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  • 2021/03/28 17:37
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    自分の感情すらも相対化するほどの厳しい目で問題やテーマを探っていく。そして、それでも最後に残る自分の真実はなにかを問う。学びは、まさに自分の核に近づくための作業なのかもしれません。

    そうして自分の内側の奥深くへ降りていったとき、そこが突然、社会につながっているかもしれません。

    「どうしても許せない」という思いは、自分のバイアスであると同時に、社会そのものが持つバイアスなのかもしれないと気づく――そんな見晴らしのいい場所に降り立ったとき、あなたの「自分のための学び」が、ようやく「社会のための学び」へとつながっていくのだと思います。

  • 山口真由「学びとは、巨大な思考実験の場である。」
    _自分のための学びが、社会のための学びになるとき

    「7回読み勉強法」の提案者としても知られ、最近では、ハーバード・ロー・スクールで学んだ「家族法」をベースにしたしたエッセイ『「ふつうの家族」にさようなら』が話題の山口真由さん。

    「これまでは自分のための目標を設定し、それを達成していく勉強を続けてきた」そうですが、これからの時代は「社会のためになにができるだろうか?」という視点を持つことが重要だと提案します。「学びのプロ」である同氏が思う、パンデミック後における学びとは――。

    ■社会につながるための学び

    「人というものは、社会とのつながりを絶たれて生きていくのは難しいのだな」。
    パンデミックによって大きく変化した社会のなかで、わたしが最初に思ったことです。

    多くの人はこれまで社会と積極的にかかわることで生きてきたわけですから、ステイホームのあいだも、「なにか自分の力を使って人の役に立つことをしたい」と感じた人は多かったのではないでしょうか。

    その意味で、わたしは社会につながるための「社会のための学び」という視点が、これからの学習者にとって大切なものになるのではないかと考えています。もちろん、他人よりも先に進むための「自分のための学び」はなくならないし、わたしもこれまで、まず自分のために目標を設定し、それを達成していくかたちの勉強をずっと続けてきました。

    でも、これからの時代はそれだけでなく、「社会のためになにができるだろうか?」と考える視点や、社会に対するある種の義務感のようなものが、学習者の大きなモチベーションのひとつになると予感しています。 

    人間にとって勉強はとても大切なものだけれど、基本的にはまず生活が先にあり、勉強はそのあとにくるものだとわたしはとらえています。そのため、いまの困難な状況下であなたがもし「なにかを新たに学び直そう」と思えているとすれば、それだけ生活に余裕のある証かもしれません。

    ある意味、社会的に恵まれている人だと思うのです。

    なにか勉強したいと思える人たちは、まず「自分のための学び」を探しつつ、同時に「社会のための学び」という視点を、心のどこかに持ってほしいと思います。

    混乱時になると、多くの人たちがひとりよがりな言動に走りがちですが、そうした状況でこそ、「社会のための学び」はとても重要な視座と幅広い価値観を提供してくれるはずだと考えています。

    ■自分に都合の悪い意見に耐えるのが知性

    同時に、わたしはいまほど多くの人に「自分の頭で考えること」が求められている時代はないと感じています。

    先に書いたように、社会を意識して学ぶとなると、やはり自分とは異なる意見に触れたときに、感情にまかせて反論や対立をするのではなく、「なぜ相手はこう考えるのだろう?」と、自分で問いを深めていく姿勢が必要です。

    自分にとって都合の悪い意見や、もっといえば自分が嫌悪感すら抱くような考え方こそ、それに耐えて自らに問いかけてみる―― 。

    わたしはこれこそが知的体力であり、知性だと考えています。自らの嫌悪感のままに、「あの人はダメだ」「あの国は嫌い」と主張するのは、一般的にいっても、知性がない態度だといわざるを得ません。

    わかりやすい例を挙げます。たとえば日本では、著名人の不倫がいとも簡単にバッシングの対象になります。このとき、自分も「不倫はやっぱり許せない」と感じたとして、そんな自分の感情を理性で制御するのが大切だということです。

    そこでまず、「そもそも不倫ってどんな行為だっけ?」と自分に問いかけることからはじめて、自分の心がなぜこんなに騒ぐのか、その真因を論理的に探っていくことが必要です。そうすると、日本では民法770条に、離婚の原因として「配偶者の不貞な行為」などが挙げられており、夫婦は互いに貞操義務を負うとされていることがわかります。

    不貞をはたらいた配偶者に対し、「その約束を破ったから」損害賠償請求ができるわけです。しかし、不倫相手である第三者とは、そもそもなんの約束も交わしていません。いったいどんな法的根拠で不倫相手に謝罪を求め、損害賠償請求を主張するのかは、より複雑で難しい面があると予想できるわけです。

    このように、ものごとを客観的な視点で冷静に考えていくと、思考が広がって興味深い面が現れてきます。こうして自分の感情を相対化し、自分の価値観の幅や行動の選択肢を広げていくこと。わたしは、これが知性の働きだと考えています。

    とくにいまの時代は、あふれんばかりの情報を、階層別に整理する力が求められています。この階層を、わたしは「マクロ(巨大)な情報」「ミクロ(微細)な情報」「オピニオン(意見)」の3段階でとらえていますが、いまの世の中には、マクロな情報を飛ばして、ミクロな情報からいきなりオピニオンにつなげる行為がとても多いと感じます。

    簡単にいえば、個別の事例だけをあげつらい、いきなり「だから不倫は許せない」「だから自粛はあり得ない」というオピニオンになって、マクロな情報が無視されがちなのです。

    でも、本来はマクロな情報として、背景知識やデータ(ファクト)や本質的な知見など、その問題を考えるための重要な手がかりがあるわけです。それをすっ飛ばして、「人の命は地球より重い」などと理想をかざしても、それは極端な意見になってしまいます。

    いまはなにが正解なのかよくわからない事象が、世界中で日々起きているような状況です。でも、こうした時代にこそわたしたちには、まず自分で情報の階層整理をし、意識的にマクロな情報を補いながら(学びながら)、身勝手なオピニオンに走らないようにする姿勢が求められているのではないでしょうか。

