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日本株はトランプ保護主義で再下落するのか
袋小路に陥った米トランプ政権をどう見る?
馬渕 治好 : ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト 2018年03月05日


トランプ政権の保護主義(今回の追加関税だけではなくNAFTAの修正なども幅広くみて)のどんな点が、米国経済や市場にとって問題とされているのか、整理してみよう。問題点は主に以下の4つだ。

1)米国が、グローバル化の恩恵を失う恐れがある。たとえば、米国企業にとっては、海外からの安価な部品・原材料の輸入や、自社の低賃金国における生産(逆輸入)などによる、コスト抑制メリットを失う。また、消費者も高い買い物をしなければならなくなる。

2)特に、NAFTAを修正すれば、この協定の存在を前提とした経済活動の見直しが重荷となる。たとえば、メキシコとの間に追加関税を設けることになれば、米自動車メーカーにとって、ピックアップトラックの生産チェーン(現在、米国で販売されているピックアップトラックのほぼ100%がメキシコで生産されているとみられる)の再構築が必要となる。

また、メキシコは、NAFTAのもと、米国から穀物を大いに輸入しているが(米国からの農産物輸出のうち、メキシコ向けは約13%)、協定の見直しでメキシコが対抗措置として米国産穀物に輸入関税を追加導入すれば、米国の農家にとって打撃となりうる。

3)貿易収支改善のため、米国が米ドル安を望んでいる、との思惑が広がりやすい。米ドル安は、さらに米国の輸入物価を押し上げ、インフレ懸念を強めかねない。

4)中国が、米国からの貿易圧力に報復するため、米国債を売却するとの過度の懸念が引き起こされやすい。

<略>
とは言っても、重要なポイントは、トランプ氏が大統領であろうとなかろうと、米国の経済は拡大し、米国の企業収益は増益基調にある、というところだ。今後の市場動向について、過度の不安は不要だろう。