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(株)ブイ・テクノロジー【7717】の掲示板 2018/07/07〜2018/07/24

(その7)
続いて、6月の新工場建設関連情報を記載しmす。

(6)新工場建設関連:
6-1.JOLED:
 経営再建中のJDIから約200億円で能美工場を買い取った政府系ファンドで筆頭株主の産業革新機構から、現物出資という形で6月末にJOLEDに引き渡されることが決定している。
 北国新聞によれば、JOLEDはこの能美工場に新棟建設を既に着工したと報じている。JOLEDは、能美工場の稼働に伴い、第三者割当増資で1千億円を調達する考えで、自動車部品大手のデンソーやトヨタ自動車グループの豊田通商などが出資するとみられている。調達額のうち、3分の2を新棟の建設費と製造設備に充て、残りを当面の運転資金とする。
 新棟は既存棟の北側にある空き地と駐車場部分に整備する。2階建て、延べ床面積約1万平方メートルで、既存棟の一部に横付けして液晶パネルを生産していたクリーンルームを7000㎡拡張する形になる。投資額は生産棟と製造設備で650億円を超す見込みで、2019年初めの完成を目指す。完成後、製造設備を搬入し、サンプル生産などを経て、2020年度からの出荷を計画する。順次、独自開発した「印刷方式」による有機ELパネルを量産する。「印刷方式」のパネルは先行する韓国メーカーの「蒸着方式」に比べて生産コストが安価で、昨年12月からソニーの医療用モニター向けに出荷している。今後は車載用でも出荷が期待され、担当者は「液晶パネルに比べ、形状の自由度が高く、車載向けも有望な分野だ」とみている。
  26日に有機ELディスプレイの量産のため7月1日付で石川県能美市に新しい事業所を開設すると発表した。世界初のRGB印刷方式有機ELディスプレイ量産工場として2020年の稼働を目指す。新設する「能美事業所」は、ジャパンディスプレイの旧能美工場を産業革新機構から29日付で取得するもの。敷地面積は約10万平方メートル、建設予定の地上5階建て新製造棟を含む延べ床面積は10万4000平方メートルとなる。
 G5.5(ガラス基板サイズ1300×1500ミリ)のラインは月産約2万枚の生産能力となる見通し。ハイエンドモニターや車載ディスプレイ、PCなどの用途を想定して10~32インチの中型サイズを生産する。
 同社は量産開始に向け、6月末までに1000億円規模の資金調達を目指すとしており、27日時点でも「継続中」(同社広報)だ。「能美工場の新棟建設や初期導入設備にかかる資金はある。最終的には1000億円必要と考えているため(資金調達を)継続する」としている。

6-2.CSOT:
 海外メディアによると、中国2位のディスプレー企業CSOTは最近、投資家を集めて、テレビ用OLED生産計画を具体的に明らかにした。昨年11月、中国深圳で第10.5世代LCD工場の一部の施設の上棟式を行った。ここでは来年から月9万枚の第10.5世代LCD(液晶表示装置)パネルを生産する予定だった。しかし、CSOTはこの一部の設備をOLED用に転換し、第10.5世代OLEDパネルを月2万枚生産するという計画だ。量産の時期もLGディスプレイの京畿道坡州(パジュ)P10工場の2021年とほとんど差がない。中国が生産規模だけでなく技術面でも韓国企業を追い上げてきたという証拠だ。
 LCDパネルの生産ではBOEがLGDを抜き、この度、CSOTが計画通りに第10.5世代OLEDパネルの量産に入れば、量と質で韓国ディスプレー産業に追いつく。中国政府がLGディスプレイの広州OLED建設工場を承認する条件としてOLED技術の移転を要求したのも、CSOTなどを支援するためという分析も出ている。
 更に、注目すべき技術として、OLED粒子の蒸着にインクジェット技法(OLED発光材料を噴射して蒸着させる方式)を導入するという。すでにカティーバ、住友化学、メルク、デュポンなど関連装備および素材企業と共同で技術を開発している。第4.5世代試験ラインを構築し、実際に量産の可能性も検証している。第10.5世代OLED生産計画の発表は、こうした技術の適用に相当な自信があるという意味と解釈される。LCDとスマートフォン用OLEDでBOEに遅れをとったCSOTが、政府の支援を受けるために実際には実現の可能性が低い青写真を先に提示したということだ。 半導体やディスプレーなど先端業種で中国政府は上位1、2社に支援を集中する傾向が強まっているので。
 ところが一方、ディスプレー業界ではCSOTの計画実現の可能性に懐疑的な見方も少なくない。ある関係者は「インクジェット技法は韓国企業も試しているが、まだ成功したところがない」とし「中国企業が第10.5世代OLEDパネルを製作できるとは信じがたい」と話している。
 さて、蒸着方式に変わるインクジェット方式がOLEDディスプレイに技術並びに価格革命を起こすか注目される。

6-3.製造装置向け高精度アルミ板厚需要:
 鉄鋼業界情報によれば、半導体製造装置やFPD製造装置向け需要の先行指標と言われる高精度アルミ板厚(A5052,A6061)需要の停滞が台頭し、一時の繁忙状況が薄らぎ始めていると伝えている。アルミ厚板は圧延メーカーから流通、加工業者を経て半導体製造装置やパネル製造装置、精密機械メーカーなどへ納入される。アルミ厚板需要はこの数年間、右肩上がりの勢いが続いているが昨年は突出して引き合いが強まった1年だった。半導体はIoTやAI、5世代通信(5G)、自動車の電装化などで需要のすそ野が広がっているほか、液晶や有機ELも韓国や中国メーカーが相次いで増産投資していることから製造装置需要が急増。競争力がある日本の製造装置メーカーに注文が集中した結果、製造装置の材料となる日本の高精度アルミ厚板の引き合いも強まった。こうした環境に変化が出たのは今年に入ってから。流通筋によれば、春先に漂い始めた調整色は「秋口まで残りそう」との指摘が聞かれている。今年のアルミ厚板の店売り市場では「半導体、液晶、有機ELの3分野が好調だった昨年の販売実績を下回る可能性が高い」との認識が一般的になりつつ始めている

