ここから本文です

呼吸困難の掲示板

  • 316
  • 2
  • 2021/06/24 19:57
  • rss

掲示板のコメントはすべて投稿者の個人的な判断を表すものであり、
当社が投資の勧誘を目的としているものではありません。

  • 外向型は間違いがあるとかえってペースを速める
    では、熱狂が正しい判断を遠ざけるのは、正確にはどんなメカニズムによるものだろう? ジャニス・ドーンの顧客のアランは、いったいどのようにして、財産の七〇%が消えてしまうぞという重要な危険信号を見逃したのか。まるでFUDが存在しないかのように、人々を駆りたてるものはなんだろう?

    ウィスコンシン大学の心理学者ジョセフ・ニューマンが実施した一連の興味深い実験は、ひとつの答えを示している。ニューマンの実験室へ招かれて、研究の被験者になったと想像してみよう。あなたはそこでゲームをして、ポイントを稼げば稼ぐほど現金を手に入れられる。パソコン画面に一二個の数字がひとつずつ順不同に現れる。手元にはボタンがあって、被験者は数字が現れるごとにボタンを押す。押した数字が「正解」ならばポイントを獲得でき、「不正解」ならばポイントを失う。ボタンを押さなければポイントは変化しない。何度か試行錯誤してから、4が正解で9が不正解だとわかった。つまり、今度9が登場したらボタンを押さないでいればいいのだ。

    ところが、そうとわかっていてもボタンを押してしまうことがある。外向型のなかでも特別に衝動的な人は、内向型と比較して、このような誤りをすることが多い。なぜだろう? 心理学者のジョン・ブレブナーとクリス・クーパーによれば、外向型はあまり考えずにすばやく行動するそうだ。内向型は「調べること」に、外向型は「反応すること」に適応しているのだ。

    だが、外向型の不可思議な行動がさらに興味深いのは、間違った行動をしたあとにある。不正解である9を押してしまうと、内向型はつぎの番号に移る前に時間をかけて、なにが悪かったのかを考えている。だが、外向型はそこで速度を落とさないどころか、かえってペースを速める。

    これは奇妙に感じられる。いったいなぜ、そんなことをしてしまうのか? それにはちゃんとした理由があるのだ、とニューマンは説明する。報酬に敏感な外向型は、目的を達することに集中してしまうと、なんだろうと邪魔はされたくない――否定する人だろうと、9という数字だろうと。そういう邪魔者を払いのけるためにペースを速めるのだ。

    熱狂を殺せ
    だが、時間をかけて見きわめるほど学ぶことも多くなるのだから、これは決定的に重大な失策だ。もっとゆっくりやりなさいと命令すれば、外向型も内向型と同じようにポイントを稼げる。ところが、好きにやらせておくと、けっして休まない。そのため、どうして間違えたのか学習しない。それはテッド・ターナーのような外向型が合併金額の入札で競り勝とうとするのと同じ仕組みだ、とニューマンは言う。「高すぎる値段をつけるのは、抑制すべき反応を抑えていないのです。決定を左右する情報を考慮していないのです」とニューマンは説明した。

    対照的に、内向型は報酬を重要視せず――熱狂を殺す、とも表現できる――問題点を入念に調べるように、生まれつきプログラムされている。「彼らは興奮するとすぐにブレーキを踏んで、もしかしたら重要かもしれない関連事項について考えます。内向型はそのように配線されていて、あるいは訓練されていて、興奮を感じると警戒を強めるのです」とニューマンは語る。

    さらに、内向型は新しい情報を自分の予想と比較する傾向があるそうだ。「予期したとおりのことが起きたのか。なるべくしてこうなったのか」と、彼らは自分自身に問いかける。そして、予想が当たらないと、失望の瞬間(ポイントを失う)と、そのときに周囲でなにが起きていたか(数字の9を押した)とを結びつける。それによって、つぎに警告信号にどう反応するかについて明確な予測をする。

  • バフェットは本当に過去の人? 大暴落を予見していた人たちの共通点

    地球最後の日に備えてツナ缶を備蓄するタイプ

     経済危機の話となると、それを予見していた人々の話がつきものだ。そして、そういう話の主人公はFUD(恐れ(fear)、不確実(uncertainty)、疑い(doubt))を心に抱いているような性格である場合が多い。彼らは、自分のオフィスのブラインドをおろし、世間の多数意見や仲間からのプレッシャーとは距離を置いて、孤独に仕事に集中するようなタイプだ。

     二〇〇八年の大暴落の当時、利益をあげた数少ない投資家のひとりは、〈ボウポスト・グループ〉と呼ばれるヘッジファンドのマネジャーであるセス・クラーマンだ。クラーマンは着実にリスクを避けながら成果をあげる手腕で知られ、自分の資産のかなりの部分をキャッシュで保有していることでも有名だ。二〇〇八年の大暴落から二年間、多くの投資家が群れをなしてヘッジファンドから撤退するなか、クラーマンはボウポスト・グループの資産をほぼ二倍の二二〇億ドルにまで増やした。

     クラーマンはその偉業を、明確にFUDにもとづいた投資戦略でなし遂げた。「ボウポストでは、恐れが大人気で、投資について言えば、あとで残念がるよりも今怖がるほうがずっといい」と、彼はかつて投資家への手紙に書いた。

     二〇〇八年の大暴落へと続く数年間、クラーマンは「慎重さを固持した数少ないうちのひとりで、その発言はちょっとどうかしているのではないかと受けとられていた」とカリーは言う。「みんながお祭り騒ぎをしているときに、彼はきっと地球最後の日に備えてツナの缶詰を地下に備蓄していたのだろう。そして、誰もがパニックに陥ったとき、彼は買いに回った。それは分析の結果じゃない。そういう性分なんだ。たぶん、彼はセールスマネジャーになっても成功しなかっただろう。だが、今の時代の偉大な投資家のひとりだ」

     同じように、マイケル・ルイスは二〇〇八年の大暴落への道筋を描いた『世紀の空売り』(東江一紀訳)のなかで、世間が好況に酔っていた二〇〇〇年代半ばに破滅がやってくることを見通していた数人の人物を描いた。そのひとりはヘッジファンド・マネジャーのマイケル・バーリ。バーリは大暴落までの数年間、カリフォルニア州サンノゼのオフィスにこもって財務諸表を綿密に検討した末に、世間の人々とは反対の見解に達した。そして、FUDにもとづいた投資戦略をとった。人づきあいが苦手な投資家ペアの、チャーリー・レドリーとジェイミー・マイ。彼らの投資戦略もFUDだった。

    投資で成功するのに必要な唯一のこと

     もうひとつの例は、二〇〇〇年のITバブルの崩壊を背景にしている。登場人物はネブラスカ州オマハ出身で、内向型を自認し、気が向けば何時間もひとりでオフィスにこもることで知られている。そのウォーレン・バフェットは、あきらかに知的な持続性、賢明な思慮分別、警告信号に気づいて対処する能力の持ち主であり、彼自身だけでなく投資会社〈バークシャー・ハサウェイ〉の株主たちに巨額の富をもたらした。バフェットは周囲の人々が判断力を失っているときに注意深く考えることで知られている。「投資で成功するのにIQは関係ない。普通の知性を持っているなら、必要なのは、トラブルの種になるような衝動をコントロールする気質だ」とバフェットは言う。

     一九八三年から毎夏、ブティック型投資銀行〈アレン&Co.〉はアイダホ州サンヴァレーで一週間のカンファレンスを開催する。これはただのカンファレンスではない。派手なパーティや多様なアクティビティ、そして招待客が同伴する子供たちを世話する大勢のベビーシッターまで用意された、至れり尽くせりの豪華な催しなのだ。接待側はメディア産業に顧客が多く、これまでの招待客のリストには、トム・ハンクス、キャンディス・バーゲン、ルパート・マードック、スティーブ・ジョブズといった、ハリウッドセレブや新聞業界の大物、シリコンバレーのスター、有名ジャーナリストらが名前を連ねている。

     アリス・シュローダーが書いたバフェットのすばらしい評伝『スノーボール』(伏見威蕃訳)によれば、一九九九年七月、バフェットはこのカンファレンスにいた。彼は毎年、ビジネスジェット機で家族をひきつれてここを訪れ、ゴルフコースを見渡せるコンドミニアムで他のVIP招待客とともに過ごしていた。年に一度のサンヴァレーでの休暇を楽しみ、家族一緒の時間を持ち、旧友たちと再会できることを喜んでいた。

     だが、この年、カンファレンスの雰囲気は例年とは違っていた。ちょうどテクノロジー・ブームの最盛期で、新顔の参加者が数多くいた。まさに一夜にして大金持ちになったIT企業の社長や、彼らに資金を提供するベンチャー投資家たちだ。彼らはすばらしい成功を収めていた。人物写真で知られるアニー・リーボヴィッツが『ヴァニティフェア』誌に掲載する「メディアのオールスターたち」と題した写真を撮るためにやってくると、彼らは口々に自分も被写体にしてくれとかけあった。

    「ウォーレンも老いたな」

     もちろん、バフェットはそのひとりではなかった。彼は先行き不透明な企業をめぐる投機的な熱狂に巻き込まれたりはしない、保守的な投資家だ。彼のことを過去の遺物として片づける者もいた。だが、バフェットはまだまだ強力な存在で、カンファレンスの最終日に基調講演をした。

