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あとで気が向いたら読み返そうの掲示板

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  • 2022/01/26 12:52
  • rss

掲示板のコメントはすべて投稿者の個人的な判断を表すものであり、
当社が投資の勧誘を目的としているものではありません。

  • >>407

    社会課題をみんなで解決する時代へ
    孫が切り開いた舞台に、次々と時代を象徴する起業家が登場した。楽天の三木谷康史、ユーセンの宇野康秀、宇野の会社から独立したサイバーエージェントの藤田晋……。

    その中でも後に“塀の向こう側”に落ちることとなる堀江貴文は、ライブドアの前身、「オン・ザ・エッジ」の上場を前に社員をこう鼓舞した。

    「ソフトバンクなんか怖がることはない。うちらだってなんだってできる。ネットの時代、銀行だって証券会社だって全部ネットに取って替えられるんだ」

    孫とは別の意味で、堀江はインターネット時代の申し子だった。

    一方、露骨なカネの時代の反動からか、社会課題の解決を目標とする起業家たちが増えたのが2010年代だ。このころのメッセージは「同志」「仲間」に変わる。

    その象徴が実は「トヨタ」である。

    リーマンショックによる赤字転落と相次ぐ品質問題で苦境に立たされたトヨタに、責任を負わされるようなかたちで社長に就任したのが、創業家の豊田章男だった。

    社内外で誰も味方がいないなか、2010年、豊田はリコール問題で米議会の公聴会に証人として召喚。3時間半に及ぶ追求に晒された。

    ところが、公聴会後に出演した人気番組「ラリー・キング・ライブ」で、最後に「あなたはどんなクルマに乗っているのですか?」と質問されると、「私は年間200台以上のクルマに乗ります。私はクルマが大好きです」と、自動車への愛情を語った。

    すると、世論の潮目が変わったのだ。

    公聴会後、心配して集まった米国のトヨタ工場や販売会社の社員たちを前に、豊田が涙を浮かべてこう言ったという。

    「I was not alone」

    そして帰国直後、豊田は豊田市の本社で2000人の社員を前にスピーチを行った。「米国のディーラーたちを守るために自分は戦っていたと思っていたが」としゃべったところで彼は言葉をつまらせた。

    「実は……この人たちに自分は守られていたんだと気づかされ……本当にトヨタの一員で良かった……」

    このスピーチに会場はあちこちではすすり泣く音が聞こえたという。ある幹部は「何があっても章男さんを守る、トヨタを守る」と語っていた。経営者がメッセージを伝えなければならない相手は、間違いなく目の前の社員たちなのだ。

    かつて「I was not alone」と言った豊田は、2020年1月、ラスベガスでのウーブン・シティの発表会で世界に向けてこう語っている。

    「万人に幸せを届ける」

    児玉 博

  • 孫正義が叫んだあのひと言から、日本は変わった
    1/26(水) 7:00配信
    Forbes JAPAN

    本田宗一郎、盛田昭夫、堤清二、豊田章男──。名経営者たちの奮い立つ言葉なくして「経済大国」日本は生まれなかった。

    彼らは何と闘ったのか。そして、日本人の心に刺さったメッセージは、時代とともにどう変わっていったのか。

    ノンフィクション作家の児玉博氏が、経営者の歴史的発言から「日本企業メッセージ史」をたどる。

    ■「無駄なやつは一人もいない」

    「俺にはクルマを作る権利がある。自由競争こそ産業を育てるんだ」

    1951年、本田宗一郎が55歳のときに官僚たちに言い放った言葉だ。戦後、自動車会社が乱立していたことから、通商産業省(当時)が2社に収斂させようとしていた。当時、二輪を製造していた本田技研工業は反発し、四輪への夢を捨てなかったのだ。

    「日本の機械工業の真価を問い、これを全世界に誇示するまでにしなければならない。わが本田技研の使命は日本産業の啓蒙にある」と、本田は社員を鼓舞した。それは自身への鼓舞でもあった。

    その真価を世界に見せたのが1971年である。米国で制定された「マスキー法」は76年以降に自動車を製造する場合、排ガス濃度を90%カットしないと米国での販売は許可しないというもの。当時の米国のメーカーは政治的な取引に走った。しかし、本田は全社員にこう訴えた。

    「技術的に解決しなければならないことを政治的に解決しようとすると永久に遺恨が残る。技術的に解決すべきものは、どのようにしても技術面からやらねばならない」

    ホンダは低公害型のCVCCエンジンの開発に成功。日本の自動車メーカーがホンダに続き、日本の技術力の高さを世界に知らしめる突破口を開いたのだ。

    生涯、技術に情熱を傾けた本田は社員たちから「オヤジさん」と呼ばれた。本田と社員の関係を表す彼のセリフが次のものだろう。

    「無駄なやつは一人もいない。皆に得手をやらせれば苦労を厭わず向上心が出て頑張り、本人は幸せなんだ」

    別の視点でグローバル化を考えていたのが、ソニーの創業者、盛田昭夫だ。

    「グローバルになるには、その地のインサイダーにならなければダメだ。現地法人を作り、現地の人間を雇い、そして現地の一流の人間を社長に据えて初めてその国のインサイダーになれる」

    盛田は社員たちにそう言い続けた。

    英語で海外出版した『MADE IN JAPAN わが体験的国際戦略』や、石原慎太郎との共著『「NO」と言える日本』はベストセラーに。

    だが、引退直前、社内の部長たちにこうスピーチした。

    「我々はもういっぺんアメリカを勉強し直すべきではないだろうか。ソニーはアメリカの技術をうまいかたちで導入して成長を果たした。80年代にはアメリカを追い越した。しかし、それで満足してはいけない。いままた、アメリカから学ぶべきことが必ずあるはずだ」

    ■「無印良品は反体制である」

    製造業が優れた日本製を世界に送り、日本が豊かになると、1980年代、商売に「“反”資本の論理」を打ち出す経営者が登場した。セゾンの堤清二だ。

    あえてブランドを与えない商品を企画。「無印良品は反体制」と言い出した。満たされた時代に洗練された消費のあり方を打ち出し、都会の若者に支持をされていった。

    一方、製造業との決別を宣言したのが、ソニーの出井伸之だ。

    「ソニーは恐竜と同じ運命に」
    93年にシリコンバレーでアル・ゴア米副大統領の提唱した「情報スーパーハイウェイ構想」を会場で聞き、出井は猛烈な危機感に襲われる。

    インターネットの時代、デジタルの時代を予感して、「このままだとソニーは恐竜と同じ運命をたどる」と社内で改革を説いて回り、当時の社長、大賀典雄に「隕石で滅びた恐竜にならないために」という建白書まで提出する。

    95年に社長に就任した出井は、「我々はデジタル・ドリーム・キッズにならなければならない」と、「Digital Dream Kids」を提唱。早すぎた構想は、現在のソニーが実現させた。

    ■“ロックスターのような経営者”の登場

    2000年代、インターネットの時代になると、異質な経営者が続々と登場した。

    「メザシを食べて会社を経営することが立派といわれるような1億総サラリーマン化の時代は終わった」

    こう挑発したのはホリエモンではなく、ソフトバンクの孫正義だ。

    「メザシ」とは中曽根康弘政権時代に「土光臨調」で行政改革を行った土光敏夫・元経団連会長のこと。石川島播磨、東芝などで社長職を歴任した土光は、夕食に菜っ葉のみそ汁とメザシを夫婦で食べている場面がNHKで放送されて以来、その質素で庶民的な生活から「メザシの土光」と言う呼び名で国民に親しまれていた。

