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気になるニュースを載せてみた☆の掲示板

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  • 2023/03/07 00:10
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掲示板のコメントはすべて投稿者の個人的な判断を表すものであり、
当社が投資の勧誘を目的としているものではありません。

  •  【ドバイ=久門武史】原油安で財政が悪化しているサウジアラビアが資金調達を急ぐ。英フィナンシャル・タイムズ(FT)はサウジが国際銀行団から100億ドル(約1兆900億円)を借り入れると伝えた。外国から融資を受けるのは25年ぶり。原油依存を減らそうと、サウジは国営石油会社の株式上場や政府系ファンドの拡充で収益源を広げる改革に乗り出す。

     歳入の大半を原油に頼るサウジは隣国イエメンへの軍事介入で戦費がかさみ、2016年予算で3262億リヤル(約9兆5000億円)の財政赤字を見込む。2月の外貨準備は2兆2224億リヤルと前年同月より17%減った。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は2月、サウジの格付けを2段階下げた。

     FTによると銀行側の貸し出し意欲が強く、サウジは調達額を当初予定の60億~80億ドルから積み増した。三菱東京UFJ銀行や英HSBC、米JPモルガン・チェースなどが融資する。サウジが外国銀行の融資を受けるのはイラクがクウェートに侵攻した翌年の1991年以来。国外での国債発行も検討している。

     資金調達の一方で、サウジはムハンマド副皇太子の主導で経済改革を進める。柱の一つが世界最大の石油会社である国営サウジアラムコのサウジ株式市場への上場だ。同社の市場価値を裏付けに、既存の政府系ファンドの資産規模を2兆ドル超に拡大する。副皇太子が3月末、米通信社ブルームバーグのインタビューで明らかにした。

     副皇太子は18年までにアラムコを上場するとし、子会社だけでなく本体の株式の「5%以下」を売り出す方針を示した。そのうえでアラムコ株を設立済みの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)に移すとした。

     アラムコが管理する原油などの可採埋蔵量は民間で最大の米エクソンモービルの10倍を超え、企業価値は数兆ドルになるとの見方がある。副皇太子はPIFの資産規模が2兆ドルを超えるとし「地球上で最大のファンドになる」と語った。

  • 熊本地震の被災者を支援する義援金の募集が全国に拡大する中、日銀が2月に導入したマイナス金利政策が思わぬ波紋を広げている。地方銀行や信用金庫などに多額の義援金が集まると、マイナス金利適用の影響で金融機関に負担が生じるためだ。日銀は今後の資金の動きを見極め、対応策を検討する構え。

     日銀は、銀行などが短期資金を預け入れる当座預金残高の一部に0.1%のマイナス金利を適用している。地元地銀などに多額の義援金が振り込まれると同預金の残高も増加し、マイナス金利の影響で負担が拡大する恐れが出てくる。

     仮に銀行が余剰資金を短期金融市場で運用しようとしても、現在はマイナス利回りでの取引が定着しているため、負担が増すことに変わりはない。

     政府の復興資金の払い込みが行われると、金融機関へのマイナス金利の影響はさらに深刻になる。被災自治体の指定金融機関である地元の地銀に多額の財政資金が流入すると、日銀当座預金への預入残高の急増が避けられないためだ。

     日銀内には「マイナス金利の例外を認めると線引きが難しくなる」(幹部)との声も根強いが、市場からは「被災者の心情を踏まえるとある程度の配慮が必要ではないか」と、例外扱いを支持する意見も出ている。

     想定外の地震対応に苦慮する日銀だが、今後はマイナス金利の適用緩和のほか、東日本大震災の被災地に店舗がある金融機関への支援策として始めた資金供給の対象を、熊本地震にも拡大することなどを検討する可能性がある。

  • >>254

    ●背景となるニュース

    ・ホワイトハウスは18日、米議会で9.11に対するサウジアラビア政府の責任を問う内容の法案が可決されたとしても、サウジが保有するドル建て資産の売却を実行することはないと自信を示した。

    ・ニューヨーク・タイムズの15日の報道によると、サウジのジュベイル外相は米議会に対して、この法案が可決された場合、最大で7500億ドル相当の米国債その他のドル建て資産を売らざるを得ない、と警告した。

    ・アーネスト米大統領報道官は、オバマ大統領は法案を支持しておらず、署名もしないと断言した。法案は、9.11の被害者がサウジ政府を提訴することを認めている。

    ・アーネスト氏は記者団に「サウジは、国際金融システムの安定維持が共通の利益であることをわれわれと同じぐらい重々承知しているのは間違いない」と語った。

    ・オバマ大統領は今週、サウジを訪問する。大統領は、この法案は米国が他国民から訴えられる危険をもたらすとの理由から反対している。

  • サウジアラビアがお金にまつわるジョークを口にすることは滅多にない。ということは、米議会で2001年9月11日の同時攻撃(9.11)の被害者がサウジアラビア政府に賠償請求できるようになる法案が可決された場合、同国がドル建て資産を売却することを示唆した事実を、投資家は簡単に切り捨てられない。

    サウジにとっては、投げ売りすれば破滅的な影響を被るだろうが、それでもイランのように資産を凍結されるよりはましなのだ。

    米紙ニューヨーク・タイムズによると、サウジのジュベイル外相は、同国の資産が接収されるのを防ぐためには売却せざるを得なくなる、と米議会に警告した。法案が成立すれば、サウジは最大で7500億ドルのドル建て資産を手放すことを余儀なくされるという。