     バフェットは数週間かけて講演内容を熟考し、入念に準備をした。演壇に立つと、まずは自分の短所に触れる話をして注目を集めてから(昔の彼は人前で話すのが苦手で、デール・カーネギーの話し方講座で学んだという)テクノロジー関連企業の勢いがもたらしている好景気がそう長くは続かない理由について、詳細な分析を披露した。データを調べ、警告信号に気づいたバフェットは、それが意味するものについてじっくり考えたのだ。彼が予測を公的に発表したのはじつに三〇年ぶりだった。

     シュローダーによれば、その講演を聴いた人々はあまり感銘を受けなかった。それどころか、バフェットの話はその場の人々の雰囲気に水をさすものだった。彼らはスタンディングオベーションで拍手を送ったものの、多くの人々が彼の考えを無視した。「ウォーレンも老いた。頭のいい男だが、今回は機会を逃したな」と彼らは陰で言い合った。

     その日の夜、カンファレンスは盛大な花火とともに閉幕した。例年どおり、大成功だった。だが、その集まりのもっとも重要な部分――ウォーレン・バフェットが発した、市場が衰退する兆しありとの警告――は翌年、まさに彼の警告どおりに、ITバブルが弾けるまであきらかにされなかった。

     バフェットは過去の実績を誇りに思っているだけでなく、つねに自分の「内なるスコアカード」にしたがっていることも誇りに思っている。彼はこの世界を、自分の本能に焦点をあてる人と、周囲に流される人とに二分している。「自分であれこれ判断するのが好きなんだ」とバフェットは投資家としての人生を語る。

     「システィーナ礼拝堂の天井画を描いているようなものだ。『なんてすばらしい絵だろう』と褒めてもらうのはうれしい。けれど、それは自分の絵なのだから、誰かに『なぜ青ではなく、もっと赤を使わないんだ? 』と言われたら、それで終わり。あくまでも自分の絵だから。彼らがなんと言おうがかまわない。絵を描くことに終わりはない。それがなによりすばらしいことのひとつだ」(古草秀子)

  • 米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解

    改めて断っておくが、私は悲観論者ではない。また、常に「大恐慌が来る」と脅かしてきたわけではない。

     2009年2月に執筆した『日本「復活」の最終シナリオ 「太陽経済」を主導せよ!!』では、2008年9月に起きたリーマンショックから「戦前型大恐慌が起きない理由」を説明した。

     事実、大恐慌が起きるどころか、今年までに米株式市場は最高値を更新してきた。

     しかし、アフターコロナが見えてきたことで、今後大暴落すると想定せざるを得ない。しかも、リーマンショックとは違って、株式だけでなく債券とドルも大暴落するリスクが高い。

     リーマンショックに際しては瞬時に形成された国際協調体制は、今は機能不全だ。そうなると、第2次世界大戦後初の事態である。

     マーケットの大暴落から「21世紀型大恐慌」に至るリスクが高い。

     どうしても警告しなくてはいけないと思い、昨年、2020年11月に、『21世紀型大恐慌 「アメリカ型経済システム」が変わるとき』(PHP出版)を書いた。詳しくはこちらを参照してほしい。

    ■ 米マーケット全体が大暴落のリスク

     先進国を中心にワクチンの接種が進み、世界最大の犠牲者を出してきた米国でもアフターコロナが見えてきたと思われている。

     新型コロナウイルス感染症の被害が世界に広がった昨年の初めから、米国を中心に世界の株式市場は上昇を続けた。アフターコロナになれば、世界のマーケットはどう動くのだろうか? 

     このシリーズの前回のコラムでは、「アフターコロナが見えてきた米株式市場は大暴落すると想定せざるを得ない。しかも、リーマンショックとは違って、債券とドルも大暴落するリスクが高い」と述べた。

     なぜだろうか。マーケットの上昇や暴落のメカニズムはどうなっているのだろうか。メカニズムが分かれば対処法も見えてくる。

    ■ FRBがコントロールできない時代に

     米国の経済と金融、そしてマーケットの仕組みの中心に存在するのが米国の中央銀行、FRB(連邦準備制度理事会)だ。

     コロナはFRBにも影響を与え、FRBはマーケットに影響を与える。1980年からコロナ以前の2019年までは、FRBの政策をよく理解すれば、経済もマーケットも十分に予測可能だった。

     しかし、FRBも常に万能ではない。1970年代まではFRBは経済もマーケットもコンロールできなかった。スタグフレーションと呼ばれた時代だ。

    ■ FRBの最大の道具がFF金利

     下に示しているのがFRBの最大の道具であり政策金利といわれるFF金利(Fed Fund Rate)とインフレ率の過去60年間のグラフ(1)である。

     驚くほどの変動を示しているのがお分かりいただけるだろう。

     40年前にはFF金利は20%に近かった。歴史的にみたら今のゼロ金利やゼロインフレはとてもノーマルとは言えない。

     なぜ、当時はそんな高金利になったのだろうか? 

     1970年代の米国は、「偉大な社会」建設を目指した福祉支出拡大とベトナム戦争支出で財政が急速に悪化した。

     その上、中東戦争とイランイラク戦争を契機とした2つの「石油ショック」に見舞われ、インフレに襲われて市場の金利が急上昇した。急速に経済が悪化した。

     当時のFRBは、景気刺激のために金利を引き下げようと通貨供給量を増やしたが、逆にインフレを高進させる「過剰流動性」を発生させて、金利はさらに上昇してしまった。

     高金利に圧迫されて、企業の収益は急速に悪化し、消費や住宅需要は低迷した。

     不景気とインフレーションが一緒にやってきたから、「スタグフレーション」という洒落た名前が作られたが、国民はたまったものではなかった。

    ■ FF金利でインフレを退治したボルカー

     インフレを退治するのに成功したのが、ジミー・カーター政権末期の1979年にFRB議長に就任したポール・ボルカーだった。

     ボルカーは、それまでとは逆の発想で、FF金利を大幅に引き上げて、市場に出回る通貨の量を大きく減らした。厳格な「通貨供給量政策」といわれた。

     昨今のようにFRBが国債を大量に買って「流動性」つまりお金を供給することなどボルカーには論外だった。

     FF金利の大幅な引き上げによってボルカーはインフレ率の大幅低下に成功し、金利も低下して、1980年から始まったロナルド・レーガン大統領時代の「強いアメリカ」を経済から支えた。

     ボルカーによってようやく、FRBがFF金利で経済をコントロールできる時代が到来した。

    ■ FRBの株式市場操作の道具もFF金利

     次に掲げるグラフ(2)には、アメリカの経済とマーケットのエッセンスが詰まっている。

     まず、黒い線が米国の金融当局であるFRBが決定するFF金利だ。FRBが民間銀行に強制的に預けさせる「準備預金」に付ける金利だから、民間銀行の「仕入れ値」であり、金利の「元締め」のような役割を果たす。

     FF金利は、FRBが米国の経済とマーケットをコントロールする最大の道具である。

     冷え込んでいる時にはFF金利を下げて温め(緩和)、過熱だと判断すればFF金利を引き上げて冷まそうとする(引き締め)。

    ■ FF金利でマーケットをコントロール

     もちろん、FF金利は株式市場も動かす。

     ゼロ金利になると、企業の収益が好転するだけでなく、ヘッジファンドや投資銀行といった米国株を動かしている主力投資家の「借入コスト」が劇的に改善する。

     なぜなら、彼らは巨額の「レバレッジ」、つまり借り入れを行なっているから、金利が低下すると借入コストも「レバレッジ」、つまり自己資本に対する借入の倍数分低下するからだ。

     例えば、レバレッジが5倍の場合、1%金利が上下すれば、自己資本に対する借入コストは5倍上下する。5%金利が上下すれば、自己資本に対する借入コストは25%変化する。

     だから、金利を上げられればレバレッジ投資家の収支は大きく悪化し、金利が下がれば収支は大きく改善する。

     投資家に投資資金を貸すのは民間銀行だが、銀行の金利は仕入れ値であるFEDのFF金利によって上下する。

     つまり、FRBはFF金利を上下させることで、FRB→民間銀行→株式投資家の借入コスト→株式投資の収益性、という経路で株式市場に影響を与えることができる。

     こうして、FF金利上げ(引き締め)→株式投資の収益性悪化、FF金利下げ(緩和)→株式投資の収益性改善、という経路で株式市場の上げ下げに影響を与えてきた。

    ■ 過去30年の米株式市場の上昇パターン

     再び、グラフ(2)を見ていただきたい。

     1990年から2019年末までは、米国の中央銀行であり金利と金融政策を決定する連邦準備制度(FRB)の政策金利であるFF金利と、米国の株式市場との間には、顕著な「因果関係」が存在した。

     FRBが米国の株式市場を相当程度コントロールしてきたからだ。その間のパターンは

     (1)FRBの政策金利であるFF金利が低い時から、経済成長、好景気、株高が継続

     (2)FRBが市場は過熱と判断、FF金利を継続的に引き上げ、それでも株は上昇

     (3)FF金利をさらに引き上げ高金利に、やがて株式暴落

     (4)FF金利を大幅に引き下げ、金利の低下により債券価格は暴騰することで株式市場の暴落ショックを緩和する

     (5)は(1)のパターンに戻り、経済と株式が上昇開始

     過去2回の株式市場の暴落であった2000年のITバブルの崩壊と2008年のリーマンショックの双方では以上の(1)から(5)のパターンが見られた。

     いずれの場合にも、経済と株式の上昇はFF金利が低い時に始まり、FRBが金融を引き締めるためにFF金利を引き上げても株式の上昇は止まらず、さらにFF金利を引き上げてから株式「暴落」が起きた。

