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気になるニュースを載せてみた☆の掲示板

>>270

英国民投票を受けて、欧州諸国ほぼ全てに3年間の深い内省の時間がもたらされた。この期間に英国およびEUは世界でこれまで伝統的に担ってきた役割の一部から遠のいた。米国もこれ以上の責任を負うことには及び腰で、そこで生まれた「空白」はそれ以外の国々が行き当たりばったり的に埋めていった。これでグローバル世界は一段と分断化され、米政治学者イアン・ブレマー氏の言う主導国なき「Gゼロ」の世界に向かう足取りを速めた。
  欧州以外の世界経済や金融市場も影響を受けた。欧州が不安定になれば、そこから波及する負の影響を完全に回避することは、どんなにがんばってもできない。金融市場は変動の激しさを伴う時期に見舞われ、これが世界の成長には逆風となった。世界経済が全体としてなんとかリセションを回避できたのは、米国の賢明な政治指導者と経済にようやく「スプートニク的瞬間」が訪れたシステム上重要な新興国のおかげというほかない。
T字路
  だが、今われわれが生きているのは混乱さめやらない16年だ。ここまで描いた19年のシナリオは、世界経済が近づいている重大なT字路の先に訪れる2つの可能性のうちの片方にすぎない。現実化する公算が同じ程度あるもう一つのシナリオは、今以上に政治が機能せず、世界的リセッションが発生、金融は深刻な不安定性に見舞われ、孤立主義が拡大、そして所得や富、機会の不平等が悪化するというものだ。
  行き止まりが近づき、あり得ないとか考えられないとされていたことが現実となる中で、ある意味で英国とEUは将来の世界経済の状況を示唆する先行指数だ。重大な挑戦を受けて立ってくれることを願おう。多くが懸かっている。