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日本中を、歓喜の坩堝に巻き込んだ「リオ五輪400メートル・リレー」の銀メダリスト4人組が、悉く新生18歳のサニブラウン・ハキームに叩き潰された。全日本陸上選手権でのことである。今大会は、8月にロンドンで行われる世界選手権の代表選考会も兼ねていた。そこで最も注目されていたのは、男子100メートルであった。何故なら、待望の9秒台に誰かが突入するかと期待されていたからである。だが、その中にサニブラウンが入っていたのではない。期待されていたのは、お馴染みの桐生・ケンブリッジ・山縣のメダリストたちであった。中でも桐生とケンブリッジは、10秒01台を頻繁に連発し、ケンブリッジに至っては、アメリカで追い風・非公式ながら9秒台に突入した。

  東京五輪では、銀メダリストの4人、或いは3人が選出されると期待されていた。それは、ここ一ト月で各選手が良い記録を打ち出していたからである。ところが、そこに無印の2人の新生が割り込んで来た。それが、ガーナ人を父に持つサニブラウンと関西学院大3年生の多田修平である。多田に於いては、先日の日本学生選手権で非公式ながら、9秒94で国内初の9秒台に突入した。サニブラウンは、16歳の時、世界ジュニア選手権で100と200で優勝し、200では世界一速い男「ウサイン・ボルト」の16歳時の記録を破った逸材だった。

  100メートル決勝の当日は雨が降っており最悪のコンディションだった。そこには、桐生・山縣・ケンブリッジの五輪トリオと多田、サニブラウンの豪華キャストが100メートル先を睨んでいた。号砲一発、桐生と多田の反応が早かった。しかし、中盤からサニブラウンがギアを入れるとスピードが加速し、トップでテープを切った。驚かされた。桐生かケンブリッジが優勝すると思っていたので、青天の霹靂だった。そして、2位には多田が入り、ケンブリッジが辛うじて3位に入り、世界選手権の権利を得た。

  翌日は得意種目の200メートルだった。隣には五輪リレーメンバーで200メートル第一人者の飯塚がいる。だが、スタートしてすぐにトップに立つと、そのまま加速し、14年振りで2冠を獲得した。しかし、コンヂィションは決して良くは無かったとのことだった。これで、世界選手権には内定したが、あと2人に誰が選出されるか悩むところである。サニブラウンと多田が選出されそうである。

島津惟新義弘公 日本中を、歓喜の坩堝に巻き込んだ「リオ五輪400メートル・リレー」の銀メダリスト4人組が、悉く新生1