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多木化学(株)【4025】の掲示板 2018/11/03〜2018/11/29

>>633

その2
 これは、私の祖父の話ですから、戦前のことになります。

祖父は37歳の時にある病気で入院しました。8月の蒸し暑いある晩のことです。夜中に目を覚ますと、同室の患者さんが誰一人ベッドにいないのです。不思議だなと思いながら、祖父はそのまま眠ってしまいました。

翌朝、祖父は同室の患者さんに「夕べ、どこかにお出かけでしたか?」と聞いてみました。しかし、誰一人として、どこかへ出かけたという人はいません。「夢でも見たのかな。」と祖父は思ったそうです。

しかし、何日かして、寝苦しくて偶然目を開けると、またしても、同室のベットは空でした。「おかしいな。」 不思議に思った祖父は、次の日の夜、寝たふりをして、何が起きているのかを確かめようとしました。

ちょうど深夜の12時を過ぎたころです。隣のベットから物音がしました。同室の人は次々の廊下へ出てゆきます。祖父は、そっと後をつけました。廊下を抜け、裏口へ向かっています。どうやら外へ行くようです。

病院の裏は林になっており、その向こうに開けた場所があります。どうやらお墓のようです。墓場には新盆の提灯が下がって、あたりをうっすらと照らし出していました。人々はそこに集まっているようです。

「何をしているんだろう?」 祖父は藪の影から、そっと様子をうかがっていました。 「ズリッ、ズリッ」っと音がします。

また、「ゴリッ、ゴリッ」っと音がします。「ズリッ、ズリッ、・・・・ゴリッ、ゴリッ・・・」 こわくなった祖父は思わずあとずさりました。

その音に気付いたのでしょうか? 人々が一斉に祖父の方を振り向いて 「お ま え ~ みたな!!!」と叫びました。

後で聞くと、当時は 「人骨を食らうと、病気が治る」という迷信がはやっていたのだそうです。「ズリッ、ズリッ、・・・・ゴリッ、ゴリッ・・・」 という音は、新盆で葬られた人の骨を掘り出して、食べている音だったのです。