    米国債を中心とするサウジ保有のドル建て資産は、財政悪化につながった原油安から自国経済を守る最後の砦と言える。サウジは昨年、国内総生産(GDP)の15%に相当する財政赤字を計上した。今後5年間の原油価格が平均1バレル=30ドルで推移するなら、発生する赤字をカバーするには5800億ドル借り入れる必要がある、というのがシティの試算だ。これはサウジ通貨庁(SAMA、中央銀行)がなお保有する準備金の額にほぼ等しい。

    政府系ファンドとしての役割も果たしているSAMAは、過去1年間で石油収入の急減を補うために資産売却を進めてきた。直近の財務報告書によると、2月までの1年間に準備金は17%減って5930億ドルとなった。今のペースならば、原油価格の反転がない限りSAMAの準備金は2020年までにほぼ底をつきかねない。この資金が使えなければ、サウジ王家は国内情勢を平穏に保つのは難しくなるだろう。

    だからこそジュベイル外相の脅しは、軽々に扱えない。もちろんこれほどの規模で性急に資産を売却するのは信じられないほど危険な行為だ。サウジリヤルはドルペッグ制を採用しており、急速にドル建て資産を手放すことで、SAMAはペッグ制を維持する能力があるかどうかが問われる。その上に世界の金融市場を動揺させ、原油需要を一層冷え込ませるかもしれない。

    サウジ政府がこうした大混乱を招く行動をあえて取ろうと考えていることからは、権力を維持するためにいかに多くのお金を必要としているかがうかがえる。それが今回の大騒ぎが発したメッセージの中で最も恐ろしいものだろう。

  • >>252

    三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは8日付のリポートで、今会合で「マイナス金利のコストを負担している金融機関の軽減を狙った措置も検討されるかもれない」と指摘。「日銀も同様にマイナス金利ボーナスを付ければ、金融機関にとって政策金利残高に適用されるマイナス金利のコストを相殺できるオプションが生まれる」と指摘する。
      一方、マイナス金利での貸し出しには懐疑論もある。ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは13日付のリポートで「市場では、日銀がECBに倣って一部マイナス金利が適用される貸出支援基金オペを導入するとの見方もあるようだ」とした上で、「意味のある政策とは思えない。日本での貸し出し需要の低迷は借り入れ需要にあることは明白だ。企業は金利が低ければ借りるわけではなかろう」としている。

  • >>251

      日銀は27、28日に金融政策決定会合を開く。エコノミスト41人を対象に15-21日実施した調査で、追加緩和予想が23人(56%)と、量的・質的緩和が導入された2013年4月3日会合以降では最も高くなった。手段については、マイナス金利に対する国民の不安感や、日銀の当座預金へのマイナス金利適用でコストを負担する金融機関の反発もあり、マイナス金利の拡大は困難との見方が強い。
      BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「今会合での追加緩和の有無とは別に、熊本地震を受けて、被災地の金融機関を対象に何らかの支援策が実施される可能性は高い」と指摘。具体的には「復興資金をマイナス金利で供給する、あるいは、実質的に同じことだが、復興資金をゼロ金利で貸し出し、それに見合う分の当座預金に対して0.1%の付利を与えるといった可能性が考えられる」という。
      河野氏は「将来的には、被災地に限らず、貸し出し増加支援策として、こうした政策がとられる可能性もある」とみている。
      クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「4月会合を現状維持とすることは困難であり、何らかの追加緩和措置の決定は不可避」と指摘。手段としては「量的緩和拡大の可能性は極めて低く、質的緩和(資産購入)拡大、マイナス金利引き下げが基本的なオプション」とした上で、「貸出支援基金オペの金利を0%からマイナス0.1%ないしマイナス0.2%に引き下げる措置と同時での決定」を予想する。
    金融機関へのボーナス
      マイナス金利での貸し出しはいわば日銀による金融機関へのボーナスだ。こうした政策に関心が広がっている背景に、欧州中央銀行(ECB)の決定がある。ECBは3月10日の理事会でマイナス金利を0.3%から0.4%に拡大。同時に、これによる銀行収益の圧迫懸念に配慮し、ベンチマーク対比で貸し出しを増やした銀行に、その程度に応じてECBからの貸し出しに最大でマイナス0.4%まで金利を付与することを決定した。

  • [東京 22日 ロイター] - 日銀は22日、金融システムの現状と展望をまとめた「金融システムリポート」を公表した。金利が全年限にわたって1%上昇した場合の金融機関への影響について、2015年12月末時点で大手行2.3兆円、地域銀行2.8兆円、信用金庫2.0兆円の債券評価損が生じると試算した。


