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【CAD】消費者物価指数の掲示板

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  • 2022/01/19 22:57
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消費者物価指数(Consumer Price Index)とは、消費者が購入するモノやサービスなどの物価の動きを把握するための統計指標です。
また、国民の生活水準を示す指標のひとつとも言えます。

カナダはG7国家であるため、変動が大きい場合、他国へ影響を与えます。

掲示板のコメントはすべて投稿者の個人的な判断を表すものであり、
当社が投資の勧誘を目的としているものではありません。

  • 2022-01-19 22:37
    通常市況
    カナダドル 堅調、CPIは前年比で1991年以来の高水準

     12月のカナダ消費者物価指数(CPI)は前年比で+4.8%となった。市場予想通りの結果となったが、1月の+4.7%よりも高く1991年以来の高水準を記録したとあって、カナダドルは買いが優勢。対ドルでは1.2451カナダドル、対円では91.94円まで上値を広げている。

     本日発表された、英国、南アなどのCPIは市場予想を軒並み上回る結果。カナダも予想通りだが高水準ということで、世界的なインフレが懸念されそうだ。

  • 2022-01-19 22:32
    指標結果
    【指標】12月カナダCPI(前月比)-0.1%、予想 -0.1%ほか

    12月カナダ消費者物価指数(CPI、前年比)+4.8%、予想 +4.8%
    11月カナダ卸売売上高(前月比)+3.5%、予想 +2.7%

    ※タイトルおよび上記に表示した内容が下記の経済指標の結果です。

    12月カナダ消費者物価指数(CPI、前月比)〔予想 -0.1%〕 (前回発表値 +0.2%)
    12月カナダ消費者物価指数(CPI、前年比)〔予想 +4.8%〕 (前回発表値 +4.7%)
    11月カナダ卸売売上高(前月比)〔予想 +2.7%〕 (前回発表値 +1.4%)

  • 2022-01-19 15:55
    指標結果
    加12月CPI、予想は前月比-0.1%=22:30予定

    カナダの12月CPI(消費者物価指数)が日本時間22:30に発表される。
    予想は前月比-0.1%、前年比+4.8%。11月は前月比+0.2%、前年比+4.7%。

  • ◆ポンド、景気回復の遅れが懸念され上値は重いか
    ◆カナダ中銀(BOC)、政策を据え置きもタカ派姿勢を維持するか
    ◆加ドルの動きに影響は限られそうだが、加総選挙の行方にも注目

    予想レンジ
    ポンド円 149.00-153.50円
    加ドル円 85.00-88.50円

    9月6日週の展望
     ポンドは底堅さを維持しながらも、上値の重い動きが続いている。足もとではポンド独自の手がかりが乏しく、リスクセンチメントの変化やドルの動きに左右されやすい。英政府が7月にロックダウン解除に動いた後、コロナ感染者数は急速に増えてはいないものの、引き続き拡大傾向にある。ただ、ワクチン接種の進展で、感染者数は政府の予想範囲内にとどまっており、行動制限措置の再強化を決定する可能性は低い。

     また、イングランド銀行(BOE)は8月の会合で物価上昇は一時的との見方を維持するも、経済の回復が予想通りに進展した場合、「ある程度緩やかな引き締めが必要になる」との見解を示した。BOEが金融政策正常化を進める方針を示したことから、経済活動の正常化が引き続きポンドの支えとなる。ただ、最近の英経済指標では景気回復のペースが予想ほど強くないことも示されており、ポンドの上値も重い。英8月製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は60.3と速報値の60.1からやや上方修正されたものの、6カ月ぶりの低水準となった。原料不足、船舶輸送の遅れ、港の渋滞、ブレグジット、物流業界の人手不足がサプライヤーの遅れにつながっている。

     加ドルは、原油価格の下落やリスクオフの円買いによる下振れ圧力の高まりが警戒される中、8日のカナダ中銀(BOC)の金融政策会合でタカ派姿勢を維持するかどうかに注目している。10月会合で「景気・物価見通し」の見直しを行う予定であり、9月会合での政策変更は見込めない。市場では10月会合で資産買い入れ額の一段の減額に踏み切ることが見込まれている。4−6月期カナダGDPは前期比-1.1%と予想外のマイナスとなったが、7月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.7%と2011年5月以来の大幅な伸びとなり、BOCの「一時的な物価上昇が続く」との見通しに沿った内容となった。最近の加経済指標はおおむね良好な結果となり、BOCはタカ派姿勢を維持すると見込まれている。中銀の姿勢が加ドルのサポートになりそうだ。

     また、加ドルの動きに大きな影響はなさそうだが、20日に予定されている総選挙も注目されている。トルドー首相率いる与党・自由党はワクチン接種率の高さや、景気回復が進んでいることをアピール材料に単独過半数確保を狙っているが、最近の世論調査では自由党と最大野党・保守党の支持率が拮抗している。コロナ感染の拡大が続いている中での総選挙実施に批判的な見方の国民も少なくないようだ。自由党が敗北すれば、大型財政出動の可能性が低くなる。

    8月30日週の回顧
     週末の米雇用統計の発表を控え、相場全体の方向感が鈍い中、株価や米金利の動きを眺めながら小幅の上下にとどまっている。リスクオンのドル売り・円売りがやや優勢となる中、ポンドドルは1.38ドル半ば、ポンド円は152円前半まで小幅高となった。加ドルは4-6月期GDPが予想外のマイナスとなったことから売られやすい状況のなか、原油高を支えにドル/加ドルは1.26加ドル半ば、加ドル円は86円後半で加ドル売りが一服した。米雇用統計を受けてドル売りが優勢となり、ポンドドルは1.38ドル後半、ドル/加ドルは1.25加ドル割れまでドル安が進んだ。

  • ◆豪ドル、7日の豪準備銀行(RBA)理事会声明文に注目
    ◆NSW州首相は経済再開を楽観視も医療関係者は早期再開を疑問視
    ◆ZAR、大幅に買い戻されたものの、国内でのポジティブ要素は少ない

    予想レンジ
    豪ドル円 78.00-83.00円
    南ア・ランド円 7.10-7.80円

    9月6日週の展望
     豪ドルはRBA次第となるか。7日にRBA理事会が開かれるが、豪ドルは結果次第で大きく動く可能性が高い。
      今週発表された4-6月期豪国内総生産(GDP)は市場予想を上回る好結果だったが、7月以後に豪州では新型コロナウイルス感染が急拡大したことから7-9月期の状況は大きく異なる。RBAは8月の理事会で「コロナ感染拡大で回復が妨げられ、GDPは7-9月期に減少すると予想」と表明しているが、それ以降も更に感染拡大が深刻になっている。今回の理事会でどのような声明となるかが注目される。

     先月のRBA声明文では「9月上旬まで週50億豪ドル、その後少なくとも11月中旬まで週40億豪ドルの割合で国債を購入し続ける」としているが、市場では「9月上旬以後も週50億豪ドルの国債購入を継続する可能性」に対する思惑も台頭しており、声明文の内容に注目が集まる。なお、理事会後の8日と9日にデベルRBA副総裁の講演が予定されている。

     また、ウイルスの感染状況にも引き続き注意が必要だ。ニューサウスウェールズ(NSW)州での感染拡大が深刻だが、今週もベレジクランNSW首相は州内でのワクチン接種率の高まりとともに、「10月下旬に多くの規制が緩和され、正常化の道へ戻る」と発言した。ただ、多くの医療関係者は首相があまりにも楽観的なことに疑問を呈している。今後の感染状況次第で、再びNSW州が厳格なロックダウンに戻る可能性もあり、ウイルス感染状況からは目が離せない。