     すると、FRBはFF金利を直ちに5%以上大幅に引き下げたから、それと同時に債券市場は「暴騰」し、低金利をテコに経済活動も活発化して、大底からの経済成長と株価上昇が始まった。

     つまり、「FF金利の大幅低下は株式の買いチャンス」というパターンがみられた。

  • >>298

    ■ 「マエストロ」と言われたグリーンスパン

     このパターンを確立したのが、1987年から2006年まで19年間にわたり米国の金融政策のトップであったFRBのアラン・グリースパン議長である。

     金融だけでなく経済と株式市場の長期成長までもたらしたグリースパン議長は、その絶頂期には「マエストロ」と呼ばれた。

     グリースパン議長は、低金利政策により株式や不動産などの資産価値を高めて富裕層の消費を拡大して経済成長を持続させ(その間に貧富の格差は拡大したが)、マーケットが加熱すると金利を引き上げ続けた。

     一旦マーケットが暴落すると瞬時に大幅に金利を引き下げて債券価格を上昇させて暴落を緩和し、超低金利効果による経済と株式市場の回復を導いた。

     2000年のITバブルの崩壊から回復と成長をもたらし、2006年の退任の直前までは過熱する株式市場を抑制するために金利を引き上げ続けた。

     グリースパンの後継者であるベン・バーナンキFRB議長もグリースパン路線を踏襲して金利を引き上げ続け、リーマンショックの暴落が発生すると直ちに金利を低下させて危機を乗り切り、その後の株式と経済の成長に道をつけた。

    ■ FRBは株式市場に責任を持つ

     ではなぜ、米国の中央銀行であるFRBは株式市場を動かすのだろうか。

     FRBが雇用の最大化、つまり経済に責任を持っているからだ。そして、株式市場が株式上昇→消費→雇用→経済、という経路で米国経済に及ぼす影響が大きいからだ。

     米国は資本主義の総本山であり、米国資本主義の最大の装置が株式市場であることは過去100年間変わらない。1929年の米国発の大恐慌は株式市場の突然の暴落から始まった。

     FRBを含めた米政府にとって、株式市場をコントロールすることは、経済に直結する死活問題である。

     1990年代以降の米国の財務長官に、私も共同経営者(パートナー)であったゴールドマンサックスから3人も就任していることも、マーケット重視の表れだ。

    ■ 日銀には制度上、株式市場に責任がない

     ここで注意しなくてはいけないのは、日本の中央銀行である日本銀行が法律で定められた責任を持っているのは「物価の安定」だけだ。

     日銀は雇用にも経済にも株式市場にも、制度としては責任がない。

     日銀が1980年代の株式や不動産のバブルを放置したことも、1990年代以降のバブルの崩壊にも手をこまぬいたことにも、こうした制度上の日米の違いが作用した。

     ただし、日銀史上最も国際金融論に通暁した現在の黒田総裁が、2013年の就任以来、日銀の伝統的な手法ではなく、FRBによく似た「金融による成長戦略」をとり、ここまで株式市場を上昇させ、少子高齢化が進む日本経済のマイナス成長を緩和してきたことは特筆すべきだ。

     もちろん、世界最大の対外純資産を持つ点では米国と対極的だが、日本の黒田日銀の政策にも、FRBと共通するリスクが内包されている。

    ■ コロナが変えたパターン

     ドナルド・トランプ政権が誕生した2016年から2019年にはFRBはFF金利をゼロから3.5%まで引き上げていた。

     株式市場の上昇が続き、経済は好調で物価上昇の兆候が見られたためだった。

     しかし、2020年から始まったコロナ禍により、FRBはFF金利をゼロにまで引き下げた。ここから、米株式市場、特にGAMFAを擁するナスダック(NASDAQ)市場の暴騰が始まった。

     「FF金利の大幅低下は買い」という過去の経験則から個人投資家を含む世界中の投資家が米株式市場に資金を流入させたからだ。

    ■ 共同幻想が消えるとき

     大いなる錯覚である。

     過去のFRBによる大幅な金利低下は、株式市場の暴落に対応するためだった。しかし、今回の大幅な金利低下の前には株式市場の暴落は起きていない。

     それどころか、米株式市場は歴史的な高値水準にまで上昇した。

     この本質的な違いを無視して、「ゼロ金利は買い」という過去の成功の方程式を信じた資金が米国株を押し上げた。

     株式市場がどの程度「バブル」状態なのかを表す指標にPER(株価収益率)という「倍数」がある。株価が年間の純利益の何倍なのかを表す。

     日本経済がバブルと言われた1989年末で、PERは時期にもよるが、およそ50倍程度であった。

     直近の2021年1月末のナスダックの平均PERは約71倍、つまり年間利益の71年分、株が買われているということだ。

     グラフ(2)を見ても、ナスダックがこの1年間でいかに上昇したかが分かる。

     この大いなる錯覚が米国株急上昇の最大の原因である。「共同幻想」が消えた時には、暴落の危険をはらんでいる。

    ■ コロナはきっかけに過ぎない

     パンドラの箱を開けたらあらゆる災いが人類にもたらされたとギリシア神話ではいう。

     トランプ大統領が開けたパンドラの箱に、コロナという突風が吹き込んで、これからの米国と世界には「21世紀型大恐慌」のリスクが高まっている。

     そして、2020年からのコロナをきっかけとして、再びFRBが経済とマーケットのコントロールできない時代に入ろうとしている。

  • 「トランプ逮捕」はあるか、財務記録入手で不正疑惑捜査は核心に

    ● ハードディスクの入手で トランプへの捜査は核心へ

     逮捕され刑務所に送られるのか。それともお得意のウソとハッタリでまたも法の網を潜り抜けるのか。司法当局によるドナルド・トランプ前米大統領に対する捜査が核心に迫りつつある。

     吹雪の中、ニューヨーク郊外の会計事務所を訪れた地方検事補佐と2人の捜査官は「ある物」を受け取ると急いでマンハッタン南端に立つ古びた州庁舎へ車を走らせた。2月末のことである。

     「ある物」とは、トランプの過去8年分の納税記録など財務資料が記録されたハードディスクだ。脱税や保険詐欺、業務記録の改ざんなど前大統領の犯罪を裏付ける重要な証拠である。

     地元メディアの報道によると、そのハードディスクは州庁舎の特別な部屋に保管されている。入口は頑丈な二重の金属ドアで、内部の壁や天井には銅箔が張られているという。外部からリモートでデジタル情報にアクセスさせないためだ。そんな厳重な警戒ぶりからみても、資料の中には「大統領の犯罪」を立証する決め手が含まれていることは間違いないだろう。

     トランプは在任中、大統領の免責特権を盾に背任、共謀、職権乱用、司法妨害、脱税、詐欺などさまざまな疑惑の追及を逃れてきた。歴代大統領が慣例として行ってきた納税申告書の公開も、「政治的な魔女狩りだ!」と叫んで拒否し続けた。

     しかし、今や「ただの一市民」となったトランプに免責特権はない。最高裁は2月22日、ニューヨーク州マンハッタン地区主席検事サイラス・ヴァンスの要請を認め、前大統領に財務資料の提出を命令した。さすがのトランプもこれには逆らえない。判決からわずか数時間後、膨大な資料が収められたハードディスクがトランプの会計事務所から司直の手に渡った。

     この資料を基に検察が起訴すれば、内容が一般にも公開される可能性がある。場合によってはトランプ自身が法廷で証言を求められるかもしれない。そうなれば見ものだ。

    ● 脱税と不正税申告を 集中的に捜査

     ニューヨーク州検察が集中的に捜査しているのは脱税と不正税申告だ。そのため州検察は捜査チームにFTIコンサルティングというフォレンジック会計の専門家を雇った。フォレンジック会計は訴訟会計とも呼ばれ、会計上の違法行為を見つけて裁判に耐えうるデータを集める作業のことだ。トランプの不明朗な金の流れを精査するのが目的だが、捜査の中立性を担保する狙いもある。

     それだけではない。ニューヨーク・マフィア5大ファミリーのひとつ、ガンビーノ一家のボスの息子を有罪にしたことで有名な元連邦検察官マーク・ポメランツも捜査チームに加わっている。マフィアの巧妙な脱税手口を知り尽くしたベテランだ。

     「彼らは本気だ。すでに確証に近いものを手に入れ、その仕上げにかかっているようだ」と、トランプ大統領上級顧問だったケリーアン・コンウェイの夫で反トランプ弁護士のジョージ・コンウェイは地元誌のインタビューで語っている。

     トランプの財務記録を巡っては、すでに米ニューヨーク・タイムズ紙が独自入手した資料を基にスッパ抜いている。例えば、富豪のはずのトランプが大統領選以前の15年間のうち10年間にわたり連邦所得税を納めなくて済んだカラクリや、勝利が決まった2016年の納税額がたったの750ドル(約8万円)だったことなどだ。

     そもそもトランプの犯罪捜査は2018年までさかのぼる。当初は2016年の大統領選挙中にポルノ女優とのセックススキャンダルをもみ消すために数十万ドルの口止め料を支払ったことが公職選挙法違反に当たるというものだった。しかしその後、捜査はトランプ個人の不正疑惑だけでなく一族が経営するトランプ・オーガニゼーションを巻き込んだ粉飾決算、詐欺、背任などに広がっていった。