    仕事に厳しく、猛烈に働き、生活は質素という土光の生き方は日本人に好まれるリーダー像だったが、孫は公の場でそれを否定したのだ。

    孫のメッセージはまさしくアジテーションで、経営者のメッセージが変化したのは孫正義からといっても過言ではない。

    「4回失敗し、5回目でナスダックに上場し、1000億円もの大金持ちになった経営者が何人もいる。みなさんも果敢に挑戦してほしい」

    孫が設立した新たな株式市場「ナスダック・ジャパン」の設立初会合での発言だ。

    孫はさらに「明日の孫正義」を夢見るベンチャー起業家たちの魂の導火線に火をつけていく。

    2000年2月2日。東京・六本木のディスコ「ヴェルファーレ」は人でむせ返っていた。孫はスイスのダボス会議から飛んで帰ってきてこう声をあげた。

    「僕はどうしてもこの会に参加したかったから3000万円でチャーター機を借りて帰ってきて、こうして壇上に立っている」

    ロックスターのような振る舞いをする経営者が登場したのだ。さらに彼は会場の者たちを鼓舞するように、「今のネット社会の革命は明治維新に匹敵する」と煽った。

    「次のミレニアムには、いまの会社を作ったのは、あの時の人たちだったと、思い起こさせる時代にしよう!」

    ■「カネを稼ぐ」がメッセージに

    孫が語る青春期の起業への道は、後に続く者たちをやる気にさせた。

    「アメリカから帰国後、どんな事業を起こすか、1年半悩み抜いた。そのときに40ほど新しい事業を考えた。40の事業を徹底的に調べ、40の新しいビジネスモデルを発明し、10年分の予想売上、人員表、競合となる会社などを細かく想定した。それぞれのビジネスモデルの書類の束は、各1mの高さになった。徹底的に情報を調べたうえで、さらに情報を削ぎ落とし、ビジョン実現の戦略をたてた」

    しかし、1983年、日本ソフトバンク設立の2年後に大病を患い、余命5年と宣告された。26歳のときのことだ。

    「孫子の兵法を30冊は読んだ。その中から抜き出したものと、自分だったらこう思うというものを、入院中につくった。すべての文字、すべての意味を僕は腹の髄まで入れている」(ソフトバンクアカデミア開校式で)。

    そうして、孫子と孫正義の「時空を超えた合作」である経営実践の手法「孫の二乗の兵法」をつくりあげたという。

    病床でエゴを捨てたと悟った彼は、「孫の二乗の兵法」について、こう語っている。

    「自分自身まだ極めきれていないし、永遠のテーマなのです」

    新市場が整備され、世界的な金融緩和の流れ、そして規制緩和が進み、才覚さえあれば一夜にして億万長者が誕生できる時代に日本もなっていた。経営者がスターのようにスポットライトを浴び、「カネを稼ぐ」という言葉がストレートなメッセージとなった。

    孫のヴェルファーレでの一声から変わったといってもいいくらいに、舞台は劇的に場面転換したのだ。

  • >>405

    くり返される「大言壮語と朝令暮改」
    ショルツ新政権の危うさを示唆する兆候はほかにもたくさんあるが、本稿で指摘したロシアや中国に対する厳格路線、脱炭素に盲従するエネルギー政策、いずれも「実現可能性がないことを大言壮語し、朝令暮改する」点では共通している。

    政権発足からわずか2カ月にもかかわらず、世界の行く先を左右する大きな論点でそうした「ブレブレ」の姿勢が目立ち始めていることに危うさを感じる。

    新政権が抱える難題を深く掘り下げれば、メルケル前政権が遺した「負債」も多く見受けられ、資源価格高騰やロシアのウクライナ侵攻懸念など、あまりに困難な事案に発足当初から見舞われた不幸には同情の余地もなくはない。

    それでも、前政権との訣別に固執するがあまり、現実的な目線を失いかけている印象はどうしても拭えない。性急な戦果を求め過ぎているのかもしれない。

    いまのドイツはEU域内外で孤立が目立ち、数少ない「親しい友人」である中国との間にさえも険悪な空気が漂っている。

    ここまで抜群の安定感を誇ってきたドイツだが、ここに来て非常に不安定な環境に追い込まれており、ドイツはもちろんのこと、世界中がメルケル前首相の存在感の大きさを思い返すことになるのではないか。

    何はともあれ、ロシアとの関係で身動きがとれないウクライナ危機をドイツがどう乗り切るのかに注目したい。

    ※寄稿は個人的見解であり、所属組織とは無関係です。

    (文・唐鎌大輔)

  • ロシアのウクライナ侵攻懸念で苦境に追い込まれたドイツ。「大言壮語と朝令暮改」くり返す新政権の危うさ
    1/26(水) 8:10配信
    BUSINESS INSIDER JAPAN

    米デラウェア州のドーバー空軍基地でウクライナ向け空輸準備中の米軍の弾薬群。一方、ドイツは武器提供を拒否している。

    世界の金融市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め加速への懸念に加え、ロシアのウクライナ侵攻という深刻な地政学リスクが浮上している。

    アメリカがウクライナに近い東欧の同盟国に部隊を派遣し、北大西洋条約機構(NATO)の指揮系統に加わる方針が報じられるなど、文字通り一触即発の空気が充満する。

    この状況下で難しい立場に追い込まれているのがドイツだ。

    2021年12月に発足したショルツ新政権は、16年間という長期に及んだメルケル前政権との差異を強調するため、発足当初から中国やロシアと距離を置く方針を強調してきた。

    しかし、ロシアがウクライナ侵攻に乗り出す気配を見せ、アメリカを中心に西側諸国の大半がウクライナ支援に回ると一転、(中国やロシアと距離を置くとしながら)ロシアを利するかのようなドイツの立ちまわりが批判を浴びるようになっている。

    米ウォール・ストリート・ジャーナル(1月24日付)は『ドイツは信頼に足るアメリカの同盟国ではない 安価なガスと中国向け自動車輸出、プーチンを怒らせないことを最優先する国』と題したオピニオン記事を掲載し、露骨なドイツ批判を展開している。

    こうした「ロシアを利するドイツ」との見方には根拠がある。

    例えば最近では、ドイツは武器供与を求めるウクライナからの要請を拒否し、ウクライナ政府がその対応を「西側諸国の連帯を阻む行為」と批判する一幕があった。

    また、イギリスがウクライナに武器供与する際、最短ルートとなるドイツ領空の通過を避け、あえて迂回ルートをとった経緯も注目された。

    英国防省は武器空輸に際し、ドイツに領空通過の許可を求めなかったことを認めている。表立って許可を求めれば事態が複雑化することを察し、配慮したとみられる。

    イエスかノーかの択一を迫ればドイツが苦しむのは目に見えており、それ自体がロシアを利する行為となると判断したのかもしれない。

    さらに、ドイツは2021年9月に完成した欧州向け天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の稼働について、関連企業の法令順守基準がクリアされるまでは認可しない方針をロシア側に明示している。

    この判断は一見、ロシアの利益を阻害するようだが、実はそうでもない。

    ドイツは過去最悪の電力不足(それに伴う電気料金の高騰)に直面し、平均世帯の電気料金が2022年に前年比60%超値上がりする見通しとされるなかで、石炭火力発電と原子力発電を廃止する(メルケル前首相時代に決まった)計画を実行に移した。

    消去法で考えると、もはやノルドストリーム2を通じてロシアから購入する天然ガスに依存せざるを得ない状況にある。したがって、ショルツ政権としてはロシアとの揉めごとをこれ以上増やしたくないというのが本音だ。

    そのように、ドイツが独自のエネルギー政策に固執することでロシアへの依存関係が生まれる展開は、安全保障上のリスクそのものであり、アメリカが最も危惧していたことだ。

    こうしたいくつもの行為の積み重なりが、同盟国としての信頼を毀損(きそん)する行為とアメリカ側には映り、前出のオピニオン記事にあるようなドイツ批判につながったわけだ。

    ちなみに1月21日には、ドイツ海軍のシェーンバッハ司令官がインドで講演し、ロシアのウクライナ侵攻の可能性を一蹴した上で「(プーチン大統領が)本当に求めているのは敬意で、それを与えるのは簡単なことだし、おそらくあの人は敬意を払うに値する」と発言。

    司令官はさらに、ロシアが2014年に併合したクリミア半島について、「あそこはもう失われた、二度と戻ってこない」とも述べた。ロシアに対するドイツの本音が露骨に確認された格好だ。