     南アフリカ・ランド(ZAR)の上値は限られるか。8月末から米金利の低下とともに急騰したZARだが、いささかスピードも上げ幅も大きいことで深追いは難しいとの声も多い。米金利低下やコモディティ価格の堅調な動きはZARを支える要因となっているが、南ア経済についてはあまりポジティブな要素が見当たらないことには注意したい。7月末から、アルコールの解禁などをはじめ、ロックダウンが緩和されたこともあり、今週発表された8月のABSA製造業PMIは7月の43.5から57.9へと急上昇した。しかし、雇用指数は47.6ポイントから47.1ポイントに低下している。南ア鉄鋼技術産業連盟によると、製造業の雇用は2008年に記録された37.9%よりもさらに悪い35%に低下している。雇用不安が再び治安の乱れ(暴動等)につながるリスクを指摘する声も少なくない。

     なお、来週は7日に4-6月期GDP、8日に同期経常収支が発表される。GDPは本来ならば注目度が高い指標ではあるが、南アは7月に暴動があったことを重視すれば、4-6月期の指標で市場が反応するのは難しそうだ。

    8月30日週の回顧
     豪ドルは反発した。8月27日に実施されたパウエルFRB議長のジャクソンホール会議の講演が若干ハト派だったこともあり、ドル売り・豪ドル買いが優勢となった。4-6月期豪GDPが前期比+0.7%、前年同期比+9.6%と、それぞれ予想の+0.5%と+9.2%を上回ったことも支えとなった。
     ZARも対ドル、対円ともに先週大幅に上昇した。豪ドル同様にFRB議長の講演後に米金利が低下したことや、コモディティ価格が底堅い動きを見せたことから大きく値を上げた。

  • ◆ドル円、米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けた地区連銀経済報告に注目
    ◆米8月生産者物価指数や日本の4-6月期国内総生産(GDP)改定値にも注目
    ◆ユーロドル、欧州中央銀行(ECB)理事会の資産購入減額協議の可能性に要警戒

    予想レンジ
    ドル円   107.00-112.00円
    ユーロドル 1.1500-1.2000ドル

    9月6日週の展望
     ドル円は、21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)に向けてブラックアウト期間(※米連邦準備理事会高官は金融政策に関して発言できない期間)に入ることから、当局からの発言はあまり期待できない。地区連銀経済報告に注目する展開となりそうだ。地区連銀経済報告で米国の景況感改善やインフレ率上昇への警戒感を示していた場合は、年内のテーパリング(資産購入の段階的縮小)開始観測が高まることになる。逆に、デルタ株の感染拡大への警戒感が示され、インフレ高進の影響が軽視されていた場合は、テーパリング開始が先送りされる可能性が高まるだろう。

     ドル買い材料は、米国の雇用情勢の改善傾向が高まった場合や、米連邦準備理事会(FRB)による年内のテーパリング開始観測が強くなった場合だろう。また、協議が続いているバイデン政権のインフラ投資法案の行方や、新型コロナウイルスの感染状況が改善された場合に反応しそうだ。一方、ドル売り材料としては、新型コロナウイルスのデルタ株の感染再拡大への警戒感が強まった場合や、米中対立が表面化してきた局面だろう。また、アフガニスタン情勢を巡る地政学リスクも引き続き無視できない。更には、米連邦債務上限の引き上げ協議が難航する可能性なども挙げられる。経済指標では、8日に発表される日本の4-6月期実質国内総生産(GDP)の改定値に注目している。非常事態宣言を受けた下方修正の可能性やマイナス成長に転落する可能性に警戒している。また、9日に発表される中国の8月消費者・生産者物価指数では、中国の景況感減速懸念を受けた物価指数の低迷に要警戒となる。

     ユーロドルは、9日に開催される欧州中央銀行(ECB)理事会で資産購入の減額が協議される可能性に警戒している。レーンECB専務理事兼主任エコノミストは、「米金融当局のテーパリングの余波が市場に及んだ場合に備え、ECBは対応を準備している」と述べた。ビルロワドガロー・フランス中銀総裁やホルツマン・オーストリア中銀総裁、クノット・オランダ中銀総裁、バイトマン独連銀総裁なども「パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)は段階的に縮小すべき」との見解を表明していることから注意が必要だろう。減額が協議されなかった場合は、ラガルドECB総裁の理事会後の定例記者会見が注目となる。経済指標では、悪化傾向にある9月ZEW景況指数のネガティブサプライズに要警戒か。

    8月30日週の回顧
     ドル円は、109.59円から110.42円まで上昇した。米国8月の雇用統計の改善期待や9月FOMCでのテーパリング開始協議、公表観測を受けて、米10年債利回りが1.33%台まで上昇したことを受けた動き。ユーロドルは、9日のECB理事会でのPEPP早期終了協議への思惑から、1.1783ドルから1.1884ドルまで上昇した。ユーロ円も、リスク選好地合いが強まるなか、129.46円から130.75円まで上昇した。

  • ◆ポンド、当面は景気回復期待と感染拡大懸念で方向感に欠ける動きが続くか
    ◆ポンド、今後は北アイルランド問題をめぐり英・EU交渉にも注目
    ◆加ドル、株価や原油相場を睨んだ展開が続くか
    (為替情報部・金 星)

    予想レンジ
    ポンド円 148.50-153.00円
    加ドル円 84.50-88.50円

    8月30日週の展望
     ポンドは方向感が出づらい相場展開が続いている。経済活動正常化による景気回復期待が根強い一方で、コロナ感染再拡大への懸念も強い。来週予定されている経済指標は8月の製造業・サービス部門担当者景気指数(PMI、改定値)程度で、ポンド独自の手がかりは乏しい。同速報値は製造業が予想を上回る60.1となった一方で、サービス部門は予想比下振れの55.5と前月の59.6から大幅に鈍化した。行動制限措置はパンデミック開始以来、最も緩いレベルになったが、感染拡大の深刻な状況は続いており、消費者を中心に支出が抑制されている。

     来週は9月に入るが、9月末には英政府の一時帰休の労働者を対象にした雇用支援措置が終了する。終了を前にした解雇の増加が懸念されたが、7月の雇用データでは解雇の急増は見られなかった。ただ、依然として終了に伴う失業の増加の可能性は消えていない。

     また、北アイルランドでの通商ルールをめぐり、英本土からの冷蔵肉の出荷の容認期間の延長が9月末までとなっており、今後は再び英・欧州連合(EU)の交渉が注目されそうだ。英政府はEUと結んだ離脱協定の一部である英領北アイルランドでの通商ルールについてEUに再交渉を求めているが、EUはそれに応じない方針で、関税ゼロを維持した英EU間の貿易協定に悪影響が出る恐れもある。EUは加盟国の利益を考えると英国に対して簡単には妥協できない。英国がルールの凍結などに踏み切ればEUが制裁関税などの手段に出る可能性もあり、英・EUの関係悪化が懸念される。

     9月23日にはイングランド銀行(BOE)の政策会合が予定されている。同会合では、政策金利と債券買い入れ額の据え置きが見込まれる。8月の会合ではサンダース金融政策委員会(MPC)委員が債券買い入れ額の縮小を主張した。9月会合からはキャサリン・マン氏がMPCメンバーに加わる。同氏は7月に景気刺激策を性急に縮小してはならないという考えを示している。