    ■学びは巨大な思考実験の場

    わたしは学びというものを、世の中がタブーとしてきたものごとに、果敢に挑戦していく営みととらえています。

    「表現の自由」の大切さを示す言葉に「the right to think the unthinkable, discuss the unmentionable, and challenge the unchallengeable(思いもよらなかったことを考え、口に出すのがはばかられることを論じ、議論の余地がないといわれてきたことに挑戦する権利)」というものがありますが、わたしは、これこそが学びの本質だと考えています。

    だからこそ、自分にとっての学びは面白くもあり、一方でまわりからの感情的な反発を招くものでもあり得るのです。

    それでもわたしは、本来的に学びを、巨大な思考実験の場だと考えています。たとえば、現実の社会では当然人を殺してはいけませんが、学びの場では、連続殺人犯の心理をとことん研究してもいいわけです。

    学びにタブーはないと考え、あらゆるケースを想像し、検討し、実証する。思考実験を繰り返し続けていくのが、学びの本来のあり方だろうと思います。

    どんな人にも、社会に対して漠然と感じている不安や不満、「こんなこというべきじゃないんだろうな」と思っていることはあるでしょう。そんなタブーを一切取り払って、自由な思考実験が許されているのが、学びという場所です。社会とは切り離された自由な場所で、繰り返し考え続けられるなんて、これほど面白いことはありません。

    人は現実に生きている限り、どうしても「正解とされること」にとらわれる存在です。だからこそ、そこから解き放たれる仮想空間を自分のなかに持っておくことは、これからのいわゆる「正解が見えない」時代にとても有用だといえるでしょう。

    もっといえば、学びに対する熱意を共有できる仲間をつくり、自由に思考実験をしながら、「他人の思考を批判しても、他人の人格は批判しない」訓練をしておくのも、とても大事な姿勢だと思います。

    ■学びは自分が向かうべき場所へつながる

    わたしたちは、学ぶことでどんな地点にたどり着くのでしょうか? いわゆる「勉強」の場合、受験や資格取得など目指すべきゴールは明確です。一方、自分のための「学び」は、ゴールを自分でつくる作業です。言い換えれば、自分が向かうべき場所を自分で設定し、社会のなかに自分の場所をつくることでもあります。

    たとえば、世の中で正論とされていたり流行っていたりする考え方があったとして、それを直感的に「変だな」と感じたならば、まさに学びどころです。それについて学べば学ぶほど、アクセスできる知識(情報)が増えていき、疑う範囲もさらに広くなっていきます。

    そうして勉強を続けていくと、正論には正論なりの合理性があることも理解できるようになります。

    自分が最初に感じた直感を胸に秘めながら、その直感を信じつつも相対化していく。この姿勢が、これからの学びにはますます大切になるでしょう。

    そのうえで、それでも感情的に受け入れがたいことが残るとします。そんなときこそ、「なにか理由があるのではないか?」と、さらにもう一歩考えを深めるのです。そのように学びをとことん深めていけば、あるとき突然、啓示のように真実を悟る瞬間がくるかもしれません。

    その意味で、本質的に学びとは自分の内側に降りていく作業だと思っています。最初の直感を率直に認め、異なる意見を「だから嫌い」「だから許せない」と拒絶するのではなく、「ちょっと待てよ」と立ち止まる。「わたしはなぜこんなに感情的に揺り動かされたんだ?」と、客観的に思考する。

  • 「忙しすぎて休まらない」人に伝えたいこと

    悩み多きビジネスパーソン。それぞれの悩みに効くビジネス書を、「書評執筆本数日本一」に認定された、作家・書評家の印南敦史さんに選書していただきます。今回は、「大忙しで気持ちが休まらない」と悩む人へのビジネス書です。

    ■今回のお悩み

    「子育てをしながら、第二子の不妊治療に取り組み中。仕事もしているので、子育て、治療、仕事と大忙し。休まらない」(36歳女性/専門サービス関連)

    「ハードスケジュールなのに、よく耐えられますね。打たれ強いんですね」

    20数年前、知人からそういわれたことがあります。日ごろから僕の忙しさを知っていた彼にとって、僕の働き方は"あり得ない"ものだったようなのです。

    たしかに当時から僕はとても忙しく、しかも基本的にワーカホリックなので休む暇がありませんでした(ちなみに、いまも同じような感じです)。ただ、だから「耐えられない」などと感じたことは、一度もなかったんですよね。

    別に、自分は強いといいたいわけではありません。全然強くないし。でも、他人からはハードそうに見えているらしい状況を、僕は"好きでやっていること"だと自覚していたのです。だから、ハードスケジュールも受け入れられただけの話。

    当たり前のようで、これはとても大切なことだと思います。たとえばご相談者さんにとって、仕事、子育て、不妊治療、おそらく、どれも切り捨てることはできない大切なものなのでしょう。でも"休まらない"からつらいのではないでしょうか?

    大切なことをやっていながら"休まらない"のであれば、まずは、それが“どうにもならないものである”と認めるべき。そのうえで、自分の気持ちを(無理にでも)心地よい方向へと誘導することが大切だと思うのです。

    そして、"いまできる範囲での"心地よさを生活のなかから見つけ出してみるわけです。大層なことをする必要はなく、寝る前に少しだけ音楽を聴くとか、日記を書くとか、お茶を飲むとか、そんな“些細だけど心地よいこと”を大切にしてみるだけのこと。

    そんなことを続けていけば、やがてそれが"少しだけれど休まる状態"につながっていく気がするのです。少なくとも20数年前から現在に至るまで、僕はずっとそうしてきました。

    気の持ちようで、変えられることはきっとあるということですね。

    苦しみ・幸せを選ぶのは自分の心

    人生は、ちょっとしたことで、楽しくなったり、苦しくなったりします。ものの見方、とらえ方の角度を少し変えてみるだけで、まったく違う世界が出現します。(「はじめに」より)

    『読むだけで心がラクになる22の言葉』(本田 健 著、フォレスト出版)の著者はこう主張しています。自分の心の状態が、自分の幸せと不幸をつくっているのだとも。

    だとすれば、そのメカニズムを理解することによって、人生を楽しく、力強く生きていくことができることになります。そこで本書では、不安になっている人や人生の帰路に悩んでいる人などを勇気づける言葉を紹介しているのです。

