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小野薬品工業(株)【4528】の掲示板 2018/11/03〜2018/11/22

オプジーボが優位ではないか?


実用化が相次ぐ免疫チェックポイント阻害薬

 これまでがん治療では、手術、放射線、抗がん剤が科学的に根拠がある三大療法として確立していたが、オプジーボの登場により免疫チェックポイント阻害薬が第4の治療としての位置づけを獲得することになった。

 オプジーボの実用化後もこのPD-1とPD-L1の結合を標的とした免疫チェックポイント阻害薬は数多く登場している。

 オプジーボはPD-1に結合することでPD-1とPD-L1の結合を阻止する抗PD-1抗体と呼ばれる抗体医薬品だが、同じ抗PD-1抗体としてキイトルーダ、逆にPD-L1に結合することでPD-1とPD-L1の結合を阻止する抗PD-L1抗体としてバベンチオ、テセントリク、イミフィンジの3種類が日本で発売されている。

 もっともがん専門医の間では、オプジーボも含むこの5種類は効果、副作用の点ではほとんど変わらないとの意見が大勢だ。ただ、各社の戦略や臨床試験の進行の度合いなどの違いで、各薬剤がどのがんで使えるかが違う。

 最も適応範囲が広いのは、オプジーボで悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞がん、胃がん、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫、悪性胸膜中皮腫の7種類、これに次ぐのがキイトルーダの悪性黒色腫、非小細胞肺がん、ホジキンリンパ腫、尿路上皮がんの4種類。

 残るバベンチオはメルケル細胞がん、テセントリク、イミフィンジは非小細胞肺がんのみである。

 このうち肺を覆う胸膜の表面にある中皮からがんが発生する悪性胸膜中皮腫、皮膚で触覚を司るメルケル細胞からがんが発生するメルケル細胞がんは、患者数が極めて少ない「希少がん」と呼ばれる。
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阻害薬によって使える時期は違う

 ただ、これら適応のあるがんでも全ての患者で免疫チェックポイント阻害薬を使えるわけではない。基本的に固形がんと呼ばれる特定の臓器にできるがんや皮膚がんの一種である悪性黒色腫などは、まず手術でがんを切除することが完全に治すための近道である。

 現時点では免疫チェックポイント阻害薬はおおむね、手術、放射線、既存の抗がん剤を使ってもなお再発あるいは他の臓器に転移してしまった場合に使われることがほとんどだ。

 数少ない例外は、オプジーボが悪性黒色腫での手術後に再発予防目的に使うことができるほか、肺がんの約8割を占める非小細胞肺がんでは適応を持つ4製品で微妙に使える段階が異なることは留意が必要である。

 非小細胞肺がんの場合は、病気の進行度合いにより、軽いステージ1からステージ4に分類される。

 極めて大雑把に分類をすると、ステージ1はがんが小さめで、肺のみにとどまっている状態、ステージ2は肺のがんがやや大きめで近くのリンパ節に転移がある、ステージ3は肺のがん以外にやや遠くのリンパ節までがんが転移している、ステージ4はがんの大きさにかかわらず、他の臓器に転移があるものとなる。

 非小細胞肺がんでは、ステージ3の初期までは手術で肺のがんや周辺のリンパ節を取り除き、再発の可能性がある場合は手術後に抗がん剤を投与する。

 ただ、ステージ3で手術後に肺機能が大きく低下してしまう恐れがある場合などは手術は行わない。その場合に患者に一定の体力があるならば、がんの完全な消失を狙って抗がん剤投与と放射線治療を同時に行う化学放射線療法、あるいは放射線のみの治療のみを行う。これらが無理な時は抗がん剤のみの治療となる。

 ステージ4では、もはや完全にがんを無くすことはほぼ不可能で、抗がん剤治療のみで延命を図ることになる。

 現時点で非小細胞肺がんで使える免疫チェックポイント阻害薬4製品のうち、イミフィンジだけがステージ3で化学放射線療法を行った患者での再発予防として使うことができる。

 あとの3製品は全てステージ4のみ。このうちオプジーボとテセントリクは、まずは従来の抗がん剤を投与し、それが無効になった時点で初めて使うことができる。キイトルーダは患者から採取した肺がんの細胞の検査の結果、その中からPD-L1が見つかった場合のみ他の抗がん剤に優先して使えるという具合だ