ここから本文です
投稿一覧に戻る

銘柄や材料について堂々と話しをするスレ。。。の掲示板

抗加齢医学研究の第一人者、米井嘉一・同志社大学教授が説明します。【毎日新聞医療プレミア】

 ◇成長期にピークを迎え徐々に分泌量が減る

 ホルモンは、ある細胞が離れたところの別の細胞に命令を伝えるために分泌する物質です。成長ホルモンは文字通りヒトの成長に欠かすことのできないホルモンです。脳下垂体という器官から分泌され、肝臓を刺激してIGF-Iという別のホルモン(セカンドメッセンジャーホルモン)の分泌を促します。成長ホルモンとIGF-Iは、幼児期から次第に分泌量が増え、細胞分裂やたんぱく合成を活発化させます。つまり、背を伸ばし、筋肉を作り、骨の成長を助けるのです。

 10代後半ごろまでの成長期に分泌のピークを迎え、それから徐々に低下傾向を示し、30歳前後からは確実に減少していきます。でも、成長ホルモンが必要なのは成長期だけではなく、中高年になっても老年期になっても若さと健康を保つために大切な役割を持っています。筋肉や骨が新たに作られ古いものが分解される時にも不可欠です。また、皮膚を若々しく保ったり、性的能力を保持したり、免疫システムや記憶力を維持したりするのにも必要なのです。

 ◇睡眠の質の低下は分泌の低下を招く

 成長ホルモンが多く分泌されるのは、夜間の睡眠の質が最も深い時です。「寝る子は育つ」ということわざのごとく、よく眠ることが最も重要です。寝不足や不規則な生活、睡眠時無呼吸症候群によって睡眠の質が低下すると、分泌されなくなってしまいます。心身ストレスが強かったり、過度に飲酒をしたりすると眠りが浅くなるので要注意です。

 「酒は百薬の長」と言われるように、適量であれば、ストレスを発散させるといった好ましい効果があることが分かっています。悩み事を一人で抱えるよりは、気の合う友やパートナーと悩みを分かち合った方が、寝る前にくよくよ考え込まなくてすむでしょう。お酒も適量ならばストレスによって眠りが浅くなるのを和らげてくれるのです。

 お酒の適量には個人差がありますが、日本酒1~2合、ワイン1~2杯といったところでしょうか。これを超えると確実に睡眠の質が低下します。アルコールの利尿作用によって夜中にトイレに行く回数が増えることも、成長ホルモン分泌の妨げになります。

 ◇食事も重要な刺激

 食事でもホルモン分泌は刺激されます。空っぽの胃袋に食べ物が入ると、胃の壁を刺激してグレリンという物質が分泌されます。グレリンが血流にのって脳下垂体を刺激し、成長ホルモンの分泌を促すのです。間食をのべつ幕無しにするのではなく、きちんと空腹を感じてから食べるといいでしょう。

 そして、食事の栄養バランスは成長ホルモン分泌に大きく影響を及ぼします。成長ホルモンもIGF-Iもアミノ酸がつながってできるペプチドホルモンです。そのため材料となるたんぱく質を食事から十分に摂取する必要があります。

 ◇6週間後に表れる肌への影響

 若くて健康な肌を手に入れるためにも成長ホルモンは大切です。

 皮膚の細胞分裂は、夜中の成長ホルモン分泌に合わせて最も活発化します。ですから、成長ホルモン分泌を刺激するために生活習慣を改善しましょう。アミノ酸のサプリメントを摂取するならば寝る前がお勧めです。ペプチドホルモンである成長ホルモンの材料になるだけでなく、丈夫で美しい肌を作るために大切なコラーゲンやエラスチンなどのたんぱく質の材料にもなるからです。

 ◇運動による刺激も分泌を促す

 運動による刺激も分泌を促します。筋肉を動かすと疲労物質「乳酸」が生成され、血流に乗って脳下垂体を刺激し、成長ホルモンの分泌を促します。運動不足やロコモ(運動器に異常が出て、立ったり歩いたりする機能が低下した状態)になって運動ができなくなれば、日中の成長ホルモン分泌はなくなります。さらに、運動不足によって睡眠の質も低下するため、睡眠中のホルモン分泌も低下することになるでしょう。

 これまで運動に興味がなかった方は、1日につき15分余分に歩くことから始めましょう。