    たとえば著者は、「私たちは、苦しいとき、誰かのせいでこうなったと考えがち」だと指摘しています。もちろん、この場合の"誰かのせいで"はさまざまな物事に置き換えることもできるでしょう。

    今回のご相談に当てはめるとしたら、"仕事のせいで"、"子育てのせいで"、"不妊治療のせいで"など。

    しかし自分を苦しめるのは、そうした要因や、特定の誰かではないはず。自分で勝手に、ネガティブな概念によって自分を傷つけていると考えることもできるわけです。

    つまり、すべての苦しみは、自分自身がつくった考えのなかから引き出されてしまったものだということ。

    けれど、すべての出来事は中立だと著者はいいます。その出来事にどういう意味を与えるのは、それは自分自身の選択次第。苦しみを選択するのか、幸せを選択するのか、自由に決めることができるわけです。

    いずれにしても大切なのは、自分を傷つけないと決めること。それこそが、人生に平安をもたらす秘訣だそうです。

    心がホッとする身にコーチング

    □あなたが最近苦しいと感じたことは何ですか?

    □その苦しみの裏には、どのような観念がありますか?

    □自分を苦しめる観念青書き出してみましょう。「お金がないとダメ」「モテないとダメ」「いい仕事をしている人は偉い」「嫌われたら最悪」「借金は苦」など。

    □今度、苦しいと思ったら、何がそんなに自分を苦しめているのか、冷静に考えてみましょう。
    『奇跡のコース』――一九七六年、アメリカで出版された名著『A Course in Miracles』(原題)。
    (27ページより)

    いちばん大事なのは自分を大切にすること

    精神科医である著者によれば、『もうちょっと「雑」に生きてみないか』(和田秀樹 著、新講社)は「人生に疲れを感じている人にエールを送りたい」という目的のもと書かれたものなのだそう。

    がんばりすぎて疲れを感じている人、あるいはその結果としてうつ病になったりする人には完全主義的な傾向があります。

    生き方が一直線なのです。こういう方が精神科を訪れれば、「もっと雑に生きていいのですよ」「いい加減になれればいいのにね」と言いたいのがほとんどの精神科医の本音だと思います。 (「まえがき」より)

    「雑に生きる」というのは、不真面目でいいとか、適当でいいとかいうことではなく、もっとゆるやかに、揺れ幅を楽しむような生き方のことだそう。たしかに、それは大切なことなのではないでしょうか?

    雑になれない人ほど、ふだんから完全を目指して目いっぱいの努力をしています。手を抜くことなんかありません。そのためどうしても、自分の目の前の仕事だけを見つめてしまいます。やらなければいけないことが、いつも頭の中にある状態です。(52ページより抜粋)

    そうやって無意識のうちに、自分を追い込んでしまう。だから休まらないという部分は、多少なりともあるように思えるのです。

    しかし、「いまよりもっと雑に生きても、あなたは前に進んでいくし、いいことにも出合います」と著者は断言しています。仕事にしても子育てにしても(不妊治療は手を抜けないかもしれませんが)、それくらいの気持ちでいたほうが楽だし、かえってそのほうが、いい結果につながるということなのでしょう。

    いちばん大事なのは、自分を大切にすること。そのことに気がつくチャンスは、いままでにもあったし、これからもきっと訪れてきます。(54ページより抜粋)

    このことばは、心に留めておくべきではないかと感じます。

    プラス思考を手に入れる訓練をする

    タイトルからも想像がつくとおり、『シンプルに生きる―変哲のないものに喜びをみつけ、味わう』(ドミニック・ローホー 著、原秋子 約、幻冬舎)のメッセージは「ものを過剰に所有することをやめてみましょう」ということ。

    したがって「住まい」「ファッション」「お金」など、物質的なことに関する記述が大半を占めています。が、最終章「自己管理」は今回のご相談内容にも大きく役立つのではないかと思います。


    心に秩序をもたらすということは、ものを片付けるのと同じで、役に立たない考えを取り除き、より重要な事柄のために、心のなかのスペースを確保することです。

    定期的に、心のなかから不要なものを取り除くように心がけてみましょう。そうすることによって、悩んだり、ストレスをためてしまったりという行為から、自分を解放することができるようになります。(164ページより抜粋)

    このような考え方が軸になっているからです。今回のご相談に関していうと、「プラス思考を手に入れる」という項が参考になりそうです。ご相談内容を拝見する限り、(失礼ながら)疲れの影響でややマイナス思考になっているようにも感じるから。

    著者はここで、「悪いときがあるからよいときが実感できる、という考え方ができれば、不安は解消できる」と記しています。

    心配、孤独、落ち込み、恨み、怒りなどで頭がいっぱいになったときは、「おもしろい本を読む」「いつもと違った服装をする」「花を飾る」「音楽をかける」「香を焚く」「アロマキャンドルをともす」などのことを試し、自分の周囲をできるだけ楽しくするように心がけるべきだとも。

    訓練を積むことにより、マイナス思考は抑えることができるようになります。

    まず、過去にこだわるのをやめ、今できることに考えを集中することを心がけましょう。例えば、朝は、どのような1日にしたいか自分に問いかけ、眠りにつくまえにも今日の楽しかった出来事を思い出すようにする。たったこれだけでも、続けていくうちに、思考のスタイルが前向きに変わっていきます、(169ページより抜粋)

    僕自身も、この考え方には共感できます(序文に書いたことと共通する部分がありますし)。

    大切なのは、プラスに考えたとしても、マイナスに考えたとしても、行き着く答えはひとつしかないということ。疲れていると後ろ向きになってしまいがちですが、どうせ答えがひとつ敷かないのなら、そこへ行き着くまでの道のりを楽に過ごしたほうがいいのです。

    そうすれば、いつの間にか疲れがなくなり……ということはないかもしれませんが、少なくとも疲れに慣れ、やり過ごすことはできるようになるはずですから。

  • 「脳を休ませれば人生が変わる」。パフォーマンスUPのための積極的休養のすすめ
    /脳神経外科医・菅原道仁

    脳にとっては非常に危険な時代かもしれません」。そう語るのは、脳神経外科医の菅原道仁先生。その理由を菅原先生は、「インターネットの浸透によって以前とは比較にならないほど大量の情報にさらされているから」だといいます。

