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■米国がリセッションに陥れば、日銀は手がない

 イエレン議長は8月末のジャクソンホールの講演でも、今回の利上げ局面では累積の利上げ幅はあまり大きくならないだろうと話しており、次のリセッションに備えて、利下げ余地を大きくしておくということについては、諦めた感じがある。講演では、次のリセッションが来ても、ゼロ金利政策が長く続くというフォワードガイダンスと併せてQE4(量的緩和の第4弾)をやれば、対応可能という見方を示した。

 米国は急激なドル高にならないように、慎重に動くので、次のリセッションはすぐに来るというわけではない。だが、米国がリセッションに入った場合には、通貨切り下げ競争の再燃になるため、日本銀行は厳しい立場に置かれる。日銀はすでに金融緩和全開状態で、なおかつ、追加緩和の手段はないのかとヘッジファンドなど市場のプレーヤーから催促される状態になっている。米国がQE4を実施するような局面になると本当に手がない。

 黒田日銀は「物価目標2%達成のために必要な場合は躊躇なく追加緩和を実施する」と気合いを示すことでインフレ期待を高めるという方法をとってきた。そのため、金融政策決定会合のたびに、市場では「じゃ、緩和策を出せよ」という雰囲気が高まってしまう。今年7月までの市場と日銀の間で繰り広げられてきたこうしたゲームによって、日銀は行き詰まってしまった。いったんこのゲームから離脱しなければならない。

 このような状況になっているのは日本だけだ。例えば欧州でもECB(欧州中央銀行)の見通しによれば、2018年でもインフレ率2%の達成はできないが、だからと言って市場が理事会のたびに催促しているわけでもない。

今動いても勝算はない
 黒田総裁も8月末のジャクソンホールの講演では、日本の場合はインフレ期待がアンカー(固定化)されておらず、適合型になっているので、原油価格が下がっているとどうしても低くなりがちだと説明している。また、7月の展望レポート(「経済・物価情勢の展望」)では公共料金や家賃が日本では上昇しづらく、インフレ率が上がりにくいという説明もしている。

 9月20~21日の金融政策決定会合における「総括的検証」では、2%の物価目標自体は揺るがないものの、事実上のインフレ目標の中期化を図るのではないか。

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