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コネクトテクノロジーズの掲示板

GMO、北欧でマイニング

北欧の雪原に建つ細長い建物。中では半導体を冷却するファンの音がけたたましく鳴り響く。GMOインターネットが数千台の専用機器を使ってビットコインとビットコインキャッシュをマイニングしている。GMOは北欧2カ国でこのような施設を持ち、1~3月で約5億円の報酬を得た。

マイニングは仮想通貨のシステムが出す暗号を解くため、複雑な計算を処理すること。いち早く解いた参加者がネット上で共有している「ブロックチェーン(分散型台帳)」に仮想通貨の取引データを承認・記録でき、この記録作業の報酬として新規に発行される仮想通貨を受け取る。例えばビットコインでは原則10分ごとに暗号問題が出され、1日約15億円の報酬が支払われる。

「数カ月で機器への投資を回収できる」(業界関係者)といい、GMOは2018年12月期に380億円の投資を計画し、SBIホールディングスやDMM.com(東京・港)も参入した。低金利で収益悪化に苦しむ銀行や証券会社も参入を狙っている。

もともとマイニングは中国で活発だったが、仮想通貨への規制強化で下火になりつつある。代わって機器の冷却に外気を使える北欧やロシア、カナダなどに拠点が移っている。GMOは環境負荷の小さい再生可能エネを使う方針を掲げ、水力や風力、地熱発電の盛んな北欧に拠点を置いている。

仮想通貨が値上がりしたことで、電気代の高い国内でも採算がとれるようになった。地域新電力の熊本電力(熊本市)は7月から太陽光の余剰電力をマイニング施設向けに供給する予定。DMMは2月、国内最大規模の仮想通貨のマイニング施設を金沢市に開業した。北陸は水力発電の比率が高い北陸電力のエリアで、電気料金は全国的にも安い。

モルガン・スタンレーの推計では、18年は世界の総消費電力の0.6%がマイニングに使われる見通しで、アルゼンチンの年間電力消費量に相当する。25年に電気自動車(EV)向けに必要とされる量と匹敵するという。

アイスランドでは家庭の消費量上回る

マイニング施設の増加で電力不足になる恐れがある――。アイスランドの電力会社が2月、このような見通しを出して物議を醸した。アイスランドはほぼ100%の電力が水力と地熱発電でまかなわれている。マイニング業者が冷涼な気候で高速インターネット設備が整備されていることに目をつけ、人口約34万人の島国に大挙して押し寄せた。18年にはマイニング施設の消費電力量が家庭の電力量を上回る見込みだ。

ネット上でやり取りされる仮想通貨がリアルな世界の電力需給に影響を及ぼし始めている。金融の世界だけでなく、電力関連やマイニングに使う半導体といった設備投資の観点でも見逃せない存在になりつつある。(花田幸典)