    【本田悦朗スイス大使対談】安倍政権ブレーンに聞く世界経済と日本経済の課題

    2016年4月21日 https://youtu.be/YHAWQC1CdPs


    日本銀行は金融機関が資金を預ける当座預金の一部にマイナス金利を適用しているが、金融機関に対する貸し出しに対しても、マイナス金利を適用することを検討する案が浮上している。
      日銀は成長基盤強化と貸し出し増加に向けた取り組みを支援するため、貸出支援基金を設けて金融機関に対して現在0%で資金供給を行っている。複数の関係者によると、今後、日銀当座預金の一部に適用している0.1%のマイナス金利(政策金利)を拡大する際は、市場金利のさらなる引き下げを狙って、貸出支援基金による貸出金利をマイナスにすることを検討する可能性がある。
      複数の関係者によると、これにより市場金利の一層の低下を促し、経済全体を押し上げる効果が見込まれる。一方で、マイナス金利での貸し出しは金融機関への補助金ではないかという批判を招くリスクがあるほか、金利全般の低下により収益悪化懸念が強まっている金融機関にとっては、企業から一段と低利での貸し出しを求められる可能性もあるため、日銀は導入の是非を慎重に検討する方針という。
      貸し出し増加を支援するための資金供給の残高は現在24.4兆円。日銀はこのほか、成長基盤強化を支援するための資金供給と被災地金融機関を支援するための資金供給を行っており、前者の残高が5.6兆円、後者は4212億円。
      午後の東京株式相場は上昇に転換。銀行株は急伸し、三菱UFJフィナンシャル・グループが一時8.2%高、三井住友フィナンシャルグループが同6.9%高、みずほフィナンシャルグループが同7.2%高などとなった。ドル・円相場も一時1ドル110円台を回復した。
    6割が追加緩和予想もマイナス金利拡大は困難か

  • >>248

    そして、ここ数年は、新興国・資源国通貨は大幅に下落しており、日本人に限らず、投資家に大きな損失を与えている。だが、マイナス金利政策の実施や日本株の下落で、投資家の新興国・資源国通貨投資に対する関心はいまだに高いようだ。

    「ベスト10」は、今後、原油価格が反転した場合に、上昇する可能性が高い通貨である。カナダドル、オーストラリアドル、ノルウェークローネといった資源国通貨が上位となっている。

    逆に、「ワースト10」は、原油価格が反転・上昇した場合、下落する可能性が高い通貨である。中国人民元、韓国ウォン、フィリピンペソなど、どちらかといえば、「資源を使う新興国」の通貨が並んでいる。

    さらに「その他」には、「ベスト10」、「ワースト10」に入ってこなかった国の中で代表的な国が含まれている。日本人投資家に人気がある通貨として、ニュージーランドドル、ブラジルレアル、メキシコペソ、インドルピーなどが「その他」に分類される。

    これらのうち、「ベスト10」に入る国の通貨は、「原油価格の反転・上昇」というシナリオの下で投資するのに魅力がある国であり、「ワースト10」はない国ということになる。「その他」は、「原油価格の反転・上昇」と通貨変動に関連性が見られない国ということになろう。

    また、図表3は、原油価格の上昇局面と下落局面での相関係数の関係をプロットしたものである。カナダ、オーストラリア、ノルウェーは、原油価格の上昇・低下局面ともに相関が高いが、その他の通貨に関してはバラバラであることがわかる。


    すなわち、これは、原油価格の反転・上昇シナリオの下で、原油価格下落局面で下落率が高かった国の通貨に逆張りで投資するという単純な投資は、上述の3つの国の通貨を除けば危険であることを意味している。

    このように、今後は、新興国・資源国通貨といっても決して同じような動きをするのではなく、通貨毎に異なった動きをする可能性が高まっている。これから新興国・資源国通貨に投資する際にはこのことに注意する必要がある。

    そのような経緯もあり、筆者は、新興国・資源国通貨に投資するのはリスクがかなり高いのではないかと思うのだが、ここでは、敢えて、原油価格がリバウンドする局面で、どのような新興国・資源国通貨がリバウンドするかを考えてみたい。

  • >>247

    多くの識者が、世界経済の減速や米国のさらなる利上げを予想しているが、リーマンショック並みの世界景気の落ち込み、及び、超過準備がゼロになるほどの極端な金融引き締めは想定していないだろう。そのため、現在の原油価格の水準をファンダメンタルズに基づく客観的な数値で正当化することは難しいと思われる。

    確かに、前述の原油価格上昇要因に即して考えると、中国の成長率の減速は続くため、「世界生産」の減速は今後も続くだろうし、米FRBによる利上げの継続は、今後も米国のマネタリーベースの削減につながる可能性が高い。よって、世界生産と米国マネタリーベースから算出される原油価格の予想値が大きく反転するとは考えにくい。
    新興国・資源国通貨への投資の妙味

    だが、現時点の原油価格は、既にこれら2つの指標から計算される推定値を大きく下回っている。そのため、今後の原油価格動向を考える場合に、「ファンダメンタルズ要因(特に需給動向)」はあまり意味を持たないかもしれない。せいぜい、「当面、1バレル=100ドルまで上昇する可能性は極めて低い」程度のものではなかろうか。

    そして、このような局面では、得てして、予期せぬ形でリバウンドする可能性がある。最近の原油価格の動きもその一環である可能性が否定できないし、その動きを「ファンダメンタルズ」で説明することも不可能である。

    このことは、原油価格などの国際商品市況への投資には、株式投資でいうところの「リターン・リバーサル」が有効である可能性が否定できないことを意味している。

    さらに興味深いことに、新興国・資源国通貨の中には、原油価格の動きとかなり高い相関関係があるものとそうではないものが存在する。

    日本人の投資家(特に個人)は、90年代前半のバブル崩壊で日本株の上昇が見込めなくなって以降、基本的に新興国・資源国通貨が大好きである。そして、これまでに様々な通貨の投資信託が販売され、人気商品となってきた。

