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アンジェス(株)【4563】の掲示板 2018/07/14〜2018/07/17

バイオ新薬、開発ラッシュ 米で成功
スタートアップに追い風 「核酸医薬」資金集まる
2018/7/16付
日本経済新聞 朝刊7面

 新しいバイオ医薬品の一種、核酸医薬を手がける創薬スタートアップが開発を加速させている。大型の核酸医薬が米国で登場し、その成功の連想もあり開発資金が集まりやすくなったことが背景にある。長く注目を集めながら低迷していた核酸医薬が本格的に花開こうとしている。

「核酸医薬への注目はかつてないほど高まっている」。リボミック(東京・港)の中村義一社長は強調する。開発を進めてきた核酸医薬「RBM007」の初期の臨床試験(治験)を8月に米国で始める。
 007は加齢黄斑変性という眼科疾患の治療薬だ。加齢黄斑変性は網膜の黄斑という部分に異常な血管ができ出血を繰り返し、黄斑が変性して視力が失われる。
 同疾患の薬の市場は約1兆円。現在の薬はVEGFという体内物質の作用を邪魔して異常な血管の新生を防ぐ。007はFGFという物質に付着して作用を邪魔し、血管新生と黄斑変性の両方を防ぎ既存薬を上回る効果が期待される。マウス試験で効果は確認済みだ。

 SBIグループのSBIバイオテック(東京・港)の米子会社も7月、最終段階の治験を米国で始めた。同社が手がける核酸医薬「QPI―1002」は急性腎不全の治療薬。急性腎不全は心臓手術後に腎臓が急に機能を失うもので手術を受けた患者の3~4割が発症し、うち2~5割が死亡する。対象は世界に数十万人いる計算だ。
 同疾患は手術後に腎臓に一気に血液が流れ込むストレスで、腎細胞のp53という遺伝子が働き細胞が自殺して発症する。1002はその遺伝子を切断し、働かないようにして腎細胞の自殺を防ぐ仕組みだ。3年後の承認申請を視野に入れるSBIバイオテックの入江健社長は「(売上高1千億円超えの)ブロックバスターになる」と期待する。

 2002年に大学発創薬企業として国内で初めて上場したアンジェスも動く。今年2月に腰痛症に対する核酸医薬の初期治験を開始。椎間板で炎症を起こす物質がDNAから転写され出てこないよう、転写を邪魔する核酸医薬を投与する。「米国だけで少なくとも300億円の市場が狙える」と山田英社長は語る。
 核酸医薬の治験が相次ぐ背景には、米国での大型新薬の成功例がある。16年に承認された米バイオジェンの神経難病治療薬「スピンラザ」は17年に8.8億ドル(約980億円)を売り上げ、20億ドル到達も近いとされる。
 寝たきりの幼児が立てるようになるなど劇的な効果があり「核酸医薬はいまひとつという印象が吹き飛んだ」(リボミックの中村氏)。これを追い風に各社の資金調達環境も好転した。
 
 アンジェスは17年に80億円、リボミックは今年に20億円の増資に成功した。SBIバイオテックの米子会社も米国での上場を準備する。米国では承認申請中の核酸医薬が複数ある。日米とも活況がしばらく続きそうだ。