ここから本文です
投稿一覧に戻る

メディシンバ応援の掲示板

シナプスにおける神経伝達物質のアンバランスが心のアンバランスの原因となっている精神疾患や薬物中毒が、他にもどれだけあるか考えてみよう。強迫性障害は、セロトニン再取り込み阻害薬によって治療される。エクスタシー(MDMA)のようなアンフェタミン由来の薬物は、セロトニン作動性シナプスを攪乱する。メタンフェタミン(メセドリン)は、神経変性疾患であるパーキンソン病と同じように、神経伝達物質ドーパミンを使用しているシナプスに影響を及ぼす[訳注:パーキンソン病では、ドーパミン作動性シナプス伝達が減弱する]。マリファナやアルコール、コカイン、アンフェタミン、カフェイン、ベンゾジアゼピン類(たとえば抗不安薬のバリウム)ニコチン、ヘロイン、フェンシクリジン(PCP、俗称エンジェルダスト)精神安定剤などはどれも、脳内のシナプス伝達に影響する。精神疾患におけるグリアの役割については、わずかに研究されているにすぎないが、グリアはシナプスからの神経伝達物質排出を担う主要な細胞である。アストロサイトがその役目を果たせなくなったとしたら、そのことがシナプスの機能や認知能力に及ぼす影響は、神経伝達物質の量を変化させる薬物の効果と少しも変わらないだろう。
(第2部 第7章 心の健康―グリア、精神疾患の隠れた相棒)