    情報の渦に巻き込まれた現代人の脳は、すっかり疲れてしまっているのです。もちろん、脳が疲れていたらパフォーマンスをフルで発揮することはできません。脳を休ませる方法を聞きました。

    ■大量の情報にさらされる現代人の脳はお疲れ気味

    誰もがインターネットを利用しているいま、現代人は、かつては考えられなかったほど大量の情報にさらされています。便利になった一方で、当然ながらそこには弊害も生まれました。その弊害とは、脳疲労の増大です。

    テレビを消していたとしても、スマホにはネットニュースやSNSといったさまざまなアプリの通知が次々に届きますよね。そして、そのたびにわたしたちの感情は揺り動かされます。それこそ、「本日の新型コロナウイルスの新規感染者数は○人」といったネガティブなニュースに触れれば不安にもなるでしょう。

    感情とは、ニュースの内容といった外部からの刺激に対する脳のリアクションです。そのため、感情を頻繁に揺り動かされることが、脳を疲れさせることになるのです。

    脳が疲れると、わたしたちにはさまざまな問題が生じます。脳の前頭葉は、判断力や創造力、言語能力といった、人間が人間らしく行動するための機能の多くを司っています。ですから、前頭葉が疲れてしまうと、それらの能力は低下します。

    すると、仕事におけるパフォーマンスが著しく低下するばかりか、日常生活にも支障をきたすようになることは容易に想像できるでしょう。

    さらに、脳の疲労が限界に達してしまうと、脳は強制的にシャットダウンしてしまいます。それがなにかというと、うつ病の発症です。うつ病が現代社会にとっての大きな問題だということはいうまでもありませんよね。

    ビジネスパーソンとしてパフォーマンスを高め、しっかり働いてよりよい人生を歩むには、脳を疲れさせない意識が必要なのです。

    そう考えると、いわば「情報断食」といったふうに、なるべく情報をシャットアウトすることも必要となってきます。先に例として挙げた新型コロナウイルス関連の話でいえば、新規感染者数といった情報に対して、医療関係者などではない人が一喜一憂することにはあまり意味がありません。

    心配する気持ちはわかりますが、特効薬がまだできていないいま、一般の人がやれることはもうすでにわかりきっていますよね?

    可能な限り外出を控え、マスクの着用と手洗いを忘れず、「3密」を避ける。それらのやるべきことを粛々とこなし、情報をアップデートするのは週に1回ほどにするといいと思います。そうすることで、情報による過剰な脳の疲労を大きく軽減できます。

    そして、仕事や家事など本来やるべきことに脳のリソースを割き、パフォーマンスをアップすることもできるのです。

    ■「情報断食」が難しければ、できる限り睡眠の質を上げる

    そうはいっても、情報化社会といわれる現代において、断食のように情報を完全にシャットアウトすることは難しいでしょう。そこで、別の方法で脳を休め、パフォーマンスをアップさせることも考えてみましょう。その方法とは、「睡眠」です。睡眠が脳を休ませる行為だということは、みなさんもご存じでしょう。

    ですから、できるだけ睡眠の質を上げていくことが大切。そのためにまずやってほしいのは、睡眠時間を先に確保してスケジューリングするということです。働き盛りのビジネスパーソンは、どうしても「仕事や家事などやるべきことをやって、余った時間に寝る」という生活スタイルを取りがちです。

    でも、それでは必要な睡眠時間をなかなか確保できません。そうではなく、睡眠時間を中心に1日のスケジュールを考えてください。

    1日は24時間です。そして、その1日の予定はおおよそわかっていますよね。そこで、就寝時間と起床時間を先に決めてしまうのです。そこから逆算して、他の予定を入れていけばいい。多くの人は、仕事や遊びをして、残った時間が睡眠時間と考えがちです。そうではなく、「睡眠ありき」のスケジューリングをしてほしいのです。

    他には、寝具にお金をかけることも大切なポイントです。日本人の睡眠時間は世界最下位というデータもあるほどで、睡眠に悩みを抱えている人は想像以上にたくさんいます。そんな睡眠事情により、睡眠に対する興味関心が高まっているのでしょう。

    数多くのメーカーがよりよい睡眠を得るための寝具を開発・販売しています。「寝具なんてなんでもいいや」ではなく、よさそうな寝具を試してみて自分に合うものを選ぶことは、睡眠で脳を休ませることに大きく寄与します。

    それから、寝酒はやめましょう。週末などに楽しいお酒を飲むくらいなら構いませんが、「眠れないから…」と飲む寝酒は医師の立場からしてNGな行為です。日常的にお酒を飲んでいる人なら自覚があると思いますが、お酒を飲んで寝ると、ちょっとした物音でも目が覚めてしまうなど「睡眠が浅いな」と感じませんか?

    眠りが浅くなる原因は、アルコールの摂取により肝臓で生成されるアセトアルデヒドという毒素の作用がまず挙げられます。アセトアルデヒドが、睡眠の後半に浅い眠りであるレム睡眠を増加させるのです。

    他にも、尿の量が増えてトイレに行くために起きてしまうこともあるでしょうし、喉の筋肉が緩むことでいびきが出て睡眠を妨げるなど、アルコールが睡眠に与える悪影響はさまざまです。

    アルコールの働きによって寝入りはよくなるかもしれませんが、睡眠の質は大きく下がってしまうのです。本当に眠れなくて困っているという人なら、お酒に頼るのではなく、医師に相談して睡眠薬を処方してもらったほうがいいと思います。

    コロナ禍のいまは、よりよい睡眠を得るためにはチャンスともいえます。在宅ワークになって通勤から解放されたという人なら、これまでより長い睡眠時間を確保できるようになった人もいるでしょう。

    一方、比較的自由に1日のスケジュールを組めるようになったために、夜遅くまでゲームをしたり映画を観たりと、生活リズムを完全に乱してしまっている人もいるはずです。ただ、このことについてはみなさん自身が自分を律するしかありません。朝になればお母さんが起こしてくれるわけではありませんからね。

