ここから本文です
Yahoo!ファイナンス
投稿一覧に戻る

(株)技研製作所【6289】の掲示板 2017/08/25〜2018/09/14

世界が注目 輝く地方企業(3)技研製作所(高知) 静かなくい打ち 高収益 工場も値下げも「なし」
技研製作所は堤防や護岸などの工事で使われる大型の「くい」を打ち込む機械が主力だ。くい打ち工事に付き物の激しい振動や騒音をなくし、国内外の建設業者を驚かせた。自前の量産工場を持たないファブレス経営など独特の経営手法で、2017年8月期まで5期連続で増収増益を達成、純利益は16倍になった。

画像の拡大
列車の運行に影響を与えず、無騒音・無振動でくいを打ち込む(北九州市)

画像の拡大
高知市内にある技研の本社には、静かなくい打ち機の技術を知ろうと国内外から毎日のように人が訪れる。見学のメインは最新の大型実験装置。技研の技術を使った模型の堤防に大量の水を流すが、びくともしない。

 通常の工法では、くいを埋める際に上部からたたいたり振動させたりするため騒音や振動が発生する。ところが技研のくい打ち機では、くいは静かに押し込まれる。

 隣に打ち込んだ別のくいが抜かれまいとする力を利用し、油圧で隣のくいを地面に押し込む「圧入」という原理を利用する。泥にはまった足を引き抜こうとすると、もう片方の足がズブズブとはまるのに似た理屈だ。

 実はくい打ち機の発明は約40年前。その機械を生かす工法を編み出し、進化を続けたことが急成長につながった。

 技研の工法では地盤の奥深くまでくいを差し込んで連続壁を作り、防潮堤などの強度を高める。東日本大震災の後、国の堤防改良工事に採用されて注目された。工法の普及に応じて、くい打ち機の売上高が伸びた。

 北村精男社長には「量産品ではトヨタ自動車や三菱重工業には追いつけない。新しいものをつくる」という強いこだわりがある。地元の高知は水害が多く、住民の負担が少ない防災関連工事には需要があると考えた。

 工場を持たずに機械の製造を他社に委託するファブレス経営を貫くのは、製品開発に経営資源を集中するためだ。製品に自信があるから値下げはしない。新機種はもちろん「旧機種でも例がない」(藤崎義久執行役員)。その成果は高い売上高営業利益率(17年8月期で20%)に表れている。

 今後、力を入れるのが海外市場の開拓だ。技研は時期を明らかにしていないが、海外売上高を現在の1割から7割に引き上げる目標を掲げる。昨年は初の海外企業のM&A(合併・買収)を実施し、オーストラリアの鋼材商社を子会社化した。

 6日に発表した17年9月~18年5月期の連結純利益は前年同期比20%減の22億円だった。機械の一部の納入が遅れたためで通期の業績見通しは据え置いた。

 決算直後に株価が下げる場面もあったが、市場関係者の中長期的な成長期待は揺らいでいない。住宅密集地や夜間でも工事がしやすく「国内は都市部の需要を取り込み成長が続く」(いちよし経済研究所の高辻成彦アナリスト)との見方が優勢だ。あとは海外事業の進捗が株価を引き上げる条件となる。

(太田明広)