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 【ドバイ=久門武史】原油安で財政が悪化しているサウジアラビアが資金調達を急ぐ。英フィナンシャル・タイムズ(FT)はサウジが国際銀行団から100億ドル(約1兆900億円)を借り入れると伝えた。外国から融資を受けるのは25年ぶり。原油依存を減らそうと、サウジは国営石油会社の株式上場や政府系ファンドの拡充で収益源を広げる改革に乗り出す。

 歳入の大半を原油に頼るサウジは隣国イエメンへの軍事介入で戦費がかさみ、2016年予算で3262億リヤル(約9兆5000億円)の財政赤字を見込む。2月の外貨準備は2兆2224億リヤルと前年同月より17%減った。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は2月、サウジの格付けを2段階下げた。

 FTによると銀行側の貸し出し意欲が強く、サウジは調達額を当初予定の60億~80億ドルから積み増した。三菱東京UFJ銀行や英HSBC、米JPモルガン・チェースなどが融資する。サウジが外国銀行の融資を受けるのはイラクがクウェートに侵攻した翌年の1991年以来。国外での国債発行も検討している。

 資金調達の一方で、サウジはムハンマド副皇太子の主導で経済改革を進める。柱の一つが世界最大の石油会社である国営サウジアラムコのサウジ株式市場への上場だ。同社の市場価値を裏付けに、既存の政府系ファンドの資産規模を2兆ドル超に拡大する。副皇太子が3月末、米通信社ブルームバーグのインタビューで明らかにした。

 副皇太子は18年までにアラムコを上場するとし、子会社だけでなく本体の株式の「5%以下」を売り出す方針を示した。そのうえでアラムコ株を設立済みの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)に移すとした。

 アラムコが管理する原油などの可採埋蔵量は民間で最大の米エクソンモービルの10倍を超え、企業価値は数兆ドルになるとの見方がある。副皇太子はPIFの資産規模が2兆ドルを超えるとし「地球上で最大のファンドになる」と語った。

  • >>257

    豊富な石油埋蔵量を裏付けにした資金で投資運用収益を増やし、新たな歳入の柱に育てる。副皇太子は「20年以内に我々は主として石油に頼らない国になる」と強調した。PIFは現在、石油化学大手のサウジアラビア基礎産業公社(SABIC)などの株を保有し、近年は海外投資も活発化させている。

     主な産油国が原油の増産凍結を目指し17日にカタールで開いた協議は、サウジがイラン抜きでの合意を拒み、不発に終わった。原油価格の下支えより、政治的に鋭く対立するイランへのけん制を優先させるサウジの姿勢は鮮明だ。

     国際指標の北海ブレント原油は1バレル43ドル前後と、115ドル台をつけた14年6月に比べ6割安い水準にある。供給過剰が解ける見通しは立たず、サウジは原油安の長期化を前提に経済をかじ取りする必要に迫られている。