    ウクライナはこうした言動に猛抗議し、司令官は翌22日に辞任している。

    隣国を救えないドイツ
    ロシアとの関係にとどまらず、中国との関係においても、ショルツ政権の挙動には危ういものがある。

    ショルツ政権は発足当初、政策綱領で中国の専制主義に厳格な姿勢で臨むことを表明し、メルケル前政権最大のレガシーである親中路線と訣別する意欲を示した。ベアボック外相はいち早く「北京五輪には絶対に行かない」などと発言している。

    しかし、メルケル前政権下で倍以上に拡大したドイツ貿易に占める中国のシェアの大きさ(貿易総額の約10%)を踏まえると、両国の経済関係は容易に切れるものではない【図表1】。

    こうした経済面での緊密さゆえに、政治・外交面でも中国に対する厳格路線を貫けないドイツの現実が見え隠れする。

    その具体例として注目されるのがリトアニア問題だ。

    ドイツとはバルト海を挟んで隣接するリトアニアが、外交関係において中国を突き放し、台湾に接近する動きを隠さなくなっている。

    さまざまな理由が語られるが、リトアニアは旧ソ連時代の圧政に耐え独立を果たした経緯から、人権や民主主義を蔑(ないがし)ろにする中国を支持できない、との見方が多いようだ。

    リトアニアは2021年7月、首都ビリニュスに台湾の大使館相当の出先機関「台湾代表処」設置を認め、11月に正式開設された。国家を意味しない従来の「台北」ではなく、「台湾」の呼称を使うことで、中国の掲げる「一つの中国」原則に(その方針は尊重するとしつつも)反する姿勢を露わにした。

    中国はこの動きに猛反発し、通商面であらゆる手段を用いてリトアニアに圧力をかけている。人口約280万人の小国ながら、人口・経済とも世界最大規模を誇る中国の脅しに屈しないリトアニアの毅然とした姿勢を支持する声は多い。

    さて、ドイツが登場するのはここからだ。

    2021年12月、中国がドイツの自動車部品大手に対し、リトアニアで製造される部品の使用を中止するよう要求したとの報道があった。ドイツを梃子(てこ)に使い、リトアニアを屈服させようという中国の苛烈な戦略だ。

    中国が中止を要求したのは「リトアニアからの部品輸入」ではなく「リトアニアで製造された部品の使用」だった。その影響はドイツを中心に欧州連合(EU)全域にわたる。

    中国への厳格路線を掲げるショルツ政権としては当然、リトアニアを支持する動きに出るとみられたが、現実はそうなっていない。

    各種報道を総合すると、ドイツ産業界は反中路線を高らかにうたうベアボック外相を諫(いさ)め、リトアニアに対しては対中関係の改善を迫る声が高まっている模様だ。

    ショルツ政権の基本スタンスと整合性をとるのであれば、中国に依存しない経営戦略の策定こそがドイツ企業の選ぶ道であるはずだが、肝心の政権が毅然とした態度を示せないなか、企業が率先して中国に抗(あらが)う道を歩むはずがない。

    「民主的だが小さな隣国」より「専制的だが大きな遠国」を優先する実利重視の姿勢は、政権交代を経ても何ら変わっていないようだ。なお、メルケル前政権時代の中国との関係を示す代表的なエピソードは過去の寄稿を参考にされたい。

    電気自動車の普及目標も「腰くだけ」に
    相変わらず実利重視のスタンスを指摘したついでに、ショルツ新政権の旗印とも言えるエネルギー政策ですら迷走が際立ってきたことに触れておきたい。

    2022年最初の寄稿(1月7日付)でもとり上げたが、欧州委員会は年明け早々、(EU首脳会議の議長国)フランスが議論を主導する形で「脱炭素化に寄与するエネルギー源」として天然ガスと原子力を公式に認定する方針を発表した。

    それに対し、メルケル前政権からの原発全廃路線を受け継ぐショルツ政権は、「連邦政府として原子力発電を(公式認定の)対象に含めることにあらためて反対を明言した。原子力はリスクとコストが高い」との声明文を発表している。

    メルケル前政権との差異を打ち出すのであれば、既定路線とされた原発全廃を否定し、家計部門を苦しめるエネルギー価格の急騰を解決するのが賢明だったように思う。が、連立政権樹立にあたって(総選挙で第三党に躍進した)環境政党「緑の党」の力を借りた手前、そうした政策を打ち出せるはずもない。

    しかも、EU全体を見渡すと反原発加盟国は少数派であり、したがってドイツの反対によって欧州委員会の意思決定が覆ることもあり得ない。

    また、日本ではあまり報じられていないが、ロイター通信(1月17日付)が『独運輸相、1500万台の電気自動車(EV)普及目標をくつがえす』と題し、ウィッシング運輸相の重要な変節を指摘したことも、ショルツ政権のエネルギー政策のよろめきとして注目される。

    ショルツ政権は発足当初、2030年までのEV普及台数について、メルケル前政権が掲げた目標「プラグインハイブリッド車(PHV)を含めて700万~1000万台」を取り下げ、「(PHVを含めず)純粋なEVで1500万台」と意欲的(あるいは意欲的すぎる)目標を打ち出した。

    ところが、上記のロイター報道によれば、運輸相は早くも「(1500万台という目標には)PHVも貢献できる」と、政権が打ち出したばかりの高い目標を撤回したわけだ。

  • 三菱UFJ銀が日銀に預けている当座預金、一部にマイナス金利
    1/17(月) 14:55配信

    (ブルームバーグ): 三菱UFJ銀行が日本銀行に預けている当座預金の一部にマイナス金利が適用される。日銀は毎月、業態別の当座預金残高を公表しており、昨年12月中旬から今月中旬までの残高は17日午後5時に公表する。

    三菱UFJ銀の日銀当座預金残高について、「マイナス金利が適用される政策金利残高に一部達する見込み」と同行広報部の堀野幹人氏が明らかにした。

    日経新聞電子版は同日、2016年の制度導入当初を除き、大手行にマイナス金利が適用されるのはほぼ6年ぶりで、三菱UFJ銀の21年12月中旬から22年1月中旬までの当座預金が適用条件に触れたとみられると報じていた。

    日経によると、今回、マイナス金利の適用対象となる三菱UFJ銀の当座預金は数千億円程度とみられ、同行が日銀に支払う金利は年間数億円になる公算が大きい。

    報道によれば、すでに地方銀行や信託銀行、ゆうちょ銀行などにはマイナス金利が課されているが、メガバンクは市場運用や海外での大口融資に資金を回して当座預金に資金を積まず、マイナス金利の適用を回避してきた。長引く低金利や新型コロナウイルス禍で支給された給付金などが預金の積み上がりに拍車を掛けたという。

    日銀は16年、銀行が日銀に預けている当座預金の一部にマイナス0.1%の金利を課すマイナス金利政策を導入した。

    (c)2022 Bloomberg L.P.

  • 米複数州がFBの仮想現実事業を反トラストで調査開始
    1/17(月) 11:49配信

     1月17日、米IT大手メタ・プラットフォームズ(フェイスブックから改名)の仮想現実事業オキュラスについて、国内の複数州が反トラスト法(独占禁止法)違反の可能性を調査し始めていることが分かった。

    [ワシントン 14日 ロイター] - 米IT大手メタ・プラットフォームズ(フェイスブックから改名)の仮想現実事業オキュラスについて、国内の複数州が反トラスト法(独占禁止法)違反の可能性を調査し始めている。事情に詳しい3人が明らかにした。

    このうち2人によると、米連邦取引委員会(FTC)も調査に関わっている。1人の消息筋によると、関与している州はニューヨーク、ノースカロライナ、テネシーなど。

    これと別に、約50州から成るグループが13日、2020年12月にフェイスブックに起こした反トラスト法訴訟を再び取り上げるよう連邦高裁に申し立てた。

    消息筋の1人は、オキュラスへの調査がもっと大きな調査の一部を構成するとした。

  • ウィーン氏22年びっくり予想-米国株調整、10年債利回り2.75%へ
    1/4(火) 9:49配信

    (ブルームバーグ): 米株式相場は金利上昇の中で2022年に一時20%近く下落した後、前年比ほぼ変わらずで年末を迎える。ブラックストーン・グループのバイロン・ウィーン氏が毎年恒例の「びっくり10大予想」でこうしたシナリオを描いた。