6-4.LGディスプレイ:
 BOEとCSOTが2020年稼働の10.5世代OLED新規工場建設の準備を着々としているが、それに呼応して、LGディスプレイも坡州の10.5世代(P10)の新工場を有機EL(OLED)の生産ラインに変換して構築することを決定したが、技術方式を、「WOLED」にするか「次世代インクジェットプリンティング」にするか最終的な方式はいまだに決定していない。LGディスプレイは、過去数年の間にパイロットラインを運用して技術を検証してきた「次世代インクジェットプリンティング」を導入する公算が大きいとも伝えられている。超大型OLED TVパネルを競争力のある価格で量産するには、今よりも工程の複雑さが少なく、生産コストを下げることができる技術が必要であり、量産前の検証が必要であるから。そして、3Qから納入を開始する予定の前工程装置の搬入日程を来年に先送りした。LGディスプレイの関係者は、「P10投資については、まだ新しいスケジュールを確定していない」とし「迅速に投資を行う技術方式を決定する予定だ」と語っている。

6-5.鴻海・シャープ:
 28日、ソフトバンクグループ孫正義会長兼社長は、米国中西部ウィスコンシン州で開かれた台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の液晶パネル新工場(投資額:1.1兆円)の着工記念式典でトランプ大統領と共に演説した。孫氏は2016年12月、大統領当選直後のトランプ氏に会い、500億ドル(約5兆円)の投資と5万人の雇用創出を約束した。ソフトバンクは、運用額10兆円のビジョン・ファンドなどを通じ、ライドシェア最大手のウーバーテクノロジーズ、食品宅配のドアダッシュなど約30社に投資している。さらにスプリントの次世代通信規格「5G」向けの投資も巨額だ。トランプ氏によれば「500億ドルの投資計画が720億ドルに膨らんでいる」という。11月の中間選挙を控え、雇用創出を有権者にアピールしたいトランプ氏とソフトバンクの思惑が合致する。
  この工場は次世代の超高精細画面「8K」の液晶パネルを生産する。
稼働時期は2020年を目指す。鴻海はSDPと共同で中国広州にも世界最大の10.5世代液晶パネル工場を建設中で世界戦略を推進する。
 一方、鴻海傘下のシャープは、米国の液晶テレビ市場への再参入に向け、新たな商標登録を申請した。シャープは2016年に経営再建のため、北米テレビ事業を中国家電大手のハイセンスに譲渡した。このため、「アクオス」などの商標を使えない。そこで別ブランドを用意し18年以降、大型テレビなどに使う考え。主に60型以上の大型液晶テレビに用い、高級ブランドとして米国に浸透させたい考え。
 鴻海の液晶パネルの2つの新工場に導入される設備は2018年後半~2019年半ばまで続く。鴻海・シャープが日本最大顧客であるVテクには大型受注が舞い込むかもしれない。

次回は、ディスプレイ製造装置並びに生産ライン関連情報を。

  • >>22

    6―5 鴻海・シャープ
    の情報大変参考になりました。
    ありがとうございます。

    (以下「6―5 鴻海・シャープ」の要約)
    ・米国ウィスコンシン州の液晶パネル工場(投資額1.1兆円)、次世代の超高速精細画面「8K」の液晶パネルを生産。

    ・鴻海はSDPと共同で中国広州にも世界最大の10.5世代液晶パネル工場を建設中。

    ・液晶パネルの2つの新工場への設備導入は、2018年後半~2019年半ばまで続く。鴻海・シャープが日本最大顧客であるVテクに大型受注が舞い込むかもしれない。

    (以下 個人的感想)
    ・「8K」に関しては、SDPに、局所レーザーアニール装置が導入され、パネルも完成していることから、両工場への導入が大いに期待できる。

    ・「ディスプレイ用フォトマスク描画」に関して、第21期株主通信の中で「製品トピックス」として以下のとおり取り上げている。

    「大型ディスプレイが効率よく生産できるG10.5ガラス(基板サイズ:約3m×3.4m)やOLEDに関連した新工場建設が相次ぐ中フォトマスクの需要は高まりを見せています。当社は、超高精度描画が可能で、世界最大級の大型フォトマスクに対応する描画装置を新たに開発いたしました。」

    第1号の受注は昨年度あったとのことなので、両工場のいずれかかまた別の案件かわかりませんが、いずれかであった場合でももうひとつの工場向けに、別の案件であった場合には2工場向けの受注が期待でき、他の検査・測定・修正装置といったフォトマスク用装置を含むパッケージとしての受注も期待できる。

    ・従来からの液晶パネル用検査・測定・露光装置などのブイ・テクノロジーの製品受注についても期待できる。

    ・また、計ったように、鴻海の米国と中国の2工場建設は、日中貿易摩擦を回避したものとなっている。そもそも、ディスプレイを用いた主な製品である携帯電話、テレビ、パソコンは関税の対象外となっているが、対象となるディスプレイの部品輸入についても米国用は米国内工場で作るので問題にならない。

    最大の注目点は、当事者のトランプ大統領が鴻海の米国工場着工記念式典に出向いて演説までしていることだ。