    自分を律して、寝るべき時間になれば寝て、起きるべき時間に起きる。もちろん、働くべき時間にしっかり働くということです。あたりまえのことかもしれませんが、そういった基本的な能力がこれからの時代には求められるとわたしは思いますし、その習慣を手に入れた人こそが、脳をしっかり休ませるこができて、パフォーマンスを上げていくのでしょう。

    ■「積極的休養」と「ぼーっとする」ことが脳を休ませる

    やはり人間にとっては、寝るときはしっかり寝て働くときはしっかり働くといったふうなメリハリが大事なのです。そういう意味においては、脳を休めてパフォーマンスをアップさせるということも含め、「アクティブレスト(active rest)」と「ぼーっとする」ことも大切になってきます。

    日本語で「積極的休養」と訳されるアクティブレストとは、「自分がやりたいことや楽しいと思えることをやること」を指します。ゴルフが好きな人が週末にゴルフをすることもそのひとつですよね。18ホールをラウンドすれば、身体は確実に疲れますから「休養」とは思えないかもしれません。

    でも、大好きなゴルフをしたことで精神的には完全にリフレッシュできるのです。それが、脳を休ませることにつながります。

    ただ、わたしもここでは「脳を休ませる」という表現をしていますが、それはあくまでも便宜上のものです。脳は、いかなるときも完全に休むことはないのです。たとえば、睡眠中なら日中にインプットされた情報を整理して記憶に定着させるといった働きを脳は行っています。

    そういった自動的に行なっている処理に脳を集中させることが、「脳を休ませる」ということなのです。

    でも、嫌なことや気が乗らないことといった、負の感情を伴う行為をする場合、それらの感情を処理しなければならないために脳の負担が増してしまいます。そのため、脳は休めなくなるわけです。

    でも、「やりたい!」「楽しい!」と思える行為をするのであれば、脳の負担を軽減でき、結果的に「脳を休ませる」ことができるという仕組みです。

    「ぼーっとする」ことにも同じような仕組みが働きます。ぼーっとしているあいだも、睡眠中と同じように厳密には脳は休んでいません。でも、お風呂につかってぼーっとする、ぼーっと映画を観るといったときには、わたしたちはなにか特別なことなど考えていません。

    それも、アクティブレスト同様に、脳にとっては余計な処理に追われることがないたしかな休息になっています。

    アクティブレストやぼーっとすることで、現代社会のなかで疲れがちな脳を休ませることを考えてみてください。とくにまだ体力のある若い世代のなかには、バリバリと休みなく働くことこそがいいことだと考える人もいるかもしれません。

    でも、パフォーマンスをアップさせて成果を挙げ、周囲の評価を得るには、ただがむしゃらに働くのではなく、適切に脳を休ませることが重要だということを忘れないでください。

  • 「成功する人」は、みんな心配性。不安を行動に変えるための習慣
    /脳神経外科医・菅原道仁

    嫌いなことで生きてくよりも、自身がのめり込んでいることや仕事で成功したいと誰もが思っています。もちろん、いろいろな不可抗力があり全員が成功するわけではありませんが、成功を摑む秘訣はあるのでしょうか。脳神経外科医の菅原道仁先生は「心配性」であるその性格を、最大限に活かすことをすすめます。

    一般的に「心配性」というと、ネガティブにとらえられがちなものですが、「心配性を生かして成功を摑む」とはいったいどういうことなのでしょうか。

    ■名だたる成功者たちの多くが心配性

    新型コロナウイルスの感染拡大の影響で少し流れは変わってきていますが、パンデミック以前は「ポジティブ思考花盛り」で、そういった内容の本もたくさん書店に並んでいました。そんな時流のなか、ものごとをネガティブにとらえがちで心配性を自覚しているような人は、心配性であることにコンプレックスを感じていたかもしれません。

    でも、大丈夫です。世の中には、心配性だからこそ大成した人がたくさんいるのです。

    たとえば、元メジャーリーガーのイチローさんはとても心配性だそうです。野球ファンには広く知られていることですが、イチローさんは朝目覚めたときから夜眠るまで、あらゆる場面で決まったルーティンを行うことを重視しました。

    あれだけのスーパースターなのに、どうしてルーティンをそこまで重視したのでしょうか。その理由は、不安を自覚し、かつそれを乗り越えて好結果を残すためにほかなりません。

    芸能界なら、EXILEのHIROさんも大変な心配性だといいます。彼の人生哲学をつづった著書のタイトルは、それこそ『ビビリ』(幻冬舎)というものでした。「心配性な性格が幸いしていまの成功がある」というふうに、自己分析した結果のタイトルだそうです。

    ビジネスパーソンに目を向けてみましょう。アメリカの半導体素子メーカー・インテルの初代CEOであるアンドリュー・グローヴの座右の銘は、「パラノイア(病的なまでの心配性)だけが生き残る」です。パナソニックの創業者であり、「経営の神様」とも呼ばれる松下幸之助さんは、「心配するのが社長の仕事だ」とさえいっています。

    このような一部の例を見るだけでも、名だたる経営者の多くは心配性なのではないかとわたしは推測します。考えてもみてください。「心配性とはかけ離れた脳天気な経営者」のもとで働くのは怖くありませんか? リスクをまったく考慮せず、「なんとかなるんじゃない?」といったふうに考える経営者が大きな成功を収めるとは想像できません。

    つまり、心配性とは、成功のためには欠かせない、紛れもない「才能であり武器」なのです。

    ■不安を感じるからこそ、人間は成長し繁栄できた

    そもそも、なぜわたしたちは不安を感じるのでしょうか。それは、「わたしたち人間が成長し続けるための脳の仕組み」によるものです。

    成長し続けるには、なにかを行って失敗したときに、反省して改善すべき点とその改善策を見つけなければなりません。そのとき、「前はこのやり方で失敗したぞ…」「今度はどうしようか…」と不安になりますよね? でも、だからこそよりよい改善策を見つけることができ、その結果として成長が促されます。

    もし、なんらかの失敗をしたときにも「大丈夫、大丈夫!」という思考しかできなかったとしたらどうでしょう? 「今度はなんとかなるでしょ!」と安易に考え、何度となく同じ失敗を繰り返すはずです。そんなことでは成長することなどできません。