    ブラックストーンのプライベートウェルス・ソリューションズ事業の副会長を務めるウィーン氏は、最高投資ストラテジストのジョー・ザイドル氏と共同執筆した同予想で、タカ派に転じた米金融当局の政策や2.75%に達すると見込まれる米10年国債利回りの影響を米国株が乗り越えるには力強い企業収益では不十分だと指摘。S&P500種株価指数の調整局面を予想し、「20%に近いがそれを超えない」下げが見込まれると述べた。

    S&P500種は3日に0.6%高の4796.56と、最高値を更新して終了。米10年債利回りは1.63%に急上昇した。

    ウィーン氏(88)は元モルガン・スタンレーのストラテジストで1986年以来「びっくり予想」リストを公表しており、ウォール街で最も広くフォローされている人物の1人。

    22年について同氏とザイドル氏は、商品価格などを中心に一部のインフレ圧力が緩和されると予想する一方、賃金や家賃の上昇で消費者物価指数(CPI)は4.5%上昇すると指摘。こうした圧力の中で、金価格は20%上昇し最高値を更新するとの見通しを示した。投資家は安全性やインフレヘッジの観点から金を求めるだろうと述べ、仮想通貨に最近奪われつつある資金の避難所の座を金が奪還すると付け加えた。

    ウィーン氏の「びっくり予想」は一般投資家予想では発生確率が3分の1程度だが、自身は5割以上とみる事象を集めたもの。

    1年前には、S&P500種が21年前半に20%近く下げ、その後に4500まで上昇すると予想していた。同指数は昨年、8月下旬には4500を突破。年末は前年比27%高の4800弱の水準で取引を終えた。

    両氏はまた、米経済成長率が21年に6%を超えると予想していた。ブルームバーグが集計したエコノミスト予想調査の中央値は5.6%。昨年末の米10年債利回りは1.51%で、両氏の予想を49ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下回った。

    原題:Byron Wien Sees Stocks Stalling in 2022 as Rates Rise (1)(抜粋)

    (c)2022 Bloomberg L.P.

  • 「新しい総裁のもとで」「辟易とする」怒り噴出 ついに公然と“菅降ろし”発言
    9/1(水) 12:50配信

    日本テレビ系(NNN)

    自民党・谷垣グループ(有隣会)の代表世話人を務める中谷元防衛相は、グループの会合で挨拶し、「新しい総裁のもとで政策を実行していく」などと述べた。

    また、菅首相が来週にも断行する見通しの党役員人事・内閣改造については「党員や国民はおそらく辟易とする」と批判した。

    【以下、発言全容】

    総裁選につきまして、昨日の報道などで衆議院の解散とか、自民党の役員人事などがありましたけれど、総裁選の日程は決まっていまして、勝手な個人の都合とかで変更すればですね、自民党の信頼を失ってしまうんじゃないかなと思います。「人事で釣る」という方法もあるんですけど、これに対して党員や国民がどう見るか、おそらく辟易とするんじゃないかと思います。

    さらに立候補する議員も出てきておりまして、どのような自民党であるのかということが今、注目されているわけですので、全国の党員や、国民に対して、その期待に応えるということで、総裁選挙は党則で決まっている本則に基づいて、決められた日程のもとで正々堂々と行って、自民党が新しい総裁のもとで、しっかりとした政治基盤のもとに政策を実行していくと、そのような総裁選を実施すべきだと思います。

    また、臨時国会、これは野党から要求がありましたけれど、見送りが決まったと言われていますけれど、まさにコロナ対策をどうするのかという点で、この対応を国民から求められているわけであります。

    やはり、開かれた政治の場ということで、臨時国会を開いてしっかりと政府が、どのようなコロナ対策を実施して、どうするかということをきちんと説明した上で、コロナ対策に必要な予算とか、法律を成立させて、コロナ対策に国民が理解をいただけるように努力して、それから解散すべきです。

    国会で答えも出ていないまま解散・総選挙に突入してもですね、国民の理解を本当に得られるのか、きちんと政府が説明した上で対応すべきではないかと思います。

  • >>397

    トランプ氏「バイデンの無能ぶりの表れだ」
    8/22(日) 23:31配信

    Nippon News Network(NNN)

    アメリカのトランプ前大統領は21日、支持者を前に演説し、アフガニスタンからの撤退の混乱について、「バイデン大統領の無能ぶりの表れ」などと批判しました。

    トランプ前大統領は南部アラバマ州で支持者の集会を開き、バイデン大統領の責任を繰り返し追及しました。

    トランプ前大統領「バイデンのアフガンでの失敗は、国のリーダーとして最も驚くべき無能ぶりの表れだ」

    トランプ氏は今回の事態について、「アメリカの外交史上最大の屈辱」「最大の軍事的敗北の一つとして語り継がれる」「これは撤退ではなく、完全な降伏だ」などと表現し、バイデン大統領の対応を酷評しました。

    また、「撤退の方針」自体はトランプ政権とタリバンとの合意に基づく決定だったことも踏まえ、「自分なら名誉ある撤退を実現できた」とも述べて、撤退のやり方に問題があったと指摘しました。

    政治活動を再開しているトランプ氏は、バイデン大統領の対応を連日批判し、攻撃を強めていて、自らの支持拡大につなげたい狙いもあるものとみられます。

  • アフガン撤退巡りバイデン政権に批判集中…トランプ氏「米国に大きな恥もたらした」
    8/19(木) 6:45配信

    読売新聞オンライン

     【ワシントン=田島大志】アフガニスタン駐留米軍の性急な撤退によってイスラム主義勢力タリバンの全土制圧を許したとして、米国内でバイデン政権の対応に批判が強まっている。与党・民主党内でもバイデン大統領の手腕に疑問の声が上がり、高水準を維持してきた支持率は急落した。

    ◆「敗走」
     ロイター通信とイプソス社が17日に発表した世論調査によると、バイデン氏の支持率は前週を7ポイント下回って46%に落ち込み、1月の就任以来最低を記録した。

     調査はタリバンによる首都カブール制圧後の16日に実施されており、アフガン情勢が影響したのは間違いない。

     バイデン政権が急ピッチでアフガン駐留米軍の撤収を進める中、タリバンに追い立てられるような形で外交官や協力者らの国外退避を余儀なくされたことは、アフガンからの「敗走」と受け止められている。

    ◆トランプ氏酷評

     バイデン氏は1月の就任以来、ワクチン接種の促進など新型コロナウイルス対策で実績を積み上げ、60%前後の高支持率を維持してきた。目立った失政やスキャンダルもなく、野党・共和党は攻め手を欠いてきた。

     それだけに、今回の事態について、共和党からは「外交政策の失敗と無能なリーダーシップが招いた結果だ」(ブライアン・バビン下院議員)と非難の声が噴出している。

     次期大統領選出馬をうかがうトランプ前大統領は17日、声明を出し、「世界史でこれほど悲惨な扱いを受けた撤退作戦はない。多くの点で米国に大きな恥をもたらした」とバイデン政権の対応を酷評した。

     民主党からも失望の声が漏れる。上院軍事委員会のジャック・リード委員長は「インテリジェンスに失敗があり、外交力と想像力が欠如していた」と指摘した。

    ◆「責任転嫁」
    米ホワイトハウス前で、アフガニスタンの国旗を掲げる反タリバンデモ参加者ら(15日)=ロイター

     バイデン氏は16日の演説で、米軍撤収はトランプ政権とタリバンの合意に基づく決定だとし、「大統領として私はそれを選択しなければならなかった」と述べた。「前政権時代に(駐留規模を)2500人まで減らした」とも強調した。

    こうした姿勢は「責任転嫁」の印象を与え、米メディアも批判を強めている。

     ウォール・ストリート・ジャーナルは社説で、バイデン氏が撤退期限を延長することは可能だったとし、「(米同時テロ20年にあたる)9月11日の象徴的な期日に間に合うよう性急な全面撤退を命じた。敗北の代償は苦痛を伴うものとなるだろう」と論評した。

