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その他☆の掲示板

 16日午前の東京株式市場で日経平均株価は170円高と反発した。13日に主要企業の決算発表を終え、市場は円高による日本企業の今期の減益見通しをほぼ織り込んだ。円高という逆風下の経営環境を迎える前に、市場は企業が円安時に稼いだ利益の還元や長期的な成長戦略を求めている。

■減益見通しの日立が一時8%高

 前週末13日に主要企業の決算発表が出そろった。翌営業日となった16日午前の東京株式市場では楽観的な反応が目立った。日立が13日発表した2017年3月期の連結営業利益(国際会計基準)の見通しは、営業利益が前期比15%減の5400億円と2期連続の減益だった。減益要因は事業の再構築に加え、多くの輸出企業と同じく円高による輸出採算の悪化だ。業績悪化の見通しにもかかわらず、16日の日立株は前週末比8%高まで上昇する場面があった。

 円高による今期の苦戦は「先週11日発表のトヨタの4割減益の見通しで驚きはなくなった」(岡三証券の小川佳紀シニアストラテジスト)。ホンダが13日に決算を発表、14日付の日本経済新聞朝刊は「国内の自動車大手7社の決算が出そろい、17年3月期は為替の円高影響で合計1兆8000億円の営業減益要因となる見通し」と報じた。年初からの円高進行による不安が明確な数字となって出たことで、市場には一定の落ち着きが見られる。

■外需から内需企業までテーマは自社株買い

 投資家が求めているのは円安時に稼いだ利益の還元だ。16日午前には住友電が売買を伴い前週末比15%高まで上昇した。17年3月期の営業利益の見通しが前期比12%増と好調なうえ、発行済み株式総数の2.0%にあたる200億円を上限とした自社株買いも発表したのが好感された。

 13日の14時に17年3月期の減益見通しと200億円を上限とする自社株買いを発表した大成建の株価は連日で上昇、1月4日に付けた年初来高値をうかがう水準まで達した。減益決算が珍しくない中、「輸出企業から内需型まで自社株買いがテーマになっている」(岡三証券の小川氏)。今期の営業利益4割減益の見通しのトヨタも11日の決算と同時に5000億円の自社株買いを発表して株価の下げを1%安と小幅にした経緯がある。

  • >>13

    ■世界最大手と国内首位の提携

     円高の環境で成長を目指し企業も動いている。16日付の日本経済新聞朝刊が「ダイキン工業とパナソニックがエアコン事業で包括提携する」と報じた。業務用に強い世界最大手のダイキン、家庭用の国内首位のパナソニックが組んで次世代の環境技術の共同開発などを進める。提携を好感し両社の株価はともに2%高と上昇、ダイキンは前週末に付けた年初来高値水準で推移している。岩井コスモ証券の大西等シニアアナリストは「エアコン市場は国内は成熟も海外は拡大している。提携も含めて世界シェア首位を固める方向性は評価できる」と話す。

     減益を織り込んだ日本株が上昇基調に転じるには「今月末の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で需要を創造する大胆な財政政策が必要」(ちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長)との声は多い。もっとも、事情の異なる各国が協調するのが難しいのは確かだ。企業に問われているのは株主にどれだけ向き合い、中長期的な成長戦略を進められるかだろう。