NANO MRNA(株)【4571】の掲示板 2017/03/19〜2017/03/27
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>>150
生物統計の原則に遡りわかりやすく解説して頂きありがとうございます。
貴殿のご意見に対して異論はございません。これ以上,素人のわたしめが何か付け加えることは「釈迦に説法」もしくは「蛇足」になってしまいますが,「Genexol-PMがいまひとつ脚光を浴びないわけ」と関連して思うところを述べたいと思います。
近時多くの癌治療薬のp3においてプライマリーエンドポイントが生存期間となっているのに対し,Genexol-PM乳がんp3のプライマリーエンドポイントが生存期間ではなく奏効率である点については確かにやや奇異な感じも致しますが,Genexol-PM乳がんp3が開始されたのは2008年です。時代的背景によるものではないでしょうか。最近では全くと言っていいほどみかけませんが,数年前までは奏効率をp3のプライマリーに据える試験もチラホラ見かけた記憶があります。もちろん,その当時許容されたデザインで行った試験の結果が(新たな競合が数多出現する中で)今現在臨床現場で受け入れられるエビデンスとなり得るかはまた別次元の問題です。このあたりに「Genexol-PMがいまひとつ脚光を浴びないわけ」があるのかもしれません。
また,非劣性検証と優位性検証を一つの試験で行うのはよろしくないという点もそのとおりと思います。実際,わたしめも2-3年位前には非劣性検証と優位性検証を一つの試験で行うことなど許されないだろうと思っておりました。ただ,NK105p3についてのあれこれをこの掲示板の方々からヒントを頂きながら考える中で,非劣性証明を当初の目的とした試験で,非劣性が証明された後,優越性の検証を行う試験も最近では多くなってきたことを学びました。
ttp://www.gi-cancer.net/gi/study/04/page1.html
もちろん,これについても検証が許されるかという問題と,その結果得られた優越性エビデンスが臨床現場で受け入れられるかは別次元の問題です。このあたりにも「Genexol-PMがいまひとつ脚光を浴びないわけ」があるのかもしれません。 -
>>150
辛口karaさん
専門的な意見ありがとうございます。
なかなかナノに追い風になる情報が
届かないので、
こういう意見は、助かります。
6201、4016、
または新しいパイプラインが
表に現れると雰囲気変わるんでしょうね。
6300の超音波は、
医師主導って漏れてるんでしたっけ
機器の治験に相当するだろうし、
6300は、ナノの特許ですよね
治療薬としては、ナノからの販売でしょう
超音波対応できるミセルとして
片岡教授から紹介されたと
シンポジウムで聞いた記憶があります。
まだハイブリッドもありますし
興和は戦略的にナノに無償でデータ提供したと
思うなぁ
ま、色々な意見はあるよね
「敵は川崎にあり~」
そーせいは、どうなるか楽しみ~
辛口のKaraちゃん 2017年3月20日 03:40
>>112
横レスで失礼いたします。論文拝見いたしました。cliさんとotgさんで解釈の相違があるようですが。。。
このPhase IIIは、Genoxol-PMとGenoxol (conventional paclitaxel)を比較したものです。著者はprimary endpointをORRと設定したようです。わたしはがんが専門ではありませんが、これは固形がん腫瘍マスに対する効果(CR=complete response 腫瘍消失、PR=partial response 腫瘍マスの50%以上の縮小?)を効果ありとし有効率を算出していると思われます。その結果は、確かにcliさんのおっしゃる通り、非劣性かつ優越性が検証されたと結論しています。
ただし、これがPhase IIIであるならば、通常は生存期間あるいは奏効期間(腫瘍が消失してから再発が確認されるまでの期間)をprimary endpointとして評価するのが学会では正しいやり方のようで、著者らはそれらについても検証はしてはおりますが、結果はotgさんの解釈のとおり両群間で差がなかったと報告しています。おそらくがん治療の専門家あるいはASCO、FDAのリビューワーが読めば、効果は認めないと判断すると思います。
がんは縮小した、安全性にも問題ない、でも患者の延命には寄与していない。。。どういう事なんでしょうね。層別解析ではconventional paclitaxelで治療した患者さんの方が長生きしているところもあるという結果でもあります????
それから、非劣性検証と優位性検証を一つの試験で行うのは、臨床統計学的(数学的)には誤った手法です。どのような統計処理を主たる検定手法とするのかは、Phase IIIでは試験前にSAP (臨床統計解析計画)に明確に設定しておいて、有意水準とともに定めておくべきです。優越をであるなら劣性であるわけないですよね。まあ、非劣性試験をやったらものすごくよくて有意差まで付いちゃったという事かもしれませんが、その時でも優位性を主張してはいけません。それが数学的思考だと思います。Phase IIIではゴールポストを動かしてはいけません。
いずれにしても興味深い論文の紹介ありがとうございました。