  • 第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト・田中 理氏

    EUが包括的な気候変動対策を発表 炭素国境調整措置導入で貿易相手国も対応を求められる
     欧州委員会は7月14日、温室効果ガスの削減目標引き上げを反映した包括的な気候変動対策を発表した。そこでは、排出権取引制度の見直し、加盟国の排出削減目標引き上げ、気候変動対策が不十分な国からの輸入品に炭素価格を上乗せする炭素国境調整措置などが盛り込まれた。こうした気候変動への取り組み強化は、人々の生活や地球環境の保護に不可欠なものだが、短期的には脆弱な家計、零細企業、交通利用者の負担増加につながる恐れがある。実際の負担に直面した際、一部の加盟国・企業・個人の反発が予想される。また、炭素国境調整措置の導入には、EU域外の貿易相手国の反発を招き、報復関税の発動など貿易戦争につながる恐れもある。なお、こうした提案を最終的にEUが採用するには、加盟国や欧州議会との長く難しい調整が必要となる。今後の協議の過程で、内容の一部が修正される可能性がある点には注意が必要となろう。

    洪水被害がドイツ首相選出に与える影響 首相候補ラシェット氏の危機管理能力

     ドイツ最大与党の党首で首相候補のラシェット氏は、洪水被害の被災地を訪問した際、笑顔で談笑する写真が欧州各紙に掲載され、批判を浴びている。同氏は被害の大きかった州の州首相を兼務しており、災害への備えや対応に問題がなかったかも批判の対象となり得る。今のところ世論調査で与党はリードを保っており、ラシェット氏個人への批判は秋の連邦議会選挙の行方を左右するには至っていない。最大のライバルとなる環境政党・緑の党が、首相候補のベアボック共同党首による盗用疑惑の痛手から抜け出せずにいることに助けられた。ただ、洪水被害は気候変動対策の強化を訴える緑の党の追い風となる可能性もあり、今後の世論調査の動向に注目が集まる。

    ※「市場の目・まとめ」は単発で配信された市場の目(記名入り)をまとめたものです。中期・長期見通しにも役立つ為替・経済に関する見解も多数入っておりますので、今後の取引にお役立てください。なお、各コメントの内容は取材時までの市場の動き・情報をもとに述べられた見解です。

  • >>394

    金よお前もか!
     もちろん、ドルという通貨に対する「信用」も絶対的なものではなく、3月13日公開の「最強通貨・ドル、じつは間もなく『紙くず』になるかもしれないワケ…!」のようなことが起こる可能性は常にある。「米ドルの方が(「信用」に関して)仮想通貨よりはるかにまし」と言うだけのことなのだ。

     そのため、米ドルの価値が「事実上の金本位制」によって支えられていた時期もあった。その「金によるドルの信用の補完が終わったのが1971年のニクソンショック(金ドル交換停止)」である。

     その後、米国がいったいどの程度の金を(本当に)保有しているのか不明であることは、4月20日公開の「『ドルが紙くずになるかもしれない』時代に考えるべき、これからの金の価値」で述べた。

     しかし、それ以外に「我々が確実な現物だと考えている『金』がマネー化している」現実もある。

     人類が古代から採掘した金の総量は、15万トンから20万トン程度、オリンピックプール3杯から4杯ほどしかないとされる。

     こんなに希少な金属(貴金属)なのに、なぜ世の中で普遍的に流通しているのかという疑問が当然浮かぶ。現在、金歯、結婚指輪を始めとして相当な量の金の現物が「個人で保有」されているはずである。また、ツタンカーメンの黄金のマスクなどの古代遺物もそのまま残っている。さらに各国中央銀行も大量に保管している。その残りが、世界市場で取引されるわけだ。

     このような現物に対して、「ロンドン地金市場」はその「地金」という名前にも関わらず、実物の金地金の取引は一部だけで、ほとんどは帳簿上で取引されている。これが一般的にペーパー・ゴールドと呼ばれるものだ。

     このペーパー・ゴールドは、実のところそのごく一部しか金の実物の裏づけが無い。銀行が預金のすべてを手元に置くのではなく、大部分を貸付けなどに回して「信用の創造」を行うのと同じ仕組みである。

     要するに、どのような優良な銀行でも、取り付け騒ぎが起こって一斉に預金引き出しが行われればすぐに破たんするのと同じように、ペーパー・ゴールドも保有者が一斉に地金に交換すれば破綻するということだ。

     また、我々の身近な「純金積み立て」の金の保管方法には、「混蔵寄託(特定保管)」と「消費寄託」がある。

     前者は、いわゆる貸金庫方式である。「建前上」本人名義の金を「分別勘定」で預かっていることになっているが、それが本当かどうかを確認するのは簡単ではない。

     「消費寄託」は、要するに銀行預金と同じで、業者の勘定として運用されるので、業者に万が一のことがあれば戻ってこない可能性が高い。

     前述のように、古代からごくわずかしか採掘されていないはずの金が、世界的に幅広く取引されることが可能になる「システム」を理解しないと危険である。

     詳しくは、人間経済科学研究所代表パートナー・有地浩のレポート「金価格大波乱時代の幕開けか? 『6月末以降爆等』説の背景」を参照いただきたい。

    ビットコイン、デジタル通貨は崩壊するか?
     その答えは、冒頭1で述べた仮想通貨などのマネーにおいてイエスだと考える。ポイントは、国家が保証する通貨にリンクしているかどうかだ。2で述べた電子マネーなどは、既存の国家が発行する通貨の信用力をそのまま借用しているだけだから、「国家が発行するお金」と運命を共にするはずである。

     もちろん、国家が発行するお金でさえ完全に「信用」できないことはこれまで述べてきたとおりだが、だからと言ってはるかに信用力が低い仮想通貨などに投資するのは非常に危険な行為だと思う。

     個人的には、通貨制度が崩壊しても資本主義が存続する限り「優良な企業」は生き残っていくと考えるから、会社の所有権の一部(株式)がもっとも「信用」できる「お金に準じる存在」だと考えている。

    大原 浩(国際投資アナリスト)

  • 「仮想通貨」「ドル」「金」「株」、じつは“一番安心できる”のは…? プロの「意外な答え」

    ビットコインに価値はあるのか?

     仮想通貨(暗号通貨)、電子マネーなど新しいタイプの「お金」の議論が花盛りだ。この新しいタイプの「お金」は概ね2つに分けられる。

     1. 既存の通貨システムとは基本的に切り離されているお金。ビットコインなどの仮想通貨が典型。
    2. 既存の通貨システムの上に乗り、そこから派生する形で生まれるお金。ペイペイなどの電子マネーは基本的にこのタイプ。フェイスブックが企画して頓挫したリブラもここに含まれる。

     1についてはさらに「中央集権型」と「分散型(非中央主権型)」に分けられる。プライベート・ブロックチェーン技術などを利用して銀行などが発行する主体が明確なものは「中央集権型」、パブリック・ブロックチェーン技術などを利用したビットコインなど「誰が発行しているのか(主体が)不明」なものが「分散型」である。

     「中央集権型」の場合は、国家を上回る信用力を持つ発行体が登場しない限り既存の通貨を凌駕することはないと考える。また、もしそのような事態になれば、「国家が(通貨発行権)という主権」を守るために、警察力や軍事力を投入してでも廃止させるであろう。

     「分散型」については、「『中央銀行・政府』の管理から解放された自由な通貨」というのがセールスポイントである。確かに麻薬取引、マネーロンダリングなどの犯罪行為、共産主義中国やロシアなど不安定な国々からの(非合法な)お金の持ち出しには「『中央銀行・政府』の管理から解放された自由な通貨」という点が非常に重宝である。

     しかし、各国政府が「『中央銀行・政府』の管理から解放された自由な通貨」を野放しにするはずがない。これまでも色々な規制の網がかぶせられてきたが、その規制がさらに強化されつつあることが、最近のビットコインを始めとする仮想通貨の価格下落に大きな影響を与えていると考える。

