ここから本文です
Yahoo!ファイナンス
投稿一覧に戻る

(株)ブイ・テクノロジー【7717】の掲示板 2018/07/07〜2018/07/24

(その10)
 6月ディスプレイ情報関連最後として、市場調査企業IHSMarkitのシニアディレクターDavid Hsieh氏へのインタビューを要約します。

(11)IHS MarkitのシニアディレクターのDavid Hsieh氏のインタビュー見解要約:
11-1.ディスプレイ業界のビジネストレンドは?
◎業界の関心は、中国パネルメーカーが行う設備投資の方向性に最も注がれている。中国メーカーは、従来より続く液晶への投資だけでなく、有機ELに対する投資も始めた。この動きは、業界の材料メーカー、そして装置メーカーが中国市場をより重視する戦略の後押しとなる。
◎第二の注目すべきトレンドは、有機ELの進化だ。特にフレキシブルディスプレイへの応用など、従来のディスプレイから概念を置き換えるテクノロジーに関心が集まっている。

11-2.中国、韓国の設備投資は?
◎中国メーカーが2018年のグローバルシェアで約40%を占めると予測しており、2024年にはさらにシェアを拡大し約55%となる見込み。
 中国国内からの強いディスプレイ需要が継続すると見ているため、中国政府が補助金をパネルメーカーに供出し、液晶パネルの生産キャパシティーを引き上げる動きがある。
◎一方、韓国メーカーに目を移すと、有機ELに投資の軸足を移している。有機ELディスプレイの生産数を拡大することや、コストダウンへの取り組みに注力しており、勢いのある中国メーカーに有機ELで戦いを挑んでいるかのように見える。

11-3.液晶ディスプレイ市場の面積ベースでの成長率は?
 面積ベースによる年間の需要成長率は、5%程度を予測している。テレビの価格下落によって消費者の購買意欲が促進されたことや、価格帯に対応するテレビサイズが上昇しているためだ。よって、予測よりも実際にはもっと成長する可能性もある。

11-4.液晶ディスプレイの旧世代工場補閉鎖とその生産キャパシティは?
 第5~6世代の工場が対象になってくる。これら世代の工場ではコストメリットがあまりなく、償却が既に終わっているため。第5~6世代の工場のグローバル生産キャパシティーはおおよそ3割。

11-5.中小型の液晶ディスプレイに注目すると、今後の技術、ビジネストレンドは?
 a-Siはこれからますますシュリンクし、解像度や狭額縁化にメリットのあるLTPSに移行するだろう。
有機ELのコスト低減が液晶に対して有機ELが20~30%程度の価格差まで持ち込めば一気に有機ELの採用が進むとみている。
そのような場合には、LTPSがシュリンクしていく可能性は十分にある。この動きは、早ければ2019年から始まるだろう。有機ELのコスト低減でカギとなるプレーヤーは中国メーカーだ。

11-6.有機ELTVの普及は?大型の有機ELパネルに需給状況は?
◎有機ELTVは、2017年は170万台、2018年は大きく成長して300万台の出荷を予測している。1500~2000米ドルの価格帯となるスーパーハイエンドセグメントで、有機ELテレビの需要は根強い。このセグメントのマーケットでは色再現性、薄型化などの性能が重要視されるため、有機ELが液晶を圧倒している。
◎大型の有機ELパネルは需要に対して生産能力が不足している。テレビ向けの大型パネル生産は非常に難しく、LG Displayのただ1社が供給している状態だ。BOEや華星光電(CSOT:チャイナスター)など中国メーカーが、大型パネル量産に向けて研究開発を進めているが、量産開始にはまだ遠いとみられる。LG Displayも、直近の生産キャパシティー拡大は難しく、さらに高い原材料コストに苦しんでいる。よって、現時点では大型パネル価格は値上がりの方向に進んでいる。
 一方で、LG Displayは有機EL向けの設備投資計画を進行しており、中国での第8.5世代生産ライン立ち上げや、2~3年後には第10.5世代工場を新設し稼働させるプランがある。今後、生産キャパシティーが十分に確保できた場合にはスケールメリットが働き、コスト低減に向かうだろう。

11-7.ディスプレイメーカーの淘汰は?注目すべき中国メーカーは?
◎韓国・中国メーカーの撤退はないだろう。あるとするならば、台湾系メーカーだ。
◎最も総合的に実力がある企業はBOEになるだろう。分野別にみると、中小型液晶パネルでは天馬微電子、有機ELパネルではVisionoxが強い。しかし、BOEも有機ELに投資の軸足を移しつつあるため、将来的には有機ELでもBOEが中国メーカーの覇権を取る可能性が高い。

11-8.部材メーカーの動向は?
 第10.5世代の超大型ガラス基板の生産が始まろうとしており、先陣はCorningが切った。2019年頃から旭硝子でも始まる予定だ。ドライバICでは垂直統合が進んでおり、高解像度化に対応しつつもチップ数をシュリンクする傾向にある。光学フィルムや偏光板については、透過率や色再現性の向上に向けて研究開発が進んでいる。
 中国勢も部材業界に進出したいと考えているが、現状では難しいだろう。日本勢など化学関連技術にたけたメーカーが多く、参入難度が高い。ガラス基板に着目すると、中国メーカーも製品を出荷しているが、第8世代以降の超大型ガラス基板には対応できていない。有機EL系の部材についても、中国メーカーは研究を進めているが量産化には至っていない。日本・韓国勢の躍進が続くだろう。

 以上、8日連続、下記のような分類で10回にわけて記載した6月のディスプレイ関連情報提供を終結します。
(1)スマホ関連情報:
(2)LCD/有機ELTV関連情報:
(3)ディスプレイ製造ライン並びに開発情報:
(4)マイクロLED関連情報:
(5)ディスプレイ材料・部品関連情報:
(6)新工場建設関連情報:
(7)ディスプレイ製造装置並びに生産ライン関連情報:
(8)有機EL照明関連情報:
(9)車載用有機ELパネル関連情報:
(10)デジタルウィンドウ関連情報:
(11)HIS MarkitシニアディレクターのDavid Hsieh氏のインタビュー見解要約: