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  • 大橋巨泉が臨死の床で綴った“最後の遺言”「安倍晋三に一泡吹かせて下さい」しかしテレビは巨泉の思いを一切報じず…

    〈今のボクにはこれ以上の体力も気力もありません。だが今も恐ろしい事や情けない事、恥知らずな事が連日報道されている。書きたい事や言いたい事は山ほどあるのだが、許して下さい。しかしこのままでは死んでも死にきれないので、最後の遺言として一つだけは書いておきたい。安倍晋三の野望は恐ろしいものです。選挙民をナメている安倍晋三に一泡吹かせて下さい。7月の参院選挙、野党に投票して下さい。最後のお願いです〉
    「何時まで生きられるかわからない」「ボクにはこれ以上の体力も気力もありません」と死を意識する壮絶な状況のなか、巨泉氏がまさに最後の力を振り絞って綴った、「最後の遺言」。それは、「改憲」を争点からひた隠しにして参院選を行い、着実に日本を戦争へと向かわせている安倍政権への痛烈な批判だった。 

     巨泉氏の状況を思えばその言葉の重みもより増すが、もちろん巨泉氏は突然こんなことを言い出したわけではない。民主党議員だった2001年に、アメリカの同時多発テロを非難し「アメリカを支持する」との表明に民主党でたった1人反対するなど、巨泉氏は徹底して反戦を掲げ続けてきた。安倍政権に対しても、第二次政権が発足した当初より、安倍首相の危険性を訴え続けている。
    「僕は、ポピュリズムの権化のような安倍首相をまったく信用しない。(略)本当にやりたいのは憲法改正であり、日本を『戦争ができる国』に変えることでしょう。実際、ニコニコして、口当たりの良いフレーズを並べておきながら、国民の過半数が反対した特定秘密保護法を強引に通してしまった。法衣の下に鎧を隠しているような男の言動にだまされてはいけません」(「日刊ゲンダイ」/2014年5月12日)
     また、昨年4月19日には『爆笑問題の日曜サンデー』(TBSラジオ)にゲスト出演し、安倍首相主催の「桜を見る会」に言及。自身も招待を受けていたがそれを断ったと告白して、さらに、巨泉氏とは逆に出席する道を選んだ太田光をこう批判している。
    「お前利用されてるんだよ。今日のスポーツ紙に出てたよ。『ああ、安倍さんって心の広い人だなあ』って(大衆に)思われちゃうんだよ」
     さらに同番組では、テレビ朝日とNHKが自民党に呼び出された一件についても「とにかく、自民党に呼ばれて行ったテレ朝とNHKはいかん。なんで一政党に呼ばれて、言論の自由を守らなければいけない放送局が出て行く? これが陰ながらの圧力なんだ」「俺は戦いたい。(略)言論の自由っていうのはね、命をかけて守るべきものなんだよ」と発言。政権に忖度して自粛を繰り返すメディアの姿勢を痛烈に批判した。
     また、同じく15年の「週刊朝日」(朝日新聞出版)9月18日号では、1934年生まれで実際に先の戦争を見てきた自身の経験を踏まえ、戦争がいかに人の命を軽んじるものであるかを痛切に訴えている。

    安倍政権は、この国を戦争のできる国にしようとしている。

    現在の閉塞した言論状況にあって巨泉氏は貴重なリベラル論客であり、まだまだ語ってほしいことがたくさんある。巨泉氏の「最後の遺言」を胸にきざむと同時に、なんとか回復しまた舌鋒鋭い批判を繰り出してくれる日が訪れることを祈りたい。
    (新田 樹)

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