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富士フイルムホールディングス(株)【4901】の掲示板 2018/09/28〜2019/04/05

T―817MA、リハビリ効果を高める薬として、来春にも治験開始! (1)


日経産業新聞(2018/12/12)より

富士フイルムHD、リハビリ効果、薬で高める、アルツハイマー薬候補活用、神経伝達を活性化


富士フイルムホールディングス(HD)は脳卒中によるマヒのリハビリテーション効果を高める薬の開発に乗り出す。
アルツハイマー病治療薬として開発中の化合物を使う。
神経伝達を活性化する働きがあるとみられ、動物実験で運動機能の回復を促す効果を確認した。
2019年初めに国内で臨床試験(治験)を始め、22年ごろの承認申請を目指す。

傘下の富士フイルム富山化学が創製した「エドネルピク・マレアート」をリハビリ向けに開発する。
脳卒中は血管が詰まることでブドウ糖や酸素が届かずに脳細胞が死ぬ「脳梗塞」や、血管が破れる「頭蓋内出血」がある。
国内で年間30万人ほどが発症するとされ、日本人の死因の1割弱を占める。
死に至らなくても手足にマヒが生じたり、うまく話せなくなったりすることが多い。
 
脳卒中の治療は発症直後~およそ1カ月以内の「急性期」にカテーテル手術や薬物治療を施した後、運動機能を回復させるためにリハビリを実施する。
リハビリで外部から刺激を与えると、脳の神経細胞で神経伝達物質を受け取る「AMPA受容体」が増加。
脳内の情報処理がスムーズになり、傷ついた機能を補うと考えられる。
ただこれまでリハビリ効果を高める薬はほとんどなかった。

エドネルピク・マレアートはAMPA受容体の活性化を促す働きがあるとみられる。
横浜市立大学の高橋琢哉教授らとの共同研究で実施した動物実験で、リハビリによる運動機能の回復効果が改善することがわかった。
 
脳の一部を損傷させたマウスに対し、エドネルピク・マレアートを投与しながら隙間から前脚を伸ばしてエサを取る課題を与えたところ、損傷から約50日で損傷前と同様に動けるようになった。
エドネルピク・マレアートを投与してリハビリをしなかったマウスや、水を飲ませたマウスでは効果を確認できなかった。

細かい動作を評価するため、人間のように指で物をつまめるカニクイザルでも実験した。
脳出血後にエドネルピク・マレアートを投与し、指1本程度が入る隙間がある筒からエサを落とさずに取り出す訓練を実施したところ、約35日で出血前水準に回復した。

  • >>436

    T―817MA、リハビリ効果を高める薬として、来春にも治験開始! (2)


    日経産業新聞(2018/12/12)より

     
    リハビリは発症から時間がたつと効果が得にくくなる。
    治験は急性期後の「回復期」の患者を対象とする。
    国内で良好な結果が得られれば海外展開も検討する。

    エドネルピク・マレアートは「T―817MA」の開発名でアルツハイマー病治療薬としても実用化を狙っており、こちらの開発も加速する。
    2019年春には欧州でアルツハイマー病の発症を遅らせる薬の臨床試験(治験)を始める。
    原因たんぱく質「タウ」の減少を狙い、23年ごろの承認申請を目指す。
     
    アルツハイマー病は原因物質が脳にたまって神経細胞が死ぬ病気で、認知機能が低下してアルツハイマー病と診断される前に「軽度認知障害(MCI)」と呼ばれる段階がある。
    今回の治験はこの患者を対象にする。
    T―817MAは別の原因物質「アミロイドベータ」を減らす可能性があることも動物実験で分かった。
    脳内の免疫細胞が原因物質を食べているとみられ、ヒト由来のiPS細胞を使った実験でも同様の効果がみられた。
     
    T―817MAはアルツハイマー病治療薬として治験を始め、米国で中間段階の第2相治験まで進んだが主要な評価項目を達成できなかった。
    ただタウが減ったことと、発症から2~3年の患者では認知機能の低下抑制を示したことから、発症を遅らせるのに有効と判断した。

    エドネルピク・マレアートは他の脳神経が関連する病気にも効果をもたらす可能性があるという。
    アルツハイマー病やパーキンソン病など神経系の病気は有効な治療法が確立されていない、アンメット・メディカル・ニーズ(まだ満たされていない患者ニーズ)が高い領域だ。
    富士フイルムHDは研究成果をみながら他の疾患への適用も検討していく。

    医薬品の研究開発を強化する(神奈川県開成町の先進研究所)