ここから本文です
Yahoo!ファイナンス
投稿一覧に戻る

トヨタ自動車(株)【7203】の掲示板 2017/12/08〜2017/12/19

トヨタの公式な”がEVをいつでも作れる”はソースないね。

EVについては日本のメーカーには最先端の技術があるので心配はいらない。世界で最大販売数を持つモーター駆動四輪車は何か? それはもうけた違いにプリウスの圧勝である。プリウスはストロング型ハイブリッドである。つまりモーターのみで走れるEV走行モードがある。エンジンと併用したとしても、モーターを使うノウハウについて圧倒的な経験を持っているのだ。ちなみに、トヨタは今年1月にハイブリッドの累計販売数をついに1000万台に乗せた。

 世界中のあらゆる環境で実際にユーザーが使用して集められたバッテリー、モーター、制御機構に関する膨大なデータが積み上がり、20年かけてそれらの改善が行われてきたのである。他メーカーとの実証ノウハウの積み上げの差は歴然なのだ。と書いても「いや、プリウスはモーター以外の駆動力があるからダメだ」と言い募る方々には、MIRAIという実績もある。水素燃料電池車と認識されているMIRAIだが、要するに、燃料電池による発電システムを積んだ電気自動車だ。こちらの駆動はモーターオンリーである。

 EVにとって重要な技術は何か。それは電気の使い方と駆動力のマネジメントだ。重量あたりエネルギーをエネルギー密度と言うが、バッテリーはガソリンにまったく及ばない。だからこそ限られたバッテリーのエネルギーをどれだけ効率的に使うかが腕の見せどころになってくる。トヨタの場合、専用のバッテリーパックを開発し、重量密度の向上と小型化の両立を根気よく続けてきた。専用だから高価だが、車両への搭載性は当然高く、マネジメント的にも専用化できる。

 EVメーカーの代表である米テスラの場合どうかと言えば、パナソニックの汎用筒型リチウムイオン電池18650を採用して、これを大量に並べることで容量を確保している。ちなみに、18650はアマゾンで今すぐ買えるくらいポピュラーな商品だ。もちろん細かく枝番があり、テスラに搭載しているものは、既存の形状を保つことで技術開発のコストを抑えながらも、EV専用にカスタマイズされている。

 汎用品を流用するのはクレバーなやり方だ。PCなどで大量に採用実績がある汎用品を使えば、設計不良などは完全に回避できるし、生産の安定性が高いので初期不良の可能性が下がる。サムソンのスマートフォン「Galaxy Note7」の発火事故が多発したが、あれはバッテリーを薄型化し過ぎた結果、わずかな異物混入でも内部電極がショートを起こしてしまうからだ。

 つまり専用バッテリーで形状に無理をしすぎると発火の確率が上がるのだ。トヨタのとあるエンジニアに聞いたところ、「あれは燃えて当然です」と苦笑いしていた。そういう膨大なトラブルノウハウを蓄積してきたからこそ、トヨタは専用バッテリーを設計できる。テスラがそういうリスクの少ない、つまり、形状に無理をしていない筒型の汎用品を使ったのは、無理して頑張らないという意味では正解である。また、小型の筒型バッテリーを多数搭載するやり方なら、バッテリー容量をオプションで増加できる。簡単で効率的な手法だ。

 純粋なバッテリーの技術に関してはトヨタが上、既存のものを流用してリソースの疲弊やリスクを避けながら魅力的に商品化するという発想の柔軟さではテスラが上ということになるだろう。ただし、テスラもそこにずっととどまっているつもりはなく、パナソニックと共同で米国ネバダ州にバッテリー工場を作り、研究を進めている。

●EVの技術とは一体何なのか?

 ちなみに、EVの性能を一義的に決めるのはバッテリーの性能だ。一般的に空っぽと満タンはバッテリーの劣化を招く。だから上下の20%は使用しない。企業秘密なので詳細は教えてもらえないが、可能な限り多くのエネルギーを引き出しつつ、バッテリーの性能の劣化を防ぐためには膨大な制御があるはずだ。

 端的に言えば、バッテリー容量は多ければ多いほど良い。フル加速のように大電力を一気に引き出す場合、容量の小さいバッテリーからエネルギーを絞り出せばすぐに電池残量が減る。同じ加速を大容量バッテリーで行えば、電池容量はあまり減らない。それはキャパシティが大きいから残量が多いという意味ではなく、キャパシティに対する負荷の比率で消耗度が変化する特性があるからだ。つまりバッテリーのマネジメントだけに絞って考えれば、バッテリー容量は大きいほど楽になる。

 しかし、一方でバッテリー容量はクルマの重量増加とスペース効率悪化に直結する。だからトヨタは専用バッテリーを作ってまで小型化する道を選び、テスラは汎用バッテリーを大量に積むことを優先して、ボディサイズと重量はあまり気にしていない。それは目指す製品の違いである。

 もう1点、モーター動力のトルク特性は、静止時からの加速で最も力を出す。1トンを軽く超えるクルマを動かすモーターに、静止からのスタートでドンと電力を供給すれば、その瞬間にタイヤがグリップを失うほどのパワーがかかる。だから電力供給はタイヤのグリップと相談しながら行う必要がある。

 日産のノートePOWERはこの制御の最先端にあり、必要か不必要かはさておき、日産は1万分の1秒単位でコントロールできると豪語する。実際に加速制御そのものがクルマの楽しさの1つになっている。このあたりの技術はストロングハイブリッドでも燃料電池車でも同じだ。つまりトルク制御の技術はEVには欠かせない。そしてトヨタも日産もその技術は十分にある。

 さて、記事タイトルの「トヨタはEV開発に出遅れたのか?」という点だが、どうだろうか? クルマ作りのビジョンは違うが、むしろ技術に関する限り、テスラよりトヨタの方ができることは多い。必要があればトヨタは汎用バッテリーを買ってきてシステムを構築することは今すぐに可能なのだ。

ちなみに全固体電池の特許はトヨタが一番多い。もし既存のバッテリーからスタンダードを奪えるなら、なら、だよ、勝機はあるかも、かも、だよ。