ここから本文です
投稿一覧に戻る

油(°Д°)の掲示板

>>8

また、需要が急増する中にあって、インド国内の原油生産量は現在の日量約90万バレルから2040年までに同約30万バレルへと低下する。そのため、インドは中国に次ぐ世界第2位の原油輸入国になる見通しである。

 インド市場への攻勢は既に始まっている。3月のイランのインドへの原油輸出量は日量50万バレル以上になるなど過去5年で最高水準となり(4月は同39万バレルに減少)、イランの増産分をインドが吸収するという構図が鮮明になりつつある。

 ロシアも負けてはいない。国営石油会社であるロスネフチは今年からインドへの定期的な原油輸出を開始する(4月19日付ウオールストリートジャーナル)。ロスネフチはさらに東シベリアに有する油田の権益をインドの国営石油企業に譲渡するなど関係強化に努めているという(3月23日付ブルームバーグ)。

■ インドの経済成長のアキレス腱とは

 2015年7月の国連の予測によれば、インドは2022年までに中国を抜き世界最大の人口大国になる。膨大な原油需要が発生すると見込まれるが、アキレス腱はないのだろうか。

 インドは中国以上に外資依存で成長を続けている。ここに来て銀行セクターの脆弱性が改めて浮き彫りになっているのが気がかりである。

 5月12日付ロイターは「インドの不良債権問題は水面下で急増しており、1700億ドル(ニュージーランドの経済規模)を上回る」と報じた。インド準備銀行(中央銀行に当たる)のラジャン総裁が繰り返し警告してきたことである。

 米格付け会社大手フィッチの関連会社に試算によれば、インドの銀行融資の20%に相当する約1950億ドルが既に回収困難な状況にある。インド政府は2016年2月経営不振に陥った国営銀行に対し340億ドルの追加資金を投入するなど、国内の信用不安への対応に追われている。

 ラジャン総裁はあくまで「来年3月まですべての不良債権を開示し、引き当てを行うべし」と「抜本的な外科手術」を主張している。

  • >>9

    中国経済が大躍進を遂げた期間を振り返ると、2008年にリーマンショックが起きるまでは、世界経済はインフレなき経済成長を達成する理想的な景気状態だったとされていた(その正体は巨大なバブル経済に過ぎなかったことが判明したが・・・)。このような状況下で「荒療治」を行い、頼みの綱である外資が大量に流出するような事態は生じないのだろうか。

     ラジャン氏の主張は正論だが、インドを取り巻く世界情勢次第では経済自体に深刻なダメージを与える「劇薬」にもなりかねない。そうなれば「インドが第2の中国になる」との見通しは露と消えるであろう。

    ■ シェール企業の大量倒産を防ぐにはもはや手遅れ? 

     筆者はかねてよりシェール企業の大量破綻がもたらす世界経済、特に金融市場への悪影響を指摘してきた。原油価格が1バレル=50ドル付近まで回復しているものの、米国のシェール企業の経営破綻が止まらない。5月12日にはリン・エナジーが連邦破産法第11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請した。その負債額は80億ドルを超えている(経営破綻したシェール企業のこれまでの負債額の最高は40億ドル未満だった)。

     原油価格が同50ドルになったとしても、シェール企業の大量倒産を防ぐにはもはや手遅れの可能性が高いという見方がある(5月13日付ブルームバーグ)。リーマンショック後に石油業界に流れ込んだ3兆ドルものマネーはどうなってしまうのだろうか(サブプライムモーゲージの規模は約1兆ドルだった)。

     昨年の原油価格は、ヘッジファンド等の決算期である6月の1バレル=約60ドルをピークに、年末に向けて30ドル台に急落した。今年もこれからその決算期を迎えるが、その間にOPEC総会(6月2日)や米FOMC(6月14~15日)が開催される。OPEC総会の結果に対する失望、さらにFRBの利上げという要因が重なれば、決算期を終えたヘッジファンド等が売りに転じ、原油価格は再び急落する可能性が高い。