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  • 「夢幻に続く」

    あの日の二人から一年と四ヶ月
    過ぎた日々は長いけれど
    未だに尾を引いてる心は
    きっとこれからも長くなりそう気配

    波に洗われた時と言う名の概念
    理解しても払拭できないでいる
    この募る想いを
    俯瞰してみると
    まるで滑稽な亡骸のよう…

    過去を封印した君のその横顔には
    生き抜く術に長けた強かさと
    傲慢な優しさに彩られている

    僕はというと
    二度と戻らない
    蒼いフレームに縁取られた
    想い出の中で
    今日も何食わぬ顔で
    生きている振りをしている…

  • 「笑う猫の眼」

    スイミングスクールへと通う
    息子の送迎に間に合わそうと
    仕事帰りの家路
    バイクを飛ばす

    10月も中旬を迎え
    ヘルメットを切る風の音も
    心なし大きく鼓膜へと伝わり
    冷たく肌を撫でてゆく

    この季節は何かしら
    心もの哀しく感じる…

    自宅へ到着し
    すぐに身支度を済ませ
    マイカーへと向かう
    軽自動車の後部座席に
    飛び込む息子…
    我が家のいつもの
    平凡な日常のサイクル

    午後7時前…
    渋滞した車列を抜け
    川沿いの開けた場所に
    車が差し掛かかった…

    循環道路の大橋の
    街灯の灯りが綺麗に
    川面を照らしている

    進行方向…
    西の空を
    ふと見上げた

    か細い上弦の月が
    おぼろ気に
    妖しく輝いている

    まるで漆黒の闇に浮かぶ
    猫の眼のようだ

    まるで上弦の月が
    ニャッと笑っているようだ

    それが嬉しくて
    私も心の中で
    ニャッと笑った…

    何気ない
    小さな秋の幸せ…

  • 「碧に馳せて~風樹~」

    南へと向かう車窓から
    流れてく緑葉と海の碧
    照り返すボンネットの陽射し
    輝きに満ちた夏の午後

    東シナ海を見下ろす県道
    ハンドルを握るカーブの先に
    足りないものを探していた
    あの日の二人が見え隠れする

    互いに欠けた暮らしの中に
    慰め補い繋がっていた心

    想い馳せる
    過ぎ去りし日々は
    時のフレームの中
    輝きはあの日のままに


    緑と碧に包まれた
    丘の上のカフェ
    柔らかな木漏れ日は
    今も変わらず受け入れてくれる

    木々に囲まれたバルコニーから
    眼下に広がる遠い海原
    今日も目に優しく深呼吸した

    想い馳せる
    過ぎ去りし日々は
    時のフレームの中
    輝きはあの日のままに

    いつまでも忘れない
    輝きはあの日のままに

  • 「約束された場所」

    たとえ死の縁を歩もうとも
    それが約束された場所へ
    繋がる道ならば
    自らの意志と運命を
    全うするのみ

    君が何と言おうと
    君に束縛される
    義務もなければ
    権利もない

    氷よりも冷たい 微笑は
    もううんざりなんだ

  • 「満月(To S・M)」

    初夏の装いをまとい
    夜の涼しげな風の中
    煌々と輝く満月を仰ぐ宵

    あの頃の風を共有したい
    想いに駆られるのは
    僕だけかな…、

    今でも忘れられぬ
    この感情をどう伝えればいい?

    これが最後の
    風との確信は
    今も心の隙間を
    吹き抜ける風とともに
    寂しく哀しく
    沁みてくる

    また出逢える?
    意志も約束も
    伝える術もなく
    手のひらから
    こぼれ落ちる
    風にどう委ねればいい?