    だが、新興国・資源国通貨はボラティリティが高いため、結局、大きな通貨下落に見舞われ、大きな損失を被って資産価値を減らした後、次の商品に乗り換えるということを繰り返しているように思われる。

  • >>246

    その「世界生産指数」をみてみると、直近時点(2016年1月)は、前年比+1.6%であった。確かに、この「世界生産指数」の伸び率は徐々に減速しているが、同時期の原油価格は「-32.9%」という大幅下落であり、「世界生産指数」の減速ではとても正当化できない。また、最近のリバウンドも同様に説明できない。

    原油価格急落の理由について、多くの識者は、中国経済の減速による需要の減退を指摘してきたが、ここまで急激な落ち込みを需要の減退だけで説明するのは無理がある。

    もし、過去における「世界生産指数」との関係から単純に考えると、現在の1バレル=40ドル近辺の原油価格は、世界生産がピークからリーマンショック期並みに減少しないと発生しないという計算になる(ここでは触れないが、イラン等の原油生産の増量についても同様である)。

    一方、原油等の国際商品は、金融資産の一種とみなされる場合も多い(年金等の資産運用では、「代替(オルタナティブ)投資」といわれている)。そして、金融資産価格は「流動性」が大きな影響力を持つことが多い。その意味で、「米ドル」の供給量が原油価格に大きな影響を与えた可能性も考えられる。

    米国マネタリーベースとの関係はどうか

    現在、「米ドル」の供給量を意味する米国のマネタリーベース残高は、約3.9兆ドルで、3月時点での対前年同月比伸び率は-1.2%となっている。米国のマネタリーベースは2015年6月以降、前年同月比でマイナスになる月が増えている。

    また、大きく減速し、前年同月比で一桁台の伸び率になったのは、2014年11月からであるため、原油価格の急落と平仄が合っていると考えられなくもない(ちなみに、日欧の量的緩和拡大が米国のマネタリーベースの減少を相殺するという議論があったが、残念ながら、過去、日欧のマネタリーベースは原油価格と何の関係もなかった)。

    しかし、マネタリーベースの伸び率の減速もそれほど急激なものではなく、やはり今回の原油価格の急落を正当化できるほどの変化ではない。もし、マネタリーベースの減少で原油価格の低下を説明しようとすれば、FRBが量的緩和局面で供給した超過準備をゼロにするくらいの減少が必要という計算になる。

  • 原油価格の動向をどう見るか

    このところ、中国経済があまりマーケットの話題に上らなくなっている。

    4月19日時点でみた中国株の最近1ヵ月のパフォーマンスをMSCI(モルガンスタンレー・キャピタル・インターナショナル)の指数でみると+3.19%で、世界全体の指数のパフォーマンス(+2.36%)を上回っている(ちなみに日本は+1.19%)。

    世界のマーケットが混乱していた2月に上海で開催されたG20で、大統領選を控えこれ以上のドル高を回避したい米国と、資本流出と人民元安のスパイラル的な危機を止めたい中国との間で、「ドル高・人民元安阻止」の方向で政治的利害が一致したとの噂がまことしやかに流れて以降、人民元安の動きは止まっている。

    ちょうど時期を同じくして、今度は日本円の上昇とドル安が始まったことから、「円買い」が海外の投機筋の短期的な投資戦略として選択された可能性も否定できない。真偽のほどはわからないが、日本円、もしくは日本株はとんだ「とばっちり」を受けたのかもしれない。

    ところで、このような中国市場の落ち着きにともなって、世界経済の不安定要因の一つであった原油価格も落ち着きを取り戻しつつあるとの指摘がある。例えば、原油価格の代表的な指標の一つであるWTI先物価格は、現在、1バレル=40ドル近辺で推移している。

    1月終わりから2月中盤にかけて、WTI先物価格は1バレル=30ドルを割り込み、約25ドル程度にまで下落した。すなわち、現在の値は、最安値から約60%近い上昇を示したことになる。「後出しじゃんけん」的にみれば、原油先物への投資はかなりの収益を上げたことになる。

    「世界生産指数」では正当化できない価格変動

    当たり前の話だが、原油価格の動向は、世界的な原油の需要動向に強く影響を受ける。そして、「世界的な原油の需要」を示す指標として、度々用いられるのが、「世界生産指数」である。

    かつては「世界生産指数」なる指標は発表されておらず、主要国の生産指数をGDPのウェート等で集計して独自に算出したデータを使うケースが多かった。だが、最近では、主要国の生産指数と2ヵ月程度のタイムラグがあるものの、オランダのCPB(Central Planning Bureau、中央経済計画局)から毎月発表されており、非常にありがたい。

  • 東京 21日 ロイター] - 岩田一政・日本経済研究センター理事長(元日銀副総裁)は21日、都内で講演し、日銀のとりえる政策選択肢として今後はマイナス金利拡大にならざるを得ないとの見解を示した。背景として国債購入に伴う損失が既に8兆円超となり財務面から限界にきていることを挙げた。さらに、日銀による貸出(成長基盤融資)金利をマイナスとする選択肢もあり得るとした。

    今後の日銀のとり得る政策について、黒田東彦総裁は、質・量・金利の3つの組み合わせを主張しているものの、岩田氏はこのうち量については「日銀が高い価格で国債を買うことで過去3年間で既に8兆円超の損失が生じている。これを償却するには1年で1兆円程度が必要となる。財務上の理由から、これ以上の量の拡大は難しい」と指摘した。そのため、「今後の主要な政策はマイナス金利の拡大にならざるを得ない」とした。