     加ドルは、株価や原油相場を睨む神経質な動きも方向感は鈍い。国内のワクチン接種率が高く、景気回復も順調に進んでいるが、コロナ感染の再拡大をめぐる不透明感から、積極的に買い進める地合いにはなっていない。また、9月20日に総選挙を行うと発表したトルドー加首相は、再選した合には大手金融機関に対し3%の追加課税を課す方針を表明した。影響に注視したい。また、来週は4-6月期GDPや6月GDP、7月貿易収支などの発表が予定されている。

    8月23日週の回顧
     今週は株価の堅調な動きや原油相場の反発を受けて、円売り・ドル売りが先行した。ただ、ジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演を控えた様子見ムードが強い中、アフガニスタン情勢への警戒感もあり、リスクオン一色にはならなかった。8月の英サービス部門PMI速報値がさえない結果もポンドの重しとなり、ポンド円は151円半ば、ポンドドルは1.37ドル後半で伸び悩んだ。加ドル円は87円半ば、ドル/加ドルは1.25加ドル後半で加ドル買いが一服した。

  • ◆豪ドル、ゼロコロナからウィズコロナへの転換の影響に注視
    ◆豪州は9月7日のRBA理事会を前にGDPなど複数経済指標発表
    ◆ZAR、雇用不安・電力不足などで上値は限定的か
    (為替情報部・松井 隆)

    予想レンジ
    豪ドル円 77.00-82.00円
    南ア・ランド円 6.90-7.50円

    8月30日週の展望
     豪ドルはもみ合いとなるか。27日に行われるジャクソンホール会議のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演次第で来週の流れは変わるだろうが、豪州の経済指標も多数予定されており、方向感はつかみにくい。31日に4−6月期国際収支、7月住宅建設許可件数、9月1日に4-6月期国内総生産(GDP)、9月2日に7月貿易収支、9月3日には7月小売売上高が発表される。この中で最も注目されるのが4-6月期GDP。市場予想より結果に大きなかい離があった場合は、上下どちらにも市場は動くだろうが、新型コロナウイルス感染拡大及びロックダウンの厳格化を受けて7-9月期の数字は悪化が予想されていることもあり、ネガティブサプライズの方が大きく反応しそうだ。結果次第で9月7日に予定されている豪準備銀行(RBA)理事会の決定にも影響を与えることになるだろう。

     経済指標以外では、引き続き新型コロナウイルスの感染状況に注目が集まる。ニューサウスウェールズ(NSW)州では感染件数が今週も過去最大になるなど、感染の勢いはとどまっていない。もっとも、感染拡大にもかかわらずベレジクリアンNSW首相はワクチン接種が600万回を超えたことで、一部で規制緩和を発表するなど「ゼロ・コロナ」を諦め、「ウィズ・コロナ」に舵を切りはじめた。モリソン豪首相も同様に「ウィズ・コロナ」発言をしており、大きなサプライズではないが、この転換が豪州経済にどの程度の影響を与えるかに注目している。経済再開は一時的にはプラスになるだろうが、中長期的な影響を判断するのは難しい。

     また、世界情勢として米軍のアフガニスタンからの撤退期限が月末に迫っている。26日にはカブール国際空港で自爆テロが勃発している。アフガン情勢がより混乱した場合は、リスクオフにより豪ドルも大きく影響を受けそうだ。

     南アフリカ・ランド(ZAR)の上値は限られるか。先週の下げ幅が大きかったことで、今週は買い戻しが優勢となっているものの、この流れが継続されるのは難しそうだ。今週発表された4-6月期の失業率は前回の32.6%から34.4%へと悪化し、2008年の計測以来最悪の結果となった。若年層(15-24歳)失業率も63.2%から63.3%と過去最大を記録。また、就活を諦めた失業者を含めた拡大失業率は43.2%から44.4%まで増加している。南アランドの買いを促すようなニュースは乏しい。売り場探しの地合いが続くかどうか見極めることになりそうだ。

    8月23日週の回顧
     豪ドルは反発した。パウエルFRB議長のジャクソンホール会議の講演を前に、株、コモディティなどに買い戻しが入ったことにつれて反発した。ここ最近の下げ幅が大きかったこともあり、ポジション調整としての買いも散見された。
     ZARも対ドル、対円ともに先週大幅下落したことで買い戻しが優勢だった。今週は株価や南アが世界一の算出量を誇るプラチナ価格などが上昇したことも支えとなった。

  • ◆ドル円、米国8月非農業部門雇用者数のサプライズに要警戒
    ◆米8月米ISM製造業・非製造業景気指数、消費者信頼感指数にも注目
    ◆ユーロドル、ユーロ圏8月消費者物価指数速報値や7月小売売上高に注目
    (為替情報部・山下政比呂)

    予想レンジ
    ドル円 107.00-112.00円
    ユーロドル 1.1400-1.1900ドル

    8月30日週の展望
     ドル円は9月3日に発表される米国8月の雇用統計を控えて動きづらい展開か。
     ドル買い材料は、米国の雇用情勢の改善傾向やインフレ率の高止まりを受けた米連邦準備理事会(FRB)による年内のテーパリング(資産購入の段階的縮小)開始観測、バイデン政権のインフラ投資法案の成立期待、新型コロナウイルスのワクチン接種の進展などが挙げられる。
     ドル売り材料は、新型コロナウイルスのデルタ株の感染再拡大への警戒感、米中対立激化への警戒感、アフガニスタン情勢を巡る地政学リスクへの警戒感、米連邦債務上限の引き上げ協議が難航する可能性などが挙げられる。

     9月3日に発表される米国8月雇用統計の予想は、失業率が5.2%で7月の5.4%から低下、非農業部門雇用者数が前月比76.3万人の増加で、7月の94.3万人の増加から減少が見込まれている。非農業部門雇用者数が市場予想の最大値である102.5万人前後まで増加していた場合、9月21-22日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で年内のテーパリング(資産購入の段階的縮小)開始が協議される可能性が高まることになる。ネガティブサプライズは、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大により、予想の最小値である50万人程度の増加にとどまるなど、雇用情勢が悪化していた場合となり、年内テーパリング開始の可能性が低下することになる。また、米国8月の米ISM製造業・非製造業景気指数、消費者信頼感指数、シカゴ購買部協会景気指数などでも、新型コロナウイルスのデルタ株感染拡大の影響を見極めることになる。さらに、米国7月の貿易赤字では、過去最大規模の貿易赤字基調が続いており、財政赤字とともに、双子の赤字の拡大が、ドルの上値を抑える可能性に注意したい。

     ユーロドルは、ユーロ圏での新型コロナウイルスのデルタ株の感染再拡大を受けた景況感悪化懸念が強いほか、欧州中央銀行(ECB)がインフレ目標を2%に引き上げ、物価上昇率が一時的に2%から上振れても容認する方針であることなどで、戻りは鈍い展開が予想される。来週は、ユーロ圏8月の消費者物価指数の速報値や7月の小売売上高に要注目となるが、消費者物価指数が低下していた場合や小売売上高が減少していた場合のネガティブサプライズには警戒している。

    8月23日週の回顧
     ドル円は、109.41円から110.23円まで上昇した。複数のタカ派の米連邦準備理事会(FRB)高官が早期のテーパリング(資産購入の段階的縮小)開始に言及し、米10年債利回りが1.37%台まで上昇した。ユーロドルは、レーンECB専務理事の「米金融当局のテーパリングの余波が市場に及んだ場合に備え、ECBは対応を準備している」との発言やデギンドスECB副総裁が「ユーロ圏のマクロ経済予測を9月に再び上方修正する可能性がある」との見解など受けて、1.1693ドルから1.1779ドルまで上昇した。ユーロ円も、リスク選好地合いが強まるなか、128.16円から129.76円まで上昇した。

