ここから本文です
Yahoo!ファイナンス
投稿一覧に戻る

タカラバイオ(株)【4974】の掲示板 2017/05/31〜2017/08/31

安心して旅立つ人たち

 現代は核家族化が進み、未婚や死別による独居家庭も増えている。たくさんの人が最期の迎え方として希望されるのが、テレビドラマのように家族親戚、友人たちに手を握られ、互いに感謝の言葉を伝え、コクッと静かに頭を垂れて旅立つという形だが、現在ではこれは非常に難しい。

 独居の方なら、もともとひとりで死ぬという覚悟がある方も少なくないだろう。しかし、たとえ家族が一緒にいてくれる場合でも、24時間体制で付き添ってくれていた妻がトイレに行っている間に夫が息を引き取ることもあるし、隣で寝ていた夫が朝になったら冷たくなっていたということも、元気にしていた赤ちゃんが突然静かになって気が付いたら死んでいたということもある。誰かと一緒に死ぬということは不可能であり、最期は一人で旅立つことになると考えておいた方がよさそうである。

 同時に、愛する人の最期に必ず立ち会えるという保証は誰にもできない。したがって、「たった一人で死なせてしまった」と後悔したり、親戚などから責められたりする必要はないのである。

 ただ、全く誰とも縁がないとか、自分が生きた証しを残すこともできない「天涯孤独の最期」は、生きているうちの努力である程度回避できる。つまり、誰かと関わり、縁をつなぐ生き方をすること。もちろん単に出会いの数を増やすということではなく、たとえ1人でも2人でも、相手のことを深く考え大切にする気持ちを持って関われば、その人の心の内に自分の存在が記憶されていく。

 そうした努力をしようと思ってもなかなか人と交わることが難しいと言う人はやはり、寂しいのかと言うと、そうでもないようだ。私がこれまで看取りをさせていただいたケースから見ると、「亡くなった方との再会」「お迎え」「先祖の存在」によって、安心して旅立つ人が少なくないからである。

 もちろん実際に「お迎え」があるかどうかは私にはわからない。しかし「お迎え現象」というご本人が「見た」「聞いた」と感じられたお話はしばしば耳にしている。「お迎え現象」の中には、せん妄などの意識障害や認知力の低下などが影響している場合もあるかもしれないことはあらかじめお伝えしておく。