの自動バックアップやソフトウエアの自動更新も可能だ。18年7月から販売しており、2万件の顧客を持つ。

オムロンヘルスケアは個人が自宅の血圧計や活動量計、体組成計などで測ったデータをスマートフォン(スマホ)に蓄積できるサービス「オムロンコネクト」を展開する。専用アプリのダウンロード数は26万件。

今回のデータ連携の中心は血圧の測定値になる。連携により病院での検査結果と日々の測定値を間断なく、時系列で追えるようになる。病院にとっては患者の状況を正確に把握して効果的な治療に生かせる。患者にとっても自宅での測定状況の報告などの手間を減らして治療を受けられるようになる。

例えば高血圧の患者の場合、高い数値を報告したくないなどの理由で自宅で計測した血圧を医師に実際よりも低く申告することがある。また、現在は自宅で計測した数値を患者が自分で紙に書いて病院に持参する方式が多く、正確性の面で課題があった。

また「計測が面倒」などの理由で高血圧の患者の87%が治療を途中で断念していたという調査もある。計測値を自動で管理できるようになれば数値の誤った申告を減らせる。患者の手間も省けることで、治療の継続にもつながる。

主に50~70代の患者の利用を想定している。スマホの設定は病院で支援する。フクダ電子は今回の連携をテコにエフノの販売台数を増やしたい考え。オムロンヘルスケアはサービス利用者の拡大を通じて自社の計測機器の販売増につなげる。

多様な医療・健康に関するデータを患者ごとにまとめて管理する取り組みは「パーソナル・ヘルス・レコード(PHR)」と呼ばれる。治療効果の向上や、厚生労働省が進める地域包括ケアへの寄与が期待されている。地域包括ケアでは複数の病院や介護施設、薬局、自治体などが1人の患者を担当するため、データを確実にやり取りすることが欠かせないためだ。

矢野経済研究所(東京・中野)によると、PHRの国内市場規模は19年度に18年度比33%増の240億円となる見通し。利用者数も1850万人に増えるとされ、これを商機とにらんだ企業の取り組みが活発だ。

オムロンヘルスケアは9月からコシダカホールディングス傘下の女性向けフィットネスクラブ「カーブス」で、法人向け「オムロンコネクトプロ」の提供を始めた。体組成計の計測データ入力が自動化され、スタッフはトレーニングを指導する際の手間が省ける。利用者はすぐにトレーニングを始められる。

他社との連携の動きも広がる。PHRを手がけるスタートアップのウェルビー(東京・中央、比木武社長)は8月、デジタルガレージと資本業務提携を結んだと発表した。地域包括ケアの普及を念頭に、デジタルガレージが持つブロックチェーンや人工知能(AI)の技術と、ウェルビーのPHRの知見を組み合わせ、新たなサービス開発を狙う。

フクダ電子とオムロンヘルスケアはいずれも血圧計などの測定装置を手がける医療機器メーカーだが、それぞれ医療機関向けと個人向けで中心とする顧客層が異なる。両社の強みを組み合わせ、PHR領域での事業拡大を目指す。

(松冨千紘)