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油(°Д°)の掲示板

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 IEAに加えOPECも世界の原油需要が拡大していることを指摘する。原油価格見通しの弱気派の代表格だった米ゴールドマンサックスが強気に転じたことも見逃せない。ゴールマンサックスは2016年2月に「4月の主要産油国の増産凍結合意は価格支援につながらない」と主張するなど、原油価格の推移について一貫してネガテイブなスタンスを維持してきた。ところが5月15日のレポートでは、生産が予想外に落ち込む一方で需要が堅調さを維持したことから、「突然、市場は供給過剰の状態ではなくなった」と指摘。「市場の供給は7月から12月にかけて不足する」と予想した(ただし長期的には弱気な見方を維持している)。

 イランは1月の制裁解除後、制裁前と同水準の日量400万バレルまで原油生産量を回復させる姿勢を見せるなど攪乱要因となっているが、世界の原油需要の拡大で十分に吸収できるとの見方が強まっている。

■ 目を引くインドの需要増加

 米エネルギー省が5月10日に公表した短期見通しによれば、4月に公表した時点に比べ、“需給が均衡するタイミング”が2017年9月から2017年2月と7カ月前倒しになるとしている。

 まず供給面を見てみると、2017年2月の世界の原油供給量は今年1月の日量9555万バレルから同9596万バレルへと41万バレル増加する。内訳としては、OPEC全体で174万バレル増加する(イランの増産は織り込み済み)。一方、米国で81万バレル、その他の非OPEC諸国で52万バレルそれぞれ減少すると見込んでいる。

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    需要は日量9285万バレルから同9624万バレルと大幅(339万バレル)に増加する。内訳はOECD諸国全体で188万バレルの増加(米国は30万バレル)、非OPEC諸国全体で151万バレルの増加(中国は17万バレル、インドは52万バレル)である。

     この見通しには、中国の需要増を米国の約半分にするなど中国の景気減速が織り込まれている。それに対して目を引くのはインドの52万バレル増である。その規模は非OECD諸国の中で約3分の1を占め、全体でも需要の押し上げに大きく貢献している。

     つまり米エネルギー省のシナリオは、「供給は増加するものの、需要がそれをはるかに上回るスピードで増加するが、その正否はインドにかかっている」というものなのである。

    ■ 2040年にはインドの原油需要が世界最大に

     インドの2015年の経済成長率は7.3%と中国の成長率を上回り、今年の成長率についても世界銀行は7.5%と予測している。「高成長を続けるインドは原油価格の下落で恩恵を受けており、高成長を続けることによりますます原油需要が増大する」という見方が一般的である。

     4月8日付ブルームバーグは「インドの原油需要は1990年代後半の中国と似た形で拡大する可能性がある。当時の中国の原油需要は現在のインドの原油需要とほぼ同水準だった」と指摘する。

     1999年当時の中国の経済規模は現在の10分の1未満だったが、その後の17年間で経済規模は世界第7位から第2位に浮上し、自動車販売の急増で原油需要もその間約3倍に拡大した。今年は米国を抜いて世界最大の原油輸入国になろうとしている。

     IEAによれば、インドの2015年の原油需要は日量約400万バレルで、2016年は日本を抜いて世界第3位の消費国となる見通しである。

     IEAは2015年12月に「2040年までのインドの原油の需給見通しに関する報告書」を取りまとめた。それによれば、2040年にかけての原油需要の伸びは日量600万バレルとなり、中国の同480万バレルを上回り、世界最大になると想定している。