    不安になるという脳の仕組みがなければ、人間がこの地球上でここまで繁栄することはできなかったのです。

    それこそわたしたちの遠い祖先が、猛獣が潜んでいそうなジャングルに入っていくときに一切の不安を感じず、「大丈夫、大丈夫!」と突き進んでいたとしたらどうなっていたでしょう。とっくのむかしに人間は猛獣に襲われ続けて絶滅し、わたしたちはこの世に存在しなかったと思います。

    一方で、不安に完全に飲み込まれてしまうことも問題です。不安を感じ過ぎるあまりに新たなチャレンジができなくなれば成功も失敗もなく、まったく成長できないからです。そう考えると「大丈夫、大丈夫!」「今度はなんとかなるでしょ!」というポジティブ思考も必要になる。

    もちろん、その大前提として「前はこのやり方で失敗したぞ…」「今度はどうしようか…」と心配することが必要です。

    つまり、「怖がって不安を感じながらも、一歩を踏み出せる人」こそが、大きな成功を摑むことができる人ということになります。

    ■日本人には遺伝的に心配性の人が多い

    とくに、わたしたち日本人の場合は注意が必要です。というのも、日本人には遺伝的に心配性の人が多いからです。

    「セロトニン」という神経伝達物質の名をみなさんも聞いたことがあるかもしれません。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれるように、その分泌量が多いほど楽観的でポジティブ思考になります。逆に分泌量が少ないほど悲観的でネガティブ思考になる。日本人には遺伝的にセロトニンの分泌量が少ないという特性があり、心配性の人が多いのです。

    もちろん、先にお伝えしたように心配性であることは才能であり武器にもなります。でも、不安に飲み込まれて一歩を踏み出せなければ、成長して大きな成功を摑むことはできません。心配性が多い日本人にとっては、変化を怖がらずに行動することが大切だということです。

    では、そこでどうすればいいのか? わたしからおすすめしたいのは、「KY力を磨く」ということです。ここでいう「KY」とは、少し前に流行した「空気を読まない」ことを指します。

    心配性の人は、その性格からか周囲の空気を読む優しい人が多いという傾向にあります。やりたいことがあったとしても、「これをやったらまわりに迷惑かな?」なんて考えて遠慮してしまう。

    友だちと食事をするときにも、自分が食べたいものを優先せず、「なにを食べたい?」と聞くようなことです。もちろん優しいことはいいことですが、そのままでは一歩を踏み出す行動力は身につきません。

    そこで、あえて空気を読まずに自分の希望を口にするようにしてみましょう。たとえば友だちやパートナーと食事をするにも、相手に遠慮せずに自分が食べたいものをまず伝えてみるのです。そうした小さなことの積み重ねが、一歩を踏み出す行動力を養ってくれます。

    ■あたりまえになっている自分の常識や習慣をあえて破る

    もうひとつの方法は、「自分の常識や習慣をあえて破る」こと。心配性の人は、変化することを必要以上に恐れ、新たなチャレンジを敬遠します。それこそ、本を読むにも映画を観るにも、自分が好きなジャンルや作家、監督、シリーズ作品ばかりを選びがちです。もちろん、それでは一歩を踏み出す行動力は得られませんよね。

    そうではなく、あえて自分の好きなジャンルとはまったく別のものに手を出してみてください。いまは在宅ワークをしている人も多いでしょう。そういう人なら、オフィスに出勤していたときよりもテレビや映画を観たり、動画共有サイトをチェックしたり、本を読んだりする時間も増えていると思います。

    そこで、10分だけでもいいので、いつもなら絶対に観ないテレビ番組や映画を観てみるのです。自分とは好みがまったくちがう知人に、その人が好きな映画や本をすすめてもらうのもいいかもしれません。

    食わず嫌いをやめて、いろいろなジャンルのものを観たり読んだりしてみれば、徐々にチャレンジングになれ、自分が望む結果や夢を摑む可能性が高まっていくはずです。

    これはもう習慣であり、小さなことの積み重ねです。時間をかけて、成功に近づいていってください。

  • 「しなやかな人」だけが知っている心と体の整え方

    ● 生活は見た目に出る 多忙な時こそ自分と向き合う

     「まずはその方が思い描いていることをよくヒアリングして、それを客観的に整理して形にするお手伝いをする…それは、ウェディングに限らず、飲食店や人のプロデュースも同じだと思っています」

     写真共有SNSであるインスタグラム(インスタ)のフォロワー数は5.4万人(2021年1月現在)。ウェディングプランナーとしてキャリアをスタートさせた黒沢祐子さんは今、パーソナルスタイリングや企業のブランディングなど、幅広い仕事を手掛けています。

     多忙なはずなのに、今回のインタビューひとつとっても、事前のやりとりからスピーディーで丁寧。でも、朝から晩まで仕事一色の生活、というわけではなく、インスタの投稿からは、暮らしや自分の体ともしっかり向き合っている様子も伝わってきます。

     まっすぐきれいに伸びる背中、ピンっとはったフェイスライン、そして、インタビュー中ですら思わず見入ってしまう肌のツヤ…。「肌と髪のツヤは大事」とはよく言われることですが、文字面で読むのと、ツヤが人に与える印象をリアルに感じるのとでは説得力と納得感が格段に違いました。

     「40歳を過ぎると、生活が見た目に出ますよね。自分がちゃんとしているからクライアントにもフィードバックできることがあると思うので、そこは意識しています」

     食は「人を良くする」もの 食生活の原点は両親の教え

     もともと、食とマナーには厳しい両親の元で育ったという黒沢さん。「炭酸を飲めるのは1年に1回、運動会のときだけ」「小学生になるかどうかくらいの時に手作りの朝鮮人参がたっぷり入ったサムゲタンが出てきた」「マナーが悪いと地下室に閉じ込められた」などエピソードには事欠きません。でも、記憶に残っているのは、大家族でワイワイと楽しかった食事の風景。

     「食は人を良くすると書きますよね。両親から、毎回の食事を大切にしなさい、そして素材を作っている人、食事を作ってくれる人にも感謝しなさい、と言われて育ちました」

     ご両親の教えは、黒沢さんの栄養となり、「ベッドだと寝過ぎちゃうから、どうしても寝過ごせないときは、お風呂で仮眠をとるようにしていました」というほどのハードワークが続いたときでさえ、体調を崩すようなことがなかったといいます。