    さらに「次の緩和策の可能性として、預金金利を引き下げることに加えて、日銀による成長基盤融資を現在の金利ゼロからマイナス金利をつけることで、金融機関の利ざや圧縮に対し、多少相殺するという政策を同時に実行するということもあり得る」と述べた。

    岩田氏は、日本における自然利子率(成長率を加速も減速させない利子率)がマイナス0.7%程度と試算、「現状ではほぼゼロ%の市場の実質金利はこれに比べて高すぎるため、デフレに逆戻りしかねない」と指摘。日銀は「デフレ脱却に向けて金利をマイナス1%程度にする必要がある」との認識を示した。

    さらに岩田氏は、国際通貨基金(IMF)によれば、マイナス金利幅が0.75─2%程度までなら、現金保有コストと見合って、大規模な現金逃避が起こることもないため、マイナス金利が有効に働くと述べた。

    5月の主要7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議で利下げが通貨安を目的とせずデフレ脱却のためと他国に了解してもらうことが重要だと指摘した。

    実際、円の実質実効レートでみると、過去平均と比べてさほど円高ではないとも指摘した。

  • >>243

    海外勢が上昇相場のリード役に

     日経平均が2月に1万5000円を割り込んだ過程では、買い方の損失確定売りが下げを主導した。信用取引の追加証拠金(追い証)発生に伴う個人投資家のいわゆる投げや、期末を控えた機関投資家のロスカットなどが膨らんだ。

     一方、外国人投資家の売りは一巡しそう。年初からの海外勢の売りをみると、先物・オプション決済の特別清算指数(SQ)の算出日に集中する傾向がある。一部外国証券の日本株業務撤退や先物との裁定取引解消などによる売り物などとされており、見かけほどには「実需」筋の処分がかさんでいないように思える。

     2月安値時の株価収益率(PER)は14倍割れ。「オーバーシュート」の感も強い。そこが当面のボトムになりそうだ。日銀の追加金融緩和後は外国人が上昇相場をリードするだろう。

     1万8000円台まで値上がりした後は、米国の利上げや7月のギリシャの国債償還などを材料にいったん調整。その後は年末に向けてゆっくり上昇する、というのがメインシナリオだ。上値は1万8000~9000円とみている。先行きを悲観しているわけではないが、2万円回復は難しい。

     サブシナリオは「日銀が4月の決定会合で追加緩和を見送り、それを受けて下値1万5000円ないし1万6000円と上値1万7000円のボックス圏での値動きが当面続く」というものだ。「メインシナリオ」の下では、円高を嫌気して売られた鉄鋼、海運、機械、自動車や、デフレ懸念の高まりから値を下げた銀行株などに物色の矛先が向かうだろう。サブシナリオならば、内需関連やディフェンシブ銘柄買いの勢いが再び強まりそうだ。

  • 19日日経平均株価が急反発。18日の急落の「反動高」という側面もあり、先行きをめぐっては強弱観が対立する。今後の相場の推移をどう見るのか。

     日経平均株価は5月に1万8000円を目指す展開になりそうだ。日銀が27、28両日に開催予定の金融政策決定会合で質的・量的な追加金融緩和措置に踏み切る公算が大きく、株価上昇を後押ししそう。熊本地震が日銀の追加緩和だけでなく、政府の景気対応や消費増税先送りなどを促す方向へ働く可能性も高い。
     
     マイナス材料だった外国為替市場での円高進行にはひとまず歯止めがかかったとみられる。きっかけになったのは麻生財務・金融相による「口先介入」だ。市場参加者の間で、1ドル=105円という水準がかなり強く意識されるようになった。

     米国経済はさほど強くはないが、GDPの7割を占める個人消費を取り巻く環境も悪くはない。足元のドル高是正の効果もタイムラグを伴う形で4~6月には顕在化しそうだ。製造業が息を吹き返してkるだろう。FRBのすべての理事が「ハト派」というわけでもなく年内には6月と12月の2回、利上げが行われると予想している。目先のドル・円は1ドル=110~115円で推移するだろう。

     最悪なのは、逆に米国が利下げしなければならない状況に追い込まれるケース。そうなると、円は対ドルで90~100円まで上昇することもありうる。最近の株安をもたらした中国景気の減速、原油価格下落、円高のうち、落ち着いていないのは円相場だけ。それを踏まえれば、株価の値下がりリスクを高めるのは一段の円高進行といえる。

     企業業績の行方については、多くの市場関係者が想定しているほど悲観的にはみていない。円高抵抗力が強まっているからだ。しかも、手元のキャッシュは比較的潤沢である。2007~08年に実施した積極的な投資に対する反省があり、能力増強などには慎重。効率化投資が中心で償却負担も軽く今後、さらに円が買われても赤字になるようなことは考え難い。

     熊本地震による減産の長期化は想定していない。現時点では日本経済全体に大きなダメージを与えることはないと判断している。

     投資先がかぎられている現状では、配当や自己株買いなどに資金を振り向けざるをえない面もある。こうした株主還元によって減益の株価に及ぼす悪影響がある程度、吸収されるとみられる。