     すでに元顧問弁護士でトランプの忠実な「ピットブル(闘犬)」と呼ばれたマイケル・コーエンが司法取引に応じて有罪を認め、脱税と選挙資金法違反で禁固3年の有罪判決を受けている。ボスに見捨てられた恨みは深い。「あいつ(トランプ)はずるいウソつき、詐欺師だ」と議会証言で前大統領をこき下ろし、今も捜査に協力している。

     新司法長官メリック・ガーランド(民主党)が許可すれば、検察は年内にもトランプを複数の容疑で刑事告発できるとヴァンス主席検事は自信を深めているという。

    ● 検察の切り札は 金庫番との司法取引

     しかし法律専門家の間では、前大統領の刑事告発はそう簡単ではないという指摘がある。なぜなら裁判では、トランプに「合理的疑いの余地のない」明確な犯罪の意図があったことを陪審に証明しなくてはならないからだ。そのためには財務資料とともに決め手となる関係者の証言が欠かせない。

     すでに検察はトランプ一族と関係の深いドイツ銀行従業員など関係者多数に聞き取りを行った模様だが、油断は禁物だ。実業家時代にトランプは4000件近くの訴訟を抱えたが、いずれも狡猾な手段を使って切り抜けているからだ。

     じつはトランプの側にはマフィアの守護神といわれた悪徳弁護士ロイ・コーンが常についていた。ウソとハッタリで敵を容赦なくたたきつぶす者が最後に勝者となるという処世訓をトランプにたたき込んだのもこの男だった。

     コーンはすでにこの世を去っているが、トランプは彼から犯罪の痕跡を残さない術を学んでいる。例えば、自分の机にはコンピューターを置かず個人的電子メールアドレスも持たない。メッセージは側近に書かせる。不正行為を指示するときには言質を取られないよう曖昧な言葉を使って自分の意図を部下に忖度(そんたく)させる。悪徳政治家やヤクザの常とう手段だ。いざとなったら知らんふりをして責任を他人になすりつけることができる。

     そんな悪賢い前大統領に対して、検察の切り札は長年トランプ一族の忠実な金庫番を務め誰よりも黒い金の流れを知る最高財務責任者のアレン・ワイゼルバーグ(73歳)だ。もしワイゼルバーグがコーエン受刑者と同じように司法取引に応じて証言すれば、トランプは窮地に追い込まれるだろう。

     前大統領のめいで自著でトランプ一家の暗部を暴露したメアリー・トランプはこう言ってはばからない。

     「すべての死体(犯罪の証拠)がどこに埋められているかはワイゼルバーグが知っています」

    ● 平静を装うトランプだが 無傷の逃げ切りは困難

     それではトランプ本人は何をしているのだろうか。知人で米ニュース誌記者のビル・パウエルによると、フェイスブックやツイッターから排除されて発信力を失った前大統領は平静を装ってフロリダの高級リゾートでゴルフ三昧の日々を過ごしているそうだ。

     しかし、誇大妄想で偏執狂のトランプがそうたやすく引き下がるわけがない。パームビーチに「The Office of the Former President(元大統領のオフィス)」という珍妙な名前の事務所を開設し、陣営の上級顧問ジェイソン・ミラーや元主席戦略官だったスティーブ・バノンたちと共和党乗っ取りをひそかに画策しているという。いまだにトランプを恐れる大多数の共和党議員を利用して白人至上主義とアメリカファーストを推し進めようというのだ。

  • >>300

     トランプの政治資金団体である「Save America(アメリカを救え)」はすでに約8000万ドルもの寄付金を集めており、来年の中間選挙でトランプに忠誠を誓う共和党候補につぎ込む手はずだ。

     弾劾裁判でトランプに反旗を翻した共和党議員への仕返しも忘れていない。「復讐リスト」には、下院共和党ナンバー3のリズ・チェイニー下院議員を含む10人以上の共和党議員の名前がズラリと並んでいる。どんな汚い手を使っても彼らを落選させるつもりだ。

     とにかくトランプは蛇のように執念深い。実業家時代に黒い組織の人脈から2つのおきてを学んでいるからだ。ひとつは「やられたら容赦なくやり返せ」。もうひとつは「ボスを裏切ったヤツを絶対に許さない」である。

     そんな負けず嫌いのトランプも今度ばかりは無傷で逃げ切るのは難しいだろう。検察側が時間をかけて周到に物的証拠や証言を積み重ねてきているからだ。

     コロナ感染対策と経済再建で手いっぱいのバイデン大統領はトランプ起訴には消極的だ。だが、これほどまでに悪質な「大統領の犯罪」を見逃せば、民主主義の根幹である法の支配を揺るがすことになりかねない。不安の声が法曹界や民主党支持者の間で高まっている。

     アメリカ社会を分断し世界秩序を混乱させたトランプ前大統領は、果たしてどのように裁かれるのか。重厚なローマ様式のニューヨーク郡裁判所ビルの正面を見上げると、初代大統領ジョージ・ワシントンの次のような碑文が刻まれている。

     「真の司法権は良識ある政府の最も強固な柱である」

  • SPACを激しく批判、個人投資家「略奪行為」の餌食に-ブロック氏

    (ブルームバーグ): 空売り投資家カーソン・ブロック氏は、より多くの特別買収目的会社(SPAC)を対象に市場価格の下落に賭ける投資を増やしていると述べ、一部の個人投資家が「略奪行為」の餌食になるとの見通しを示した。

    マディー・ウォーターズ・キャピタル の最高経営責任者(CEO)であるブロック氏は5日の電話取材で、「怪しげなものが非常に多く存在する。市場は今や詐欺の時代だ」と発言。その一方で、空売りの最近のターゲットを特定することは避けた。

    ブロック氏は最近、SPACを通じて株式を公開したXLフリートとマルチプランについて下落に賭ける投資を行っており、前者は年初来約70%、後者も約25%値下がりしている。

    原題:Carson Block Steps Up SPAC Attacks, Citing ‘Predatory’ Behavior(抜粋)

    (c)2021 Bloomberg L.P.

  • 世界経済の回復見通しなお不確実、金利上昇を懸念=IMF声明

    [ワシントン 8日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)の運営方針を決める国際通貨金融委員会(IMFC)は8日、声明を発表し、世界経済は新型コロナウイルス危機から予想以上の速さで回復しているものの、回復の見通しはなお極めて不確実で、金利の急上昇は特に新興国への打撃になりかねないとの認識を示した。

    コロナワクチンの世界的な配布を加速させることが重要であり、国際的な協力を強化すると約束。世界の金融情勢が逼迫した場合、金融の脆弱性の高まりがリスクになり得るほか、コロナ禍による被害が拡大し、貧困や不平等が進む可能性もある中で、気候変動やその他の共通課題が一段と差し迫っていると警告した。

    ゲオルギエワIMF専務理事は、力強い米経済見通しで世界全体にプラスの波及的な影響が及ぶと指摘。ただ、一段と速い成長が金利上昇につながれば、経済活動を再開できていない国が打撃を受ける恐れがあると懸念を示した。

    ゲオルギエワ氏はIMF・世銀の春季会合で、市場でインフレ期待に対する「熱狂的な」見方が出ていることが国債利回りの上昇につながっているとし、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長に対し、インフレは制御されているとのFRBの見解を明確に伝達するよう要請。「パウエル議長の極めて慎重なアプローチは大きな助けになる」と述べた。

    同時に、インフレが新興国に及ぼす影響に懸念を表明。貿易の促進がインフレ圧力の制限に役立つ可能性があるとの考えを示した。

    <SDR新規配分>

    IMFの準備資産である特別引き出し権(SDR)に関し、ゲオルギエワ専務理事は会見で、前日に20カ国・地域(G20)が合意した6500億ドルの新規配分を委員会の全メンバーが強く支持したと表明。クォータ(出資割当額)に関する交渉は容易でないものの、各加盟国とも関心の高さを示していると述べた。

    SDR新規配分でパンデミックで痛手を受けている中所得国が特に恩恵を受けられるとし、「これらの会合で、世界金融の安全網の中心にあるIMFへの強い支持と、IMFが責務を果たすために適切な資源を備えていることに対する全ての加盟国の明確な意思が示された」と話した。

    *内容を追加します。

  • VIXオプションで大規模取引、米株市場の落ち着き持続せずと想定か

    (ブルームバーグ): 米株式市場は最高値を連日更新しつつも落ち着きを見せているが、あるオプショントレーダーは無風状態は長続きしないとみて大きな賭けに動いているようだ。

    8日午前には、シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)が現水準の約17から7月に40に向かって上昇し25を下回らないと見込む投資を行い、オプション市場を揺さぶった。このトレーダーは複数回のブロック取引を行ったもようで、合計約20万枚のコールオプションを購入した。ブルームバーグの集計データによると、これはVIXのコールの1日当たり売買高20日平均とほぼ同水準。

    迫り来る増税や景気回復ペース、物価上昇などを巡るさまざまな不安から、今の株式市場の落ち着きは短命に終わると市場参加者は懸念している。株価上昇の中で相場が下落に転じた場合に備えるコストが下がり、プロテクションを大量に買い込む向きもいる。

    アンブラス・グループのクリス・シディアル共同最高投資責任者(CIO)は「VIXの価格が17台前半にあるため、今後、こうした比較的大規模な賭けがもっと出てくると推測する」と述べ、 「ここ2カ月にボラティリティーは大きく低下したものの、市場の行き過ぎた脆弱(ぜいじゃく)性の兆候がさまざまな角度から依然見られることをスマートマネーは理解していると思う」と語った。

    原題:Giant VIX Options Trades Bet That Stock-Market Calm Won’t Last(抜粋)

    (c)2021 Bloomberg L.P.