  • ◆ポンド、景気回復とコロナ感染拡大懸念で方向感が出づらい
    ◆加ドル、リスクセンチメントの変化やドルに左右
    ◆来週の注目イベントとしては、ジャクソンホール会合

    予想レンジ
    ポンド円 148.00-153.00円
    加ドル円 84.50-88.50円

    8月23日週の展望
     ジョンソン英政権がロックダウン(都市封鎖)の解除に踏み切ってから1カ月が過ぎた。コロナ感染の拡大が深刻で、人口密度の高い国として「コロナとの共存」を選択した英政権の決断に世界が注目しているが、今のところ感染率はおおむね横ばいで推移し、感染拡大局面からは徐々に脱却に向かっているようにも見える。ただ、1日の新規感染者数は3万人前後と深刻な状況は変わっておらず、保健当局は油断禁物だとして警戒姿勢を崩していない。全面的な経済再開による景気回復への期待感が強い一方で、感染拡大への懸念は払しょくされておらず、ポンドは方向感が出づらい相場展開が続いている。

     コロナ関連の規制緩和で経済が加速し、労働市場でもその効果が表れている。4-6月英失業率(ILO方式)は4.7%と昨年6-8月以来の水準となり、同平均週給は前年比+8.8%と統計開始以来最高となった。また、7月の就業者数は前月から18.2万人増加し、5-7月の求人件数は95.3万人と過去最高を記録した。一時帰休対策が終了する予定の9月末を前にして、解雇の増加も懸念されたが、解雇の急増は見られなかった。7月の消費者物価指数(CPI)は前年比+2.0%と前月から伸びが予想以上に鈍化した。ただ、物価の上昇基調が続く中での一時的な減速に過ぎないとの見方が強く、材料視されていない。来週は8月のサービス部門・製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値)の発表が予定されている。

     加ドルは、上値の重い動きが続くか。ワクチン接種進展への期待は根強いものの、連日、世界の各地で感染の拡大が報じられており、先行き経済への不安は大きい。原油相場もさえない動きとなっている。加ドルは引き続きリスクオン・オフのセンチメントの変化や米ドルの動きに左右されそう。来週はジャクソンホール会合に注目している。過去に米金融政策について重要な発表が行われてきた経緯があり、同会合への注目度は高い。

     カナダの7月CPIは前年比+3.7%と、予想を上回る2011年以来の大幅な伸びとなった。住宅コストの値上がりが目立ち、物価の上昇が続いていることが示された。ただ、カナダ中銀(BOC)が景気を判断する際に最も重視するCPIコモンは+1.7%と市場予想をやや下回った。トルドー首相は9月20日に総選挙を行うと正式に表明した。同氏は、ワクチン接種率の高さや、景気回復が進んでいることをアピール材料に政権を維持し、政治的な立場を強化することを目指している。

    8月16日週の回顧
     株価や商品価格の下落に伴い、リスクオフの円買い・ドル買いが優勢となったほか、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期テーパリング思惑の高まりを背景としたドル買いも見られた。英雇用データ、英7月CPIへの反応は限られ、ポンドドルは1.36ドル前半まで下落した。また、予想比上振れの加CPIを受けた加ドル買いは一時的にとどまった。原油安も加ドルの重しとなり、ドル/加ドルは1.29加ドル半ばまでドル高が進んだ。世界的にコロナ感染の再拡大を受けて、先行き経済への懸念が強く、ポンド円は149円前半、加ドル円は84円後半まで弱含んだ。

  • ◆豪ドル、デルタ株を中心としたコロナ感染の急増が重しに
    ◆半年ぶりにコロナウイルス感染が確認されたNZの動向にも注目
    ◆ZAR、リスクオフの流れが続き軟調推移か

    予想レンジ
    豪ドル円 75.00-81.00円
    南ア・ランド円 6.90-7.50円

    8月23日週の展望
     豪ドルは上値が重くなるか。豪準備銀行(RBA)の議事要旨ではデルタ株を中心とした新型コロナウイルス感染拡大の影響が、「豪州経済回復への足かせとなっている」とし、「ウイルス感染の状況が悪化した場合は、行動する用意がある」ことが明記された。RBA理事会が行われたのは今月の3日だが、それ以後に数倍規模で新規感染者数が増加していることを鑑みると、RBAの次の行動はテーパリングどころでは無いだろう。特に、豪州は「ウィズ・コロナ」ではなく、「ゼロ・コロナ」を目指していることもあり、規制が他国に比べてより厳しくなり経済への影響は大きい。

     また、今週発表された7月の雇用統計の内容が悪かったことも豪ドルの売り要因。表面上は失業率が予想の5.0%から4.6%へ下がるなど改善しているようにみえたが、労働参加率が低下し、就職を諦めた失業者も増加。月間労働時間も減少している。月間労働時間については、ニューサウスウェールズ州で7.0%も減少しているが、今月に入り各州でロックダウンが延長されていることを考えると、大都市を中心に労働時間減少による所得減が更に問題となりそうだ。なお、来週は26日に4−6月期の民間資本支出、27日に7月小売売上高が発表される。

     また、NZでは2月以来の新型コロナウイルスの市中感染が確認された。NZドルの動きにも注目したい。コロナウイルスの感染拡大が続けば、豪ドルにも影響を及ぼしそうだ。

     南アフリカ・ランド(ZAR)も上値は限られるか。米中経済指標が市場予想を下回るなか、アフガニスタン情勢は悪化。デルタ株・ラムダ株などのコロナウイルス感染拡大が世界規模で再燃している。新興国通貨は全般上値を抑えることになりそうだ。特に、南アは先月の暴動があったこともあり、利上げに舵を取りにくい状況となっている。上値が重くなる一因となりそうだ。

     今週、クガニャゴ南ア準備銀行(SARB)総裁は「SARBは物価の安定と最大の雇用を追求するという二重の使命を持っていると思っている人たちがいるが、持続可能な雇用を生み出すのは低金利や多くのお金を印刷することではないことを認識する必要がある」と述べた。これは雇用についてSARBに責任がないということではなく、構造改革などの根本的な改革がない状況で、SARBの金融政策だけでは雇用を増やすことは出来ないことを表明している。26日発表の4-6月期の失業率が悪化した場合も、利下げへの期待感は高まらないだろう。

    8月16日週の回顧
     豪ドルは対円・対ドルともに年初来安値を更新。RBAの議事要旨で「テーパリングを遅らせるケースを検討」していることが判明したほか、コモディティの下落が重しとなった。また、NZではコロナ感染者が確認されたことによるロックダウンを理由にRBNZが政策金利を据え置いた。NZドルの大幅下落も豪ドル安につながった。ZARも大幅下落。タリバン政権がアフガニスタンを掌握したこと、中国の経済指標が市場予想を下回ったことなど、市場がリスクオフの反応を強めたことからZARは軟調に推移した。対円では今年3月以来の水準まで弱含んだ。

  • ◆ドル円、ジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の発言に注目
    ◆米国4-6月期GDP改定値、7月個人消費支出価格指数、アフガニスタン情勢にも注意
    ◆ユーロドル、ユーロ圏8月製造業・サービス業PMI速報値や独8月Ifo景況感指数に注目