  • 中国の3月の与信の伸び、警戒警報とみるべきだ-ソロス氏
    3月の経済全体のファイナンス規模は予想を大幅に上回った
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    資産家で著名投資家のジョージ・ソロス氏は20日、債務を増強剤とした中国経済は、クレジット市場が行き詰まり世界的なリセッション(景気後退)に拍車が掛かる前の2007-08年当時の米国に似ているとの認識を示した。
      ソロス氏はニューヨークで開催されたアジア・ソサエティーのイベントで、中国の3月の与信の伸びを警戒警報とみるべきだと述べた。中国の3月の経済全体のファイナンス規模は2兆3400億元(約39兆7000億円)と、ブルームバーグがまとめた市場予想の中央値である1兆4000億元を大幅に上回り、中国当局が債務抑制より成長を優先していることを示唆した。

  • >>240


     この点はブレア論文の「日米共同の戦略」という特徴がよく出ている。なお、ミアシャイマー教授は、「外的バランシングは、脅威を受けた側の国々がまとまって防御的な同盟を結成し、危険な敵を封じ込めることであり、二極化した世界だけに起こる」と主張している*9。

    ●「主張する関与」の5つの政策

     ブレア氏が提唱する「主張する関与(Assertive Engagement)」の5つの政策であるが、詳しくは次回のリポートで報告する。

    ●中国に対するより統合された米国および日本の戦略
    ●より強い米国および日本の経済
    ●中国との現実的な経済関係
    ●より強力な日米協同の軍事力
    ●東シナ海および南シナ海における中国の侵略への対処


    結言

     中国が現在陥っている経済的危機の深刻さは、予想された中国の破竹の勢いの国力の増強が実現しないことを意味する。


     様々な中国に対するシナリオを紹介してきたが、私の中国に対する評価は「手負いの龍」のイメージである。

     経済的苦境にある手負いの熊であるロシアがクリミア併合やシリアでの軍事行動などの問題行動を引き起こしているように、手負いの龍である中国も攻撃的な対外政策をとる可能性がある。

     ダニエル・リンチ氏が「中国台頭の終焉」で指摘するように、「中国台頭の終わりは、日本の台頭の終わりが日本のエリートたちを傷つけた以上に中国共産党を傷つけるであろう。国粋主義的な軍人や野望に満ちた外交の戦略家たちは強圧的で不快な外交政策に明らかに関心を持っているが、それらの政策により中国の状況を支え切れるものではない」のである。

     一方、中国の台頭以降、世界の日本に対する注目度は極度に低下していたが、最近発表された論文などに共通的に見られるのが、米国の対中国戦略において日本を高めに再評価する動き、日米同盟を再評価する動きである。

     この日本に対する評価の上昇と中国に対する評価の低下は注目すべき現象であることを強調したい。

     かかる状況下でいかなる対中戦略を構築するかが私のテーマである。幸いにもワシントンDCに所在するシンクタンクが対中国戦略に関して各種の提言をしている。

     本稿では主として、デニス・ブレア大将の論文を中心に記述してきたが、次回はブレア論文の細部とともに、各シンクタンクが提唱する対中国戦略について、本稿の続編として記述してみたいと思う。

  • >>239

    次いで、中国に対していかに対処するかの選択肢であるが、ブレア氏は図3に示す4つの選択肢を提示している。


     つまり、「外的バランシング(External Balancing)」、「内的バランシング(Internal Balancing)」、「制度への取り込み(Institutionalization)」、「安心の保証(Reassurance)」である。

    ●「外的バランシング」とは、中国の影響力に対抗するために日米が他の国々と協力するか、中国と対立する他の国々の能力強化を手助けすること。例えば、日米が、インド、オーストラリア、南西アジア諸国と協力することである。

    ●「内的バランシング」とは、日米のそれぞれの国の政治的・軍事的能力を増強することにより、中国の影響力を相殺し、その侵略を抑止・撃退すること。例えば、防衛費の増加、在日米軍を作戦コマンドに格上げすること、民間飛行場を軍民共用にすることなどである。

    ●「制度への取り込み」とは、中国と協力的でウィンウィンの経済的関係を促進することである。中国のTPP加入やAIIBへの日米の協力などである。

    ●「安心の保証」とは、軍事的及び外交的措置で、共通の課題解決のために中国の協力を促進することである。例えば、中国と共同して人道的支援や災害派遣演習を実施することである。

     図3は、中国の将来の動向に応じて、「制度への取り込み」や「安心の保証」も活用されるが、主として外的バランシングと内的バランシングが多用されることを示す。

     なお、内的バランシング、外的バランシングという用語は国際政治のバランシング理論の中で普通に使われる。

     自らの努力(防衛費の増加、安全保障法制の整備、経済成長など)で対処する「自助」と同盟国や友好国との協力により対処する「共助」という表現になる。内的バランシングが自助であり、外的バランシングが共助である。

     公助が存在しない国際システム(アナーキーな国際システム)において、自らの安全確保のためには自助努力が前提であり、自助だけでは足りないところは周辺諸国との協力による共助で対処することになる。

     通常は、日米同盟によるバランシングは外的バランシングに分類されるが、ブレア氏は、日本と米国が共同して中国に対処することを強調するために、日米によるバランシングを内的バランシングで説明している。

