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(株)ブイ・テクノロジー【7717】の掲示板 2018/06/28〜2018/07/06

(その5)
続いて、6月のマイクロLEDとディスプレイ材料・部品関連情報を記載します。

(4)マイクロLED関連:
4-1.マイクロLED市場:
  リサーチステイションの最新の調査によると、2017年~2025年間のマイクロLED世界市場予測として、CARG80.1%で成長して、2025年には205億$に達するという。AR/VR機器が本格的に商用フェーズに入る2019年には市場は5億$と予測している。AR機器の現実世界の可視性に匹敵する解像度と輝度と高速応答時間をマイクロOLEDは必要十分条件を満たすと言われている。更に、VR用途は多様性を極めて、エンターテインメント、ゲーム、トレーニング、リサーチなどに適用される。現在、マイクロLEDに関心を強めているディスプレイ企業は、Samsung Electronics (韓国), LG Display (韓国), AU Optronics (台湾), and BOE Technology (中国)などの大手のAPACディスプレイパネルメーカーである。
用途別では、AR/VR HMD,スマートウオッチ、HUD,モニター、デジタルサイネージなどがメイン。主要企業は、アップル、サムスン、ソニー、X-CELEPRIN,OCULUS,EPISTER,GLO AB,VERLASE TECHNOLOGIES,ALEDIAなど。
4-2.三井金属:
  三井金属はマイクロLEDディスプレーに適した微粒蛍光体を開発しており,試作品を「JPCA Show(6月6日~8日,東京ビックサイト)」にて展示した。
 輝度が高いため有機ELディスプレーよりもさらに高いコントラスト比を得られるほか,視野角が広く消費電力も低いといった特長があると言われている。しかし,現状はRGBのLEDを高密度に実装するのが困難で,家庭用テレビとなるような製品はまだ実現していない。
 そのため,マイクロLEDディスプレーを実現する技術としてRGB LEDの高密度実装以外の方法も検討されている。その例として,
(A)LEDを全て青色,もしくはUVとすることで実装の難易度を下げ,その上から青色光やUV光を赤色光や緑色光に変換する蛍光体を置く方法。
(B)全て白色LEDを実装し,その上にカラーフィルターを置く方法。
などが候補となっている。
 今回同社が展示しているのは,青色光を赤色光もしくは緑色光に変換する蛍光体。従来液晶パネルのバックライトに使われていた技術を応用したもので,硫化物を材料とする。オキサイド(青色光→緑色光)やナイトライド(青色光→赤色光)を用いた蛍光体に比べて半値幅が狭く,色純度が高い光を得られるのが特長となっている。量子ドットと比べると,カドミウムといった毒性の問題が無いほか,量子ドットは粒径が小さく(5nm程度),粒子同士の隙間から青色光が漏れるのでカラーフィルターが必要になるが,この蛍光体は粒子径が3~4μmと大きく,青色光が漏れる心配もない。また,寿命についても耐久試験(120°,100RH%,16h)において,吸収率や量子効率が劣化しないことを確認している。同社ではディスプレーメーカーに対して試作品の提供を開始しており,色域などについてまずまずの評価を得ているという。この蛍光体をディスプレーメーカーがどのようにLED上に配置しているかその方法はは不明である。粒径が大きいことからインクジェットでの吹付は難しいと推測している。

(5)ディスプレイ用材料・部品関連:
5-1.サイノラ(独):
 サイノラは今年の年末までに青色TADFを商用化する計画であった。しかし、商用化時点を2020年に2年遅らせた。すでに青色TADF素材の効率を商用化可能なレベルに引き上げたが、効率と寿命などを通してパフォーマンスと信頼性をより向上させる方針だ。サイノラは2020年に青色TADFエミッタ(emitter)を商品化して2022年には緑と赤のTADFエミッタをリリースするという目標を立てた。
 昨年のシリーズB投資で、LGディスプレーが1500万ユーロ、サムスンベンチャー投資が1000万ユーロをそれぞれ投資しているが、最近は5000万ユーロ(約63億円)を目指し、シリーズCの投資を誘致活動を行っている。

5-2.Kyulux(日):
 既に、Kyuluxには、サムスン、LGディスプレイ、ジャパンディスプレイ(JDI)、JOLEDなどが投資しているが、今回の投資ラウンドは約3000万ドル規模だ。同社は台湾のワイズチップセミコンダクターと協力してPMOLEDのための製品を商品化すると発表した。