    君の名を呟く心を
    今…伝えたい

  • 「矛盾」

    穏やかな陽射し
    屹立するモクマオウの
    木々の間を
    潮の香りが抜けてゆく
    風の通り道…


    優しく涼しげな
    Gコードで
    木々は歌うけれども


    如何にも対比的で…
    爽やかなこの陽気は
    あからさまに
    抱えた胸のうちの
    矛盾を浮かび上がらせる


    南にひらけた
    コバルト色の海と
    防波堤を背にした
    空の奥底は…


    透明度の高い
    ブルーに満ちていて

    手をのばしても
    触れることは出来ない。

    近くに見えても
    実体さえおぼろげで
    あやふやな


    真昼の消え入りそうな
    三日月にも
    似ている…。

  • 「無償の代償…」

    犠牲的な善意から
    発せられる
    一途な思いこそが
    真理なら…


    舞い降りてきた
    善意に麻痺し始め
    当然の恩恵だと
    悪意を持つに至った
    神の子に罪はない…


    共鳴した愛の概念も
    やがて色褪せた
    一陣の風に吹かれる
    砂塵のように


    形骸化された
    愛の骨格を吹きさらす


    愛を語る声の光跡も
    やがて…
    無言に
    放置された空白に
    彩られてゆき


    無償の代償に
    胸を傷める…。

  • 「抽象」

    麻痺した指先を
    無感覚に握り返すのは
    無意味さを象徴する
    白い冬の意図


    日毎深くなる
    寒さに反し
    鉛色の虚空に
    低い垂れ雲


    この道先へと続く
    窮屈な低い空が
    視覚的な切迫感を
    せき立てている


    全てのものに
    意味があるのなら
    ひと吹きの溜め息に
    込められた
    気持ちの重さが
    どれ程のものか
    教えて欲しい

  • 「選択」

    君が否定する
    僕は肯定する

    君が僕からはみ出している
    僕は君からはみ出している

    それを否定することもない


    選択の余地は
    自由な意思に
    起因しているのだから

    妥協の意義を
    見出だす術を
    持ち合わせているのなら

    そこから
    また論じ合えればいい

  • 「師走の波形」

    月のない夜に
    星は冷たく
    輝きを放ち
    構図を縁取る
    夢うつつな光と影


    砂にしるした
    リアリティに欠けた
    形のない概念を
    鋭角に切り裂いてく
    引き潮の波形


    オブラードに包まれた
    明確な意志が
    海風に飛ばされぬように
    ポケットの中で
    強く握り締めていよう


    低気圧に
    急かされて
    理性的判断も
    過呼吸に陥りがちな
    師走の波形…

  • 「ダイブ」

    まるで底無しの
    蒼い宇宙の果てを
    眺めるように
    暗闇に輝く
    携帯の画面を
    見つめている


    次第に疲労し
    麻痺してゆく網膜に
    白い閃光が
    駆け抜ける


    バーチャルと
    リアルの狭間を
    ゆく宛もなく
    浮遊するクラゲ


    白く透き通った
    長い触手が肌に
    触れないうちに


    なまぬるい風の
    覚悟を秘めた夜に
    僕はネットの
    海の深淵へと
    ダイブする

  • 「夏の残照」

    空の蒼さと深さを
    計り知る術はなく

    そんな小さな
    僕の疑念や意志を
    軽く微笑で流す
    訳でもない

    全てのものへ
    悠然と空は開け
    平等に輝きを放ち
    懐へと回帰するものに
    分け隔てはしない…

    陽は昇り
    月は沈む…
    微動だにしない
    自然のサイクル

    硬質なブルーに輝く
    ガラスの目を持つ
    鳥のように…
    上手く飛ぶことが
    出来ないでいる…

    概念としての時間が
    際限なく刻まれてゆく…

    さて…
    僕の一呼吸分の時間が
    どれ程の意味を持つと
    いうのだろう…

    永遠と続く一秒から
    ふと眼を背けている間に

    空の蒼さも深みを
    増している…

    漆黒の闇の夜空に
    星は輝き…
    未知なる息吹きに
    センチメンタリズムも
    輝きを増してゆく…

  • 「コトバノラレツ」

    街を離れて
    防波堤に車を停めた
    ジャケットの襟を立て
    真冬の風に
    独り吹き上げられてた

    自然の摂理に
    淘汰されるような
    神の介在を予感する
    純潔な潮の香りに
    立ち竦む心

    闇に押し寄せる波
    海鳴りが奏でる
    「起点」という名の
    マイナーコード
    遠く走る
    稲妻の閃光に
    深い闇が浮き立ち
    衝動と動揺に
    目眩した心は
    一瞬ぐらついてく

    良心に基づく
    敬虔で崇高な約束…?
    乖離する心と身体を
    補い償うのは何…?