    予想レンジ
    ドル円   106.00-111.00円
    ユーロドル 1.1400-1.1900ドル

    8月23日週の展望
     ドル円は底堅い展開か。米国の雇用情勢の改善や物価指数の高止まりを受けて、26-28日のジャクソンホール会合でパウエルFRB議長が2022年2月の任期満了前のテーパリング(資産購入の段階的縮小)開始を表明する可能性に注意したい。

     タカ派的なシナリオは、パウエルFRB議長がテーパリング開始を表明し、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング開始時期が協議され、年内の開始が表明される場合となる。ハト派的なシナリオは、昨年12月のFOMC声明文から明記されている「最大限の雇用と物価安定に向けて一段と顕著な進展(substantial further progress)があるまで債券購入を継続する」ことを重視し、パウエルFRB議長がテーパリングに言及しない場合となる。

     また、今週は週明けからアフガニスタン発の地政学リスク回避の円買い圧力が強まる場面があった。バイデン米政権によるアフガニスタンからの「安全で秩序ある撤退」のシナリオにも関わらず、反政府勢力タリバーンによる政権樹立により、極東から中東にかけた「一帯一路」地帯での米国の存在感が低下しつあることで、引き続き地政学リスク回避の円買い圧力が強まる可能性にも留意しておきたい。

     一方、米上院が5500億ドル規模のインフラ包括法案を可決し、3兆5000億ドル規模の予算決議を承認したことはドル買い要因だが、連邦債務上限の引き上げに関して、共和党と民主党の協議が難航する可能性が高まっていることは、ドル売り要因となる。さらに、米国で新型コロナウイルスのデルタ株の感染が拡大しつつあることや、米中対立激化懸念はリスク回避の円買い要因となっている。

     26日に発表される米国4-6月期実質国内総生産(GDP)改定値では、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大によるネガティブサプライズに注意している。また、27日に発表される米国7月個人消費支出(PCE)価格指数は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として最も注視していることもあり、こちらもネガティブサプライズに注意している。

     ユーロドルは、ユーロ圏での新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大を受けた景況感悪化懸念が強いほか、欧州中央銀行(ECB)がインフレ目標を2%に引き上げ、物価上昇率が一時的に2%から上振れても容認する方針であることも引き続き売り要因となっている。軟調推移が予想される。今週は、ユーロ圏8月の製造業・サービス業PMI速報値でデルタ株の感染拡大の悪影響を見極めることになる。

    8月16日週の回顧
     ドル円は、109.11円から110.23円まで上昇した。アフガニスタン情勢を受けた地政学リスク回避の円買いで109.11円まで下落したが、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での早期テーパリング(資産購入の段階的縮小)開始表明への思惑から、米10年債利回りが1.21%台から1.29%台へ上昇したことで、110.23円まで反発した。ユーロドルは、1.1801ドルから1.1660ドル台まで下落した。ユーロ円は、129.51円から128円割れまで下落した。

  • ◆ポンド、7月のCPIや雇用データに注目も方向感出づらい
    ◆ポンド、引き続きコロナ感染の拡大が懸念材料
    ◆加ドル、コロナ感染拡大をめぐる先行きの不透明感で値動きは鈍いか

    予想レンジ
    ポンド円 149.50-154.50円
    加ドル円 86.50-89.50円

    8月16日週の展望
     ポンドは足もとで方向感に欠ける動きが続いている。成人の7割以上がワクチンの2回接種を終えて、ロックダウン(都市封鎖)を解除し、経済活動が正常に戻ったことで、先行きの経済に対する楽観的な見方も強いものの、依然として深刻なコロナ感染拡大への警戒感が強く、ポンドは一方向に大きく傾きにくい。ポンドに限らず、コロナ感染拡大をめぐる先行きの不透明感が相場全体の方向感を鈍くしている。

     経済活動の正常化により、英国は7月から小売売上高や消費支出が増加している。英小売協会(BRC)が発表した7月小売売上高は前年比+6.4%となった。また、消費支出は娯楽部門が昨年3月以来のプラスに転じるなど、スポーツイベントや夏季休暇などで増加した。ただ、インフレ加速が見込まれており、インフレ高の消費支出への影響も注目される。来週は7月の消費者物価指数(CPI)や雇用データの発表が予定されているが、結果が予想と大きく乖離しない限り、反応は一時的にとどまりそうだ。CPIはイングランド銀行(BOE)の目標を上回っているが、BOEは今年年末から来年初めにかけて一時的に4%に達するとの見通しを示し、「インフレ高は一時的」と警戒感を強めていない。7月のCPIが上昇しても、英政府が一時帰休労働者への支援を9月末で打ち切ることや、BOEが22年のGDPが+5.75%、23年が+1.25%に鈍化すると予想していることを鑑みると、BOEが早期に緩和策縮小に動くことは考えにくい。

     カナダでは、感染力の強いコロナ変異株の感染拡大で景気回復の減速が懸念される一方で、ワクチン接種が進展し今後も経済活動への厳しい制約は回避されるとの見方が強い。ただ、経済の先行き不透明感が増していることや、石油輸出国機構( OPEC )プラスによる協調減産を巡る先行き不透明感も払しょくされていないことで、加ドルは当面方向感が出にくい。来週は7月CPIの発表が予定されているが、6月は前月から伸びが鈍化した。カナダ中銀(BOC)は7月の会合で政策金利を0.25%に据え置きし、資産買い入れ規模を縮小したが、9月の会合では政策金利、資産買い入れ規模ともに据え置きが見込まれる。なお、10月の会合では資産買い入れ規模を一段と縮小する可能性がある。

    8月9日週の回顧
     今週は為替相場全体の動きが鈍く、ポンドと加ドルも値動きは限られた。ポンドドルは1.39ドル前半で上値が抑えられ、1.38ドル台を中心に推移。ポンド円は153円を挟んで上下した。6月英GDPは前月比+1.0%と市場予想の+0.8%を上回り、4-6月期GDPは前期比+4.8%と市場予想と一致した。規制緩和による個人消費の拡大で4-6月期GDPは2四半期ぶりにプラス成長となった。加ドルはドルや原油相場の影響を受けるも、ドル/加ドルは1.25加ドル台を中心とした小動きにとどまったが、加ドル円は88円半ばまで小幅高となった。一部によると、トルドー加首相は9月20日の解散総選挙を計画しているもようで、15日に正式に発表すると伝わっている。

  • ◆豪ドル、賃金指数と雇用統計に要注目
    ◆利上げ予想のRBNZ・MPCに注目、豪ドル/NZドルは激しい動きになるか
    ◆ZAR、新財務相の方向性が見えず上値が重いか

    予想レンジ
    豪ドル円 78.00-83.00円
    南ア・ランド円 7.30-7.70円

    8月16日週の展望
     来週のオセアニアはイベントが多数あり、豪ドルは乱高下する可能性もあり警戒したい。豪準備銀行(RBA)からは17日に議事要旨が公表され、20日にはケントRBA総裁補佐の講演が予定されている。8月のRBA理事会では、ほぼ前回の声明を引き継いだ形となったが、市場では「9月中旬以降には週40億豪ドルとしていた資産買入プログラムを50億豪ドルに戻す可能性もある」との憶測も台頭していた。議事要旨では、債券購入アプローチを維持したことに対する意見がポイントになりそうだ。声明文から差異があった場合は豪ドルが動意付くことになりそうだ。

     また、ケントRBA総裁補佐は以前、「インフレ率が目標範囲内で持続的に推移するのは早くても2024年までないだろう」「完全雇用まで景気が回復し、インフレが目標範囲で推移するまで緩和策は維持」などと金融引き締めに対し慎重な見解を示している。総裁補佐の講演前には重要な労働指数などが発表されるが、それらの結果を受けて見解に変化がみられるかどうかに注目したい。