  • 米オプション市場で株価変動見込む取引、弱気見通し反映も

    [ニューヨーク 8日 ロイター] - 8日の米オプション市場で、向こう3カ月間の米株価変動率の高まりを見込んだとみられる大規模な取引が行われた。

    8日の取引データによると、株式投資家の不安心理を示すボラティリティー・インデックス(VIX指数)が7月中旬までに25の水準を突破して40に向け上昇すると見込む約4000万ドル規模の取引が行われた。

    VIX指数は16.95で8日の取引を終え、新型コロナウイルス感染拡大で市場に混乱が広がる直前の昨年2月20日以来の低水準となった。

    トレード・アラートによると、8日は午前10時から2時間の間に、VIXの7月限25─40コールスプレッドが約20万枚取引され、VIXオプションの1日平均出来高の約3分の2に上った。

    権利行使価格がスプレッド下限付近のコールを平均3.37ドルで買い、行使価格がより高いコールを平均1.30ドルで売る取引が行われた。

    VIX指数が7月中旬までに25を上回れば利益が出る。

    株価が揺れ動く局面でVIXが大きく上昇する傾向にある点を踏まえると、オプション市場でのこうした取引は株式に対する弱気の見通しを反映している可能性がある。

  • リスク回避の尺度であり、米株投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE) ボラティリティー(VIX)指数は、14カ月ぶりの低水準に低下してきた(リスク選好)。

    短期的には過熱感があり、14日前後から本格化する米企業の決算発表などを受けた反動調整が警戒される。決算発表は一旦の好材料出尽くしや事前期待比での失望が警戒されるほか、金利上昇・ドル高・コスト高の遅行打撃も注視される。米株はワクチン普及による株式投資からの消費シフトや、反対の変異種拡大なども懸念材料になる。

    米国株は昨年11月以降、1−3月期決算を含めた企業収益のV字回復を織り込む形で大幅高となっている。その意味で4月後半にかけて続く決算発表のシーズンでは、良好でも一旦の好材料出尽くしや最良期の先行きピークアウト懸念、悪ければ過剰期待の反動失望などにより、短期的な米株安が警戒される。

    しかも米国株市場では、リスク回避の尺度であり、米株投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE) ボラティリティー(VIX)指数が、4月8日の終値で16.95となった。直近の日中最高である3月4日の31.90から大きく低下し、昨年2月以来、約14カ月ぶりの低水準となっている(リスク選好)。過去実績として「1年スパンのレンジ下限下抜け」となるようなVIX急低下は、その後に揺り戻し的なVIX上昇と短期株安が警戒されやすい。

    短中期のトレンド判断で参考になる週足テクニカルでも、VIXは低下の行き過ぎ過熱シグナルが点滅してきた。8日の終値が16.95に対し、1年スパンのトレンド・ラインを示す52週移動平均線は25.90となっている。52週移動平均線からの乖離率(終値÷52週平均)は−34.6%という大幅な下方乖離となり、実に2016年8月以来、約4年半ぶりの低下過熱が示唆されている。

    2016年8月の場合、VIX指数は同月の最低11.02から、9月に20.51、11月に23.01という反動調整的なVIX上昇が見られていた(リスク回避、米国株は反落)。最近では同乖離率が昨年12月4日週に、−26.1%への下振れ過熱となっている(リスク選好の行き過ぎ過熱)。
    当時はその後、12月18日から21日にかけて、VIXは一時的ながらも21.57から31.46へと急上昇する短期波乱に直面していた。
    米国株の先行上昇と当座の収益改善の織り込み度合いでいえば、米株S&P500は8日時点で四半期別の前年同期比が+26.8%の上昇率となってきた(期中の高値比較)。最近では2010年4−6月の+27.6%以来の大幅株高となっている。同期の米経済分析局による米企業収益(在庫調整・資本消費調整後)は、前年比+27.8%となっていた。レアケースながらも、増益率と同水準の株価上昇率となっている。

    これから発表が相次ぐ米国企業の決算発表については、ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめたアナリスト予想で、「S&P500種構成企業の通年の1株利益は前年比+25%増の172.90ドルと過去最高が見込まれている。2桁増益は少なくとも23年まで続く見通し」(4月2日時点)とされる。しかも年初以降、「アナリストらは今年1−3月(第1四半期)の企業の利益予想を引き上げており、その上方修正ペースは少なくとも2004年以降で最速」となっていた。こうした上方修正の織り込みが、足元4月8日までに至る株高加速の一因となっている。

    一方でS&P500は8日時点で、四半期別の前年同期比が+26.8%の上昇率となってきた。単純に現時点での通年「前年比+25%増益」という予想は織り込みが進捗しつつある。その意味でも14日前後からの決算発表では、一旦の好業績消化と米国株の調整下落、あるいは日柄調整による高値横這い移行が注視されやすい。米国株の季節アノマリーとしても、4−5月は調整下落となるパターンが目立っている。

    今年の米企業収益については、1月5日時点のリフィニティブ分析で「S&P500種構成企業の2021年予想増益率は+23.9%で、2020年の−12%減から大きく盛り返す」という見通しがなされていた。その点でもS&P500の現在の前年比+26.8%上昇は、一旦の織り込み進展を示唆するものだ。一方で「昨年の−12%減から今年の+23.9%増益(先行き上方修正余地)」を織り込む過程との見合いでは、一定程度は整合的であり、まだ異常なバブル割高にはなっていない。

    一方、米国の企業収益については、今回1−3月実績のあと、4−6月以降など先行き見通しで重石となるのが、金利上昇やドル高、各種コスト上昇、供給制約などの遅行打撃だ。米株はワクチン普及による株式投資からの消費シフトや、反対の変異種拡大なども懸念材料になる。

    米10年債金利でいえば月間最高金利の前年同月比が、4月8日時点で前年比+0.97%の上昇となってきた。最近では2014年1月の+1.02%以来という、大幅な金利上昇幅となっている。当時は遅行影響を含めて、米国株が上げ渋りから調整下落へと移行。S&P500の3カ月前比・騰落率(月間安値÷3カ月前の月間高値)は、前月2013年12月の+2.20%から、当該月の2014年1月が−0.27%、翌2月が−4.17%という調整株安に見舞われている。

    その前では2010年1月に、米10年債金利が前年比+1.01%の大幅上昇となった。当時もS&P500は3カ月前比で同月が−2.70%、翌2月が−6.21%という調整株安に転じている。こうした金利上昇の株安打撃は、2018年10月以降の株価急落でも時間差で観測されていた。

    また、ドルと米企業収益の関係では、ドルの総合力を示すドル指数(インターコンチネンタル取引所)は今年1−3月に89.21と2018年1−3月以来の安値をつけたあと、4−6月からは92−93へとドルが反発している。

    過去にドル指数が長期90割れから90を回復したドル反発局面として、2015年1−3月があった。米企業収益は同期こそ+7.8%という増益となったが、翌4−6月からは−1.4%へと悪化。ドル高も一因となる形で、2015年10−12月は−10.9%の大幅減益となっている(同期のドル指数は93−100のドル高)。

    その前では1998年などで「ドル指数90超えからの収益マイナス化」という相関性があり、今回もドル反発からタイムラグを経た企業収益の鈍化が警戒される。

  •  9日のシカゴ・オプション市場(CBOE)でS&P500種株価指数オプションの値動きに基づいて算出される変動性指数(VIX、恐怖指数)は低下。4時34分時点では16.65と前営業日の清算値16.95から0.30ポイント低い水準で推移している。

  • VIX指数は小幅に下落しての推移。米株の堅調地合いを眺めてリスク志向の動きが意識されている。

    現状の水準は以下の通り。

    VIX指数:16.91(-0.04)

  • リスク回避の尺度であり、米株投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE) ボラティリティー(VIX)指数は、14カ月ぶりの低水準に低下してきた(リスク選好)。

    短期的には過熱感があり、14日前後から本格化する米企業の決算発表などを受けた反動調整が警戒される。決算発表は一旦の好材料出尽くしや事前期待比での失望が警戒されるほか、金利上昇・ドル高・コスト高の遅行打撃も注視される。米株はワクチン普及による株式投資からの消費シフトや、反対の変異種拡大なども懸念材料になる。

    米国株は昨年11月以降、1−3月期決算を含めた企業収益のV字回復を織り込む形で大幅高となっている。その意味で4月後半にかけて続く決算発表のシーズンでは、良好でも一旦の好材料出尽くしや最良期の先行きピークアウト懸念、悪ければ過剰期待の反動失望などにより、短期的な米株安が警戒される。

    しかも米国株市場では、リスク回避の尺度であり、米株投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE) ボラティリティー(VIX)指数が、4月9日の終値で16.69となった。直近の日中最高である3月4日の31.90から大きく低下し、昨年2月以来、約14カ月ぶりの低水準となっている(リスク選好)。過去実績として「1年スパンのレンジ下限下抜け」となるようなVIX急低下は、その後に揺り戻し的なVIX上昇と短期株安が警戒されやすい。