     「(激務が続いた当時は)365日のうち、300日くらいは外食でした。夜はお酒を飲むしたくさん食べるから、朝は旬の果物やスムージーで軽く、お昼は野菜をたくさんとろう、などは意識していました」

     そんな黒沢さんの食生活が大きく変わったのは、「離婚」と「鎌倉への移住」でした。

     「43歳で離婚して一人暮らしになり、一人で生きるためには健康が一番だと思い、気をつけて食事を作るようになりましたね」

     体重はただの数字でしかない、としながらも体調の小さな変化を見逃さないために、毎日測定しているとのこと。加えて今は筋肉量を増やしたいと思っているので鏡で全身をチェックすることも怠らないといいます。

    ● 「自分ひとり」こそ厳しく優しく 視点は「この先どういう姿でありたいか」

     でも、パートナーの有無に限らず、自分ひとりの食事だと適当に済ませてしまう…という人は少なくないですよね。そういう気持ちにならないためには、どんなことを意識すれば良いのでしょうか。

     「もちろん、自分に気をつかえなくなる環境はあるけれど、今この瞬間だけではなく、この先どうありたいか、どういう姿でありたいか、を考えます。自分に対して厳しく優しく。厳しいだけだとしんどいし、ほどよく、が良いと思います」

     黒沢さん自身が今思い描く理想のひとつは「肌ツヤがあること、乾燥していないこと。着飾ったり、メイクで…というよりは、内側から輝くこと」。

     その「内側からの輝き」は食や生活習慣が作るものですが、それは昨年、港区から鎌倉に移住したことで大きく変わったといいます。

     外食をしなくなった今はお惣菜を買うこともなく、基本手作り。港区と比べると、鎌倉は新鮮な野菜や魚が手に入りやすい上にお値段もお手頃です。スーパーではなく、八百屋さんとお肉屋さん、というように個人商店にいくようになったそう。体に良いだけではなく、コミュニケーションという付加価値も生まれ、「地産地消」の食の良さを心身ともに感じているといいます。

     何をどれくらい食べるか、という点では、パーソナルトレーナーからすすめられた「食品カテゴリーマップ」(日本栄養コンシェルジュ協会)を参考にし、糖質が多かった食事を改め、野菜とタンパク質を積極的にとっているとのこと。

     プロテインはドリンクに頼らず食事から摂取、などストイックさがベースにありながらも、夕食は好物のワインを添えて楽しみます。「家で作る食事が一番大切で美味しいもの、外食は家で再現できるように何が入っているのを考えながら食べなさい」というご両親の教えのおかげか、「ほとんど外食」から「ほとんど自炊」の生活にもスムーズに移行できたようです。

     洗練されたアイデアに欠かせないのは 肩の力を抜いた日常

     起床後すぐに白湯を飲み、ストレッチポールやボールを使ったストレッチをしたり、ピラティスをしたり、朝晩と湯船につかったり…こうした生活習慣のベースは東京時代から変わらないものの、鎌倉に移住して大きく変わったもののひとつに「睡眠」があるそうです。東京にいるときは3~4時間の睡眠でも充分でショートスリーパーだと思っていたのが、今は6時間ほど眠れて、起きたときの爽快さが違うといいます。

     「今は自然からいただくものが多い。移住によって非日常と日常が逆転して、日常でリラックスできているからこそアイデアが湧き出ます」

     仕事をする上で意識しているのは、広く浅く、ジャンルを問わずなんにでも興味をもつこと。アンテナを張り巡らせ、時折上京する今は、目的をもって、見るものを取捨選択します。 

     「第一線で活躍している方には、流行りのお店を知っているとか、感度が高い方が多いと思います。アンテナが高くないと、相手に対しての気づきも得られないですよね」

     日々の膨大なインプットをクライアントへの良質な提案に繋げる中、春頃には鎌倉の自邸を開放してオフラインでのサロン会を構想中とのこと。

     「暮らしと人の満足度はリンクしていると思うのです。過疎化を防ぐ意味でも、どこでもハッピーに暮らせるんだということを思ってもらえるきっかけを作れたらなと思います」

    ● ほどよいバランスを大切に 悪循環の断ち切り方を知っておく

     黒沢さんのお話をうかがっていて感じたのはシェアの精神。そして、ストイックさと優しさとの絶妙なバランス感でした。

     「結局、すべてはバランスで…バランスの良い食生活をしていれば仕事を長く続けられるし、人にキレルこともないから人間関係も良くなりますよね」

     仕事が大変なときは食生活が乱れたり、イライラしやすくなったりするもの。とはいえ、「仕方がない」と思ってしまっては悪循環になるので、どういうときにリラックスできるか、自分なりの方法で悪循環の断ち切り方を知っておくことも大事だと話します。

     「無理をし続けたら病気になっちゃいますよね。今は、副業を考えている人も多いと思うんですけど、“量より質”な仕事になるように自分で考える、組織のコマから脱出する方法を考えるって大切だと思います」

     仕事、生活、食。これらのバランスをうまくとって生きるのはそう簡単ではないですよね。でも、「実現不可能なことではない」と今回のインタビューで教えていただいたように思います。すべては「この先どうありたいか、どういう姿でありたいか」を考えることから始まるのかもしれません。

  • 脳神経外科医が教える「ムダづかいをしない、満足度の高い」お金の使い方とは?
    /脳神経外科医・菅原道仁

    貯金をしたいのに、どうにもお金が貯まらない……」。多くの人が抱えている普遍的な悩みかと思います。脳神経外科医の菅原道仁先生によると、その要因は「ムダづかいをする脳のクセ」にあるといいます。なぜそんなクセが生まれるのか、どうすればそのクセから抜け出してお金を貯めることができるのかを、菅原先生が詳しく教えてくれました。

    ■自動処理を好む脳が「ムダづかいをするクセ」をつくる

    お金を貯めたいと思ってはいるのに、ついムダづかいをしてしまう人には共通点があります。それは、「ムダづかいをする脳のクセ」がついてしまっているということ。そのクセに従った結果、合理性や論理性を無視してわざわざ損をするようなムダづかいをしてしまうのです。

    その脳のクセは、「ものごとを深く考えることをなるべく減らして、さまざまなことを自動的に処理しよう」という脳の特性によってつくられています。

    なぜ脳は「なるべく自動的に処理しよう」とするのでしょうか?

