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富士機工(株)【7260】の掲示板 2015/04/29〜

支援する会が声明を発表しました
富士機工 障がい者(鈴木航さん)自死裁判を支援する会

2018年7月18日 —  声明
 知的障がいと学習障害をもつ鈴木航さんの自死は、富士機工が障がい者への配慮をしなかった安全配慮義務違反によるとし、両親(原告ら)が静岡地裁浜松支部に損害賠償を求めていた裁判の判決が6月18日にありました。
 判決は「亡航にとって、本件プレス機での実習が、その能力に比して過重であり、その心理的負担は大きかった」とし「うつ病などの精神障害を発症していた可能性もないとはいえず、(中略)被告の業務に対する心理的負荷が亡航の自殺を招いたものと推察される」と、うつ病などの二次障がいの発症と、自死の原因が業務の過重によるものであることを認定しました。
 しかし「安全配慮義務(中略)の前提となる『予見可能性』があったとは認められないとして「原告らの請求を棄却」しました。
 これは「とりわけ金型交換業務は、(中略)多くの作業手順から成り、その習得には時間を要する」とし、油まみれのノートなどから「本件プレス機での作業内容を覚えることが困難であったことは想像に難くない」とし、原告らの主張「富士機工の無配慮が自死の原因」を認めたものです。
 しかし、損害賠償請求は、無配慮な行為による自死であっても、その死が予見可能でなかった以上、これを認めることはできないとする従来の理論の枠から出ることなく棄却しました。しかし、この「予見可能性」についての認定は極めて不当なものです。
①「実習中、常に指導担当のC氏が亡航のそばについていた」「作業速度や作業効率は求められていない」「上司との人間関係も良好であった」などの富士機工の一方的な主張を丸呑みにしています。
②短期間の大量手順教え込みを予見可能性要因ではなく、予見不能要因にしている。
③人事責任者のA氏が航さんの障がい特性について、現場にまともに伝えなかったこと、そのため現場も健常者と同じ扱いをしたこと、配属時、専門家の意見を聞かなかったことなど、実行すれば予見が可能であった事実に言及していない。
④自死前日のプレス機の停止原因を「航さんのミス」「機械のミス」とする矛盾した二つの主張を咎めもせず特定もしていない。
⑤「バカはバカなりに努力せよ」との係長B氏の暴言を同社の脚色に沿い「航さんが自分でバカと言った」とし、自作のシール貼付もこの時の「B氏のアドバイス」とまで言っている。
 上記から高裁に控訴すべきですが、裁判所の踏み込んだ認定により「何が原因で航は自死したのか」については明確になったこと。富士機工の責任も損害賠償責任こそ「予見可能性」により免れたものの、航さんの能力を超えたプレス機業務が航さんを自死に追いやったとして、事実上これを認めていること。そして何よりも原告らがこれ以上の紛争を望まないことから、控訴しないことを決断しました。
 この裁判は、企業の障がい者就労のあり方について、問題を提起したもです。判決は納得できない面を残しますが、法定雇用率のみに目を奪われがちな障がい者雇用について一石を投じたものと確信します。最後に財政、運動両面で多大なご支援をいただいた会員をはじめとする支援者の皆様に厚くお礼申し上げます。

                                2018年7月17日
富士機工障がい者(鈴木航さん)自死裁判を支援する会