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東急(株)【9005】の掲示板 2018/07/14〜2020/05/31

東急の鉄道分社化で「通勤混雑対策」は進むのか (1/5)

東京急行電鉄は9月12日、鉄道事業を分社化する方針を発表した。
私はこの組織改革を「混雑対策への大きな一歩」とみる。
鉄道事業の分社化は、他の事業分野とは異なる意味を持つ。
公共交通事業ならではの選択肢ともいえる。

鉄道会社の分社化と持ち株会社設立は過去にも例がある。
2005年に阪急電鉄は阪急ホールディングス(HD、現・阪急阪神HD)を設立。持ち株会社へ移行した。
06年には西武鉄道が西武HDを設立。
09年には相模鉄道が持ち株会社制に移行した。
また、16年には京阪電鉄が京阪HDに移行した。

鉄道会社が鉄道事業を分社化し、持ち株会社に移行する。これ自体は珍しくない。
ただし、東急電鉄の場合は他の例と比べてネットの反響が大きかったように思う。
東急電鉄は不動産部門が成功している一方、鉄道部門の輸送トラブルや混雑対策が課題になっているからだ。
短絡的には、「東急が鉄道部門を見限り、不動産事業へ軸足を移した」ように見えるかもしれない。

田園都市線・東京メトロ半蔵門線の渋谷駅は、プラットホーム1面の両側に上下線がある形だ。
1面2線と呼ばれる。

渋谷駅の拡張、田園都市線の地下区間の複々線化を実施しようとするなら、東急電鉄単体では負担できない。
そこで沿線自治体や国に支援を求めたい。
しかし、連続立体交差事業という枠組みが使えないし、黒字経営の東急グループに公的資金は投じられない。
災害復旧でさえ、黒字会社の公的支援がやっと決まったばかりだ。

そこで、東急クループ全体と東急電鉄のお財布を完全に分けて、公的資金の受け皿にしたい。
これが鉄道事業の分社化の念頭にあるかもしれない。
そこまでしなくても、条例改正や新たな枠組み作りで対応できそうだ。
しかし、まず民間企業である東急電鉄側が受け入れの態度を見せ、解決に取り組む姿勢を見せる。
これが大事だ。

【ITmedia ビジネスオンライン 杉山淳一の「週刊鉄道経済」2018年10月05日 】
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1810/05/news030.html