    善悪と妥協の
    境界はどこにある…?
    ヘアピンカーブの
    エッジをすり抜けた
    その先の風の中に…、

    僕らの答えが
    きっと
    舞っている…。


    困難な義務の中にこそ
    収穫されるべき果物は
    実を結ぶもの

  • 「打ち水・・・」


    アスファルトに
    揺らめく蜃気楼…、
    熱気にうなされた想いを
    一途に放熱している…。

    放たれた
    清涼の打ち水を
    弾け飛ばしてく…、
    二輪のタイヤ…。

    グリップを捉え
    緩いカーブの軌跡を
    路面に描くそばから…

    鋭利な陽射しが
    打ち水の足跡まで
    気化させてゆく…。

    まるで…
    蒸せる真夏日の中、

    バイクで走り続ける
    宿命を背負わされた
    囚われ人のように…、

    永遠に
    追いつくことのない

    生活という名の
    蜃気楼に追われ
    続けている…。

  • 「表裏一体」

    人差し指に乗せた
    コインを親指で弾く…。

    回転しながら
    空へと軌道を描き
    落下してくるコインを
    両方の手のひらで
    受けとめる。

    表と裏…、
    どちらへ賭ける。

    1/2の確率で
    勝負が決すると
    するならば

    選択の余地は
    余りにも少数だ…。

    人生も
    そんな選択の
    繰り返しなのかなと…、
    ふと思う。

    この世に
    産まれてきた
    必然と偶然…

    そして人と出会い
    別れゆくことも

    レストランで
    ランチメニューを広げて何を食べようかと
    決めかねている姿と
    同じ次元の
    出来事なのか…。

    生と死…
    善と悪…
    光と影…
    紙の表と裏…

    相対する
    2つの要素が

    ここかしこで
    複雑に絡み合い
    転がっている
    この世界で…

    何を得…
    何を成すか

    生きる意義について
    投げかけた問題の
    解答は白紙のままに…。

  • 「ちょっと良い話・NO2」

    左右からスクーターのシートを持ち上げるが開く気配はない。
    「良かったらご自宅まで鍵を取りに伺ってもよろしいですよ、自分のバイク出しますから。」
    お子さんをスクーターの側に残したまま、男性の自宅まで往復40分の距離を戻ってきた。

    程なく無事シートの鍵も開き、お二人も一安心の様子・・・。
    「良かったね・・・、早く試合見に行かないと・・・。こういう時はお互い様ですから・・・。」と、
    親子に告げ、足早に球場へと向かった・・・。
    ちょうど、日本の球団が2回裏の攻撃に入ったところから試合観戦と相成った。

    午後4時頃ゲームセットを告げる場内アナウンス・・・。
    結局試合の方は、韓国球団の打線が繋がり、ホームランを含む6対0の大差で勝利。
    観戦後、ホームである日本球団の打撃練習まで見て帰る頃には、
    午後5時を過ぎていた・・・。

    帰途につくため、パーキングエリアのバイクまで戻り、ジーンズのポケットからキーを取り出した。
    バイクのシートキーに鍵を差し込み、ヘルメットホルダーからヘルメットを
    取ろうとした時であった・・・。

    ジェットヘルメットの底に缶コーヒーが置かれているではないか・・・。
    そして缶の下には、お札が添えられている。
    1200ccバイクの燃料を満タンにしても余りある金額・・・。

    あの親子とスクーターを探すが見当たらない。
    思いもよらぬ出来事に、胸が熱くなった。
    名前も知らぬ同士の人の情・・・、
    清々しさで満たされた心をお土産に帰途についた・・・。

  • 「ちょっと良い話・NO1」2015.2.15

    薄紅の桜が咲き乱れる2月の沖縄は、
    球春を告げるプロ野球キャンプのシーズン・・・。
    2月も中旬を迎えると、各球団の紅白戦や練習試合で
    賑わいを見せ始める。

    寒さも緩んだ晴れ渡った休日、
    那覇から本島中部まで高速をバイクで飛ばした。
    のどかな緑あふれる山間の中、
    ベースボールスタジアムの芝が更に眩しい・・・。

