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(株)高岳製作所【6621】の掲示板

お金の供給量を増やしインフレ期待を持たせるリフレ政策は短期的に株や土地などの資産価格を押し上げますが、それは一時的なもので、実体経済を良くするものではないと、私は主張してきました。アベノミクスは円安とデフレ脱却の呪文で、日本経済は成長しない、株価は上がらないという「総悲観」のマインドを打破し、2013年の株価は大幅上昇した。だがそれは、本格的な実体経済回復によるものではありません。

 モノやサービスへの需要が高まり、その結果として価格が上がる循環が生まれなければ、株価の上昇、企業業績の回復は「一度限りのボーナス」でしかありません。上がる流れに乗ろうと株式市場に殺到した投資家の動きは一巡し、企業業績の急回復は円安による「帳簿の書き換え」にすぎず、一時的です。安倍晋三政権成立直後、総悲観を脱した高揚感から昨年1〜3月のGDP(国内総生産)伸び率は急回復し、4〜6月は異次元の金融緩和と大規模な財政出動でかさ上げされましたが、10〜12月には息切れ。14年は金融政策と財政政策で無理やり景気刺激をした反動とコストが問題となってきています。

 最も大きいのは円安によるマイナスです。エネルギーなどの輸入価格上昇でコスト高によるインフレが進行する。一方、賃金は大企業の正規雇用や大都市圏のパート、人手不足の建設・土木を除けばほとんど上がらないので、生活は苦しくなります。致命的なのは、貿易赤字が所得収支の黒字額を上回り、経常収支赤字が常態化することです。財政赤字とあわせて双子の赤字となれば、世界的な常識は通貨売り、国債売りとなって、日本売りとなるのが普通。円安・債券安・株安のトリプル安です。リフレ政策がよくないのは自国通貨をあえて安くし、そのトリプル安を早めてしまうことです。追加金融緩和は問題外、これ以上円安にしないために緩和の縮小に向かうべきです。そうしなければトリプル安のリスクが徐々に高まっていくでしょう。
O氏



2月に平鋼専業メーカーの大三製鋼(東京)が事業撤退を表明。さらに北海道と埼玉の電炉メーカーが工場の操業停止を明らかにしました。これらの中堅電炉メーカーは鉄スクラップを電気炉で溶かし、建設鋼材を生産。足元で公共事業が増加し、今後東京五輪関連需要が見込まれるとはいえ、国内市場縮小で赤字が続き、製造コストの約3割を占める電気料金の値上がりがとどめを刺しました。

 また、年商10億円クラスの地場中堅スーパーマーケットの倒産が2月、2カ月連続で増加しました。円安による原材料費値上がりで仕入れ価格が上昇する一方、大手に対抗して値下げ販売をせざるを得なくなり採算が悪化。消費増税前の駆け込み需要はここではほとんどありませんでした。

 中小企業の最新業績を見るため3万4462社(資本金1億円未満)の2013年9月期決算データを分析しました。全体の売上高は前年同期比2・3%増。積極的な公共事業と住宅の駆け込み需要で追い風が吹いた不動産業(7・8%増)と建設業(5・4%増)が押し上げています。利益面ではサービス業、製造業、卸売業、小売業、運輸業、情報通信業で前年より赤字企業が増加。デフレ脱却といわれていますが、中小企業は低価格競争のなかにいます。

 4月以降、需要の反動減が企業規模や業種を問わず押し寄せると予想されます。中小企業は消費増税分の価格転嫁も難しい。駆け込み需要が乏しい状態での反動減という荒波は、中小企業の体力を直撃する。全国倒産件数は16カ月間連続で前年同月比減少が続いていますが、その実態は、貸し出し条件の緩和などの中小企業経営の下支え政策が倒産の表面化を抑えているにすぎない。需要の反動減が長引けば、夏場から中小企業の倒産は増勢に向かいます。

 アベノミクス効果が中小企業へ、という時期に消費増税で、効果が来ないまま道半ばで終わる可能性があると思われます。
T氏

 今後、アベノミクスが成功するかどうかは、経営者が賃上げを継続できる状況を自らつくれるかどうかにかかっていると思います。

 国も企業も、これまでトップの強い意志による「攻め」の戦略を忘れ、いわゆるデフレの悪循環が国全体を貧困化させてきました。多くのメーカーは、製品に付加価値を付けても価格を下げないと売れないという現場の声を重視するボトムアップ型の経営を続け、そのしわ寄せをサプライヤー(協力企業)に押しつけてきました。「攻め」の戦略でやるべきことは、製品価値を高め、相応の値上げをして収益を出し、これを原資にして社会、株主、社員、協力企業などのステークホルダーにバランスよく還元することです。この「攻め」の姿勢こそが前向きな知恵と汗を結集させてくれます。

 異次元の金融緩和と財政出動で、これまでの守りのマインドがかなり変わり始めました。金融緩和により円安が進み、多くの大企業の連結ベースの決算は改善しました。安倍晋三政権は総裁任期の3年続く可能性が高く、ここで攻めに転じないともうチャンスはないと考えはじめる大企業が多くなってきました。

 1年たってデフレマインドが少し解消に向かい、企業が賃上げできるところまできた。今後、個人消費が加速し、経済の好循環につながるとみています。だが、デフレ脱却は簡単ではありません。消費増税もあり、今年だけでなく、来年以降も賃金を上げていかなければならない。それを可能にするには、日本の最も大きな課題である企業内の新陳代謝と業界再編、そして新分野の起業を進めねばならない。自社の弱いところを整理し、強いところへ経営資源をシフトする。それができるのはアベノミクスで業績がよくなり、雇用の受け皿が広がりそうな今しかない。それをくぐり抜ければ、企業は強くなれます。私は必ず日本は復活できると信じています。
S氏