    気になるニュースを載せてみた☆ 次いで、中国に対していかに対処するかの選択肢であるが、ブレア氏は図3に示す4つの選択肢を提示している。    つまり、「外的バランシング(External Balancing)」、「内的バランシング(Internal Balancing)」、「制度への取り込み(Institutionalization)」、「安心の保証(Reassurance)」である。  ●「外的バランシング」とは、中国の影響力に対抗するために日米が他の国々と協力するか、中国と対立する他の国々の能力強化を手助けすること。例えば、日米が、インド、オーストラリア、南西アジア諸国と協力することである。  ●「内的バランシング」とは、日米のそれぞれの国の政治的・軍事的能力を増強することにより、中国の影響力を相殺し、その侵略を抑止・撃退すること。例えば、防衛費の増加、在日米軍を作戦コマンドに格上げすること、民間飛行場を軍民共用にすることなどである。  ●「制度への取り込み」とは、中国と協力的でウィンウィンの経済的関係を促進することである。中国のTPP加入やAIIBへの日米の協力などである。  ●「安心の保証」とは、軍事的及び外交的措置で、共通の課題解決のために中国の協力を促進することである。例えば、中国と共同して人道的支援や災害派遣演習を実施することである。   図3は、中国の将来の動向に応じて、「制度への取り込み」や「安心の保証」も活用されるが、主として外的バランシングと内的バランシングが多用されることを示す。   なお、内的バランシング、外的バランシングという用語は国際政治のバランシング理論の中で普通に使われる。   自らの努力(防衛費の増加、安全保障法制の整備、経済成長など)で対処する「自助」と同盟国や友好国との協力により対処する「共助」という表現になる。内的バランシングが自助であり、外的バランシングが共助である。   公助が存在しない国際システム(アナーキーな国際システム)において、自らの安全確保のためには自助努力が前提であり、自助だけでは足りないところは周辺諸国との協力による共助で対処することになる。   通常は、日米同盟によるバランシングは外的バランシングに分類されるが、ブレア氏は、日本と米国が共同して中国に対処することを強調するために、日米によるバランシングを内的バランシングで説明している。

  • >>238

    ●シナリオ3:「弱くて内向き」な中国

     このシナリオは、中国の1975年から2000年までの状態と同じであり、日米ともに中国に脅威を感じないシナリオである。

     新常態の経済への移行に失敗し、せいぜい2~3%の経済成長率であり、国内問題(経済不振に伴う不満など)の処理に追われ、国防費も経済成長率の低下とともに削減せざるを得ない状況になる。

     国内的にはメディア・インタ-ネットの統制を強化し、共産党への反対意見を押さえつけるが、東シナ海・南シナ海の領土問題やインドとの国境問題での対外姿勢をソフトにする。国際的な機関や地域的な機関への関与を減じ、世界の紛争地域への介入を避ける。

    ●シナリオ4:「弱くて攻撃的」な中国

     このシナリオにおける中国の将来は、輝きを失った成長(2~3%以下)と国内の困難な諸問題に伴う社会秩序の維持に汲々とした状態である。

     共産党の権力を維持するために、国内の諸問題を米国および日本の責任であると非難する。チベットと新疆に対して過酷な対応をし、国粋主義的な論理に基づき領土問題などにおいて攻撃的な対外政策をとる。

     中国政府は、自国の弱さを認識しているため、日本や米国との全面戦争を求めはしないが、戦争一歩手前まで挑発を繰り返す。

     台湾、東シナ海・南シナ海、インドとの国境において挑発的だが制限された行為で緊張を高める。世界の諸問題の解決において、日米の国益を棄損するような挑発的で愛国主義的な政策を採用する。

    ●対中国戦略を構築するための基本シナリオ

     白紙的にはメリハリの利いた上記4つのシナリオが考えられるが、日米共通の対中国戦略構築のための基本的シナリオは以上4つをミックスしたものとして考える。

     その基本シナリオによると、中国共産党の権力掌握は継続し、その経済成長率は3~4%であり、中国が世界一の経済大国である米国を凌駕することはない。国防費の増加率は、現在のレベルを維持する可能性はあるが、現在の10%の伸び率から3~4%の伸び率に低下する。

     結論として、図3の濃い小さな楕円が示す基本シナリオに基づいた位置にある将来の中国を前提として対中国戦略を考える。なお、大きな楕円は基本シナリオの振れ幅を示すが、「強くて攻撃的」なシナリオに近づいてくる。

  • >>237

    図2「中国に関する将来予測」(出典:ブレア論文“Assertive Engagement”)
     図2は、中国の国力(経済力、軍事力など)と対外姿勢が将来に向けていかに変化するかの予測であり、X軸は対外姿勢が消極的であるか攻撃的であるかを示す。Y軸は国力が弱くなるか強くなるかを示す。

     中国の将来は、白紙的には4つのシナリオ、「強くて攻撃的(Powerful and Aggressive)」、「強くて友好的(Powerful and Benevolent)」、「弱くて攻撃的(Weak and Aggressive)」、「弱くて内向き(Weak and Inward Looking)」が考えられる。

     「強くて攻撃的」な中国は「On the Brink(崖っぷち)シナリオ」に、「弱くて攻撃的」な中国は「Feral Dogs(野生の犬)シナリオ」に関連している。
    ●シナリオ1:「強くて友好的」な中国
     このシナリオは日米にとって好ましいシナリオである。中国経済は新常態に上手く移行し、短中期的に5~7%の経済成長率を達成する。

     国内的に安定し対外的にも米国、日本、欧州と協調する。東シナ海・南シナ海の領土問題でも平和的解決を模索し、サイバー空間での情報窃取を慎み、世界の諸問題の解決に積極的に関与する。

