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シライ電子工業(株)【6658】の掲示板 2018/01/16〜2018/02/09

電子機器内部などで自由に曲げて使用するフレキシブルプリント基板(FPC)は、一般的に熱伝導性を高めるのが困難とされる。シライ電子工業は、高い熱伝導性を持つFPC「Kon―jak(コンジャック)」を開発した。丸く曲げた形状のままで、速暖や放熱などの機能を実現できるのが特徴だ。特に、市場の拡大が期待される車載センサー向けにも導入され、2018年度の量産化を目指している。

熱伝導率は1メートルケルビン当たり3ワットで、通常のFPCの約10倍にもなる。20度C程度の室温で、わずか1秒で80度Cにまで暖めることが可能だ。熱伝導性を高めるためには、金属粒子のフィラーを素材に混ぜ合わせる必要がある。だがそうすると素材が硬くなり、曲げると割れが生じてしまう。そのため、商品・市場開発部の岡田浩一部長は、「金属粒子を使わずに(熱伝導性を)実現し曲げられるようにした」と話す。

同社の主力事業は、硬い材質でつくられるリジッド基板。家電や車載など幅広い分野で採用され、成長を続けている。11年ごろに、耐熱性が高い透明ポリエチレンテレフタレート(PET)基板「SPETシリーズ」を開発して、FPCにも参入。そのSPETの技術と、自動車の電子制御ユニット(ECU)用の高熱伝導リジッド基板の技術を融合した形だ。

初めて展示会に出したのは17年1月。当初は発光ダイオード(LED)照明の放熱性対策用途を中心に想定していたが、ふたを開けてみると、速暖用途のニーズの方が多いことが分かった。豪雪地域での信号機の積雪対策やトイレの暖房便座など、期待される分野は幅広い。ただ、当面は車載センサー向けの展開に照準を定めている。

プリント基板は、電子機器を支える縁の下の力持ち。だが、技術の変化が少ない業界でもある。FPCにしても、意外にも熱伝導性に着目した製品はこれまで少なかったという。ニッチな市場から、存在感を発揮させる考えだ。

日刊工業新聞より