    短中期のトレンド判断で参考になる週足テクニカルでも、VIXは低下の行き過ぎ過熱シグナルが点滅してきた。8日の終値が16.95に対し、1年スパンのトレンド・ラインを示す52週移動平均線は25.90となっている。52週移動平均線からの乖離率(終値÷52週平均)は−34.6%という大幅な下方乖離となり、実に2016年8月以来、約4年半ぶりの低下過熱が示唆されている。

    2016年8月の場合、VIX指数は同月の最低11.02から、9月に20.51、11月に23.01という反動調整的なVIX上昇が見られていた(リスク回避、米国株は反落)。最近では同乖離率が昨年12月4日週に、−26.1%への下振れ過熱となっている(リスク選好の行き過ぎ過熱)。
    当時はその後、12月18日から21日にかけて、VIXは一時的ながらも21.57から31.46へと急上昇する短期波乱に直面していた。
    米国株の先行上昇と当座の収益改善の織り込み度合いでいえば、米株S&P500は8日時点で四半期別の前年同期比が+26.8%の上昇率となってきた(期中の高値比較)。最近では2010年4−6月の+27.6%以来の大幅株高となっている。同期の米経済分析局による米企業収益(在庫調整・資本消費調整後)は、前年比+27.8%となっていた。レアケースながらも、増益率と同水準の株価上昇率となっている。


    これから発表が相次ぐ米国企業の決算発表については、ブルームバーグ・インテリジェンスがまとめたアナリスト予想で、「S&P500種構成企業の通年の1株利益は前年比+25%増の172.90ドルと過去最高が見込まれている。2桁増益は少なくとも23年まで続く見通し」(4月2日時点)とされる。しかも年初以降、「アナリストらは今年1−3月(第1四半期)の企業の利益予想を引き上げており、その上方修正ペースは少なくとも2004年以降で最速」となっていた。こうした上方修正の織り込みが、足元4月8日までに至る株高加速の一因となっている。

    一方でS&P500は8日時点で、四半期別の前年同期比が+26.8%の上昇率となってきた。単純に現時点での通年「前年比+25%増益」という予想は織り込みが進捗しつつある。その意味でも14日前後からの決算発表では、一旦の好業績消化と米国株の調整下落、あるいは日柄調整による高値横這い移行が注視されやすい。米国株の季節アノマリーとしても、4−5月は調整下落となるパターンが目立っている。

    今年の米企業収益については、1月5日時点のリフィニティブ分析で「S&P500種構成企業の2021年予想増益率は+23.9%で、2020年の−12%減から大きく盛り返す」という見通しがなされていた。その点でもS&P500の現在の前年比+26.8%上昇は、一旦の織り込み進展を示唆するものだ。一方で「昨年の−12%減から今年の+23.9%増益(先行き上方修正余地)」を織り込む過程との見合いでは、一定程度は整合的であり、まだ異常なバブル割高にはなっていない。

    一方、米国の企業収益については、今回1−3月実績のあと、4−6月以降など先行き見通しで重石となるのが、金利上昇やドル高、各種コスト上昇、供給制約などの遅行打撃だ。米株はワクチン普及による株式投資からの消費シフトや、反対の変異種拡大なども懸念材料になる。

    米10年債金利でいえば月間最高金利の前年同月比が、4月8日時点で前年比+0.97%の上昇となってきた。最近では2014年1月の+1.02%以来という、大幅な金利上昇幅となっている。当時は遅行影響を含めて、米国株が上げ渋りから調整下落へと移行。S&P500の3カ月前比・騰落率(月間安値÷3カ月前の月間高値)は、前月2013年12月の+2.20%から、当該月の2014年1月が−0.27%、翌2月が−4.17%という調整株安に見舞われている。

    その前では2010年1月に、米10年債金利が前年比+1.01%の大幅上昇となった。当時もS&P500は3カ月前比で同月が−2.70%、翌2月が−6.21%という調整株安に転じている。こうした金利上昇の株安打撃は、2018年10月以降の株価急落でも時間差で観測されていた。

    また、ドルと米企業収益の関係では、ドルの総合力を示すドル指数(インターコンチネンタル取引所)は今年1−3月に89.21と2018年1−3月以来の安値をつけたあと、4−6月からは92−93へとドルが反発している。

    過去にドル指数が長期90割れから90を回復したドル反発局面として、2015年1−3月があった。米企業収益は同期こそ+7.8%という増益となったが、翌4−6月からは−1.4%へと悪化。ドル高も一因となる形で、2015年10−12月は−10.9%の大幅減益となっている(同期のドル指数は93−100のドル高)。

    その前では1998年などで「ドル指数90超えからの収益マイナス化」という相関性があり、今回もドル反発からタイムラグを経た企業収益の鈍化が警戒される。

  • リスク回避の尺度であり、米株投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE) ボラティリティー(VIX)指数は、14カ月ぶりの低水準からの反動調整的な上昇が本格化してきた(リスク回避)。

    最近はVIX急上昇のあと、6−9週は上昇警戒の不安定さが続くこともあり、6月15−16日の米FRBによるFOMCにかけては警戒が続く。一方で最近のカネ余り下での米株安は、月替わり後の新規資金流入などもあって「月末底値」の傾向もあり、当座は短期的にインフレを押し上げている供給ノイズの見極めなどが焦点になる。

    「米グーグルの共同創業者が5月7−11日にかけて、保有するグーグル親会社アルファベットの持ち株を放出したことは、米ITハイテク株のコロナ特需やFRB緩和恩恵など受けた高騰の一旦の天井ピーク前兆として注視される」。
    外国人投資家の動向に詳しい国内証券の関係者はこのように警戒感を示す。

    同社創業者であるセルゲイ・ブリン氏は5月7日、10、11日にかけて、「1億6300万ドル(約180億円)相当のアルファベット株を売却した」(13日ブルームバーグ)。今回の売却は、あくまで事前に取り決められた取引計画に基づいて行われたもので、同氏の相場観や資産事情との関係は不明ながら、2017年2月以来の売却とされている。その後の約4年は保有を続けていたわけで、一旦の高値売り抜けや、現状からの株高のバブル化リスク、米バイデン政権によるIT企業への規制リスクなどとの関係で注視される。

    こうした個別株の動き以前の問題として、米国株はインフレ懸念の高まりが、FRB超緩和策などによる過剰流動性相場の「終わりの始まり」として警戒され始めた。FRBによる量的緩和縮小の議論開始時期などについて、前倒しリスクに疑心暗鬼となりつつある。リスク管理の観点として、一旦の高値売り抜けや、ヘッジ対応の強化などが意識されやすい。

    もっとも、米国株市場ではリスク回避の尺度であり、米株投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE) ボラティリティー(VIX)指数が、4月14日に一時15.38にまで急低下するという「過剰楽観の行き過ぎ」が見られてきた。コロナ危機直前である昨年2月以来、約14カ月ぶりの低水準となっている(リスク選好、米株は上昇)。

    過去実績として「1年スパンのレンジ下限下抜け」となるようなVIX急低下と過剰楽観は、その後に揺り戻し的なVIX急上昇と短期株安に見舞われている。今回もまた4月中旬からの米国企業による決算発表での「総体的なV字回復」という好材料の消化一巡もあって、リスク軽視の揺り戻しがVIX上昇と米株安の一因となってきた。

    直近でVIXは5月7日の16.68を最低として、12日には一時28.38へと急上昇している(リスク回避、米株は下落)。現在と同じように米長期金利の上昇が警戒された、3月8日以来の高水準となってきた。
    VIXは2019年以降の直近傾向として急上昇した場合、「6−9週間」はVIX再上昇が警戒される不安定さとリスク回避の地合いが持続している。

    中長期スパンではFRBによるインフレ一時的判断と、雇用修復に向けた金融緩和策の長期化、米バイデン政権による来秋の中間選挙などを意識した経済対策の余地などにより、株高トレンドの継続期待は根強い。それでも短期的には米国株の季節的な「5月の株安」アノマリーなどもあって、当座は調整株安の持続リスクが注視されそうだ。

    しかも現在は短期的なインフレ上振れを受けて、6月15−16日の米FRBによるFOMCでの物価判断や今後の金融政策スタンスに注目度が高まっている。6月16日のFOMCまでは、VIXの上昇波乱と米株安、株価上下動のボラティリティー(市場変動率)上昇が警戒されやすい。

    最近のVIX上昇局面でいえば、今年1月22日週(0週の起点)の翌週からVIXが上昇となり、週間最高ベースでは1週目に37.51、6週目に31.90という大幅上昇を経て低下基調へと転換(=米株は反発)している。その前の昨年8月28日週以降のVIX急上昇では、1週目に38.28、9週目に41.16という跳ね上がりを経て上昇がピークアウトした。

    コロナ・ショックが直撃した2020年2月21日週の翌週以降の場合、4週目の85.47、6週目の67.69という記録的な上昇のあと、VIXは上昇一服からリスク回避の緩和方向に向かっている。このように6−9週間はVIX再上昇が警戒される不安定さが続く反面、カネ余りや超低金利の長期化安心感もあって、6−9週間で当座の悪材料は織り込みが進むパターンが繰り返されてきた。

    今回の場合、VIX低下の行き過ぎ過熱があった4月16日週の翌週からは4週目となっており、カウントの仕方は微妙なところだ。4月16日週を0週とすると現状5月14日週は4週目にあたり、残り2−5週間、もしくは現状から6週間から9週間は不安定な相場が警戒される。