    その答えは、脳が非常に多くのエネルギーを消費する臓器だからです。大人の脳の重さは約1400g。これは、全体重のわずか2%程度に過ぎません。ところが、その消費エネルギーは、わたしたちが1日に消費するエネルギーの約20%にも達します。

    そのため、脳はなるべく消費エネルギーを抑えようとします。その結果、できる限り反射的にものごとを判断したり、重大な決断ほど先送りしたり、変化を嫌っていつもどおりに行動しようとしたりと、「なるべく自動的に処理しよう」とします。

    いわば、わたしたちの脳は非常に重要な働きを担いながらも、本質的には考えたり判断したりすることが大嫌いな「怠け者」だということですね。

    怠け者である脳に、買い物をする場面での判断を完全に委ねてしまうとどうなるでしょう? 合理的な判断ができずに、世の中にある販売戦略に乗せられるとか、ただ見栄を張りたいといった理由でムダづかいをしてしまうことになるのです。

    ■「ムダづかいをする脳のクセ」チェックリスト

    そういった「ムダづかいをする脳のクセ」がついていると、さまざまなサインが現れます。みなさんに「ムダづかいをする脳のクセ」がついているかどうかを、チェックしてみましょう。以下の質問に「YES or NO」で答えてください。

    では、「YES」の数であなたの「ムダづかい度」を診断してみましょう。

    【「ムダづかい度」診断】

    ◆「YES」が14~18個→「ムダづかい度」100%

    完全に買い物依存症といえます。通販サイトはもう一切見ないほうがいいでしょう。パートナーがいる場合なら、家計の管理を相手に任せてしまうべきです。

    ◆「YES」が9~13個→「ムダづかい度」70%

    買い物依存症の一歩手前というところ。給料日前になると、なにに使ったかわからないのに、いつも金欠状態ではありませんか? すぐにムダづかい対策が必要です。

    ◆「YES」が4~8個→「ムダづかい度」30%

    ふだんのお金の使い方を少し改善するだけで、貯金がみるみる増えていくでしょう。

    ◆「YES」が0~3個→「ムダづかい度」0%

    なんの心配もいりません。むしろ、この記事を読んでいるのが不思議なくらいです。

    ■世の中の販売戦略のほとんどが「脳のクセ」を利用したもの

    あなたの診断結果はどうでしたか? 「ムダづかい度」が70%以上の人は、いますぐにムダづかいを減らしていく努力をしなければなりません。そのためにまず必要となるのは、世の中の「販売戦略」を知ること。なぜなら、それらの販売戦略のほとんどが、「ムダづかいをする脳のクセ」を利用したものだからです。

    たとえば、先のチェックリストにもある特売品や処分品も販売戦略のひとつです。そういった商品をつい買ってしまうのは、快楽物質とも呼ばれる「ドーパミン」という神経伝達物質の働きによるものです。

    ドーパミンは本来、生存するために必要なことを学習したときのご褒美として働きます。なんらかの難しい問題を考えていて、「わかった!」とひらめいたときは気持ちいいですよね? そうやって、ドーパミンが学習を促すのです。しかしながら、その快楽は長続きしないという特性を持っています。さっと快楽が消えることで、次の学習にわたしたちを向かわせるためです。

    このドーパミンは、人間が社会生活を営むうえで学習以外の場面でも働くようになりました。たとえば、勝負や賭け事に勝つ、お酒を飲む、タバコを吸う、そして買い物をする……。それらの行為をすると気持ちがいいのは、ドーパミンが働いているからです。

    特売品や処分品のなかに気になるものを見つけたときにはどう思いますか? 「いい掘り出し物を見つけた!」というふうに快楽を感じるでしょう。そして、実際に購入すれば、「いいものをお得に買えた!」という快楽もついてくる。もちろん、これらはドーパミンの働きによるものですから、その快楽は長続きしません。その結果、その買い物を後悔することになるのです。

    ■買い物をするたびに立ち止まることは、「なりたい自分」に近づくこと

    大切なのは、世の中のあらゆる販売戦略を冷静に見つめることです。以前に通販サイトでチェックした商品の広告がまったく別のサイトを見ているときにも表示されるのも、「限定○個!」「この価格での販売は△時まで!」「いつでも返品可能!」といったうたい文句も、アパレルショップで販売員がやたらと試着をすすめてくるのも、すべては「ムダづかいをする脳のクセ」を利用した販売戦略です。

    それらに踊らされないようにするには、お金を使うタイミングごとに立ち止まり、買おうとしているものが「本当に自分にとって必要なものか?」と冷静に考えることがなによりも大切です。

    高級ブランド品を買うことも、すべてがムダづかいというわけではありません。もちろん、高級ブランド品を必要としない人が見栄を張りたいからと買うことはムダづかいです。

    でも、たとえばフォーマルなパーティーに参加する機会がある人にとっては、周囲からの信用度を上げるために高級ブランド品をワンポイントで身につけておくのも大切なこと。その人が冷静に考え、「自分には必要だ」と判断したうえで高級ブランド品を買うことはまったくムダではありません。

    そして、そのようにお金を使うタイミングごとに立ち止まって考えることは、この先の自分の人生を見つめ、「なりたい自分」に近づくことにもつながります。ただやみくもにものを買うのではなく、「これは本当に自分にとって必要なものか?」と考えることは、未来の「なりたい自分」をイメージすることだからです。

    それこそが、同じお金を使うにしても、ムダづかいではなく「満足度の高いお金の使い方」をしていくための最大のコツです。

  • 日本経済新聞によると、東京都は1日、政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」について、感染リスクの高い高齢者や基礎疾患を抱える患者は12月17日まで、東京発着分の利用を停止・自粛するよう呼びかける方針を決めた。西村康稔経済財政・再生相が同日の記者会見で、都から要請された内容を明らかにした。
    小池百合子都知事は1日夕、首相官邸で菅義偉首相と会談した。「Go To」に関する都の方針を伝えたとみられる。

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