    日本と韓国の球団の練習試合は
    午後13時にプレイボールされる。
    試合開始の30分前にパーキングエリアに
    バイクのサイドスタンドを降ろした。
    すると、すぐに遠くから40代程の男性が近づいてきた。
    さては、「駐車禁止区域にバイクを停めてしまったかな」と、
    一瞬身構えたが、その思いはすぐに徒労に帰した。

    「バイクの鍵開けられませんか〜」と男性・・・。
    聞けば、子供と二人バイクでやってきたが、
    スクーターのシートBOXの中に、バイクの鍵から財布、
    携帯まで入れたままロックしてしまったとのこと・・・。
    「球場の電話を借り、家に連絡したんですが年寄りしかいなくて・・・、
    鍵を届けに来てもらうことも出来ない・・・、二人の力でシートを開けられないですかね。」と男性・・・。

  • 「秋めく・・・」2011年10月21日01:28

    遠く霞んでく夏の陽炎

    焼けた頬をなでる
    涼しげな風の微笑み

    穏やかに翳りゆく
    引き潮の陽射しに似て

    淡い彩りを
    胸に添えている

    束の間の
    静寂の心地良さ
    日毎深くなる夜空を
    謳歌する間もなく

    散りゆく晩秋に
    急かされて

    喧騒の季節へと
    雪崩落ちてゆく…。

  • 「放熱の証」

    敷居の高さと恐怖心が先にたった。
    断崖に自らを追い込み、背中を押し飛び込むような
    確固とした意志と勇気に武者震いするような思い・・・。
    あれから早いもので、6年の歳月が流れた。

    真夏のジムは熱気と汗の匂いで充満している。
    サンドバック、シャドー、スパーリング・・・
    黙々とそれぞれのジムワークをこなしてゆく背中から、
    それぞれの人生が垣間見える・・・。

    下は小学生から花形のプロボクサーまでの強者(ツワモノ)まで、
    真摯な眼差しで、それぞれが背負う今と対峙している。
    健康と美容のために通う女性会員・・・、
    現実の社会背景は厳しく、仕事や職場の人間関係に翻弄され
    ストレスまみれで心を病んでしまうサラリーマン。
    自らの心の弱さを打開するために通い詰めるもの、
    ボクササイズに汗する練習生の動機も千差万別だ・・・。

    秒単位で刻まれる時の流れを
    これほどまで意識させられることはない。
    1ラウンド3分間という計り知れない時の長さに
    身体も心も折れそうになる。
    でもだからこそ辞められない。
    自分自身と向き合い無になれる
    ダイヤモンドのようにキラキラと輝く貴重な時間・・・。

    ジムの中は、それぞれが放つ熱気で充満している。
    まるで熱をはらんだ陽炎のように、命の炎を燃やしている。
    礼節を持って交わされる挨拶の声に、
    一瞬の清涼の風が放熱する肌に心地よく馴染んでゆく。

    真夏のジム・・・、
    同士たちの共有できる確固とした証は、
    濃密に絡み合い、一つになって
    それぞれの信念や夢へと昇華されてゆく・・・。

  • 「逆説的定義」


    時に、悩みと病みに囚われては滑落する…
    見つめるべき場所を見失った空っぽの瞳は…、
    空虚を泳ぐ死んだ魚。

    連鎖するスパイラルの渦中に、心が目眩していたのか…
    見失しなった足元に眼をやれば…、
    平凡と日常という淀みない時の流れが微笑する。

    喧騒も怒号も真綿の安らぎに似て…、
    今を嘆く幸せに、
    選択すべきは感謝…。

    無くしてからでは、遅すぎる…。
    それが幸せの逆説的定義なんだ…。



    「野生の周期」
           
    フラットな感覚と
    絶妙なスタンス…
    セーブする抑揚が
    饒舌に語りかけている

    闇夜に浮かぶ
    三日月のニヒルな微笑
    欠け落ちた影に
    真意を見つめる

    やがて潮は満ち
    野生をはらんだ
    満月が昇る…

    夜に奏でる
    遠吠えの合図に
    密やかな意志も
    呼応し交差する

    月と海の
    満ち引きのように
    相対する
    因果関係の夜…

    水平線に落ち
    そして駆け昇る

    おぼろげなオレンジに膨張した
    満月のように

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