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(株)資生堂【4911】の掲示板 2018/07/07〜2018/07/31

日経コンピューターに面白い記事が出ている。以下の日経電子版から。
資生堂の戦略の一端が見える。

>>2018/7/19 6:30
日本経済新聞 電子版

 インスタ映えは女子高生にお任せ 資生堂が貫く流儀
    資生堂 520億円デジタル投資の正体

 資生堂の顧客接点拡大は、1つの新規開発部隊から生まれているわけではない。あらゆるモノがネットにつながるIoTで個人に最適なスキンケアを施せる「オプチューン」と、20代をターゲットにしたスキンケアブランド「レシピスト」は国内をターゲットにした資生堂ジャパンの事業だが、資生堂本体から産声を上げたプロジェクトもある。女子高生をプロジェクトの中心に据えた「POSME(ポスメ)」だ。
東京・渋谷にある「ポスメ ラボ シブヤ」。センター街入口近くのドラッグストア3階にあるラボに一歩足を踏み入れると、まばゆいばかりのピンク色が目に飛び込んでくる。入ってくるのは制服姿の高校生だ。何も知らずに訪れると資生堂が運営する場所だとは思わないはずだ。
 そこに唯一の男性社員として出入りするのが、資生堂 POSME事業総合プロデューサーの山崎賢氏だ。山崎氏は資生堂の本社がある東京・汐留ではなく、週4日は渋谷に「出勤」する。「新しい世代をターゲットにするのにオフィスで待っていては駄目。(オフィス街の)汐留に高校生はいないので」と笑う。

 ポスメは2018年1月に資生堂が打ち出した事業だ。商品ブランドではなく、共創事業としてのブランド名だ。現在は目元や唇に使えるカラーアイテムの「プレイカラーチップ」のみを展開するが、今後は飲食やアパレルといった化粧品以外のブランド戦略も視野に入れる。
高校生との「コラボ商品」と銘打った商品やプロジェクトは世の中にあふれている。資生堂のポスメがそうした事業と一線を画すのは、関わる高校生の自主性にある。運営主体は高校生。山崎氏は「資生堂はあくまでサポーター」と説明する。東京の高校生メンバーは約20人。組織体制は商品企画、コミュニケーション企画の2チームから成る。毎週土曜日に全員がミーティングのために集まる。所要時間は4時間にも及び、商品企画からイベントのコンテンツや導線設計まで議論する。
■SNSの発信も任せる
 埼玉県から通う高校生の赤峰沙枝さんは、「1から考えるのは大変だけど、やりがいを感じる。ポスメのことを考えていない時間はない」と話す。同じく高校生の橋口栞奈さんは「ドラッグストアを見る視点が180度変わった」と笑う。ポスメの事業に生かせる「種」がないか常に探しているという。
高校生を事業の中心に据えるのは、企業のメッセージが簡単に消費者に届かなくなっている状況と無縁ではない。高校生が自分たちの視点で作り上げ、心から商品やサービスを支持しない限り、その世代には届かない。そう考えた末の決断だ。山崎氏はプロジェクトメンバーがやりたいようにやれなければ、短期的には成功したとしても中長期的に続かないと話す。
 SNSの「インスタグラム」での発信も高校生が担う。基本的に山崎氏はテキストや写真のチェックはしない。18年4月には、資生堂のメーキャップアーティストが協力し、体育祭メークのイベントを開催した。メーク終了後はチームで体操着を着用し、写真に収まりインスタグラムに投稿。通常の授業ではメーク禁止だが体育祭はメークしてよいとの不文律があるという。まさに女子高生しか知り得ない情報から生まれたイベントだ。「5~6月は体育祭の季節。体操着は指定があるので変化がつけられない。残るのはココだけ」と赤峰さんは顔を指しながら話す。
ただし、高校生をしても「発信は難しい」。18年1月から始めたインスタグラムのフォロワー数は6月時点で1000人にも満たない。それでも山崎氏は高校生に可能性を感じているという。「商品やサービスは語り部とセットで世に出ていくのが必須条件。グローバルに見ても日本の女子高生は文化的な発信者として最適だ」と話す。
■女子高生がトレンドの発信源
 歴史を振り返ればゲームセンターで写真シールを作る「プリント倶楽部(プリクラ)」から、顔写真を加工するスマホアプリ「SNOW(スノー)」まで、女子高生がトレンドの発信源となったサービスは少なくない。
 赤峰さんは言う。「自分がやりたいことを実現するためにこの事業に参加しているのではない。たくさんの高校生たちがほしいと思っている気持ちをすくい上げ、その代表として実現していきたいだけ。そして日本の女子高生文化を世界に発信したい」。
 きれいごとに聞こえるかもしれない。それでも高校生が考えるポスメ事業が、資生堂の目指す姿と重なるのは偶然ではないだろう。企業が消費者に価値を「押し売り」する時代は終わった。ポスメ事業は資生堂の未来を占う試金石だ。
(日経コンピュータ 染原睦美)