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(株)朝日ラバー【5162】の掲示板 2017/04/19〜2017/11/14

ローソン、無人レジ実証実験――会計時間短く、来客も増加、割高なICタグ課題に(ITこう使う)

ローソンがICタグを使った無人レジの導入に挑んでいる。コンビニエンスストアの商品の会計や袋詰めを自動化する。2月の実証実験では会計時間の短縮や来店客の増加といった効果を確認した。今秋以降に10店程度で運用を始める。人手不足感が強まるなか、業務の効率化につなげる狙いだが、ICタグの取り扱いなど解決すべき課題も残る。
 大阪府守口市にある「ローソンパナソニック前店」。同店が今年2月、パナソニックと組んで実施した無人レジ「レジロボ」の実証実験の舞台となった。
 在庫を含む延べ7万点の商品の一つ一つに、縦約2センチ・横7センチメートルの薄いICタグを貼り付けておく。来店客が商品の入ったカゴをレジに置くと、電波を当てて商品の情報を読み取る。表示された合計金額にあわせてレジに現金を投入するなどして会計を終えると、商品の袋詰めまでを自動で済ませる。
 「店員の仕事量を約1割減らし、来店客も会計時間を短縮できる」(竹増貞信社長)と想定した実験の結果はどうだったか。会計にかかる時間はクレジットカードや電子マネーを使う場合で通常40秒前後だが、レジロボでは23秒ほどに短くできた。レジロボを利用した来店客は全体の約25%。物珍しさが受け、子供連れが利用する場面も目立ったという。来店客も通常より25%程度増えた。
 ローソンは2017年度下期に10店程度でレジロボの導入を予定している。実験結果を踏まえ、本格導入に向けた検証を進めている。一方、課題も浮き彫りになった。まず、ICタグを商品にどう貼り付けるかという問題がある。
 実験では店舗の駐車場に仮設の作業場を置き、人手で7万点の商品すべてに付けた。商品が配送されるたびに付けるのは現実的でない。食品メーカーや包材メーカーと組み、大量に効率よく付ける仕組みが求められる。電子レンジで温める前提の弁当のほか、おでんや空揚げなどには向かないという難点がある。
 ICタグの価格もまだ割高だ。1枚10円前後とされる。ICタグは商品に付いたまま持ち出されるため、単純計算すると現状では1つの商品につき10円前後の経費が上乗せされる。1個100円台のおにぎりや、数十円の駄菓子はとても採算が合わない。コンビニで活用するには1円程度が望ましいとの声が多い。
 こうした課題の解決に向けて経済産業省も動きだした。4月にローソンのほかセブン―イレブン・ジャパンなどコンビニ大手5社と組み、「25年までにすべての取扱商品で電子(IC)タグを利用できるようにする」と発表した。
 推計で年間1000億枚のICタグを使うことによって価格を引き下げ、無人レジを普及させる。コンビニだけでなく機器メーカーや印刷会社とも連携し、18年をメドに地域を限って店舗で実験を始める。
 ICタグの利点は無人レジの導入に限らない。工場から倉庫、店舗に至るまでの商品の状態を正確に把握できれば、品切れしそうな商品をあらかじめ注文して売り逃しを防ぐことも可能だ。ローソンの竹増社長は「商品の管理やレジでの精算、物流などのサプライチェーンの精度を高められる」と話す。
 ICタグの活用は、人手不足感が強まるコンビニ業界で、店舗運営を効率化する切り札として期待される。いち早く実験に乗りだした同社の取り組みは、ICタグを導入するうえでの試金石となりそうだ。