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小野薬品工業(株)【4528】の掲示板 2016/11/09〜2016/11/10

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kok***** 強く買いたい 2016年11月9日 20:27

野薬品工業 <4528





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> のがん治療薬「オプジーボ」の薬価論争が過熱化している。「オプジーボ」の高額の薬価については、マスコミなどで再三取り上げられているので知っている人も多いだろう。

 薬価問題が医療関連のマスコミ以外で取り上げられるのは異例である。国会でも「オプジーボ」の薬価問題が取り上げられた。10月上旬の参院予算委員会では、「オプジーボ」100ミリグラムがワンボトルで日本では約73万円なのに対して、米国は約30万円、ドイツは約20万円であり、内外価格差の是正をめぐる議論も浮上した。一部のマスコミは、同薬の薬価の来年度引き下げ幅が25%と報じたが、現時点では結論にいたっていないのが実情だ。

 医療制度と同様に薬価は各国で制度が大きく異なる。自由薬価の米国と、日本などの皆保険制度下の公定薬価の国では本来、同じ土俵で議論はできない。各国で製造・販売承認の状況も異なるため、単純な価格だけの議論はあまり意味がない。

 国内で「オプジーボ」はまず、メラノーマ(悪性黒色腫)の治療薬として承認された。その後、非小細胞肺がん(日本の肺がん患者の7割強は非小細胞肺がん)の一部に使用適用が拡大した。

 メラノーマの患者数が相対的に少ないため、当初の薬価は高額だった。従来方式ではがん種への拡大に応じた患者数の増加によって薬価は引き下げられるはずだったが、「オプジーボ」は売り上げ拡大のスピードが速すぎたため、医療関係者の危機意識を一気に高めてしまった。

 ただ、重要な点は「オプジーボ」の成否が日本のバイオ産業の試金石であるということだ。成功者を叩く行為は非資本主義的であり悪平等でもある。さらに、医療産業の芽を摘み個別企業のバイタリティーを削ぐことにもつながるだろう。


■ 「オプジーボ」はバイオ製品の最高傑作

 厚生労働省にとって、医療の皆保険制度を維持することは重要なミッションの一つだ。同時に医薬品産業の育成も重要な役割である。「オプジーボ」など高薬価の医薬品の価格を引き下げることで医療財政を守ろうというのはいかがなものか。

 今回の「オプジーボ」の薬価引き下げ議論は、同薬の市場規模が1兆7000億円という途方もない試算に根ざしている。だが、「オプジーボ」は米国での肺がん治験で化学療法に比べて優位性が確認できないなど、当初の「万能薬」という位置づけではなくなった。「大型化はするが市場規模が限定的」との見方が一般的だ。極端な施策が、日本のバイオ産業に大きなマイナスとなることは避けるべきだろう。

 日本のバイオ研究分野で「オプジーボ」は最大の成果の一つと言ってもいい。開発の立役者である本庶佑(ほんじょ・たすく)京大客員教授は、米情報会社トムソン・ロイターが予想したノーベル賞の有力候補だった。結果的に今年の受賞は逃したが依然、有力な受賞候補者であることに間違いはなく、学術的な評価も高い。

 「オプジーボ」と同様の作用システムを持つ米国メルク社の「キイトルーダ」も販売が間近だ。小野薬品はメルク社を「オプジーボ」の特許侵害で訴訟中。欧州の裁判では小野薬品が負け知らずだ。薬価問題でもめている国内市場とは対照的な状況にある。

 日本のバイオベンチャー企業には本格的な創薬の成功事例がきわめて少ない。現在、評価の高いバイオベンチャーは技術導出や、開発途上で新薬の製造販売権を手放すことでフィーを稼いだ企業である。代表はペプチドリーム <4587> 、そーせいグループ <4565> などだ。

 両社は提携による収入が業績面での支えとなっている。これらの企業は手っ取り早く利益を手にし、ベンチャーでは早期に赤字経営から脱した。しかし、世界の有力なバイオベンチャーと伍した戦いをするには、自ら創薬事業に参入していく以外に方法はない。

 バイオベンチャー育成には、先駆者である「オプジーボ」を叩くばかりでなく、育成する必要もある。「オプジーボ」の成功は日本の開発者や起業家に強いインセンティブとなり、医薬品産業の成長を後押しするのは間違いない。

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
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