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ブライトパス・バイオ(株)【4594】の掲示板 2018/11/15〜2018/11/24

健全なるホルダーの皆樣へ

先週、埼玉県和光市、理研シンポジウム第四回DMP創薬ワークショップ「その創薬アプローチの成果と展望」の午前中のパートを聴講してきました。
理研西門で受付を済ませて、キャンパスの一番奥にある「大河内記念館」に向かいました。

DMP(創薬・医療技術基盤プログラム)とは、理研の最先端ライフサイエンス基盤技術をベースにして、企業があまり取り組まなかった(採算に合わないとか)、または取り組めなかった(開発コストが膨大過ぎるとか)疾患を中心に、2008年に取り組みが始まっています。今回は4回目のシンポジウムで、今回からCDAなしでオープンにして40社の企業や一般の聴講を可としたそうです(聴講者は約120名)。

ブライトパスが契約を結んでいる「iPS‐NKT」の理研側の推進リーダー古関明彦氏の講演(11時から35分間)が目当てではありましたが、冒頭の小寺理事の挨拶から拝聴しました。以下ポイントのみ。
・小寺理事の挨拶:研究だけに終わることなく、実用化させることが、理研の役割である。
・来賓の挨拶:文科省の課長さん、内容は省略。
・後藤ディレクターの挨拶と本プログラムの概要説明。

・「視細胞変性に対するiPS細胞由来3D網膜移殖」理研・高橋政代氏:2014年のネイチャー誌「今年の10人」に選ばれた第一人者。
・「複合的免疫賦活を発揮する細胞ワクチン・人工アジュバントベクター細胞」理研・藤井眞一郎氏:「エーベック」についての取り組み紹介。興味深く聴くことが出来た。①他家細胞なので患者さんごとの準備は不要。②放射線照射して使用するので安全。③自然免疫と獲得免疫と効率よく誘導する新たな治療効果。④記憶免疫を誘導するため、再発・転移の抑圧に期待。―など、今後の可能性を期待させる講演内容でした。ちなみに、古関氏と藤井氏は友人でありライバルのように見えました。

さて、本題の古関氏の講演ですが、始めはこれまでの研究経緯についての説明がありました(これは既知ですが)
・NKT細胞はNK細胞マーカーとT細胞抗原受容体(TCR)を両方発現しているT細胞のサブセットである。
・TCRはCD1dという糖脂質抗原を乗せる分子を認識することで活性化することを発見した。
・活性化したNKT細胞は、がん細胞を直接的にどんどん殺傷するとともに、樹状細胞を介して、自然免疫系のNK細胞と獲得免疫系のKT細胞を共に増殖・活性化させ(アジュバンド効果)がんを攻撃する。
・2013年には、NKT細胞活性化によるがん治療が、先進医療Bとして承認された。
・しかしながら、NKT細胞はヒト抹消血中にわずか(0.01~0.1%)しか存在せず、標準治療にするには限界があることが、分かってきた。
・ちょうどその課題をどうしようかと考えていたころに、iPS細胞の技術が出てきて、これを利用することで、NKT細胞を調製する基本的な技術を確立することが出来、臨床試験に向けての準備を進めてきた。

最後の2分ほどで、直近の動向について2枚のスライドで説明がありました。

一つ目の表は「原材料の生物由来原料基準規制への対応」です。
原材料とは、ヒト抹消血、ウシ血清、抗体、サイトカイン・・・などですが、準備に膨大な時間と高額な費用が必要とのことです。

2つ目の表は「PMDA相談で決定した非臨床試験の概要・進捗状況」という表です。
試験項目は4つあり、いずれもマウスによる試験です。
①単体投与毒性試験(iPS‐NKT製剤)⇒結果:最高投与量まで死亡及び異常なし。
②造腫瘍試験(NKT‐iPS)⇒結果:造腫瘍性なし、ヒト細胞の残存なし。
③造腫瘍試験(iPS‐NKT製剤)⇒結果:試験中(2019年1月終了予定)
④軟寒天コロニー試験(ヒトiPS‐NKT)⇒結果:増殖性なし。
⑤動態試験(iPS‐NKT製剤)⇒結果:実施予定(2018年度中)

これらをクリアーして、いよいよ頭頚部がんを対象としたiPS-NKT細胞による医師主導治験が始まろうとしています。

上記の通り、③造腫瘍試験(iPS‐NKT製剤)⇒結果:試験中(2019年1月終了予定)と⑤動態試験(iPS‐NKT製剤)⇒結果:実施予定(2018)年度中)を実施終了すれば、治験を始める態勢は整います。
「来年度の何月から始めます」という具体的なコメントはなかったですが、順調に計画通りに進捗しているという印象を受けました。
帰りに理研キャンパスをぶらぶらと散歩しましたが、理研のおおらかな懐の深さを肌で実感することができ、「理研は頼りになるな~」とぼんやりと想いながら、理研キャンパスをあとにしました。