    ●シナリオ2:「強くて攻撃的」な中国

     このシナリオは日米にとって最も危険で困難なシナリオである。中国経済はほぼ完全に市場経済に移行し、5~7%の経済成長率(少なくとも日米よりも3~4%高い成長率)を達成する。

     国内の企業が有利になるように外国企業の中国での活動を制限し、海外では重商主義的な政策をとる。国防費を増大させ、2030年には米国の国防費に迫る。

     その経済力・軍事力を活用し、中国共産党の独裁、台湾統一、チベット・新疆の統治、東シナ海・南シナ海の領土問題の要求実現をアグッレシブに追求する。日本周辺で大規模な軍事演習を実施する。

     さらにインドとの国境問題で拡大要求をし、インド洋での支配的な海洋パワーになることを追求する。

     サイバー攻撃を強化し、中国主導の経済的および軍事的な地域組織を構築し既存の国際組織に対抗する。世界の紛争地帯において中国の国益を追求する。気候変動などの国際的課題に対し自国の国益を優先する一国行動主義的な政策を追求する。

  • >>235

    4 デニス・ブレア論文の中国認識と日米共通の対中国戦略

     本稿の冒頭で紹介した各種論文の中でブレア論文「主張する関与:最新の米国および日本の対中国戦略」を取り上げる。


     ブレア氏は、太平洋軍司令官や国家情報長官(2009年1月29日~ 2010年5月28日)を歴任し、特に国家情報長官の時にはGLOBAL TRENDSを指導する立場であった。現在69歳で日本のシンクタンクSPF USAの会長および最高経営責任者(CEO)である。

     筆者も何度かブレア氏と話す機会に恵まれたが、優れた安全保障の専門家である。ブレア氏は、米国の同盟国としての日本の重要性を理解したうえで、日米共通の対中国戦略を構築すべきであるという立場をとっている。

     ブレア論文の際立った特徴は、日米同盟関係を背景として日米共通の対中国戦略を提唱した点にある。

    ●ブレア論文の結論

     ブレア氏は、論文の結論として、米国と日本の共通の対中国戦略は「主張する関与(Assertive Engagement)*8」であるべきだと主張している。

     ブレア氏によると、日米の従来の対中政策が、中国の直接的侵略に対する軍事的抑止を維持しつつ、共通の経済的および外交的利益を促進するものであったが、その戦略は中国の活動に対して日米両国の国益を擁護するには不十分である。

     対中国政策に関しては、「関与とヘッジ」(Engagement and Hedging)という表現を使用する人が多く、ブレア氏の案も「関与とヘッジ」ではあるが、従来のような温厚な関与ではなく、より押しの強い自己主張の強い関与「主張する関与」である。

     この「主張する関与」では、中国とは協調をしつつも、双方の利害が対立する場合には公正で平和的な妥協を鍛造する(筆者注:forgeという単語が使用されているが、鉄(中国)をたたいて妥協策を作り上げるイメージである)ことにより日米の国益を擁護すると主張している。

    ●「主張する関与」の背景としての対中国認識と戦略の一端

     まずブレア論文が結論とした「主張する関与」が導き出された背景となっている、2030年までを見通した中国の未来に関する予測について説明する。

    気になるニュースを載せてみた☆ 4 デニス・ブレア論文の中国認識と日米共通の対中国戦略   本稿の冒頭で紹介した各種論文の中でブレア論文「主張する関与:最新の米国および日本の対中国戦略」を取り上げる。    ブレア氏は、太平洋軍司令官や国家情報長官(2009年1月29日~ 2010年5月28日)を歴任し、特に国家情報長官の時にはGLOBAL TRENDSを指導する立場であった。現在69歳で日本のシンクタンクSPF USAの会長および最高経営責任者(CEO)である。   筆者も何度かブレア氏と話す機会に恵まれたが、優れた安全保障の専門家である。ブレア氏は、米国の同盟国としての日本の重要性を理解したうえで、日米共通の対中国戦略を構築すべきであるという立場をとっている。   ブレア論文の際立った特徴は、日米同盟関係を背景として日米共通の対中国戦略を提唱した点にある。  ●ブレア論文の結論   ブレア氏は、論文の結論として、米国と日本の共通の対中国戦略は「主張する関与(Assertive Engagement)*8」であるべきだと主張している。   ブレア氏によると、日米の従来の対中政策が、中国の直接的侵略に対する軍事的抑止を維持しつつ、共通の経済的および外交的利益を促進するものであったが、その戦略は中国の活動に対して日米両国の国益を擁護するには不十分である。   対中国政策に関しては、「関与とヘッジ」(Engagement and Hedging)という表現を使用する人が多く、ブレア氏の案も「関与とヘッジ」ではあるが、従来のような温厚な関与ではなく、より押しの強い自己主張の強い関与「主張する関与」である。   この「主張する関与」では、中国とは協調をしつつも、双方の利害が対立する場合には公正で平和的な妥協を鍛造する(筆者注:forgeという単語が使用されているが、鉄(中国)をたたいて妥協策を作り上げるイメージである)ことにより日米の国益を擁護すると主張している。  ●「主張する関与」の背景としての対中国認識と戦略の一端   まずブレア論文が結論とした「主張する関与」が導き出された背景となっている、2030年までを見通した中国の未来に関する予測について説明する。

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