     フェイスブックがリブラで大失敗したことは、2019年10月27日公開の「結局発行延期、facebook仮想通貨リブラはもともと失敗作だ」で述べた。

     フェイスブックCEOのザッカ―バーグ氏が犯した最大の誤りは、「政府権力の重要な要素である『通貨発行権』に土足で踏み込んだ」ことである。リブラが各国の通貨の上に乗る仕組みを採用しながらも、フェイスブックがその「通貨バスケット」を全く新しい通貨として牛耳ろうとしたのだ。

     これまでビットコインなどの仮想通貨が自由に取引できたのは、市場が比較的小さく「ハエ」のような存在だったから、各国政府も本気で対抗しなかったからだと言える。しかし、急速なスピードで成長して影響力を増したこと自体が、各国政府に「危機感」を与えた。つまり「自らの成功そのものが、破滅への発射ボタン」であるということだ。

     チューリップ・バブルのチューリップと、仮想通貨バブルのビットコインは同じと言える。どのようなものの価格でも一時的に高騰させることは可能だ。たとえ、めざしの頭でも……

    投資の神様バフェットも否定的だ
     企業の「本質的価値」に投資するバフェットは、お金の本質的価値も重要視する。常にインフレ(による実質的お金の価値の目減り)を気にする。その彼は、仮想通貨の将来には明らかに否定的だ。

     現在の仮想通貨市場は、かつての日本の「80年代バブル」や「ITバブル」と同じだというのがバフェットの考えだと言えよう。

     しかし、本当に仮想通貨に「本質的価値」はないのか? 既存のお金も、結局は紙切れ(紙幣)や電気信号(電子取引)だから「本質的価値」などなく、「狸(狐)がくれる木の葉と一緒じゃないか?」と思われる読者も多いだろう。全くその通りである。

     紙切れや電気信号そのものに(お金としての)「本質的価値」はない。しかし政府(中央銀行)が発行するお金には「信用」があり、これこそがお金の「本質的価値」なのだ。

     だから、お金の形が、金、銀、貝殻、石、紙、電気信号などどのようなものでも構わない。「お金の価値を生み出しているのは『本質的価値=信用』」といえる。

     このことを明確に示すのが、次の山の村と海の村の逸話だ。

    「交換の先送り」とは?
     お金とは何かということを定義するのは難しいが、私が最も正確な定義だと考えるのは「交換の先送り=信用機能を持つもの」である。少々難しそうな定義だが、2つの部族のやり取りをイメージすればすぐにわかると思う。

     ある山の部族が、大きなシカを仕留めたとしよう。村の人々だけでは食べきれない、残った肉の塊を持って海の村に出向く。

     ところが、海の村では不漁続きで交換できる十分な魚が手元に無い。そこで、「『将来』大漁の時には、大きな魚30匹を山の村に届けるから、『今』その肉の塊を渡してほしい」と申し出る。もし、山の村の人々が同意して取引が成立すれば、これが「交換の先送り」=「信用取引」である。

     読者が山の部族だとした場合、海の村からの申し出をどうするだろうか? 最初に考えるのは、「海の部族は将来本当に魚を持ってきてくれるかどうか?」ということであろう。金融と「信用」が、不可分の関係にあるのは、「相手を信用出来なければ『交換の先送りは不可能』であるというお金の本質」に起因する。

     山の部族の場合は、「もし約束を破ったら村を襲撃するぞ」という暗黙の圧力が、相手が約束を守る信頼性を高めるかもしれない。

    マネーには「安心・安全」が必要だ
     現代でも、この本質は変わらない。例えば米ドルが世界中で普遍的に流通するのは、巨大な米国経済や軍事力で「将来におけるドルの商品(サービス)との交換を保証」しているからだ。法定通貨であれば、その価値が保証されると同時に、「法定通貨の受け取り(法定通貨と交換で商品を売ること)を拒むこともできない」のである。

     米ドルにとって代わられる前、第1次世界大戦以前に「世界通貨」であった英国のポンド(私が上田ハーローに入社した頃も、米ドルほどではないが、特別な通貨であった名残りを感じた)も同じように「大英帝国」の力(信用力)を背景にしていた。

     それに対して、ビットコインを始めとする仮想通貨には、そのような「強力な国家による価値の保証」は存在しない。

     中米エルサルバドルがビットコインを法定通貨とする法案を可決した。 ビットコインが法定通貨になるのは世界初である。しかし、この国では2001年から法定通貨として米ドルが流通(自国通貨コロンを放棄)しており、これからもビットコインと同時に流通する。元々自国通貨を持たない脆弱なエルサルバドル政府がビットコインの価値を保証できるわけではない。

     例えば、エルサルバドルが発行する国債と、トヨタ自動車の社債のどちらが「信用」できるかということである。

     命の次に大事なものには「信頼性」が不可欠だ。かってのポンド、現代のドルは、国家の強力な保証があっからこそ価値が保たれてきたのだ。

     「お金の本質」については、私の処女作「銀行の終焉―近未来マネー論序説―」で詳しく述べた。1996年と四半世紀前の発刊だが、すでに述べたように「『お金の本質』は、古代から変化していない」ともいえ、現在でも通用する内容だと考えている。

  • ウォール街の異端児らが警告、11兆ドルのパッシブ投資ブームは厄災

    (ブルームバーグ): 米国内での運用資産総額が11兆ドル(約1224兆円)規模に膨れ上がったパッシブ投資のブームを苦々しく思う人にとって、アクティブ運用こそ倫理的な投資の原型であり、インデックス投資の呪縛から逃れるための時間はなくなりつつある。

    シンプリファイ・アセット・マネジメントのチーフストラテジスト、マイケル・グリーン氏はパッシブ運用の狂乱的なブームについて、「社会的な意味での惨事がもたらされかねない」と警告する。「危機の到来は必至であり、変化を拒むことはできなくなる」と述べた。

    市場全体の動きをそのまま模倣するインデックスファンドが、最初に設定されてから50年。その規模は資本主義社会の秩序を脅かすほどに膨らんだと、批判派は懸念する。

    パッシブ運用は確かにコストを下げ、投資を大衆化し、多くの人がリターン上昇の恩恵を受けた。その半面、投資に値しない企業に資金が配分され、市場の価格発見機能をゆがめ、ボラティリティー(変動性)が高まるという副作用を批判派は列挙する。

    「市場というのはそもそも、他人に老後資金を蓄えさせることではなく、経済に効率的に資本を配分し、より良い企業への投資を促すシグナルを発信することを本分としている」とグリーン氏は論じた。

    銘柄選別の将来を危ぶむのは同氏に限らない。負け戦であることを重々承知で声を上げる投資家は少なくない。

    サンフォード・C・バーンスタインでグローバルクオンティテーティブ戦略を率いるイニゴ・フレーザージェンキンズ氏はかつて、パッシブ投資をマルクス主義よりたちが悪いと批判。マイケル・ルイス氏の著書「世紀の空売り」で取り上げられ有名になった投資家マイケル・バーリ氏は、「パッシブ投資の知能指数劣化」が株式バブルを悪化させるとツイートした。

    それでもインデックスファンドに巨額の資金流入が続いているのには、それなりの理由がある。大半のアクティブ運用は手数料を引いた後の成績がベンチマークを下回っており、上回ったとしてもそれを維持するのに苦労している事実が繰り返し示されている。

    原題:Wall Street Rebels Warn of ‘Disastrous’ $11 Trillion Index Boom(抜粋)

    (c)2021 Bloomberg L.P.