    一方で米国ではFRBの先行き緩和縮小が警戒されても、現状はカネ余りが持続したままだ。米国株の「買い遅れマネー」や、高値警戒による米株の下落待ち「押し目買いマネー」が潤沢に残されている。

    コロナ危機対応以前でも、人口の多いベビーブーマー・ジュニア世代を含めた年金資金の機械的な株式流入の増加などもあって、米国株の下落局面では月末が底値で底入れを形成。月替わりからは機械的な新規資金流入などにより、反発となる日柄パターンが目立ってきた。その意味で今回についても、5月後半から5月末にかけて一旦の下げ止まりが注視される。

    5月後半にかけては、短期的にインフレを押し上げている複合的な供給ノイズの影響持続と、今後の影響一段落を見定める展開となりそうだ。12日には米国の4月CPI(消費者物価指数)が急上昇したが、同統計を踏まえてもFRBのクラリダ副議長は同日、あくまで前年の経済封鎖などによる大幅下振れの反動というベース効果と、サプライチェーンの目詰まりなどによる供給制約といった「短期要因」と強調している。

    なお、最近のNYダウの急落局面と、調整株安が底入れとなった「底値日」としては、今年3月の25日、1月の29日、昨年10月の30日、昨年3月の23日(コロナ打撃のあと)、2019年5月の31日、2018年12月の26日など、月後半から月末という日柄パターンが目立っている。

  • アマゾンのベゾス氏やテスラのマスク氏に所得税不払い報道…調査団体「税回避策を駆使」
    6/9(水) 10:56配信

     【ニューヨーク=小林泰明】調査報道を手がける非営利団体「プロパブリカ」は8日、米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)や米テスラのイーロン・マスクCEOら米富裕層の機密扱いの納税記録を入手したと報じた。報道によると、ベゾス氏は2007年には連邦所得税を払っていなかったほか、マスク氏も18年に同税を支払っていなかったという。

     プロパブリカは「億万長者は巨額の資産に比べて所得税をほとんど払っていないか、時にはゼロだ」と批判している。日本の国税庁にあたる内国歳入庁(IRS)の納税記録を入手し、分析した。報道では、最も富裕な層25人の資産は14~18年に4010億ドル(約44兆円)増えた一方、連邦所得税の支払いは136億ドル(約1・5兆円)にとどまったという。

     プロパブリカは、株式などの価値が上昇して資産が増えても、売却されない限り課税所得とみなされないと説明したうえで、「億万長者は一般人にはできないような税回避策を駆使している」と訴えている。入手したデータをもとに富裕層がどのように税金を回避しているのか、今後も調査を続けるという。

  • >>312

    米富裕層、所得税支払い回避 報道機関が納税記録暴露

     【ニューヨーク時事】非営利の米報道機関プロパブリカは8日、米アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏や著名投資家ウォーレン・バフェット氏ら米富裕層が、連邦所得税の納税を回避している実態を報じた。

     保有資産の価値増加に対する納税額が少なく、富裕層に有利な税制になっていると主張した。

     プロパブリカは、富裕層の納税記録を独自に入手し、分析。報道は公益に資すると説明している。財務省などの当局は「機密情報の不正な開示は違法」(政府高官)として、情報流出に関する調査に着手した。

     プロパブリカによると、上位25人の合計資産価値は2014年から5年間で、計4010億ドル(約44兆円)増加したが、連邦所得税の支払いは136億ドルだけで「真の税率」は3.4%にすぎないと分析。平均的な中所得層は、同時期に自宅の価値の上昇分とほぼ同額の税金を納めていたという。

  • >>313

    ベゾス氏ら著名資産家「ほとんど納税せず」米サイト報道

    米調査報道専門ニュースサイト「プロパブリカ」は8日、米アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏ら、米国の著名な資産家らの納税記録を独自に報じた。巨額の資産にもかかわらず「ほとんど納税していない」と指摘し、富裕層に有利な税制の問題を提起している。

     プロパブリカは調査報道を専門とするNPOで、主に寄付金で運営している。米国の内国歳入庁(IRS)の内部資料を独自に入手し、富裕層数千人の15年以上にわたる納税データを分析して報じたという。

     報道によると、ベゾス氏は2007年と11年に、米テスラ創業者のイーロン・マスク氏は18年に連邦所得税を払っていなかったという。ほかにも投資家のウォーレン・バフェット氏、米ブルームバーグ創業者のマイケル・ブルームバーグ氏らの納税額を報じた。

     米国の平均的な世帯は、年間所得のうち14%を連邦税として支払っている。これに対し、資産額の上位25人は14~18年に資産が4010億ドル(43・7兆円)増えたが、納めた連邦所得税は、その3・4%に当たる136億ドル(1・48兆円)にすぎなかったという。

     また、著名な資産家らは、借金の活用や投資損失の計上などで所得を圧縮し、納税額を少なくしていたという。

     超富裕層は資産の多くを株式の形で保有するが、株式は配当を除くと、売却して利益が出ないと課税対象にならない。プロパブリカは「株式の配当や売却益は税率が賃金所得より低いため、賃金労働者と比べて、資産額に対する納税額の割合が少ない」と指摘している。

     米バイデン政権は富裕層への課税を強化する方針だ。報道を受け、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は「超富裕層は富のほんの一部しか税金を払っていない」「公平な負担をさせるため、富裕税を導入する時だ」とツイッターに投稿した。(ニューヨーク=真海喬生)

    朝日新聞社

  • 「金融界の革命児」の死…ソーシャルレンディング大手・元社長に“何が”あったのか

     東京・霞が関の日比谷公園内多目的トイレで、6月8日、maneoマーケット元社長の瀧本憲治氏(49)が、遺体となって発見されたニュースは、金融界に衝撃をもたらした。

     「瀧本さんといえば、ソーシャルレンディング(SL)というビジネスモデルを、金融界に確立した人。先が見えてアクティブでポジティブ。自殺するとは思えないのに、いったい何があったのか…」(SL業者)

     トイレは内側からカギがかけられ、早朝、清掃員が発見。通報を受けてかけつけた警察は、現場の状況から自殺と判断した。死の4日前に話をしたという知人は、「普段と変わりはなく、取り組んでいる事業について語ってくれた」というのだが、事業がカベにぶつかっていたのは確かである。

    “露わ”になった「SL」の限界

     まず、SLが限界に達していた。ネット上に開示された情報をもとに、投資家が企業に事業資金を貸し付け、配当を得るのがSL。金融機関が二の足を踏むリスクの高い案件が多く、その分、配当は10%前後と高い。

     maneoマーケットがSLのプラットフォームを提供、子会社のmaneoが貸金業登録をして貸付先を管理。その他maneoマーケットはプラットフォームを他社にも提供、それはLCレンディング、ガイアファンディング、クラウドリースなど10社に及んで「maneoファミリー」と呼ばれ、募集実績は1600億円にも達していた。

     だが、「短期小口高配当」が受けてブームとなり、新規参入が相次ぐうち、SLの限界が露わになる。容易に資金が集まるので、募集案件とは別用途に使ったり、関連会社の事業に振り向けたりする業者が続出、17年3月、みんなのクレジットが業務停止命令を受けたのをきっかけに、ブームは下火となり業界は冷え込んだ。

     その影響は、業界最大手だったmaneoに及び、maneoファミリーで太陽光など再生エネルギーを手がけるグリーンインフラレンディング(GIL)が、虚偽表示や資金管理の不備を指摘され、GILにプラットフォームを提供していたmaneoは、18年7月、行政処分(業務改善命令)を受けた。

     以降、業績は悪化、改善の兆しが見えないまま、瀧本氏はmaneoマーケットの売却を決意、19年9月、Jトラストという金融グループを率いる藤澤信義氏に持ち株を売却した。13年9月、maneoマーケットを買収、SLで「金融の世界に変革を」と訴えた瀧本氏は、ビジネスモデルを確立、ブームを演出するものの、わずか6年で退場した。

    「コロナ治療薬開発」のウラで…
     そのうえ、maneo後に始めた金融コンサルタント業が、うまくいっていなかった。前出の知人がいう。

     「maneo売却後、経営の一線からは引き下がりました。でも、金融界で名を成した人だけに、『瀧本さんなら』と、運用を委せる資産家、投資家はいました。本人だって、maneo売却で約2億円を手にしているし、それなりに資産はあります。そこで数億円単位の投資をしていたんですが、幾つか、問題案件に引っ掛かってしまった」

     そのうちのひとつが、コロナ治療薬の開発で株価が急騰した医薬品ベンチャーのテラ(ジャスダック)、及びその支援会社セネジェニックスジャパンへの投資である。

     テラとセネ社の開発が、いかに欺瞞に満ちたものであるかを、筆者は本サイトで<コロナ治療薬開発のウラで起きていた『ヤバい経済事件』の深層>(21年3月11日配信)と題して記事化。その際、出資者として証言してくれたのは瀧本氏である。

     氏は、昨年10月、セネ社取締役の竹森郁氏と出会い、資金協力を要請されて、知人と合わせ5億円を協調融資している。だが、顧問となってセネ社に出入りするうちに驚いたのは、「事業よりも(テラの)株価を気にする経営実態」だといい、こう断言した。

     「インサイダー取引、株価操縦、偽計取引など金融商品取引法違反の他、詐欺、印鑑偽造などの刑事的な法律違反を疑うことができました」

     瀧本氏は、「竹森氏に裏切りがあった」として、12月末には決裂、「テラ・セネ劇場」というブログを立ち上げて告発。検察庁、警視庁、証券取引等監視委員会、東京証券取引所など捜査・監督当局に情報提供を行なった。

