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(株)FRONTEO【2158】の掲示板 2017/02/11〜2017/02/27

続き
【電子カルテ解析なら看護師の負担にならない】

(1)の転倒・転落予測システムは、2015年2月からNTT東日本関東病院と共同で進めているもの(関連記事)。
同システム開発の背景には、高齢者の増加によって「入院中の患者の転倒リスクが高まっている」という医療現場の課題があった。

 この課題に対して病院では、転倒のリスクを避けるために「リスクのアセスメントシートを作成して評価する」
「安全な履物に代える」「睡眠薬の量をコントロールする」といった対応を取った。
これによって、転倒率は15%減少したという。ところが、上記の取り組みは看護師の本来の業務ではないため、
「看護師の負担は増加した」という新たな課題を生んでしまった。

 そこでFRONTEOでは、「電子カルテを解析することで、患者の転倒・転落を予測できないか」と考えた。
電子カルテに記載される看護記録は従来からある業務となるため、このやり方で従来と同等もしくはそれ以上の精度で転倒を予測できれば、看護婦の負担を減らすことが可能となるからだ。


【転倒・転落予測システムの概要】

倒・転落予測システムのアプリケーションは現在β版がリリースされており、「Morse Fall Scale」などの従来の手法と比較して、精度は約50%向上しているとのこと。「精度的にはかなり期待でき、今後実証実験へと進む予定だ」。

(2)の精神疾患の定量的判断を可能にする医療機器の開発は、日本医療研究開発機構(AMED)の採択を受けて進めているプロジェクト。患者の表情や声、会話内容、日常生活活動などのマルチモーダルデータを取得し、機械学習させることで気分障害や認知症などの重症度を客観的に判断する評価法を開発している(関連記事)。

 そもそも、精神疾患領域では「決定的なバイオマーカーが存在しない」という課題にある。
そこでこのプロジェクトでは、医師と患者の間にデバイス(センサー)を置き、このセンサーでマルチモーダルデータを取得。取得したデータをクラウドに送ってデータ解析をすることで、総合的な客観的指標を得ようという仕組みを採用している。言語分野であれば、例えば「問診時のやり取りから、抑うつ気分の傾向が見えてくる」(武田氏)というイメージだ。

  • >>1007

     続き
    【人工知能に負けたくない】

     (3)の症状悪化の早期発見は、障害者の就労支援を事業とするLITALICOと共同で進めているプロジェクト。
    精神疾患を患ったことのある人の就労支援を担うLITALICOのセクションをFRONTEOがサポートし、症状悪化の予兆を事前に感知する仕組みを作っている。

     精神疾患において、症状の悪化を放置することは、悪い結果を招くケースが多い。
    そこでLITALICOでは現在、支援記録をスタッフがチェックすることで、症状悪化の予兆を見つけている。
    しかし、その数は1日あたり数千件もあるほか、予兆を発見するスタッフの力にも個人差がある。
    また、熟練スタッフの知見を若手に伝えていくことも難しい。

    そこでFRONTEOは、支援記録をKIBITでチェックし、予兆があると判断した場合はスタッフに通知するシステムを確立。このシステムはすでに現場でも利用されており、現場からは「早い段階で成果が出た」という声もあると武田氏は語る。

     また、人工知能を社会実装していくなかでは「仕事を取られるのではないか」という不安もあるが、今回のケースでは「人工知能に負けたくない」とスタッフのモチベーションが向上したとのこと。
    さらに、KIBITの判断基準を知見としてスタッフが学ぶことで、「スタッフの能力もアップしている」(武田氏)。

     (4)は、がん個別化医療AIシステム(関連記事)。
    これは、検査結果を基に適切と思われるオプションをKIBITが医師へ提案する「診断支援ユニット」、治療や薬剤に関する患者への説明をKIBITが支援する「インフォームドコンセント支援ユニット」、正確で信頼できる情報をKIBITが抽出することで医師は必要な情報へスムーズにアクセスできる「情報支援ユニット」で構成する。

     システム開発はがん研究会と共同で研究を進めており、最初は適用範囲を絞って主に肺がんと乳がんの領域からスタートするとのこと。その後は「より多くのがんの領域に適応させていく予定だ」とし、講演を終えた。