     経済指標では18日の4-6月期賃金指数と19日の7月雇用統計が重要視される。賃金に関してはロウRBA総裁が「賃金の伸びは、長期間3%を超えたままでなければいけない」と発言し、前回のRBA声明文では「将来的に賃金の伸びと基礎的インフレの両方の上昇が見込まれるが、上昇は緩やかなものになる可能性」と述べられた。賃金の伸びの鈍さがRBAのテーパリングへの足かせとなっており、1-3月期の前年比+1.5%からどの程度回復できているかに市場の目が集まる。また、雇用統計は失業率の低下傾向が継続されるか否かに注目したい。今年に入り1月の6.4%から毎月改善し、6月は約10年ぶりの水準となる4.9%まで低下している。

     また、NZ準備銀行(RBNZ)が18日に開催する金融政策委員会(MPC)も重要だ。利上げ予想が大勢を占めるなか、上げ幅や声明などでNZドルは激しく動きそうだ。豪ドル/NZドルの動向には特に注意が必要となるだろう。

     南アフリカ・ランド(ZAR)は伸び悩むか。財政再建に積極的に取り組み、海外からの評価が高かったムボウェニ南ア前財務相が、内閣改造で退任。ゴドンワナ新財務相への評価が不透明ななかで、ZARは上値が限られている。新財務相の政策がはっきりと見えるまでは動きにくいだろう。なお、経済指標では7月消費者物価指数(CPI)と小売売上高が発表予定。CPIは上昇傾向だが、7月の暴動以来、南アの早期利上げ観測が後退している。今回の結果に対する動意は薄そうだ。

    8月9日週の回顧
     豪ドルはほぼ横ばいの動きだった。米長期金利の動向に左右されることも多かったが、値動きは限られた。対円ではレンジが1円にも満たず、対ドルでは0.73ドル台でもみ合が続いた。
     ZARは上値が重かった。先週末に行われた内閣改造で、ムボウェニ財務相が辞任。市場ではこれらを嫌気した売りの流れが継続された。また米金利が上昇したこともZARの重しになった。

  • ◆ドル円、17日のパウエルFRB議長の討論会での発言に注目
    ◆米国7月小売売上高、景気先行指数、日本のQ2GDP、7月貿易収支やインフレ率にも注目
    ◆ユーロドル、ユーロ圏での新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大状況に注意

    予想レンジ
    ドル円   108.00-112.00円
    ユーロドル 1.1500-1.2000ドル

    8月16日週の展望
     ドル円は底堅い展開か。米国の雇用情勢の改善や物価指数の高止まりを受けて、「9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で早期テーパリング(資産購入の段階的縮小)開始が表明されるのではないか」との思惑から堅調に推移している。17日の討論会でのパウエルFRB議長の発言次第では、「26-28日のジャクソンホール会合で早期テーパリングに言及するのではないか」との市場の警戒感が高まることになるため注目している。

     また、米上院が5500億ドル規模のインフラ包括法案を可決し、3兆5000億ドル規模の予算決議を承認した。バイデン米政権の経済優先課題の実現に道を開いたことは、ドル買い要因となっている。しかし、1日に復活した連邦債務上限に関しては、米共和党の上院議員46人が民主党に対して、連邦債務上限の引き上げに関する投票を棄権すると警告しており、連邦政府が早ければ9月にもデフォルト(債務不履行)に陥るリスクを高めていることは、ドル売り要因だろう。さらに、米国で新型コロナウイルスのデルタ株の感染が拡大しつつあることや、米中対立激化懸念はリスク回避の円買い要因となっている。

     16日に発表される日本の4-6月期実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比+0.2%、前期比年率+0.7%と予想されており、1-3月期の-1.0%、-3.9%からは改善が見込まれている。リスクシナリオとしては、緊急事態宣言の悪影響で、2四半期連続のマイナス成長、すなわちリセッション(景気後退)に陥った場合の反応には注意したい。18日に予定されている日本の7月の貿易収支では、拡大基調にある対米貿易黒字に要注目となる。さらに、20日には日本の7月消費者物価指数が公表されるが、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大や緊急事態宣言などの影響を受けて、マイナス圏に落ち込む可能性に要警戒となる。
    また、17日に発表される米7月小売売上高・鉱工業生産や19日発表の景気先行指数にも注目している。

     ユーロドルは、ユーロ圏での新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大を受けた景況感悪化懸念や欧州中央銀行(ECB)がインフレ目標を2%に引き上げ、物価上昇率が一時的に2%から上振れても容認することを決定したことで、軟調推移が予想される。今週もデルタ株の感染拡大による悪影響を見極めることになる。

    8月9日週の回顧
     ドル円は、110.03円から110.80円まで上昇した。米10年債利回りは、FRBの早期テーパリング開始観測から、1.26%台から1.37%台まで上昇した。ただ、お盆休み中の本邦輸出企業からのドル売りオーダーや本邦資本筋による米国債償還・利払いの円転玉などで上値は限定的だった。ユーロドルは、8月独ZEW景況感指数が40.4となり、7月の63.3から悪化したことで、1.1769ドルから1.1706ドルまで下落した。ユーロ円は、129.87円から129.39円の間でのもみ合い。

  • ◆ポンド、4-6月期GDP速報値やコロナ感染拡大状況に注目
    ◆BOE、7対1で債券買い入れ目標の維持を決定
    ◆加ドル、原油相場の一段の下落に警戒

    予想レンジ
    ポンド円 149.50-154.50円
    加ドル円 86.50-89.50円

    8月9日週の展望
     ポンドは経済活動の再開に伴う景気回復期待が引き続き支援材料となり、底堅い動きを維持する一方、コロナ感染の収束が見通せず、上昇余地も限られている。来週は、4-6月GDP速報値や6月鉱工業・製造業生産指数などの発表が予定されており、景気の回復度合いを確認しつつ、コロナ感染の拡大状況に注目だ。英国内でのコロナ新規感染者数は先週に比べるとやや低下しているが、100万人あたりの新規感染者数で見ると、英国は引き続き世界で最も深刻な水準にある。ワクチン接種の進展に伴い、英政府は新規感染者数が増加しても重症化は防げると判断しており、感染者数が増えても行動制限措置の再強化に動く可能性は低いが、規制の完全緩和が「大きな賭け」であることは間違いない。

     イングランド銀行(BOE)金融政策委員会(MPC)は7対1で債券買い入れ目標の維持を決定した。市場ではラムスデンBOE副総裁も据え置きに反対票を投じるとの思惑もあったが、反対はサンダースMPC委員一人にとどまった。7人が「インフレ高は一時的」との見方を維持し、「目標に明確に到達するまで引き締めは行わない」と強調した。ただ、年内のインフレ率見通しを3%強から4%強に修正し、物価上昇抑制のためにある時点で「緩やかな引き締めが必要になる」との認識を示した。ベイリーBOE総裁も、インフレ高は一時的との見解に「十分な根拠がある」としながらも、「経済が予測に沿って進展すれば、幾分の緩やかな引き締めが必要となる公算が大きい」と述べている。

