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  • 「特定秘密保護法」が今国会で可決成立した。外交・防衛等に関する国家機密を保護する法制がきわめて不備であった日本国において、国家の安全と国益を守るための基本法制が完備されることは、好ましいことだ。尽力された人士に、敬意を表したい。

    マスメディアの一部(:特に、毎日新聞社とTBS)は、国家の安全と国益ということを理解することができず、「この法案が成立すれば、戦前のような言論統制に逆戻りする」・「治安維持法と同じだ」といった、荒唐無稽のデマをヒステリックに喧伝している。愚かと言うほかない。呆れ果てて言うべき言葉も見当たらない。愚か者は嘲笑しておけばよいわけだが、ことメディアである以上、事の本質を歪曲し、世論を間違った方向に誘導する手立てをもつだけに、タチが悪い。

    さて、外交・防衛などに関する国家機密の保護のための法制を考える場合、1971年の沖縄返還をめぐる日米交渉の際、毎日新聞社記者・西山太吉が犯した外交機密漏洩犯罪を思い起こさざるをえない。

    1970~71年の佐藤首相の下での日米交渉の渦中のことである。日本側は「米軍使用用地の原状回復に要する費用」400万ドル(時価で約12億円)を日本政府が支払うこととした。1971年6月、「沖縄返還協定」の調印に当たって、上記の交渉における日本側の譲歩は、公表されなかったが、沖縄返還が円満に実現されるためには、やむを得なかったものとして、理解できる。

    この「協定」の調印の直前、毎日新聞社政治部記者であった西山太吉は、1971年5月、「それほど親交のあつたわけでもなく、また愛情を寄せていたものでもない外務省女性職員Aを誘い、酒食を共にしたうえ、同女と肉体関係をもち」、1971年5月22日以降、 「秘密文書の持出しを依頼して懇願し、(同女性職員から)十数回にわたり秘密文書の持出しをさせていた」(最高裁判決文)。西山太吉は男女関係を利用して外務省女性職員Aから日米交渉に関する内部資料を漏洩させたのである。

    毎日新聞社は、日米交渉における日本側の譲歩の事実(:毎日の表現では、「日米交渉の裏取引」)を「大スクープ」として報道した。また西山太吉は、この事実の裏付けの「外務省極秘電文」のコピーを、日本社会党に提供し、社会党の横路孝弘と楢崎弥之助は、これ材料にして、衆議院において、佐藤内閣の沖縄返還交渉を攻撃した。

    この後、東京地検・特捜部は、1972年、西山太吉が「情報目当てに既婚の外務省事務官に近づき酒を飲ませ泥酔させた上で性交渉を結び、それよって外交機密を漏洩させた」として、女性職員を「国家公務員法違反(機密漏洩の罪)」、西山太吉を「国家公務員法違反(教唆の罪)」の罪状により逮捕した。

    裁判では、1974年の東京地裁一審において「無罪」、1976年の東京高裁控訴審で「有罪」。1978年、最高裁が上告を棄却し、両被告の「有罪」が確定。

    なお、この日米交渉上の事実は日米の外交機密として、日米間で秘匿されたが、2000年、アメリカ国立公文書記録管理局が「機密解除」を行ったため、この事実が公開されるに至った。(この間、歴代の外務大臣が国会で、「この事実の存在」を否定してきたのは、日米双方の間の「外交機密保全」の観点からして、当然のことである。)

    以上の「毎日新聞社記者・西山太吉事件」をめぐって、二点指摘しておかなければならない。

    第一は、件の外交交渉上の細部にわたる情報を、秘匿するにせよ、公開するにせよ、その処置の根拠となるべき法制が、従前、全くなかったということである。西山事件においては、「国家公務員法」を適用する以外に手立てがなかった。国家の内部情報を管理する場合、どこまで秘匿し、どこから公開するのが、国益擁護の観点から見て適切なのか、この点について原則を立て、法的根拠を与える必要がある。それが「普通の国家」というものだ。

    第二に、元・毎日新聞社記者・西山太吉のように、反倫理的手段さえをも用いて国家機密を漏えいさせる行為を、「知る権利」の美名のもとに、野放しにして良いのか、という問題である。防衛や外交の世界には、「当座は秘匿しておかねばならない情報」は、いくらでもある。必要な機密情報をその必要に応じて管理することを、全て否定するならば、外交や防衛は、そもそも成り立たない。秘匿の必要性が消滅した時点で公開すれば良いまでである。現状では、秘匿は言うに及ばず、公開の原則すらもない。情報管理のための法制が存在しない現状こそ、異常事態なのである。

    これらのことすら理解できない一部メディアは、単なる世論誘導を企む悪質な宣伝媒体、もしくはデマ垂れ流し屋に過ぎないと言うべきである。私は、愚かな一部マスメディアの煽動に乗ることなく、冷静に国家の在り方と命運を考えたい。

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