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 米ニューヨーク連邦地検は25日、インサイダー取引の疑いで米ヘッジファンド大手のSACキャピタル・アドバイザーズを刑事訴追したと発表した。投資家の資金引き揚げが加速するのは避けられない情勢で、150億ドル(約1兆5千億円)の運用資産を誇る巨大ファンドが廃業に追い込まれる可能性も出てきた。

 SACは過去20年の年率の投資収益が約30%に上るとされてきた。だが、高収益は未公表の内部情報を不正に得た結果であったと明らかになり、投資家の信認は大きく損なわれた。これまで日本株など世界の株式市場に投資しており、一部には株式市場への影響を懸念する声もある。

 創業者のスティーブ・コーエン氏の追放を求めた、19日の米証券取引委員会(SEC)の提訴に続く措置。連邦地検によると、SACの複数の運用担当者は1999~2010年にかけて、企業の未公表の内部情報に基づいて上場株を売買し、不正な利益を上げた。地検は「インサイダー取引としてはヘッジファンド業界でも前例のない規模だ」と糾弾した。

 SACを巡っては高い投資収益を追求するあまり、あらゆる手段を尽くして企業の内部情報を得ようとする例が相次いで発覚していた。不正を防ぐコンプライアンス(法令順守)を軽視した結果、多くのインサイダー取引につながったとみられる。地検によると運用担当者の運用成績が報酬に直結する給与体系も不正の温床になったという。

 SACは3月、インサイダー取引として過去最大となる6億1400万ドルの和解金をSECに支払うことで合意。問題が収束に向かうとの見方もあったが、SECは先週末に創業者のコーエン氏を民事提訴した。

 SACは「組織としてはインサイダー取引に関与していない」との立場だが、地検もSACの訴追に踏み切り、旗色は一段と悪くなっている。

 米ヘッジファンドを巡っては、11年に大手ガリオン・グループの創業者がゴールドマン・サックスなど有力企業の株式売買を巡るインサイダー取引の罪に問われ、懲役11年の実刑が確定した。

 機関投資家の資金が流れ込んで、ヘッジファンドの運用資産は軒並み過去最高を更新している。金融市場に与える影響力が増すなか、不正取引に関与するファンドも目立つ。