  • >>391

    水が抜かれて初めて誰が裸で泳いでいるか分かる
     結局、「デフレの終わり、インフレの始まり」は、これまで既得権を死守していた人々には厳しい時代の訪れを告げるサインとなるであろう。

     まず、6月7日公開の「さらば『デフレ経済』…これから『伸びる日本企業』『消える日本企業』を全公開!」で述べたように、「成長企業」の定義ががらりと変わり、これまで有望視されていた企業の多くが脱落。そして、新たなタイプの企業が続々と登場する。

     重要な点は、「目先重視のデフレ型経営は、裸で泳いで身軽になること」であったがそれが逆転するということと、「長期的信頼を得ていない企業は、顧客からも取引先からも見放される」という2つの点だ。

     また、デフレの恩恵を一身に受けていた既得権益層が打撃を受ける。代表的なものが官僚・役人である。彼らは国民がどれほどデフレで苦しんでも、「定額の給与」を確実にもらえる。

     また、最近その実態が暴かれつつある医師も、5月19日公開の「『算術優先』の『プロ』が社会、行政、企業、医療制度を破壊する」で述べたように、国民の血と汗で支えられている「国民健康保険」から自動的に支払いが行われるという巨大権益を持っており、デフレの恩恵を受けてきた。

    現役の稼ぎ手に有利なインフレ
     さらに、年金受給者も、物価下落分の支給額をきちんと下げない(本当は物価スライドで下げなければならないのだが……)ことによる大きなメリットを享受してきている。

     しかし、この「デフレ特権」も、インフレによってその効果が弱まり、むしろ長期的には「物価上昇に追いつかない」という形で不利に働く。

     また、デフレ経済ではすでに資産を持っている者が有利であった(デフレによって預金を始めとするお金の実質的価値が上昇する)が、インフレ経済では資産を上手に運用しないと実質的価値が目減りする。

     逆に言えば、インフレ経済では「稼ぐ人間が圧倒的に有利」である。預金などの資産を持っていても実質価値が目減りするだけだが、「稼ぐ力」を持っていればインフレに対応した収入を常に得ることができる。

     デフレ経済では、若者の血と汗で払っている保険料で、高齢者が優雅な老後を過ごすという図式であった。しかし、インフレ経済では「少子高齢化の中で貴重な労働力」である若者の価値が大幅に上昇し、賃金もインフレ分以上に上昇するのではないかと考える。

     これによって、現在大問題となっている経済の二極化も少しは解消されるかもしれない。

    大原 浩(国際投資アナリスト)

  • 「デフレバブル」崩壊! 目先の浮利に走った人々はどうなる?

    1980年代のバブルと同じ構図

     6月24日公開の「多くの人が知らない…メディアや評論家が『ネガティブ情報』を発信し続けるワケ」の冒頭で述べたような「ネガティブ志向」が蔓延する現在と、「熱狂・狂乱の時代」と呼ばれる「80年代バブル」が似ているなどと言うと、「正気か?」と思う読者が少なくないと思う。

     体験していない若い読者が、この「バブル時代」を理解するためには、「バブルへGO!!  タイムマシンはドラム式」が良いと思う。阿部寛、広末涼子、薬師丸ひろ子などが出演した。「私をスキーに連れてって」で有名なホイチョイプロダクションの作品である。

     「私をスキーに連れてって」が1987年のバブル絶頂期、「バブルへGO!!  タイムマシンはドラム式」は、日経平均がバブル後最安値をつける前年である2007年の極めて「憂鬱な時代」の作品であるから、両者を比べてみると「バブルとはどのようなものであったか」がよくわかると思う。

     このように「狂乱・熱狂」のバブル時代であったが、デフレとは言わないまでも、実はインフレは極めて緩やかであったのだ。わかりやすいのが家賃だが、物件価格が高騰していたのにも関わらずその物件を賃貸するときの家賃は、物件価格に比べると「ほとんど」と言ってよいほど上がらなかった。

     そのため、収益物件の運用利回りは極端に低くなったのだが、それにもかかわらず物件価格が上昇を続けたのがバブルである。まさに経済合理性など無視して「チューリップの球根が高騰するのと同じ理屈」で不動産を始めとする資産価格が上昇した。

     過剰に市場に流れた資金が実体経済に回らず、株式や不動産、さらには金融商品に殺到したのがバブルの本質だと言える。

     その点で言えば、日銀の執拗な「量的緩和・ゼロ金利政策」によって市場に資金があふれている上に、「コロナ対策バラマキ」が推進されてきたのにも関わらず、実体経済には回らず資産や金融商品にマネーが流入している現在はバブル期によく似ていると言える。

     最近でも収益物件への投資が盛んに行われ外国人投資家が日本に殺到するのは、日本の金利が安いからである。不動投資を現金で行うことはほとんどなく、借り入れでレバレッジをかけるのが普通だから、日本の不動産の裸の運用利回り(家賃)が低くても投資は成り立つ。しかし、その「低い金利」という前提こそが「逆バブル」とでもいえるのである。

    いつかは金利が上がる
     たぶん多くの人々にとって「いつかは金利が上がる」という言葉は「耳にタコ」であろうし、「いつかは関東大震災が起こる」(明日起こるかもしれないが)と同じような言葉に感じられるかもしれない。

     確かに、バブル崩壊後長年にわたってこの言葉が使われ続けてきたため、「オオカミ少年」扱いされるのも仕方がないかもしれない。

     しかし今までやってこなくても「いつか(災害)はやってくる」と言うのが、投資の神様ウォーレン・バフェットの教えである。

     さらには、4月30日公開の「いよいよ『大転換』の時代に突入…『インフレ』と『金利上昇』はすぐそこまで来ている!?」で述べたような「インフレ・金利上昇」の兆候がはっきりと出てきている。少なくとも私には「デフレの宴は終わった」ように思える。

     一般読者にとって最も関心のある金利は「住宅ロ―ン」であろう。懸念されるのは多くの人々が変動金利で借りていることである。さらに、固定金利で借りている場合でも住宅金融支援機構の「フラット35」を除けば、10年ごとに金利が見直されるケースが普通だから「準変動金利」とも言える。

     一般的な住宅ローンは、市場金利が上がっても月々の返済額は変わらない。その代わりに(完全固定金利で無ければ)返済額の「元本と利息の割合」の内訳が変化する。その結果同じ金額を払っていても、元本の減り方は遅くなる。そして、例えば10年目などの一定の時期に残った元本から逆算した新たな返済額が決まる。「完済日」は同じに設定されるので、月々の大幅な支払額の増加も考えられる。

     マンションなどの土地部分(持ち分)は2~3割程度で、残りの7~8割は建物だから、インフレによる建築費の高騰によって物件価格が上昇する可能性はあるが、一戸建て住宅の場合は土地部分が大きい。

     4月29日公開の「いよいよ『大転換』の時代に突入…『インフレ』と『金利上昇』はすぐそこまで来ている!?」、2019年5月26日公開の「『この先、日本では不動産を買うな株を買え』といえるこれだけの理由」など数多くの記事で述べてきたように、人口動態などから日本の将来の不動産価格には暗雲が立ち込めている。

     もちろん借り入れているローンの「実質返済額」が、インフレによる貨幣価値の減少によって軽くなるという効果も見込めるのだが、不動産の(インフレを除く実質)価格の今後の上昇は考えにくい。

     その「価値減少」に向かう不動産においての「金利上昇」は「デフレバブル崩壊」の引き金になるのではないだろうか? 