     その一方、GILなどmaneoファミリーからもたらされる相談に応じ、物件の引き取り、追加融資などの形で関与することもあった。だが、それが失敗を招く。ファミリーのSL元幹部が証言する。

     「事業中断のプロジェクトのなかには、『あと少しの資金で立ち直る』というものもある。目利きの瀧本さんには自信があり、JCサービス(GILの親会社)の中久保正己社長と親しいことから、JCサービスを支援すると同時に、その絡みで親しくなった再生エネルギー会社のテクノシステムに融資。それが、一部、焦げ付いている」

    「SL」のたどる運命…
     SLは、瀧本氏のmaneo売却時より厳しい状況に置かれている。GILは今年3月、maneoによって破産を申し立てられ、既に新規募集を停止している他のファミリーも、同種の運命を辿るだろう。また、maneoの退場によって、親会社・SBIホールディングスの信用で業界ナンバー1となったSBISLは、今年5月末、廃業を明らかにした。

     その原因となったのは、プラットフォームを提供していたテクノシステムが経営破たんし、刑事事件化したこと。その経緯を筆者は、<地検特捜に狙われたテクノシステム事件の「全貌」>と題して、先週、詳述した。

     また、瀧本氏が金融コンサルとして不良債権処理に乗り出したJCサービスも、過去に地検特捜の捜査を受けた経緯がある。

     JCサービスは、関連会社が細野豪志元環境相に5000万円を提供するなど『政治銘柄』だった。また、政界フィクサーの大樹総研・矢島義也氏も関与していた。そこで一昨年、特捜部が捜査に乗り出したが詰め切れずに頓挫。そのJCサービスの案件を拾う形で登場したのがテクノシステム。やはり政界ルートを持ち、不透明なカネの流れもあるということで、特捜部は家宅捜索のうえ、今年5月末、同社の生田尚之社長を逮捕した。

     瀧本氏の痕跡は、テクノ案件に残っている。昨年6月、テクノ社が青森県に持つ太陽光発電施設を担保に、瀧本氏の関係会社が10億円の根抵当権を設定している。また、JCサービスから大樹グループを経てテクノ社に所有権移転する予定の香川県の太陽光発電施設案件には、瀧本氏がコンサルタントとして関与した。

     セネ社への融資は昨年10月なので、テクノ社が断末魔に陥り、再建の見込みが立たなくなってからだ。前出のmaneoファミリー元幹部が推測する。

     「テラ・セネの怪しい案件に飛びついたのは、テクノ関連融資の挽回を図るつもりもあったのでは? 瀧本さんは、『うまく行けば、(テラの)企業価値が300億、500億円と上がっていく。そうなれば(担保に取った)株もあるので、50億や100億のカネになり、次の事業に取りかかれる』と、言っていた。それだけにコロナ治療薬の開発が、竹森氏らの詐欺話だとわかって、猛烈にハラを立てたのだろう」

     告発は実り、証券監視委と警視庁が、3月初旬、テラ・セネに家宅捜索を行なったが、カネが返ってくるわけではない。テラ・セネとテクノ社絡みに投じたカネは20億円近いという。回収分はあるにせよ、自分を信頼して預けてくれた投資家に対しては、申し訳なさがつのったハズだ。

     自殺の原因は、余人の知るところではないし、人柄や性格などから「自殺なんてありえない」と、他殺を示唆する知人もいる。ただ、瀧本氏が証券監視委と警視庁が捜査するテラ・セネ事件、特捜案件となったテクノ事件に、ともに関与したことで、「融資したという意味では被害者ではあるが、事件に関与したという意味では被疑者にもなる」という微妙な立場に置かれたし、事実、捜査当局の事情聴取は受けていた。

     金融界の革命児が、自ら打ち立てたビジネスモデルの終焉とともに迎えた死――。さまざまな憶測が生まれるのも仕方がないことなのかも知れない。

    伊藤 博敏(ジャーナリスト)

  • 「悔いはない」──ソフトウエアの大物から暗号資産の問題児へ、ジョン・マカフィーの軌跡

    ジョン・マカフィー(John McAfee)──ソフトウエア業界のパイオニア、元大統領候補、暗号資産起業家にして報酬を受け取って暗号資産を宣伝した男──は、波乱万丈の人生を送った。

    彼は自身の名を冠し、莫大な富をもたらしたセキュリティソフトウエアと同じくらい、ドラッグ、女性、銃が盛りだくさんのエピソードで知られている。だがコンピューターの歴史において極めて重要な人物だった彼の暗号資産における足跡は、失敗したプロジェクト、守られなかった約束、詐欺まがいの行為によって汚された。

    それでもマカフィーは100万人以上のツイッターフォロワーを抱える、ある種の象徴的存在だった。彼は6月23日、スペインの勾留施設で死亡している姿が発見された。

    マカフィーは国家権力を徹底して嫌い、2020年にスペイン警察に拘束されるまで、さまざまな国の警察当局に追われていた。2018年には「暗号資産コミュニティに最も良く仕えるため」に米大統領選に出馬。選挙運動の大半を公海上で行った。大統領選への出馬はこれが2度目だった。

    スペインの司法当局によると、自殺の可能性が高いという。遺体が発見される数時間前、スペインの高等裁判所は暗号資産関連も含む脱税容疑でのアメリカへの身柄引き渡しを承認していた。

    マカフィーは、テネシー州とマンハッタンで、税関連の犯罪容疑と、暗号資産から得た収入を開示しなかった罪で指名手配されていた。また、2014~2018年に講演やドキュメンタリー番組への出演で得た収入を開示しなかった罪にも問われていた。

    米証券取引委員会(SEC)は3月、2300万ドル以上の暗号資産収入を隠蔽したとして、マカフィーを告発。最大30年の懲役刑を受ける可能性があった。

    「アメリカは私が暗号資産を隠していると思っている」と、マカフィーは6月16日にツイッターに投稿。この一連のツイートが彼の最後のツイートとなった。

    「隠し財産があればうれしいが、マカフィーチームの多くの人の手にわたってなくなった(信じてもらう必要はない)。残りの財産はすべて押収された。友人は、私とつながりがあると思われることを恐れて、去ってしまった」

    「私には何もない」「だが、悔いはない」

    CEOから指名手配犯へ
    イギリスで生まれ、米バージニア州で育ったマカフィーは、「McAfee VirusScan」と名づけた初の商用ウイルス対策ソフトウエアを発表した。1987年に設立したMcAfee Associatesはインテルに売却したが、このソフトウエアとのつながりを断ち切ることはできなかった。

    2013年には『How to Uninstall McAfee Antivirus(McAfee Antivirusのアンインストール方法)』と題した動画を発表。疲れた目をしたマカフィーが、自身のPCを撃つシーンも映っていた。

    同じ年には、「テクノロジーはもううんざり」とUSAトゥデイに語った。数十年にわたるキャリアの中で、関心はソフトウエアから抗生物質、反監視テクノロジーにまで及び、最終的には分散型テクノロジーに新たな目的を見出した。この業界に期待し、入れ込んだ。

    2012年、アメリカ人男性の殺人事件の重要参考人となっていたベリーズを出国。グアテマラに逃げたが、そこでも当局に勾留された。その後、マイアミ経由でシアトルへ向かい、2016年に大統領選にリバタリアン党から出馬するまで、柄にもなく目立たない生活を送っていた。

    2014年には、「D-Central」と呼ばれる分散型ネットワーキングツールを開発するスタートアップ、フューチャー・テンス(Future Tense)を創業。インターネットを使わずにメッセージやファイルを匿名で送るためにメッシュネットワークを使うためのツールだった。

    その2年後には、MGTキャピタル・インベストメンツ(MGT Capital Investments)に参加。CEOとして、スポーツやゲームから、暗号資産マイニングへと同社の事業を転換させた。友好的に同社を去った後、2018年にはエンタープライズブロックチェーンのスタートアップ企業、ラクスコア(Luxcore)に加わった。

    ICO(新規コイン公開)ブームの真っ只中には、多くの企業やプロジェクトから報酬を受けて宣伝を行った。宣伝用ツイート1件につき、10万ドル(約1100万円)以上を請求したと報じられている。宣伝のために背中に「Skycoin」というタトゥーを入れたこともあった。

    SECから、マカフィーが言うところの「脅迫」を受けるようになった後、こうした儲かる仕事は終止符を打った。以降は、風説の流布による価格操作に関わった疑いなどが報じられた。

    2019年6月には、取引プラットフォーム「マジック(Magic)」を公開、独自の暗号資産「フリーダム・コイン(Freedom Coin)」を発行すると発表した。その1カ月後には、船上から次のようにツイートした。

    「私は120万人のフォロワーを抱える大統領候補。私の犯した罪は、税務申告をしなかったことで、それは犯罪ではない。それ以外は、私を沈黙させるためのアメリカ政府によるプロパガンダだ。私の声は、反対意見を代表する声。私が沈黙させられたら、次は反対意見そのものが沈黙させられるだろう」

    (敬称略)

    |翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂、増田隆幸|画像:ジョン・マカフィー(CoinDesk archives)|原文:‘I Regret Nothing’: McAfee’s Wild Ride From Infosec Exec to Crypto Bad Boy

読み込みエラーが発生しました

再読み込み