     加ドルは独自の新規材料が乏しく、投資家のリスクオン・オフのセンチメントの変化や、原油相場の動きなどを睨んだ神経質な動きが続いている。カナダ中銀(BOC)が4月の会合で金融緩和縮小に踏み切ったことをきっかけに、加ドルは買いが積み上がっていたが、6・7月に対ドル・対円で下落し、ロングポジションは大幅に縮小した。BOCの金融緩和縮小路線は今後も継続される見通しで、加ドルの下押し局面では引き続き下支えの材料となるが、米加金融政策見通しの格差は縮小しつつある。また、コロナ感染の拡大で「利上げ時期は2022年後半」との見通しが前倒しされる可能性は低い。

     先週、さえない動きとなった原油相場が一段と下落すれば、加ドルに売り圧力が強まりそうだ。世界でコロナ感染に終息の気配が見られず、原油価格は需給改善も重しに下落リスクが高まっている。ただ、エネルギー需要への期待感は依然として根強く、原油価格が大きく崩れることは見込めにくい。また、来週は注目の経済指標の発表は予定されていない。

    8月2日週の回顧
     BOEの金融政策イベントも方向感を出すこと出来ず、ポンドの値動きは限られた。売りが先行するも、ポンドドルは1.38ドル後半、ポンド円は151円前半で下げ渋った。英国内でコロナ新規感染者数の拡大がやや鈍化していることや経済活動正常化などを支えに底堅さを示すと、先週末の水準まで持ち直した。また、加ドルは原油相場のさえない動きが重しとなり、ドル/加ドルは1.25加ドル後半、加ドル円は86円半ばまでやや加ドル売りが優勢となった。

  • ◆豪ドル、RBNZの金融引き締め予想の高まりで対NZドルの動きに注目
    ◆豪ドル、新型コロナウイルス・デルタ株の感染状況に注意
    ◆ZAR、新財務相のスタンスを知るまでは神経質な展開か

    予想レンジ
    豪ドル円 78.00-83.00円
    南ア・ランド円 7.30-7.70円

    8月9日週の展望
     豪ドルはもみ合いとなるか。今週発表された豪準備銀行(RBA)理事会の声明文では、前回と同様に「9月上旬まで週50億豪ドル、その後少なくとも11月中旬まで週40億豪ドルの割合で国債を購入し続ける」とした。市場では買入れ額を50億豪ドルに戻す可能性も台頭していた。ただ、新型コロナウイルス・デルタ株の感染拡大は最近の出来事。これらの影響が反映されたデータも少ない中でのテーパリングの先送り観測は、過度の期待だったといえよう。RBAが仮に今後のスタンスを変えるとしても、今しばらくは経済指標をみる必要がありそうだ。

     今週の豪ドルはもみ合い予想も、対NZドルの動きには要警戒となる。今週、NZ準備銀行(RBNZ)は、住宅価格の高騰と高リスクの借り入れ抑制のため、ローン資産価値比率(LVR)の一段の厳格化を検討していると発表し、NZ2年債利回りは年初来高値を更新している。また、4-6月期の失業率も市場予想や前期と比較しても大幅に改善されており、NZドルは堅調に推移しそうだ。豪ドルは、NZドル高に連れる動きもあると思われるが、対NZドルでは年初来安値を更新している。一層の豪ドル売り・NZドル買いになるか注目したい。

     来週は、豪州からは7月のNAB企業信頼感指数と景況感指数以外は、市場が動意づく経済指標の発表がない。よって、豪州国内情勢で市場が動意づくのは引き続きデルタ株の感染状況次第となりそうだ。豪州はNZや台湾などと同様に「ゼロ・コロナ」を目指していることで、デルタ株の感染拡大は厳しいロックダウン実施となり、経済へ与える影響は大きくなりがちだ。また、他国と比較するとワクチンの接種率も著しく低い。デルタ株拡大は豪ドルに大きな影響を与えそうだ。

     南アフリカ・ランド(ZAR)も神経質な動きか。今週は、内閣改造でムボウェニ南ア財務相が交代されたことを受けて売りが強まる場面がみられたが、それ以外では、経済指標やニュースでの反応は鈍かった。来週は新財務相のスタンスが判明するまでZARは非常に神経質な値動きになるだろう。後任となったゴドンワナ新財務相はアフリカ民族会議(ANC)の経済開発小委員会・委員長を務めていた。しかしながら、前財務相のように財政に対してどの程度厳格化できるかは未知数。一部では昔ながらのANCの経済的思考が強いという見方も出ている。

    8月2日週の回顧
     豪ドルは底堅い動きになった。米国を中心とした株式市場の動きなどが豪ドルの動向を左右したが、若干リスクオンとなったことで小幅に買われた。なお、RBAは政策金利や債券買入れプログラムの内容を据え置いたが、市場ではハト派予想に過度に傾いていたこともあり、変更がほぼなかった声明文を受けて、豪ドル買いで反応した。
     ZARは週末を前に急落した。南アの製造業PMIは6月の57.4から43.5に低下するなど非常に悪い指標も発表されたが、市場の反応は限定的だった。しかしながら、5日の内閣改造でムボウェニ財務相が解任されたことをきっかけに急落した。

  • ◆ドル円、米国債の償還・利払いの円転が円高要因となるか注目
    ◆米7月消費者物価指数や財政収支、中国7月の物価指数にも注意
    ◆ユーロドル、ユーロ圏6月鉱工業生産や独8月ZEW景況指数に注目

    予想レンジ
    ドル円 106.00-111.00円
    ユーロドル 1.1500-1.2000ドル

    8月9日週の展望
     ドル円は上値が重い展開か。8月のドル円相場は円高に推移するアノマリーがあるが、本邦実需筋の動向としては、本邦輸出企業がお盆休み期間中にドル売りオーダーを出すことや本邦資本筋の米国債償還・利払いに伴う円転玉の存在などが挙げられる。今年も、本邦実需筋による円買い需要に加え、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大への警戒感や、米議会での連邦債務上限引き上げを巡る協議難航懸念、米中対立激化懸念がリスク回避の円買い要因となっている。ドル円の買い材料としては、クラリダFRB副議長など数名の米連邦準備理事会(FRB)高官が、早期のテーパリング(資産購入の段階的縮小)開始に言及していることから、26-28日に開催されるジャクソンホール会合で、パウエルFRB議長がテーパリング開始を示唆する可能性があることだろう。今週のウォラーFRB理事による9月FOMCでのテーパリング開始表明示唆なども引き続き意識されそうだ。

     米7月消費者物価指数は、原油価格の下落などで低調な数字が予想されているが、予想通りならばFRBの「インフレ高進は一時的」との見解が裏付けられることになるため、ドル売り要因となる。また、米7月財政赤字は、2021会計年度(20年10月〜21年9月)の6月までの財政赤字が2兆2379億ドルまで拡大しているほか、1日に連邦債務上限が復活していることもあり、要注目となる。さらに、中国7月の消費者・生産者物価指数は、6月の物価指数が中国の景況感停滞を反映して低下していたことから要注目か。低下基調が継続していた場合、リスク回避の円高要因となる。

     ユーロドルは、ユーロ圏での新型コロナウイルスのデルタ株の感染が拡大しつつあるなか、欧州中央銀行(ECB)がインフレ目標を2%に引き上げ、物価上昇率が一時的に2%から上振れても容認することを決定。大規模緩和の継続姿勢を強調していることから、上値が重い展開が予想される。さらに、英国が北アイルランド議定書を巡り、ブレグジットの再交渉を要請していることもリスク要因となる。また、ユーロ圏6月の鉱工業生産や独8月のZEW景況指数などで、ワクチン接種の進捗とデルタ株の感染拡大による影響を見極めることになる。