    ただし、日本の株価はバブルとは言えない
     クレディスイスや野村ホールディングなどが関わり大きな損失を出した、アルケゴスやグリーンシルなどの問題は、バブル期の負の遺産である「住専問題」と比較できるだろう。

     もちろん「金融技術」的な側面において両者には大きな違いがあるが、「あふれるマネーを銀行・証券などのオーソドックスな組織ではさばききれず、新興の(当局の監視が緩やかな)金融機関(組織)あるいは新型金融商品が活躍した」というのは同じ構図だ。

     2007年のサブプライム・ショックで有名なサブプライム・ローンも「あふれるマネーの吸収先」の1つであった。

     世界レベルで見れば、アルケゴスやグリーンシルが「東芝だけか? バフェットが見抜いていた、先が見えない企業に共通する『兆候』」で述べた「1匹目のゴキブリ」かもしれない。

     また、米国の株価にも大きな懸念を持っている。現在GAFAなどのITを中心とする米国企業が世界時価総額の上位を独占しているのは、バブル時代に日本の金融機関を中心とする企業群が同じような状態(現在では想像もつかないが……)であったことを思い起こさせる。

     また、パンデミック以後の日本の株価上昇、特に小型株の急騰は、「コロナバラマキ政策」の影響とも思われる。

     しかし、トヨタ自動車をはじめとするいわゆる主力株の割高感はそれほどない。また、昨年4月14に公開の「コロナ危機で、じつは日本が『世界で一人勝ち』する時代がきそうなワケ」で述べた考えに変わりはない。

     もちろん、日本以外の国々の動乱、さらには日本における不動産市場や小型株での混乱も十分考えられる。しかし、日本経済を支える主力企業は、その大きな混乱の中でもしっかりと地に足をつけて暴風雨が過ぎ去るまで耐えることができるであろう。ある程度の被害は仕方がないが、暴風雨が過ぎ去った後の晴天で大いに活躍すると考えている。

    不動産は?
     株式は、バフェット流で言えば「企業の一部」であり紙切れ(電子信号)ではない。だから、株式市場がどのように混乱しても、「暴風雨に耐えることができる企業」であれば、我慢強く待てばよいのだ。

     不動産は、マンションの場合、前述のように建物部分がほとんどだ。つまり自動車を買って保有しているのと同じだから、インフレによる価格上昇はあっても、建物部分の価値は年月とともに減少していく(自動車の年式が古くなったり、走行距離が増えたりするのと一緒)。

     また土地部分も、6000万円のマンションの場合2割として1200万円だが、あくまで更地価値であり、取り壊し費用がかかる上物が乗っている場合の評価はかなり下がる。特に取り壊し費用が天文学的数字になると考えられるタワーマンションは要注意だ。

     さらには、すでに述べた「金利上昇の痛撃」を受けるのも不動産である。最終的にインフレ分の上昇があるかもしれないが、それさえも「人口減少」が確定している日本の不動産への需要減少を考えれば、はっきりとは言えない。

  • 「ハンコック氏は公の場で何度もウソをつき、少なくとも15、20の理由で解雇されるべきだった。国家が期待する基準をはるかに下回り、悲惨な結果をもたらしたことに疑いの余地はない。私は首相に、多くの人を死なせる大惨事になる前に彼を解雇すべきだ」
    (カミングズ元首席特別顧問:2021年5月26日)

    1. ハンコック英保健相の辞任
     ジョンソン英首相が「絶望的」と指弾し、カミングズ元首席特別顧問が「無能」と指弾していたハンコック英保健相が、6月26日に辞任を表明した。
     辞任の理由は、妻と3人の子供がいるハンコック英保健相(42歳)が、英オックスフォード大学時代に付き合っていた、夫と3人の子供がいるジーナ・コラダンジェロさん(43歳)と、執務室でキスしている防犯カメラの映像を、英大衆紙サンが6月25日付けの一面で掲載したことによる。ハンコック英保健相は、昨年、英国が新型コロナウイルスの感染拡大で苦闘していた最中に、元彼女のコラダンジェロさんを秘密裏に保健省の非常勤理事に任命していた。英政府は、新型コロナウイルスの感染予防のために屋内で他人との社会的距離(2メートル)を確保することを求めているが、ハンコック英保健相は他人の妻との社会的距離を確保できなかった。
     ジョンソン英首相は、今年5月29日に元保守党の広報担当者だったキャリー・シモンズさんと3度目となる結婚式を挙げ、夏には第一子が誕生するが、自身の子供が何人いるのか公表していない。そのせいか、ジョンソン英首相は、ダブル不倫にも関わらずハンコック英保健相を続投させる意向だったが、離婚したハンコック英保健相の辞表を受理せざるを得なかった。

    2. ハンコック英保健相の責任
     2020年1月24日、中国での新型コロナウイルス感染を受けて、英国で第1回のコブラ会議、英首相が非常事態対応のため招集する緊急事態対策委員会(Civil Contingencies Committee)が開催された。コブラ会議の後、ハンコック英保健相は「英国民へのリスクは低い」と楽観視していた。
     2020年3月2日の第6回コブラ会議では、ジョンソン英首相が初めて議長を務め、第1回目の都市封鎖(ロックダウン)(3月23日〜5月10日)が決定された。しかし、3月27日には、ハンコック英保健相とジョンソン英首相が新型コロナウイルスの検査で陽性だったことが判明した。ジョンソン英首相は、4月5日に入院して集中治療室(ICU)に入り、3日間にわたり酸素吸入を受けた後、4月12日に退院した。
     その後、英国では新型コロナウイルスのイギリス変異株(アルファ株)、インド変異株(デルタ株)の感染が拡大している。
     2021年6月29日時点のホプキンス大学調査の英国での感染者数は4,771,289人、死者は128,367人となっている。そして、新規感染者が2万2868人となり、1月末以来の多さとなったと報じられている。
     イギリスのコロナ遺族の会は、6月26日、「絶望的な保健相を交代させるのは一つのことに過ぎない。コロナが猛威をふるう冬が再び来る前に、これまでのコロナ対策を検証して、その教訓から学ぶべきだ」との緊急声明を出した。

  • 米住宅業界は「ハイパーインフレ」、労働力と材料が障害-ゼルマン氏

    (ブルームバーグ): 不動産調査会社ゼルマン・アンド・アソシエーツのアイビー・ゼルマン最高経営責任者(CEO)は、米住宅業界で労働力と材料の目詰まりを伴う「ハイパーインフレ」が見られていると述べた。

    ゼルマン氏はウォーカー・アンド・ダンロップのウィリー・ウォーカーCEOとのウェブキャストで、トラック運転手の不足と輸送が大きな問題として目立つと語った。

    また「消費者がある時点でお手上げ状態になる」とし、それがいつになるかが問題だと警告。今後あり得る金利上昇や米金融当局の資産購入のテーパリング(段階的縮小)の影響についても注意を促した。

    ゼルマン氏はその一方で、市場への供給拡大が今後見込まれるとし、住宅建設株は割高だと指摘。下期は住宅建設会社にとって厳しいものになると想定している。

    原題:Zelman Warns of Housing ‘Hyperinflation’ Amid Supply Constraints(抜粋)

    (c)2021 Bloomberg L.P.

    Felice Maranz

  • ブレバン、主要ファンドが新規資金受け入れ停止-資産膨張で規模抑制

    (ブルームバーグ): ヘッジファンド会社ブレバン・ハワード・アセット・マネジメントは、主要ファンドの2つで新規資金の受け入れを停止した。昨年に記録的な好成績を上げ、資金が膨らんだことが理由だ。

    事情に詳しい関係者によると、旗艦ファンド「ブレバン・ハワード・マスター・ファンド」の運用資産は昨年の年始から2倍以上増えて70億ドル(約7800億円)余りに達し、リターンを維持するためブレバンとしては規模を抑えたい意向。「ブレバン・ハワード・アルファ・ストラテジーズ・マスター・ファンド」も同様の理由で新規資金の受け付けを停止したという。

    ブレバンは3年前までさえないリターンが続き、顧客資金の流出阻止に躍起になっていた。それが今や状況は一変した様子だ。運用資産の合計額は2013年の400億ドル超から一時は約60億ドルまで落ち込んだが、160億ドル前後まで盛り返したと、関係者の1人は述べた。

    ブレバンの広報担当者はコメントを控えた。

    原題:Brevan Howard Shuts Main Hedge Fund to New Cash as Fortunes Turn(抜粋)

    (c)2021 Bloomberg L.P.

  • オバマケア無効要求退ける 米最高裁、国論割れる保険

    【ワシントン共同】米最高裁は17日、民主党のオバマ元政権が導入した公的補助を通じ保険加入を義務付ける医療保険制度(オバマケア)無効化を求める共和党側の訴えを退けた。政府への依存に抵抗感が強い保守層を背景に共和党が負担増などを訴えて制度に反対する一方、民主党は幅広い層に保険が行き渡ることを重視。医療保険は米国で国論を二分する課題となっている。

     2010年にオバマケアが立法化されて以降、最高裁が支持するのは3回目。判事9人のうち7人が無効化に反対、2人が賛成した。廃止を目指した共和党のトランプ前大統領に指名された保守派判事3人のうち2人も無効化に反対した。

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