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  • 小笠原諸島に初の巡視船 返還50年、海保が配備計画 中国サンゴ密漁備え体制強化




     平成26~27年に中国漁船によるサンゴ密漁が相次いだ東京・小笠原諸島周辺海域の海上保安体制の強化に向け、海上保安庁が父島(ちちじま)への巡視船配備を計画していることが23日、関係者への取材で分かった。

    小笠原では、外国機の領空侵犯・接近を監視する航空自衛隊の移動式警戒管制レーダーの展開基盤整備も予定。

    26日に米国からの返還50周年を迎える中、国土防衛上の重要性も高まっており、海、空双方で有事対応能力を向上させる。

     小笠原諸島周辺海域では26年9月~27年1月、1日で最大200隻以上の中国漁船が出没し、サンゴ密漁の違法操業を行った。

    当時は父島にある小笠原海上保安署の監視取締艇だけでは対応が追いつかず、より高性能な巡視船の応援に頼らざるを得なかった。

    今も巡視船が配備されていない小笠原では、有事に即応できない状態が続いている。

     このため海保は、小笠原の人員増強と巡視船配備を計画。現在常駐する6人に、巡視船に乗船する15人前後を加えた20人前後を収容できる宿舎を整備する方針を決めた。

    30年度予算に宿舎の設計費約4600万円を計上し、同保安署内に用地を確保して来年度以降の着工を目指す。

    世界自然遺産に囲まれるなどして場所が限られる中、同保安署近くに巡視船の係留予定地も確保した。

    巡視船は数年以内に配備する計画だが、新たに建造するか、稼働中のものを配備するかは検討中という。

     小笠原周辺では、噴火活動で成長を続ける西之島の影響で排他的経済水域(EEZ)が拡大しており、海保の担当者は「周辺海域はEEZの約3割を占め、海上保安上の重要な拠点」と強調する。

    東京都側も「島民の生活に密着する海域の安全が高まる」と巡視船配備を歓迎している。

     26年のサンゴ危機時に航路を分析した海保は、密漁船の多くが中国南東部の福建省や浙江(せっこう)省を出て尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺を通り小笠原に現れることを把握。

    尖閣と小笠原で警戒態勢を敷く「二正面作戦」を展開した。海保によると、作戦の効果で小笠原での中国漁船によるサンゴ密漁は近年、ほとんど無くなったという。

     小笠原周辺には高価取引の対象になるサンゴの存在が現在も確認されており、海保は「海上保安署の体制を増強し、いつ戻ってくるか分からない密漁船に備えたい」としている。


     【用語解説】小笠原諸島

     東京の南約1千キロに位置し、父島列島など約30の島から構成される。4月1日時点の人口は2610人で、戦前のピーク7711人(昭和19年)の約3分の1。

    戦後の同21年、米国軍政下に敷かれたが、同43年6月26日、日本に返還されて東京都に編入した。東京からの主な交通手段は約6日に1便の船便(片道約24時間)で航空路はない。

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