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ブライトパス・バイオ(株)【4594】の掲示板 2018/06/15〜2018/06/17

>>457

がん免疫療法は現在、がん免疫によりがんの撲滅・治癒をめざそうというモードに突入しています。5年、10年前ではそう言っても誰も信じなかったでしょうが、免疫チェックポイント療法がその扉を開き、CAR-T細胞療法がそれを実現しつつあります。

長く久留米大学を中心に研究されてきた延命目的のITK-1等のがんペプチドワクチンは、コンセプトはともかくとして現在のがん免疫療法の流れの中では時代遅れと言われても仕方ありません。治験は上手くいきませんでしたが、仮に治験が成功し上市できたとしても、現在の流れに沿った治療薬としてのがん免疫療法薬に押され、大した市場の拡大は期待できませんでした。今後の研究開発費の一部の充填に繋がっただけです。ですから今回の治験の失敗を事前から想定し、淡々と受け止めています。またブライトパスがITK-1の今後の展開に拘っていないことも正解だと思っています。

私のとってブライトパスへの投資はITK-1への投資ではありません。

まず重要なのは免疫チェックポイント阻害剤との併用下でがんペプチドワクチンが相乗・相加効果を示せるかどうかです。単剤で効果があるかどうかは大きな問題ではありません。単剤ではがんペプチドワクチンが延命目的としての一定の可能性はあっても、がん治癒に繋がる可能性が高くないことはITK-1の失敗を見るまでもなく多くの治験結果の失敗から明らかです。そのためにGRN-1201ではがんペプチドワクチンの設計は敢えてシンプルにしたことは治験の遂行を早める意味でも重要です。ヒトでこれを試しきった試験はまだ世界中でありませんので、GRN-1201併用治験の結果をまずは注目していきたいと思います。チェックポイント阻害剤を開発中のメガファーマと称される製薬企業は、他のベンチャー (以前ご紹介したTapimmune社等) のこの種の併用治験に注目していますので、もしよい成績が見えてくれば製薬企業はモノにしようと導入を急ぐはずです。幸い、免疫チェックポイント阻害剤とがんワクチンの併用でもブライトパスは世界のトップグループを走っています。

ただ、この併用療法が上手くいくかどうかの確証はなにもありません。動物実験では有力との結果が出ていますが、免疫系の薬剤だけはヒトで試さないことには何も結論を出せません。そこはブライトパスが他のパイプラインを持っていることが強みになります。

まずGRN-1301は薬剤耐性を克服することを目指したネオアンチゲンを標的としたがんペプチドワクチンですが、現在この薬剤耐性を克服する目的での分子標的薬が上市(タグリッソ)、もしくは複数開発されている状況では、分子標的療法薬の投与により誘導される予測される複数の突然変異に対応するものに再設計する必要があると思います。臨床試験開始までまだ時間が掛かるような気がしますが、コンセプトが斬新なだけにアメリカで治験を始めれば、こちらもメガファーマから注目が集まるでしょう。ただし、ブライトパスの資金を考えれば、治験開始はGRN-1201の導出後、もしくは後述の抗体医薬の早期導出後ですし、まだ実際の治験開始まで時間があります。

次にiPS-T細胞療法ですが、順天堂大学での医師主導臨床試験開始は、かなり遅れ気味だと思います。自家T細胞移植ですので、治験が始まれば、再生医療に関わる早期承認制度を利用して比較的早期に上市可能だと思いますが、慣れないiPS関連の治験でもあり順天堂大学の予定が後ろ倒しになっている気がします。一方、最近共同研究と導入オプション獲得をしたiPS-NKT細胞療法は理研というしっかりしたバックボーンもあり、来年には医師主導臨床試験開始が可能な状況です。こちらは今後CAR-Tや他のiPS-T細胞療法とも併用できる細胞療法ですので、日本だけでなく世界から注目度が高いと思います。もちろん、効果が認められれば、再生医療に関わる早期承認制度を利用して比較的早期に上市可能です。(現在この日本の再生医療創薬の治験・承認システムに世界のサイエンス界から決して芳しくない評価がありますが、、)

どうしても2年ほど空く収入ゼロの状況を埋める可能性があるのが抗体医薬の開発です。今回急に出てきた話ではなく、2016年から川崎に研究所を開設し仕込んできたこの抗体創薬が今年なんらかパイプラインして具現化し、早期導出可能かどうか注目しています。なお、抗体医薬は前臨床と治験段階での結果の乖離の問題もあり、約9割が前臨床段階で導出されています。

以上、バイオベンチャーへの投資ですから、明日明後日に大きなお金になる話はまだありませんし、賭けの部分があります。がん免疫療法開発として複数の異なるパイプラインを有し、今後いくつかポシャったとして、大きく実りを得る可能性があるブライトパスを私は応援しています。短期での(日々の)株価の値動きはあまり興味がありませんので、純粋にパイプラインの進行状況だけに注目してフォローしています。

がん免疫治療薬開発を専業とするブライトパスは日本の上場企業として唯一無比のものです。パイプラインの展開も自分の目から見てリーズナブルで、少ない経営資源の中で経営陣はよくコントロールしていると思います。(広報の姿勢や実際の広報内容も論外ですが、、)
もちろんがん免疫療法開発に絞っても、非上場で有望な企業は世界で、そして日本でも沢山あります。私はブライトパスに地縁も義理も何もありませんので、こういう他の企業が上場し、パイプラインにより魅力があれば、日本の創薬を応援する意味で投資をそちらに振り向けると思います。

以上長くなりましたが、現時点での私のブライトパスに関する見解です。