5-3.ナノシス(韓国):
 サムスンディスプレイと共同研究しているが、既存の量子ドットのカラーフィルタ(QDCF)とは異なるQDCC(Quantum Dot Color Conversion)技術を発表した。この技術は、液晶表示装置(LCD)だけでなく、OLEDにも適用することができる。

既存のQDCFはフィルタとして、バックライト光源をR・G・Bの波長に分ける。一方、QDCCは青色光源をフィルタリングすることなく、緑と赤に変換させる役割をする。LCDに限定されたQDの技術をOLEDに拡大して、OLEDとQDの利点を合わせて相乗効果を出すようにした。約1500万ドル(約16億円)の投資誘致を目標としている。

5-4.ユニバーサルディスプレイ(UDC):
 Visionox Technology、Inc.(维信诺)と、 6月10日にOLED技術の使用許諾契約書および補足品購入契約を結び、燐光OLED材料をVisionox に供給する。
 「VisionoxとUDCとの間の協力協定は、AMOLEDの工業化をさらに促進し、産業協調革新を大幅に拡大する。」と、Visionox Technology社の社長が語った。
 更に、ユニバーサル社のスティーブン・V・アブラムソン社長兼最高経営責任者(CEO)が述べ、 「OLEDの明るく美しい輝かしい未来はまだ始まったばかりであり、河北省の新しいG6 OLED工場のVisionoxの設備投資は、商業化への成功への道を進んでいる。UDCの方向性とイノベーションは、お客様の成長を可能にするために構築されています。私たちはVisionoxとのパートナーシップを一層強化することに興奮しており、高性能な独自のOLED技術とUniversalの燐光材料を用いてその進歩を支え続けることを楽しみにしています。」と語った。

5-5.有機ELパネル材料市場予想:
 有機ELパネル製造用材料は、基板用ガラス、キャリアガラス、PI(ポリイミド)、TFT用有機材料、電極材料、封止材料、タッチセンサー、偏光フィルム、接着剤、カバーウインドウ、ドライバーIC、複合シートなど。
 UBIリサーチによれば、2017年の有機ELパネル材料および部品市場全体は97億9,400万米ドルと集計され、2018年には35%成長した132億6,400万米ドルになる見込みである。UBIリサーチは「サムスンディスプレイは第1四半期に量産ラインの稼働率が落ちたものの、第2四半期から正常化に向かっており、LGディスプレイと中国のパネルメーカーも今年中に本格的な量産を目指している。特にサムスンディスプレイのA4とLGディスプレイのE5・E6、BOEのB7ラインが正常稼働するかどうかが、2018年材料および部品市場全体の成長に大きな影響を与えるとみられる」と分析した。更に、有機ELパネル材料および部品市場全体が2022年まで年平均29%で成長し、370億米ドル(2017年比3.8倍)に達すると予測した。

5-6.BOE:
 米中貿易摩擦の激化が懸念される中、その影響がディスプレイ部品にまで及んできた。大型パネルの昨年第4四半期出荷枚数が4,800万枚以上と、世界市場シェア24.2%で首位だったBOEは従来、液晶ドライバICの大部分をノバテックなど台湾メーカーから調達し、中国メーカーからの調達は少なかったとされる。
 ところが、中国政府は液晶パネル中国最大手、京東方科技集団(BOEテクノロジーグループ)に対し、中国製の液晶ドライバICを5割以上採用するよう指示したもようだ。
 中国政府は2015年に製造業振興策「中国製造2025(メード・イン・チャイナ2025)」を発表し、半導体などの国産化を推進してきた。台湾の半導体業界関係者は、中台は過去1~2年、ライバルかつパートナーの関係を保っていたが、米中貿易摩擦が続く中、中国は米国寄りの台湾からの半導体調達を見直したとの見方を示した。
 ドライバICは成熟プロセスを採用し、8インチウエハー工場で生産することが多い。ただ、IoT、カーエレクトロニクス需要の増加で、8インチ工場は生産能力が逼迫し、受託生産価格が上昇している。BOEの中国製ドライバIC採用拡大は、台湾のドライバIC業界にとって追い打ちとなりそうだ。

次回は、ディスプレイ材料・部品関連情報の続きを。