    8月2日週の回顧
     ドル円は、米10年債利回りが1.12%台から1.22%台まで上昇。108.72円から109.89円まで上昇した。クラリダFRB副議長などがタカ派の発言をしたほか、ナスダック総合とS&P500が史上最高値を更新したことなどを受けて、買い戻しが強まった。クラリダFRB副議長は「米経済が新型コロナウイルス禍から驚異的なペースで回復していることを踏まえると、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の引き上げの必要条件が2022年末までに満たされ、2023年に利上げが可能になる公算が大きい」と述べている。ユーロドルは、1.1900ドルから1.1828ドルまで下落した。ユーロ円は、130.42円から129.14円まで下落した後、130.01円まで反発した。

  • ◆ポンド、イギリスがコロナ規制を解除し感染の拡大に警戒
    ◆ポンド、BOE政策会合に注目、タカ派メンバーが増えるか
    ◆加ドル、投資家のリスクオン・オフで神経質な動きが続くか

    予想レンジ
    ポンド円 149.50-154.50円
    加ドル円 86.50-89.50円

    8月2日週の展望
     イギリスは19日からコロナ制限措置を解除し、経済活動の正常化による景気回復への期待感がある一方で、コロナ感染拡大への警戒感は強い。先週に1日の新規感染者数は5万人超まで拡大した後、今週に入って拡大はやや収まっているものの、深刻な状況は変わっていない。今週はコロナ感染拡大状況やイングランド銀行(BOE)の政策会合に注目。

     8月5日のBOE金融政策会合では、政策金利と債券購入プログラムの据え置きが見込まれる。6月の会合でただ一人「債券購入プログラムの縮小」を主張したホールデン委員が退任し、今回の会合は臨時的に8人のメンバーによる会合となるが、据え置きへの反対票が増える可能性がある。ホールデン委員の退任を受けて、タカ派不在とされた金融政策委員会(MPC)に早くも変化が見られている。ラムスデンBOE副総裁は14日の講演で、「英経済の回復に伴いインフレ圧力が強まる中、英中銀は従来の想定より早期に緩和縮小の検討を開始する可能性がある」との見方を示したほか、サンダースMPC委員は「刺激策の解除がまもなく適切となる可能性がある」と述べている。

     ただ、MPCでは引き続きハト派が優勢だ。英6月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.5%とBOEの目標を上回ったことを受けて、ベイリーBOE総裁は「インフレ率が予想より高かった」と認めた一方で、「インフレを巡る判断を急がない」意向を示した。また、ブロードベントBOE副総裁やハスケルMPC委員、8月会合を最後に退任するブリハMPC委員も「金融引き締めは時期尚早」との見解を維持している。このほか、カンリフBOE副総裁とテンレイロMPC委員もハト派とされており、今回の会合で政策の変更は見込めないだろう。インフレ見通しや今後の政策運営などに変化があるかどうか、または議事要旨の内容に注目したい。

     加ドルは、投資家のリスクオン・オフのセンチメントの変化や、原油相場の動きなどを睨みながら神経質な動きが続きそうだ。カナダ国内でもコロナの感染がやや拡大傾向となっているが、大きく懸念を強める程ではない。ワクチン効果への期待と感染拡大への警戒感が交錯し、足もとでは方向感が出にくい。来週は7月の雇用統計が発表される予定だ。6月は新規雇用者数が23.07万人増、失業率が5.7%に改善と良好な結果となった。主要国の中銀はインフレより雇用状況を注視する姿勢を示している。なお、8月2日からカナダ中銀(BOC)の総裁顧問を務めたコジッキ氏が副総裁に就任し、政策委員は6人となるが、12月にロジャース氏が上級副総裁に就任する予定だ。

    7月26日週の回顧
     中国当局の市場規制強化への懸念で中国株が急落。リスクオフの動きが先行するも、警戒感が緩むと巻き戻された。パウエルFRB議長のFOMC後の記者会見でのハト派的な発言を受けて、ポンドドルは1.39ドル後半、ドル/加ドルは1.24加ドル半ばまでドル安に振れた。ポンド円は153円半ばまで小幅高となり、加ドル円は88円近辺で下値の堅い動きとなった。ただ、カナダの6月CPIが予想以上に鈍化し、一時的に加ドルが売られる場面もあった。

  • ◆豪ドル、RBAは政策据え置き予想も声明文には要注目
    ◆豪ドル、NSW州のロックダウン延長で豪経済の回復遅れるか
    ◆ZAR、規制緩和も利上げが遠のき上値が重いか

    予想レンジ
    豪ドル円 78.00-83.00円
    南ア・ランド円 7.30-7.60円

    8月2日週の展望
     豪ドルは上値が重いか。来週は経済指標では6月の住宅建設許可件数と小売売上高が発表されるが、市場の注目は4日に予定されている豪準備銀行(RBA)理事会になる。政策金利は据え置かれる予想。また、資産買入れ購入額の調整は11月に予定されている。今回は表面上の変化はないだろう。しかしながら、前回の理事会では市場が予想していた以上にハト派スタンスだったほか、4−6月期豪消費者物価(CPI)公表後の初めてとなる理事会とあって、声明文でインフレ懸念の高まりについてどのような認識を示すかが注目点となりそうだ。

     また、豪ドルの上値を抑えるのは、豪州最大都市シドニーのニューサウスウェールズ(NSW)州での新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウン延長だ。豪金融機関は7-9月期の国内総生産(GDP)を延長が要因で前年比-2.7%と予想し、回復も11月まではないとしている。予想通りになった場合は、そのままテーパリングの遅れにつながることになりそうだ。

     南アフリカ・ランド(ZAR)は上値が限られるか。南アでは感染者数と陽性率が抑えられていることで、今週からロックダウンの水準を4から3に引き下げた。しかしながら、死亡者数は増えており、専門家の間からは規制緩和は時期尚早との声が多い。一部では、暴動を受けて南ア政府が国民の不満のガス抜きを行うための緩和ではないかという声も上がっている。

     ここ数週間はZARの下げ幅が大きかったこともあり、ある程度の買い戻しも入りやすい地合いではあるが、売りトレンドは簡単には収まらないと思われる。インフレや金利の予測を提供する中銀の四半期予測モデル(Quarterly Projection Model=QPM)では、いまだに利上げ予想モデルになっている。ただ、政策決定委員会では、このモデルが適切でない場合はモデルに基づいて行動しないことになっており、今回がその例ではないかと言われている。

     クガニャゴSARB総裁は「最近の(暴動などの)経済的な損害は、投資家の信頼と雇用創出に永続的な影響を与える。第1四半期の良い成長結果を完全に打ち消す可能性」と発言しているように、様々な問題を抱えている南アにとって、7月上旬の暴動の影響が色濃く残りそうだ。なお、来週は経済指標では7月のABSA製造業PMIが発表される。

    7月26日週の回顧
     豪ドルはほぼ横ばいの動きになった。中国のネット企業規制を警戒し、中国・香港株が大幅に続落したことで、リスク回避の動きで週初は対円で上値が重く推移した。なお、4-6月期の豪CPIは原油価格の上昇や、食品価格の高騰もあり、市場予想通り前年比で+3.8%まで上昇した。なお、NSW州のロックダウンは感染者数が拡大したことで延長となったが、市場は事前に予測していたこともあり反応薄だった。ZARはもみ合いだった。週前半は軟調な株価や南アが最大の産出量でもあるプラチナ価格の下落を嫌気し、対円では3月30日の安値に並ぶ7.35円まで弱含んだ。しかし、徐々に下げ幅を取り戻し方向感のない動きになった。

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